なぜ食事のカロリーは全く気にする必要がないのか?(前編)
「メタボの予防・改善には、なるべくカロリーを控えた食事が好ましい」この言葉、あなたも一度は聞いたことがあるでしょう。実際、あなたの周りでカロリー計算している人はどのくらいいますか? 引き締まっている人は、全員カロリー計算していますか? ではカロリーのカラクリについて、紐解いていきましょう。
- 4,970views
- B!
食事のカロリーは全く考える必要はない
出典:pixabay.com
いきなりですが、2つだけ質問します。
1.カロリーって、何ですか?
2.1カロリーって、どのような定義ですか?
よくある返答をご紹介します。
《1.カロリーって、何ですか?》
●必要以上に取ると太るもの。
●熱量。体にあたえる力の元。パワーの源。
●食物や運動の熱量などを表現するエネルギー単位。
《2.1カロリーって、どのような定義ですか?》
●よく聞くし、使う言葉なのに、ちんぷんかんぷんです。
●水分1gを何℃か上げるかとかだったような……
●身体を燃焼してくれるイメージです。
●1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量。
あなたのお考え、まとまりましたか? メモ紙に書いてみましょう。
カロリーの定義はクエスチョンマークの連続
出典:pixabay.com
では、1の「カロリーって、何?」ということから解説していきましょう。
上記にご紹介した返答の中にもありましたが、「カロリー=エネルギー量(熱量)の単位」です。
※熱量:2つの異なった物体の間を、熱として移動するエネルギー量。
続いて、2の「1カロリーの定義って?」について。よく言われるのは、「1mlの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量」です。メタボを予防して、引き締まったお腹を獲得するためには、そんなところに留まらず、一歩踏み込んで『標準カロリー』というものも把握しましょう。
「標準カロリー:14.5℃の純水1mlを、15.5℃に1℃上昇させるのに必要な熱量(その気圧条件が1気圧)」です。
この定義はもう、クエスチョンマークの連続です。私たちの体液は、そもそも純水ではありませんし(約0.9%の食塩水)、体温も14.5℃ではなく約36℃です。はたまた、暮らしている気圧条件も日々変わります。1気圧は1,013ヘクトパスカルですので、高気圧に覆われ雲一つない天候の時と近いです。天気は日々変わりますし、梅雨や季節の変わり目の天候不順の時期は、1気圧ではない時の方が多いです。この標準カロリーの定義は…無機質な実験室の中でのものなのです。
カロリーを知った現在…直感的にどう感じますか? カロリーを一つ一つ調べ上げて、食生活や運動をすることが健康に(メタボ予防・改善に)直結するするのでしょうか。地球上の人間以外の動物は、カロリーなんて微塵も気にしてはいなのです。
出典:pixabay.com
カロリーは栄養価を評価する尺度ではない
出典:pixabay.com
カロリーは、標準カロリーの定義からもお分かりのように、「燃焼能力の尺度」です。したがって、そもそも人間の食べ物の「栄養価を評価する尺度」ではありません。
しかし、日本は私たちの食べるご飯・パン・肉・油などを、なぜか?!この燃焼能力の尺度「カロリー」で評価します。日本は「カロリー」というものを、私たちが「栄養素」として考えている糖質・タンパク質・脂質・ビタミンなどの栄養価を示しているかのような表記や扱いをしています。カロリーは、「栄養価」を示す尺度ではありません。当然、カロリーの数字は私たちのカラダの栄養価の評価になりません。ある食品の示す「カロリー」という無意味な数値が、メタボを始めとした生活習慣病を進行させることはない、と言っても過言ではありません。
あえて言うならば、「もしパンを燃やしたら、これくらいの燃焼能力があります」ということを示しているだけですね。したがって、当たり前ですが、パンを食べても、その数値のカロリー分だけ、我々の体内で体温を維持するためにパンが活躍してくれるわけではありません。カロリーの数値は、あくまでも実験室内で、マッチでパンに火をつけた場合の、水の温度上昇の燃焼能力を推測したものです。
もし科学的なアプローチで検証しようとすると、私たちのカラダの中を実験室と同じ条件(体温:14.5℃、体液:純水、気圧:1,013ヘクトパスカル)にしなければなりませんが、それはどう考えたって無理ですよね。そんな条件下で、実験なんてできるわけもないのです。
カロリーの呪縛から脱出
出典:pixabay.com
カロリーは「燃焼能力の尺度」であって、食べ物の「栄養価を評価する尺度」ではありません。
よって今日から、食事のカロリーを気にする必要は全くありません。
(後編へ続く)