大円筋の鍛え方。効果的な筋トレメニューからストレッチ方法まで徹底解説
大円筋(だいえんきん)とは、広背筋と共に肩関節の動きをサポートするインナーマッスルです。あまり有名ではない大円筋ですが、実は背中の逆三角形を整えるために重要な筋肉と言われています。今回はそんな大円筋のはたらきから、自宅・ジムでのトレーニング方法を徹底解説していきます。ストレッチにも取り組んで柔軟な筋肉を作りましょう。
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アイキャッチ画像出典:www.pinterest.jp
大円筋(だいえんきん)とは
大円筋はアウターマッスルに比べて注目されにくい筋肉であるため、知らない方も多いかもしれません。筋トレをする際には、ターゲットとなる筋肉の知識をもってトレーニングに取り組むことで、いつもより高い効果を得られると言われています。しっかりと基本事項を押さえてトレーニングに臨みましょう!
大円筋の位置
大円筋は、小円筋の下に位置する筋肉で、肩甲骨の下あたりに位置しています。肩甲骨と上腕骨につながり、わきの下につながっているのが特徴です。小さな筋肉なのでピンポイントでトレーニングをすることが難しくなっています。
大円筋のはたらき・小円筋との違い
大円筋のはたらきを見ると、名前が酷似している小円筋(しょうえんきん)との違いが明らかです。小円筋が肩関節の「外旋」の作用をもつのに対し、大円筋は肩関節の伸展・内転・「内旋」のはたらきがあります。また、小円筋はローテーターカフ(回旋筋腱板)を構成する筋肉の一種ですが、大円筋は含まれません。大円筋は肩関節というよりも広背筋を補助する役割が大きく、「広背筋の小さなヘルパー」と呼ばれることもあります。
機能するスポーツ・動作
大円筋を鍛える種目は、広背筋を鍛える種目に似ていてダンベルやバーベルを使ったトレーニングや懸垂などが効果的とされています。スポーツをする際には、水泳で水をかく動作やボートのオールをこぐ動作などで活躍します。日常生活では、ドアノブを引っ張る動作などで使われる筋肉です。
大円筋を鍛えるメリット
決して大きな筋肉ではない大円筋ですが、トレーニングをすることでどのようなメリットがあるのでしょうか?大円筋を鍛えることで得られる効果を徹底解説していきます!
逆三角形を整える
大円筋は、逆三角形の最上部である脇周辺の部分を占めている筋肉です。大円筋を鍛えることで、より広がりのあるきれいな逆三角形を作ることができます。背中の上部を肥大させることで、よりメリハリのある後ろ姿を作ることができます。
背中の立体感を出す
背中の立体感を出すためには、大円筋を肥大させることが必要不可欠です。広背筋は背中全体の厚みを出すために効果がありますが、細かな隆起を生み出すことは難しいとされています。それに対して大円筋は、小さな範囲の筋肉である分、細かな筋肉の凹凸を生み出すことができます。立体的な背中を作るためにも、ぜひ大円筋を鍛えていきましょう!
広背筋のはたらきをスムーズに
先ほども述べたように、大円筋には広背筋の働きを補助する役割があります。そのため、大円筋を鍛えることで広背筋の発揮する力を助ける効果が高まり、よりスムーズな動作ができるようになります。懸垂など、普段なかなか達成できなかったトレーニングを克服するためにも、大円筋をしっかりと鍛えていきましょう。
1. 大円筋トレーニング【自宅編】
自宅でも取り組める大円筋トレーニングをご紹介していきます。自宅でできるメニューでは、自重のトレーニングが多くなります。自重のトレーニングの際には、呼吸の仕方やポジションなど細かな部分をしっかりと確認していきましょう。注意点も一緒にご紹介していきます。
1-1. ダンベルロー
ダンベルローの正しいやり方
1. 膝より低い高さの椅子やベンチを用意する。
2. 右手にダンベルを持ち、左手は椅子やベンチに着ける。
3. 左手が肩の真下になるように調整する。
4. 左膝を椅子やベンチに乗せて体を安定させる。
5. 視線を前に向けて、体の重心をやや前に移動させる。右手を下ろしてキープ。
6. 肩甲骨を背骨に寄せるイメージで、ダンベルを脇腹へ引き上げる。
7. 1~2秒間キープして、ゆっくりと5の姿勢に戻る。
8. 5~7を10回繰り返す。
9. 左手も同じように1~8を繰り返す。
セット数の目安
左右交互に3~4セットずつ繰り返しましょう。1セットごとのインターバルは1分間を目安にしてください。
注意するポイント
・ダンベルを持ち上げる際は、肘を天井に引き上げるイメージで真上に持ち上げていきましょう。
・呼吸を自然に続けながら、余分な力が入らないように注意してください。
・肘に負担がかからないように、等速でゆっくりと動かしていきましょう。
1-2. バックチューブラットプルダウン
バックチューブラットプルダウンの正しいやり方
1. 両足を腰幅に開いて直立する。
2. チューブを体の前にして肩幅の位置で持つ。
3. チューブを頭上に持ち上げ、肘はしっかりと伸ばす。
4. チューブを体の背面に下ろし、肘が肩の高さになるように調整する。
5. 1~2秒間静止する。
6. 3の姿勢に戻る。
7. 3~6を繰り返す。
セット数の目安
1セットを8~12回として、3セットを目安に行いましょう。
注意するポイント
・はじめは柔らかめのチューブを使い、慣れてきたら硬めのものへ挑戦してみてください。
・肘はしっかりと真横に開き、下へおろしていきましょう。
・左右の腕を下ろすタイミングが同時になるように調整しましょう。
1-3. ベントオーバーラテラルレイズ
ベントオーバーラテラルレイズの正しいやり方
1. チューブの両端を持ち、足裏で上から押さえる。
2. 足は腰幅に開き、膝は若干曲げる。
3. つかんでいるチューブの左右を入れ替え、足元でチューブを交差させる。
4. 上体を前かがみにして、頭頂部が斜め前から引っ張られているようなイメージで背筋を伸ばす。
5. 両手を左右に広げ、肩の高さまで持ち上げる。
6. 1~2秒間静止する。
7. ゆっくりと4の姿勢に戻る。
8. 4~7を繰り返す。
セット数の目安
10~20回を1セットとして2~3セットを目安に取り組みましょう。
注意するポイント
・チューブの固さは柔らかめのものからスタートしてください。今回のトレーニングでは、グリップ付きのものがおすすめです。
・呼吸は細く長くし続けて、筋肉が硬直しないように注意してください。
・等速でゆっくりと動かしていきましょう。
2. 大円筋トレーニング【ジム編】
徹底的に大円筋を肥大させたい方にはジムでのトレーニングがおすすめです。トレーニング機材を使うことでより大きな負荷をかけられるため、集中的な筋トレが可能になります。使い方をしっかりマスターして、効果的なトレーニングをしていきましょう。
2-1. ワイドフリッププルアップ
ワイドグリッププルアップの正しいやり方
1. 両手を肩幅よりも広めに開き、バーをつかむ。
2. 両足を床から浮かせる。
3. 肩甲骨を寄せるイメージで、胸を高く引き上げる。
4. 目線がバーの高さと同じくらいになるまで体を引き上げる。
5. ゆっくりと2の姿勢に戻る。
6. 2~5を繰り返す。
セット数の目安
10回を1セットとして3~4セットを目安に取り組みましょう。
注意するポイント
・背中が丸くなってしまうと筋トレ効果が下がってしまうため、背筋を伸ばしてトレーニングをしていきましょう。
・肩だけではなく、しっかりと大円筋を使えるように意識しながら取り組んでください。
・バーの上にあごを出す必要はありません。1回1回を丁寧にこなしていきましょう。
2-2. ケーブル・シーテッドロー
ケーブル・シーテッドローの正しいやり方
1. ケーブルローマシーンにVバーかクロスグリップバーをセットしてに握る。
2. 腰を入れて胸を少し丸める。肩甲骨を開いた状態で足を踏ん張る。
3. 腕がしっかりと伸びた状態にセットする。
4. 頭から腰が一直線になるように保ちながら、お腹の前までVバーを引き上げる。
5. ゆっくりと3の姿勢に戻る。
6. 3~5を繰り返す。
セット数の目安
10回を1セットとして、3~4セットを目安に取り組みましょう。セット間のインターバルは1分間を目安に行いましょう。
注意するポイント
・呼吸を吸いながらVバーを引き、吐き出しながらゆっくりと戻していきましょう。
・肩ではなく背中をしっかりと使えるように意識して取り組んでください。
・Vバーを引いたときには胸を張り、腕をしっかりと後ろへ引きましょう。
・腕を引いたときには体を後傾させすぎないようにちゅういしてください。
2-3. ベントオーバーローイング
ベントオーバーローイングの正しいやり方
1. バーベルを体の前に置き、足を肩幅に開いて直立。
2. 膝を軽く曲げ、上体を45度ほど前傾させてバーベルを握る。
3. 肩甲骨を背中の中心へ引き寄せるようなイメージで、バーベルを引き上げる。
4. 限界まで引き上げたらゆっくりと2の姿勢に戻る。
5. 3~4を繰り返す。
セット数の目安
10回を1セットとして、3セットを目標に取り組みましょう。
注意するポイント
・頭から腰までが直線になるように意識して姿勢をキープしましょう。
・腰を反ると怪我の原因になってしまうので、お尻は床に向けるように意識してください。
・大円筋の位置を意識しながら、ゆっくりとトレーニングしていきましょう。
2-4. フロントラットプルダウン
ラットプルダウンの正しいやり方
1. 重量とレッグパットの位置を調整し、シートに座る。
2. 両手を肩幅よりも広めに開き、バーを握る。
3. 胸を張り、軽く背中を後ろに反る。
4. バーを両手で手前に引っ張り、肩の高さで止める。
5. ゆっくりと2の姿勢に戻す。
6. 3~5を繰り返す。
セット数の目安
10~15回を1セットとして、3~4セットを目安に行いましょう。セット間のインターバルは1分間を目安に取り組みましょう。
注意するポイント
・バーを下ろす位置は鎖骨とみぞおちの間を意識してください。
・バーを引くときは、肘を腰に当てるイメージで取り組みましょう。
・呼吸を自然に続け、無駄な力が入りすぎないように注意してください。
2-5. リバースケーブルクロスオーバー
リバースケーブルクロスオーバーの正しいやり方
1. 重量の重さを調節する。
2. ケーブルのグリップをつかみ、足を肩幅に開く。
3. 胸の前で両腕をクロスさせた状態にセットする。
4. 両腕を開き、持ち手が肩の高さになるように下げる。
5. 1~2秒間キープ。
6. 3の姿勢に戻る。
7. 3~6を繰り返す。
セット数の目安
10回を1セットとして3~4セットを目安に繰り返していきましょう。セット間のインターバルは1分を目標にしてください。
注意するポイント
・肩甲骨を背中の中心へ引き寄せることを意識して、しっかりと大円筋にフォーカスしていきましょう。
。肩が上がりやすくなってしまうので、1回1回肩が上がりすぎていないか注意して取り組んでください。
・呼吸を止めないように注意してトレーニングを進めてください。
3. 大円筋ストレッチ
トレーニングで鍛えた筋肉は、ストレッチを行いメンテナンスをすることで、柔軟性を高めることができます。柔軟性のある筋肉は、けがを誘発しにくく、継続したトレーニングを進めることができます。リラックス効果も期待されるので、1日の終わりにぜひ取り組んでみましょう。
3-1. コントラクションストレッチ
コントラクションストレッチの正しいやり方
1. 足を肩幅に開いてまっすぐ立つ。
2. 両手を組み肩の高さで前に伸ばす。
3. ゆっくりと手を遠ざけながら背中の上部を丸める。
4. へそをのぞきこむようにして30~60秒間キープ。
5. 1の姿勢に戻る。
セット数の目安
1回の動作で20~30秒程度時間をかけながら5セットを目安に行いましょう。
注意するポイント
・手を遠ざけると同時に息を吐き出すとよりストレッチしやすくなります。
・肩から背中にかけての部分がしっかり丸くなっているか確認しましょう。
・大円筋の位置を意識しながらストレッチを進めていくようにしましょう。
3-2. 肩甲骨寄せストレッチ
肩甲骨寄せストレッチの正しいやり方
1. 両足を腰幅に開いて立つ。
2. 頭上で右肘を左手で掴む。
3. 左手で右肘を引きながら上体を左へ傾ける。
4. 15~20秒ほどキープ。
5. ゆっくりと1の姿勢に戻り、反対側も同じように2~4を繰り返す。
セット数の目安
左右交互に3~5セットを目安に取り組みましょう。
注意するポイント
・上体を傾けるときに肩が内側に入りがちなので胸を張るように意識してください。
・肩と耳を遠ざけるようなイメージでストレッチしていきましょう。
・自然な呼吸を忘れずに。
3-3. 筋膜リリースストレッチ
筋膜リリースストレッチの正しいやり方
1. 椅子に浅く座り、足を閉じる。
2. 手を後ろで組んで真後ろに伸ばす。
3. 後ろに手を引きながら上体を前傾させる。
4. 頭から腰まで一直線になるよう意識する。
5. 腕が下がらないように気を付けて10秒間キープ。
6. 1の姿勢に戻り2~5を繰り返す。
セット数の目安
3~5セットを目安にゆっくりと行いましょう。
注意するポイント
・自然な呼吸を続けてリラックスしながらストレッチを続けてください。
・上体を前傾させるときには骨盤を折りたたむように意識しましょう。
・肩の柔軟性に合わせて無理せずストレッチしてください。
3-4. 糸通しのポーズ
糸通しのポーズの正しいやり方
1. 手は肩幅、膝は腰幅に開き四つん這いになる。
2. 片手を床から離し天井に向かってあげる。
3. 持ち上げた手を床に下ろし、反対のわきの下へ腕を通す。
4. 肩を床に着け、両手をそろえる。
5. 上の手で下の手首を引っ張る。
6. 上の手を反対側の腰へ置く。
7. 胸を張って10秒間キープ。
8. ゆっくりと1の状態へ戻る。
9. 反対側も同じように繰り返す。
セット数の目安
左右交互に3~5セットを目安に取り組みましょう。
注意するポイント
・頭、肩、膝、足の甲でしっかりと床を押しながら体を支えるように意識しましょう。
・腰をひねるのではなく、背中を大きくひねるようにしましょう。
・腰はしっかりと上げておくように気を付けてください。
3-5. 伸びを深めるストレッチ
伸びを深めるストレッチの正しいやり方
1. 背もたれに手が届く範囲で椅子から離れる。
2. 足は腰幅に開く。
3. ゆっくりと上体を前傾させて床と平行になる姿勢で止める。
4. お尻を真後ろに引っ張り、胸を床に近づけるようなイメージで引っ張る。
5. リラックスして20~30秒間キープ。
6. 手を離してへそをのぞきこみながらゆっくりと上体を起こす。
7. 1~6を繰り返す。
セット数の目安
3~5セットを目安に取り組みましょう。
注意するポイント
・脇、背中、太もも裏が伸びるように意識してストレッチをしていきましょう。
・腰に負荷がかかり過ぎないように気を付けてください。
・膝とつま先がしっかり前を向いているように注意しましょう。
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この記事のライター
茨城の筑波山生まれ。「いばらぎ」じゃなくて「いばらき」です。