ダンベルフレンチプレスのやり方|筋トレ目的別に適切な重量回数設定と動作ポイントを解説
ダンベルフレンチプレスは二の腕裏側の上腕三頭筋を集中的に鍛えられる種目で、特に男性の筋肥大バルクアップトレーニングとして最適です。そのやり方を解説するとともに、筋トレ目的別に適切な重量回数設定や、さまざまなバリーエーションについてもご紹介します。
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アイキャッチ画像出典:fitness.stackexchange.com
ダンベルフレンチプレスが効果のある筋肉部位
ダンベルフレンチプレスが効果のある上腕三頭筋は、上腕の後面に位置する筋肉で上腕筋群のなかで最大の筋肉です。長頭と短頭(内側頭・外側頭)に部位わけされ、その作用と共働筋は以下の通りです。
○上腕三頭筋長頭
肘関節を伸展させる作用と上腕を回外させる作用があり、回旋動作では回旋腱筋版と共働します。
○上腕三頭筋外側頭
肘関節を伸展させる作用があり、この動作では上腕三頭筋内側頭と共働します。
○上腕三頭筋内側頭
肘関節を伸展させる作用があり、この動作では上腕三頭筋外側頭の補助として共働します。
なお、さらに詳しい筋肉の名称と作用については下記の記事をご参照ください。
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ダンベルフレンチプレスのやり方
ダンベルフレンチプレスには数多くのバリエーションがありますが、基本となるのはこの動画のような、シーテッドオーバーへ℃スタイルです。
上腕三頭筋のなかでも外側に位置する長頭は、唯一体幹(肩甲骨)と接合しており、「肘を肩より上にした状態」で最大伸展します。ですので、オーバーヘッドで構えて行うやり方が、もっとも上腕三頭筋に対して効率的な負荷を加えられます。
■ダンベルフレンチプレスの正しいやり方
1. 頭の上にダンベルを構える。
2. 肘をしっかりと固定し肘を曲げる。
3. 肩関節を動かさないように注意して元に戻す。
ダンベルフレンチプレスでもっとも大切なことは、「肘の位置を固定」し「肩関節を動かさない」ことです。肩関節が動いてしまうと、プルオーバー系の動作となってしまい、負荷は大胸筋や背筋群に逃げてしまいます。
効かせたい上腕三頭筋の部位と肘の位置関係
上腕三頭筋には長頭と短頭(内側頭・外側頭)とがありますが、肘の位置関係によって効果の集中する部位が以下のように変化します。
○肘(脇)を開く:上腕三頭筋短頭
○肘(脇)を閉じる:上腕三頭筋長頭
これは、上腕三頭筋長頭が上腕の内転作用(脇をしめる動作)を持つことに起因しており、多くの上腕三頭筋トレーニングで共通の事項です。
参考にした公的サイト
ダンベルの種類と選び方
出典:bukiya.net
ダンベルには、アイアンダンベル・ラバーダンベル・クロームダンベル・アーミーダンベル・アジャスタブルダンベルなど多くの種類があり、それぞれに長所と短所があります。
筆者の運営するジムでは、トレーニング目的や男女によって最適なタイプを使用していますが、具体的なダンベル各種の種類と特徴については下記の記事にまとめました。
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ダンベルフレンチプレスの目的別の重量回数設定
筋トレで鍛える筋肉=骨格筋には三種類の筋繊維があり、それは、以下のようになります。
○遅筋(持久筋・SO筋・赤筋)
持久的な運動および筋収縮の主体となる筋繊維の種類が遅筋です。収縮する速度が遅く(Slow)、酸素(Oxygen)をエネルギーにして収縮することからSO筋と呼ばれています。筋トレにおいては、20回以上の反復回数で限界がくるような低負荷・高回数でトレーニングします。
○速筋(短瞬発筋・FG筋・白筋)
10秒以内の瞬発的・爆発的な筋収縮の主体となるのが、速筋のなかでも短瞬発筋と呼称される筋繊維です。この筋繊維は、収縮速度が非常に速く(Fast)、筋細胞内のグリコーゲン(Glycogen)をエネルギー源として収縮するのでFG筋とも呼ばれます。筋トレにおいては、10回以下の反復回数で限界がくるような高負荷・低回数でトレーニングします。
○速筋(長瞬発筋・FO筋・ピンク筋)
やや持久的な1分ほどの筋収縮の主体となるのが、もう一つの速筋である長瞬発筋と呼ばれる筋繊維です。収縮速度が比較的速く(Fast)、呼吸による酸素(Oxygen)をエネルギー源とするためFO筋とも呼ばれています。筋トレにおいては12~15回の反復回数で限界がくるような中負荷・中回数でトレーニングします。
つまり、ダイエット目的で身体を引き締めたい場合は20回、細マッチョトレーニングなどで適度に筋肥大したい場合は15回、本格的に筋肉を増やすトレーニングでは10回で反復限界がくる重さの設定でトレーニングを行ってください。
ダンベルをコントロールしやすいライイングフレンチプレス
ダンベルフレンチプレスで基礎となるおすすめのやり方はオーバーヘッドスタイルですが、まだ筋力が高くない筋トレ初心者の方には頭上にダンベルを持ち上げるやり方は、安定性や肘の固定で難しい場合もあります。
そのような場合におすすめなのが、動画のようなライイングスタイルです。肘の位置をしっかりと固定し、肩関節を動かさないように気をつけて行ってください。
角度に変化をつけられるワンハンドフレンチプレス
片腕ずつ行うワンハンドダンベルフレンチプレスは、トレーニング時間が二倍かかってしまうというデメリットがあるものの、肘を屈曲・伸展させる軌道を自在に変えられるというメリットがあります。
通常のダンベルフレンチプレスの刺激に、上腕三頭筋が慣れてきたな、と感じた場合に導入をおすすめします。
ダンベルフレンチプレスのおすすめの筋トレグッズ
ダンベルフレンチプレスで注意したいのが、肩だけでなく手首への負担ですが、リストラップと呼ばれるトレーニンググッズを手首に巻くことで、手首関節を保護・補強でき、効率的な筋トレを行うことが可能です。
また、ダンベルフレンチプレス(特にオーバーヘッドスタイル)は腰に対しても強い負荷がかかります。トレーニングベルトを巻いて腰を物理的にサポートするとともに、腹圧を高めて最大筋力を向上させる作用もあるトレーニングベルトの使用をおすすめします。
これら、おすすめの筋トレグッズやダンベル類は下記の記事にまとめてご紹介していますので、ぜひ、ご活用ください。
▼おすすめの筋トレグッズ
参照記事
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この記事のライター
アームレスリング元日本代表/ジムトレーナー/生物学博物館学芸員/一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟常任理事