ダンベルプルオーバーのやり方|肘の角度などで大胸筋~広背筋に効果が変化する筋トレ
ダンベルプルオーバーは、自宅で大胸筋や広背筋を鍛えられる筋トレ種目ですが、やや特殊なトレーニングであり、主に肘の角度と開き具合によって効果のある筋肉部位が大胸筋から広背筋へと変化します。そのやり方と動作ポイントを解説します。
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アイキャッチ画像出典:inspiredbymiranda.com
参考にした公的サイト
ダンベルプルオーバーが効果のある筋肉部位
大胸筋
ダンベルプルオーバーは大胸筋に効果のあるトレーニング種目で、一般的な大胸筋トレーニングが横方向に収縮刺激を加えるのに対し、本種目は縦方向に刺激を入れることのできる数少ない種目です。
このため、刺激に変化をつけたい大胸筋の発達停滞期などにメニューに組み込まれることも多い筋トレ種目です。
広背筋
また、ダンベルプルオーバーは大胸筋の拮抗筋である、背中の筋肉・広背筋にも効果の高いトレーニング方法です。特に、懸垂以外の自宅背筋トレーニングでは鍛えにくい広背筋側部にも効果があるので、逆三角形体型を目指すホームトレーニーにとっては重宝する種目として知られています。
ダンベルプルオーバーの二種類
まずは、こちらの動画をご覧ください。ダンベルプルオーバー時の上半身の筋肉の収縮を3DCGで再現した動画です。ダンベルプルオーバーの動作時には、大胸筋と広背筋が同時に収縮している様子がおわかりいただけると思います。
そして、本種目を行うときに、肘の角度と開き具合を調整することで、大胸筋をターゲットにしたり広背筋をターゲットにしたりすることが可能です。
出典:bukiya.net
このことを、図解でわかりやすく解説したのが上の図で、肘の角度および開き具合と効果のある筋肉部位の関係は以下のようになります。
・肘を曲げて閉じる=大胸筋
・肘を伸ばして開く=広背筋
前者を「ベントアームプルオーバー」、後者を「ストレートアームプルオーバー」と言います。
ベントアームダンベルプルオーバーのやり方
こちらが、大胸筋をターゲットにしたベントアームダンベルプルオーバーの模範的な動画で、そのやり方と動作ポイントは以下の通りです。
■ベントアームダンベルプルオーバーの正しいやり方
1. 上背部をベンチにつけ仰向けになり胸の上にダンベルを構える。
2. 肘を曲げたままダンベルを後方に下ろす。
3. 大胸筋に意識を集中し肘を閉じながら元に戻す。
■ベントアームダンベルプルオーバーのポイント
1. 肘を伸ばさないように気をつける。
2. 肘を開かないように気をつける。
3. 背中を浮かせないようにする。
ストレートアームダンベルプルオーバーのやり方
こちらが、広背筋をターゲットにしたストレートアームダンベルプルオーバーの模範的な動画で、そのやり方と動作ポイントは以下の通りです。
■ストレートアームダンベルプルオーバーの正しいやり方
1. 上背部をベンチにつけ仰向けになり胸の上にダンベルを構える。
2. 肘を伸ばしたままダンベルを後方に下ろす。
3. 広背筋に意識を集中し肘を開いたまま元に戻す。
■ストレートアームダンベルプルオーバーのポイント
1. 肘を曲げないように気をつける。
2. 肘を閉じないように気をつける。
3. 背中を浮かせないようにする。
ダンベルの種類と選び方
出典:bukiya.net
ダンベルには、アイアンダンベル・ラバーダンベル・クロームダンベル・アーミーダンベル・アジャスタブルダンベルなど多くの種類があり、それぞれに長所と短所があります。
筆者の運営するジムでは、トレーニング目的や男女によって最適なタイプを使用していますが、具体的なダンベル各種の種類と特徴については下記の記事にまとめました。
よくある質問が「自宅筋トレに何キロのダンベルを買ったらいいですか?」というものがあります。結論とおすすめの種類を先に言えば、男性ならラバーダンベルの60kgセット、女性なら20kgのアーミーダンベルとお答えしています。 また、自宅で男女兼用で使うのであれば、最新のアジャスタブルダンベルもチョイスの一つと言えるでしょう。
ダンベルプルオーバーの目的別の回数設定
筋トレで鍛える筋肉=骨格筋には三種類の筋繊維があり、それは、以下のようになります。
○遅筋(持久筋・SO筋・赤筋)
持久的な運動および筋収縮の主体となる筋繊維の種類が遅筋です。収縮する速度が遅く(Slow)、酸素(Oxygen)をエネルギーにして収縮することからSO筋と呼ばれています。筋トレにおいては、20回以上の反復回数で限界がくるような低負荷・高回数でトレーニングします。
○速筋(短瞬発筋・FG筋・白筋)
10秒以内の瞬発的・爆発的な筋収縮の主体となるのが、速筋のなかでも短瞬発筋と呼称される筋繊維です。この筋繊維は、収縮速度が非常に速く(Fast)、筋細胞内のグリコーゲン(Glycogen)をエネルギー源として収縮するのでFG筋とも呼ばれます。筋トレにおいては、10回以下の反復回数で限界がくるような高負荷・低回数でトレーニングします。
○速筋(長瞬発筋・FO筋・ピンク筋)
やや持久的な1分ほどの筋収縮の主体となるのが、もう一つの速筋である長瞬発筋と呼ばれる筋繊維です。収縮速度が比較的速く(Fast)、呼吸による酸素(Oxygen)をエネルギー源とするためFO筋とも呼ばれています。筋トレにおいては12~15回の反復回数で限界がくるような中負荷・中回数でトレーニングします。
つまり、ダイエット目的で身体を引き締めたい場合は20回、細マッチョトレーニングなどで適度に筋肥大したい場合は15回、本格的に筋肉を増やすトレーニングでは10回で反復限界がくる重さの設定でトレーニングを行ってください。
ダンベルプルオーバーで胸郭を広げる
出典:wglint.com
ダンベルプルオーバーは大胸筋や広背筋といった筋肉に効果があるだけでなく、特殊なセットメニューの組み方・やり方を行うことで、上半身の厚みや広がりに関係の深い「胸郭」自体を拡張させる作用もあり、特に20代であれば胸囲を10cm前後増やすことも可能です。
そのセットメニューの組み方に関しては、下記のサイトで詳しく解説されていますのでご参照ください。
▼胸郭を広げるトレーニング
胸囲100cm以上は鍛えた男性ならまずは目指したい数値ですが、筋トレ初心者が胸囲100cmを超えていくためには、大胸筋のトレーニングだけではなく、大胸筋の土台となる胸郭を広げるトレーニングを行うことが有効です。また、さらに胸囲100cmを超
ダンベルプルオーバーにおすすめの筋トレグッズ類
手首の保護・固定にリストラップ
大胸筋トレーニングで注意したいのが手首への負担ですが、リストラップと呼ばれるトレーニンググッズを手首に巻くことで、手首関節を保護・補強でき、効率的な筋トレを行うことが可能です。
握力補助にパワーグリップ
背筋トレーニングで多いのが「先に握力がなくなり背中を追い込めない」というケースですが、パワーグリップと呼ばれる握力を補助する筋トレグッズを使用することで、「101%追い込む」効率的なトレーニングを完遂することが可能です。
このほかにも、ダンベルプルオーバーにはダンベルやベンチ類も必要となります。筆者のジムで実際に使用しているおすすめのタイプを下記の記事にまとめましたので、是非、ご参照ください。
▼おすすめの筋トレグッズを見る
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この記事のライター
アームレスリング元日本代表/ジムトレーナー/生物学博物館学芸員/一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟常任理事