パラレルグリップチンニング(パラレル懸垂)のやり方|背筋中央部に効果の高い懸垂
懸垂のなかでも背筋中央部に高い効果のあるパラレルグリップチンニング(パラレル懸垂)のやり方について解説します。
- 48,921views
- B!
アイキャッチ画像出典:jawa-armwrestling.org
パラレルグリップチンニング(パラレル懸垂)が効果のある筋肉部位
パラレルグリップチンニング(パラレル懸垂)は、上半身の引く筋肉群である広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋に効果がある自重トレーニング種目で、特に広背筋中央部と僧帽筋に集中的な効果があります。それぞれの筋肉の作用は以下の通りです。
■広背筋
腕の付け根から腰にかけての体側に位置する、上半身で最大の筋肉が広背筋です。前や上から腕を引く作用があります。
■僧帽筋
僧帽筋は首の後ろから腰にかけて逆三角形様に位置する筋肉で、腕を下から引く作用や広背筋が収縮したポジションからさらに肩甲骨を引き寄せる作用があります。懸垂においては、後者の作用があります。
■上腕二頭筋
上腕二頭筋は上腕の前面に位置する筋肉で、いわゆる「力こぶ」の筋肉として知られています。肘関節の屈曲と前腕の回外をする作用がありますが、懸垂においては前者の作用があります。
▼さらに詳しい筋肉の解説
パラレルグリップチンニング(パラレル懸垂)のやり方
懸垂と言えば、どうしても「バーから顎を出して1回」と考えがちですが、背筋群のトレーニングとして行う場合、肩甲骨を寄せる動作が重要になり、顎を出す意識が強いと背中が丸くなり背筋群への効きが悪くなります。
このため、「バーに胸をつける」意識で行い、しっかりと肩甲骨を寄せるようにするのがポイントです。
これは、一般的な懸垂(ワイドグリップチンニング)でもパラレルグリップチンニング(パラレル懸垂)でも同様です。
■パラレルグリップチンニング(パラレル懸垂)の正しいやり方
1.手の平がむきあうようにバーを握り構える
2.肩甲骨を寄せながら身体を引き上げていく
3.身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させる
4.筋力でコントロールしながら元に戻る
なお、パラレルグリップが付属していない懸垂バーの場合、画像のようなパラレルグリップのケーブルアタッチメントをバーにかけて行うことも可能です。実際に、筆者も自身のジムではこのようにしてパラレル懸垂を実施しています。
また、懸垂を行うと先に握力がなくなってしまう、という方には「サムレスグリップ」をおすすめしています。
▼サムレスグリップとは?
プル系トレーニングのマストアイテム
プル系トレーニングでもっとも多く見られる難点が、背中や腕の筋肉よりも先に握力が疲れてしまって最後まで追い込めない、というものです。
これらを防ぐためには、パワーグリップやリストストラップと呼ばれる握力をサポートするトレーニンググッズが抜群の効果を発揮します。
懸垂ができない二つの理由
「懸垂ができない」というい方には二つのパターンがあります。それは「懸垂をする器具がない」場合と、「筋力的に懸垂ができない」場合です。それぞれのパターンについてその解決法をご紹介します。
懸垂器具がない場合
出典:bukiya.net
懸垂器具がない場合は、やはり懸垂器具を入手するしか方法はありません。
懸垂器具には本格的なチンニングラックから、ドアに取り付ける簡易型までさまざまなタイプがあります。それらの特徴を下記の記事にまとめましたので、是非ご参照ください。
▼懸垂器具の種類と特徴
自宅で背筋をしっかりと鍛える場合、やはり懸垂は欠かせない種目ですが、器具がなければ行えず、このことが自宅での背筋トレーニングの最初の壁とも言えます。おすすめできる国内の各メーカーの懸垂ラック(チンニングラック)を比較するとともに、簡易型の懸
筋力が足りない場合
筋力が足りない場合は、効率的なトレーニングを行うことで懸垂ができるようになります。
下記の記事は、実際に筆者のジムで指導・実践している「懸垂の段階プログラム」を解説したもので、懸垂の「背中で引く感覚」を身につけながら基礎筋力をつけていくメソッドです。
実際に、このプログラムで多くの「懸垂ができない」会員が、3ヶ月ほどでできるようになっています。
▼参照記事
懸垂が一回もできない、という人は意外に少なくありません。筆者の運営するジムでも、懸垂のできないメンバーには「まずは一回できるように」指導しています。 0回を1回にするのは大変ですが、1回できるようになると、2回・3回と懸垂ができる回数は一気に増えていきます。 本記事では、筆者のジムでも実際に指導している方法、すなわち低負荷でのバリエーションの実施=基礎筋力の向上および、懸垂動作を分割して強化していくプログラムをご紹介します。
パラレルグリップチンニング(パラレル懸垂)の目的別に効果的な重量設定
筋トレで鍛える筋肉=骨格筋には三種類の筋繊維があり、それは、以下のようになります。
○遅筋(持久筋・SO筋・赤筋)
持久的な運動および筋収縮の主体となる筋繊維の種類が遅筋です。収縮する速度が遅く(Slow)、酸素(Oxygen)をエネルギーにして収縮することからSO筋と呼ばれています。筋トレにおいては、20回以上の反復回数で限界がくるような低負荷・高回数でトレーニングします。
○速筋(短瞬発筋・FG筋・白筋)
10秒以内の瞬発的・爆発的な筋収縮の主体となるのが、速筋のなかでも短瞬発筋と呼称される筋繊維です。この筋繊維は、収縮速度が非常に速く(Fast)、筋細胞内のグリコーゲン(Glycogen)をエネルギー源として収縮するのでFG筋とも呼ばれます。筋トレにおいては、10回以下の反復回数で限界がくるような高負荷・低回数でトレーニングします。
○速筋(長瞬発筋・FO筋・ピンク筋)
やや持久的な1分ほどの筋収縮の主体となるのが、もう一つの速筋である長瞬発筋と呼ばれる筋繊維です。収縮速度が比較的速く(Fast)、呼吸による酸素(Oxygen)をエネルギー源とするためFO筋とも呼ばれています。筋トレにおいては12~15回の反復回数で限界がくるような中負荷・中回数でトレーニングします。
つまり、ダイエット目的で身体を引き締めたい場合は20回、細マッチョトレーニングなどで適度に筋肥大したい場合は15回、本格的に筋肉を増やすトレーニングでは10回で反復限界がくる重さの設定でトレーニングを行ってください。
懸垂のバリエーション
懸垂には数多くのバリエーションがありますが、それらについて解説したのが下記の記事です。ぜひ、ご参照ください。
背筋の自重トレーニング種目として基本となる懸垂のフォームややり方のコツを解説するとともに、効果のある筋肉部位別に40種類のバリエーションもご紹介します。
この記事のキーワード
この記事のライター
アームレスリング元日本代表/ジムトレーナー/生物学博物館学芸員/一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟常任理事