ダンベルテイトプレスの効果的なやり方|長頭・短頭それぞれに効かせるコツ
ダンベルテイトプレスは、上腕三頭筋の発達停滞期に刺激を入れるのにも適した、少しマイナーなダンベルトレーニング種目です。その効果的なやり方・目的別重量回数設定および上腕三頭筋長頭と短頭それぞれに効かせるコツを解説します。
- 31,979views
- B!
アイキャッチ画像出典:weighttraining.guide
ダンベルテイトプレスが効果のある筋肉部位
ダンベルテイトプレスが効果のある上腕三頭筋は、上腕の後面に位置する筋肉で上腕筋群のなかで最大の筋肉です。長頭と短頭(内側頭・外側頭)に部位わけされ、その作用と共働筋は以下の通りです。
○上腕三頭筋長頭
肘関節を伸展させる作用と上腕を回外させる作用があり、回旋動作では回旋腱筋版と共働します。
○上腕三頭筋外側頭
肘関節を伸展させる作用があり、この動作では上腕三頭筋内側頭と共働します。
○上腕三頭筋内側頭
肘関節を伸展させる作用があり、この動作では上腕三頭筋外側頭の補助として共働します。
なお、さらに詳しい全身の筋肉名称と作用については下記の記事をご参照ください。
▼関連記事
ダンベルテイトプレスのやり方とコツ
こちらが、ダンベルテイトプレスの模範的な動画です。その正しいやり方とコツは以下の通りになります。
■ダンベルテイトプレスの正しいやり方
1. 仰向けになり胸の上にダンベルを上げて構える。
2. ダンベル同士が離れないように肘を曲げて胸に下ろす。
3. 押すのではなく肘を伸ばすイメージでダンベルを元に戻す。
■ダンベルテイトプレスのコツ
1. 肘を肩関節より頭側に持っていかない。
2. 肘を張り出し手首を絞る意識で行う。
3. ダンベルを押すのではなく肘を伸ばす。
ダンベルテイトプレスは、「プレス」という名前がついていますが、実際には肘関節の伸展動作により上腕三頭筋にストリクトな負荷をかける「エクステンション」系の種目です。このため、ダンベルを押し上げるイメージではなく、肘を伸ばすことで結果的にダンベルが上方へ持ち上がるイメージで行ってください。
また、ダンベル同士をできるだけ離さないよう意識することで、うまく肘関節伸展主体の動作にすることができます。
なお、フラットベンチでのダンベルテイトプレスはやや慣れが必要で、初心者の方が行うと、どうしても肘が頭方向に流れがちで、結果として肩関節に負担をかけるケースが少なくありません。
そのような場合、この動画のようにインクラインベンチを使ってダンベルテイトプレスを行うことで、適切な肘のポジションを維持しやすくなります。
上腕三頭筋長頭・短頭それぞれへの効かせ方
上腕三頭筋トレーニング全てに共通のことですが、脇を閉じ気味(肩関節内転)における肘関節伸展動作では、上腕三頭筋長頭が主体になり、脇を開け気味での肘関節伸展動作では上腕三頭筋短頭が主体となります。
つまり、ダンベルテイトプレスにおいても、肘を閉じ気味で動作を行うと長頭に、開き気味で行うと短頭に負荷が集中します。
ダンベルの種類と選び方
出典:bukiya.net
ダンベルには、アイアンダンベル・ラバーダンベル・クロームダンベル・アーミーダンベル・アジャスタブルダンベルなど多くの種類があり、それぞれに長所と短所があります。
筆者の運営するジムでは、トレーニング目的や男女によって最適なタイプを使用していますが、具体的なダンベル各種の種類と特徴については下記の記事にまとめました。
よくある質問が「自宅筋トレに何キロのダンベルを買ったらいいですか?」というものがあります。結論とおすすめの種類を先に言えば、男性ならラバーダンベルの60kgセット、女性なら20kgのアーミーダンベルとお答えしています。 また、自宅で男女兼用で使うのであれば、最新のアジャスタブルダンベルもチョイスの一つと言えるでしょう。
おすすめできる品質のアイアンダンベルとラバーダンベルを国内主要メーカーからご紹介するとともに、楽天&Amazonの購入価格も比較できるように一覧カタログ形式にしました。是非ご活用ください。■アーミーダンベルアーミーダンベルは転がらず床や家具
ダンベルテイトプレスの目的別の重量回数設定
筋トレで鍛える筋肉=骨格筋には三種類の筋繊維があり、それは、以下のようになります。
○遅筋(持久筋・SO筋・赤筋)
持久的な運動および筋収縮の主体となる筋繊維の種類が遅筋です。収縮する速度が遅く(Slow)、酸素(Oxygen)をエネルギーにして収縮することからSO筋と呼ばれています。筋トレにおいては、20回以上の反復回数で限界がくるような低負荷・高回数でトレーニングします。
○速筋(短瞬発筋・FG筋・白筋)
10秒以内の瞬発的・爆発的な筋収縮の主体となるのが、速筋のなかでも短瞬発筋と呼称される筋繊維です。この筋繊維は、収縮速度が非常に速く(Fast)、筋細胞内のグリコーゲン(Glycogen)をエネルギー源として収縮するのでFG筋とも呼ばれます。筋トレにおいては、10回以下の反復回数で限界がくるような高負荷・低回数でトレーニングします。
○速筋(長瞬発筋・FO筋・ピンク筋)
やや持久的な1分ほどの筋収縮の主体となるのが、もう一つの速筋である長瞬発筋と呼ばれる筋繊維です。収縮速度が比較的速く(Fast)、呼吸による酸素(Oxygen)をエネルギー源とするためFO筋とも呼ばれています。筋トレにおいては12~15回の反復回数で限界がくるような中負荷・中回数でトレーニングします。
つまり、ダイエット目的で身体を引き締めたい場合は20回、細マッチョトレーニングなどで適度に筋肥大したい場合は15回、本格的に筋肉を増やすトレーニングでは10回で反復限界がくる重さの設定でトレーニングを行ってください。
ダンベルサイドカールとのスーパーセットがおすすめ
ダンベルテイトプレスは、上腕三頭筋のメイン種目というよりは、筋肉が刺激に慣れてしまった時に行う種目と言えます。そして、同様にやや特殊で拮抗動作を行うダンベルサイドカールとスーパーセットで行うことで、爆発的な刺激を腕に入れることが可能です。
スーパーセットは同時に拮抗する筋肉の二種目を行う筋トレメソッドですが、どちらをメインターゲットにするかで順番も異なります。スーパーセットに関する詳細は下記の記事をご参照ください。
▼参考記事
ダンベルテイトプレスにおすすめの筋トレグッズ
ダンベルテイトプレスのトレーニングで注意したいのが手首への負担ですが、リストラップと呼ばれるトレーニンググッズを手首に巻くことで、手首関節を保護・補強でき、効率的な筋トレを行うことが可能です。
このほかにも、ダンベルテイトプレスにはダンベルやインクライン・デクラインベンチ類も必要となります。筆者のジムで実際に使用しているおすすめのタイプを下記の記事にまとめましたので、是非、ご参照ください。
▼おすすめの筋トレグッズを見る
参照記事
参考にした公的サイト
この記事のキーワード
この記事のライター
アームレスリング元日本代表/ジムトレーナー/生物学博物館学芸員/一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟常任理事