万年筆の選び方とブランド別のおすすめ国産万年筆まとめ

万年筆は頻繁に使う文房具ではないために、選び方がとても重要になってきます。初めて万年筆を買いたい、新社会人へのプレゼントに万年筆をプレゼントしたい、という人のためにおすすめの万年筆を紹介します。

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万年筆とボールペンの比較

万年筆は、ペン軸の内部にあるインクが、毛細管現象によりペン芯の溝を伝ってペン先に供給されることで文字を書くことを可能にします。数十年前は日常の文房具として万年筆がよく使われていましたが、安価で使い捨てできるボールペンの台頭で使用する場面がめっきり減りました。

万年筆はボールペンと比べると高価で、インクの交換や補充が面倒で、乾燥に弱く書いている途中に引っかかりやすいというデメリットがあります。しかし万年筆にはボールペンにはないメリットがたくさんあります。まず、万年筆は部品ごとに修理が可能なので、しっかりと手入れすれば半永久的に使うことができます。さらに、筆圧をほとんど加えることなく書けるので大量の文字を書くのにも適しています。万年筆だと全く肩がこらないという人も多いようです。さらに近年は乾燥に強い万年筆も登場しています。持っているだけで大人の風格が漂うのも大きな特徴です。最初は戸惑うかもしれませんが、使ううちに手に馴染み、独特の筆跡を生み出せるのがボールペンにはない魅力です。

万年筆の選び方

万年筆と一口に言っても様々な種類があります。太さ、重さ、芯の太さ、インクの補充方法。ペン先の素材が主な選ぶポイントになります。初心者が使いやすいという観点から一つずつ見ていきましょう。

万年筆の太さ

万年筆の持つ部分の太さは非常に重要な部分です。これは長時間使い続けるか、それともちょっとメモを取るだけなのかで変わってきます。司法試験で大量の文章をスムーズに書きたい、長時間書き続けたい、というような人は太めの万年筆のほうが指が疲れにくく向いています。
逆に、あまり使わないだろうけど一本持っておきたい、メモに使いたいという人は携帯のしやすい細い万年筆がおすすめです。

万年筆のペン先の素材

万年筆のペン先には金属製のものと、ステンレス製のものがあります。万年筆の魅力を味わいたいなら圧倒的に金属製のものがおすすめです。ステンレス製の万年筆は価格は安価ですが、ペン先が固く、しなやかな書き心地が味わえません。
金属製のペン先は書く際に少ししなるので、長く使っているうちに段々と形を変え、自分好みの形に近づきます。商品の説明に「24K」「18K」などの金属の量を表す数値があり、この数字が大きいほど金の含有量が多く、書き心地が滑らかになります。価格は高価ですが、初心者はなるばく金属製を買うようにしましょう。

万年筆の字の太さ

他の筆記具と同様に字の太さが重要なのは容易におわかりいただけると思います。万年筆はそれぞれに「極細」「中字」などの太さの表記があります。例えば国産ブランド、セーラーが発売する万年筆には「極細」から「ミュージック」までの7種類の太さがあります。
真ん中の4番目のものが「中字」と呼ばれスタンダードだと言われています。万年筆を使い慣れた人なら好みの太さがわかると思いますが、初心者には圧倒的に細めをおすすめします。文字が滲みにくく、画数が多い漢字も簡単に書けるからです。

インク補充の方法

インクの補充は万年筆の面倒くさいところでもあり、醍醐味でもあります。インクの補充方法は。カートリッジ式、コンバーター式、吸入式の3種類があります。

コンバータとはインクの入った瓶のことで、ペン先を使ってインクを吸い上げます。補充が面倒で、初期コストはかかりますが、ランニングコストが抑えられるのが利点です。インクの選択肢も広がります。

出典:www.pen-house.net

カートリッジとは、インクの入ったパックのことで、それを差し込むだけでインクの補充が完了します。手間がかからず手も汚さないので、ヨーロッパ製のほとんどはカートリッジ式を採用しています。その反面コストがかかってしまうのが、難点です。

出典:www.pen-house.net

吸入式は高価格帯の万年筆を中心に採用されている方法です。補充するときはインクが入る部分を万年筆から取出し、水洗いして乾かし、その後、ピストンを上下させてインクを吸入します。古くから採用されている古典的な方法でとても手間がかかります。しかしそれが醍醐味でもあり、万年筆への愛着に繋がります。補充の際に、インク入れ内部のゴミが取れるのも利点です。

インクの補充方式は完全にその人の好みによるので一概におすすめは言えません。ただ、手間がかかる方法ができたほうが選択肢が増えるのは確かです。

国産か外国産か

万年筆は日本に明治時代に輸入され、日本人向けにたくさんの改良が加えられてきました。外国産の万年筆はアルファベットなどの画数の少ない文字を書くことが想定されています。それに対して、日本産のものは画数の多い感じやとめ、はね、はらいを正確に書くことが想定されて改良が加えられました。日本製の万年筆は品質面で優れていると外国人の間でも評判です。外国産にもいい製品はたくさんありますが、特に初心者は漢字の書きやすい国産の万年筆をおすすめします。

万年筆の価格について 

万年筆は1000円前後のものから、4000万円近くするものまであります。初心者の場合、安めのものから入ると思いますが、最低でも1万円以上のものを買いましょう。1万円に満たない価格のものはペン先がステンレスであることが多く、書き心地が滑らかではありません。いろいろバランスを考えたら2~3万円が適正価格です。ここからはブランド別におすすめの万年筆を紹介します。

パイロット(PILOT)

1917年に創業され、誰もが知っている文房具のブランドに成長しました。日本の万年筆メーカーの中では最大手で初心者向けのものから超高級なものまでラインナップが豊富です。日本だけでなく外国でもかなり有名なブランドです。インクフローが多く、字がかすれることなくしっかりと書きたいという人にお勧めです。

エラボー

パイロットを代表する万年筆です。ペン先には14Kのロジウムが使われていて、とても柔らかく、漢字のとめ、はね、はらいを正確に表現するのに向いています。軸が樹脂製のものと金属製のものがありますが、程よい重さがあり安定する金属製のほうが書きやすく感じます。4種類あるペン軸(ブラック、レッド、ブラウン、ライトブルー)はいずれも高級感がある美しいデザインです。

ぺン先 14Kロジウム仕上げ  細字軟(SF)
サイズ 長さ139㎜ 径14㎜ 重さ 34g
軸さや 黄銅・塗装
インキ吸入方法 両用式(コンバーターCON-70付、インクカートリッジ黒1本付)

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キャップレス

パイロットが世界で初めて開発、販売したキャップがないノック式の万年筆です。収納時には気密性を保ったシャッター機構によって乾燥を防ぎます。胸のポケットに入れておけば、サッと取り出してワンノックでメモをとれるのでとても便利です。ボールペンのような安っぽさもなく重量感のある黒い見た目をしています。構造上、インクの残量が確認できないのが難点です。

製品型番 FC-18SR-BM-F
色 黒
材質 軸鞘 黄銅・黒クロム仕上げ
サイズ F
線種 細字
線幅 0.32

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シルバーン

その名の通り、軸の部分にスターリングシルバーが施された高級感のある万年筆です。重さは37gでずっしりとした重みがあります。ペン先も18金と金属の含有量が多く、滑らかで安定した書き心地が体感できます。胴軸のデザインは「つむぎ / 格子 / 松竹梅 / 石だたみ」の4つがあり、いずれも和風なデザインです。デザインの面で他と一線を画すこともあり、パイロット社内でも愛用者が多いようです。

ペン先 18金 細字(F)
軸・キャップ スターリングシルバー
サイズ 長さ140㎜ 径14㎜ 重さ37g
インク吸入方法 両用式(コンバーターCON-50付、インクカートリッジ黒1本付)

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プラチナ (Platinum)

1919年に岡山で創業された伝統ある万年筆メーカーです。他のブランドの万年筆に比べると細字の製品が多く、インクフローが絞られています。細い字を書きたいという日本人の需要に合致したこともあり、大きく成長しました。日本語のとめ、はね、はらいといった細かい部分を滑らかに美しく書くことができます。

3776センチュリー

日本最高峰の品質を目指すという目標から富士山の標高にちなんで名づけられました。インクの乾燥を防ぐスリップシール機構が搭載されています。スリップシール機構とはバネをキャップに付けることで、密閉性を高める機構のことです。1年間放置していもほとんどインクフローが変わらないのが魅力です。
ペン先14Kの金属であるにもかかわらず、定価が6000円近く(芯の太さによって若干の違いあり)なので大変お買い得です。

1.5×13.9cm
ペン先 14金ペン 細字 (F) 完全気密キャップ「スリップシール機構」
インク吸入方法 両用式(コンバーター別売、インクカートリッジ1本付)
AS樹脂:ボディー、キャップ、天冠 、グリップ クリップ :ベリリウム銅にゴールドフィニッシュ
サイズ :全長139.5mm×最大径φ15.4mm 重量20.5g

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プレジデント

こちらも同様にスリップシール機構が搭載された乾燥しにくい万年筆です。3776センチュリーとの最大の違いは、ペン先がとても細くカリカリした書き心地が体感できることです。それでいて紙を削るような感覚も字がかすれることもありません。筆圧が強い人むけの製品となっています。色の種類が豊富なのも魅力です。

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セーラー (Sailor)

1911年に広島で創業された文房具メーカーです。パイロット、プラチナとともに日本三大万年筆メーカーっと呼ばれています。カートリッジ式の万年筆やボールペンなどの画期的な製品をいち早く開発してきた歴史があります。一貫した手作業へのこだわりがあり、製品の完成度では他の追随を許しません。オーダーメイドも受け付けています。

プロフェッショナルギア

一般的にはプロギアと呼ばれている万年筆です。癖のない黒くてシンプルなデザインが特徴的です。見た目よりも重量が軽いので、力が強くない人にもお勧めです。通常の万年筆よりも少し下側を持つとほどよく安定します。ペン先も金属で作られています。4種類のペン軸の太さ、3種類の芯の太さがあり、好みによって選べるようになっています。こちらもセーラー独特のカリカリした書き心地です。

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プロフィット21

セーラーを代表する万年筆です。ペン先はステンレス製ですが書き味が非常によく、筆圧が強い人にはちょうど良いと思います。セーラーの万年筆の特徴として先端が細く真ん中が太めの楕円に近い形があります。定価5000円とは思えないような高級感と書き心地が味わえます。

重量 : 0.0216kg
サイズ : 18(W) ×18(L) ×141(H)㎜

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ペンてる

創業は1946年とほかのメーカーと比べると歴史は浅いですが、いまやパイロットと並ぶ有名文房具ブランドにまで成長しました。現在高価格帯の万年筆の製造を中止しています。その分低価格帯の万年筆のラインナップが豊富で、コスパのいい万年筆をたくさん販売しています。

ランスロット

ぺんてるが騎士道精神を意識して製造、販売した万年筆です。ランスロットはアーサー王物語の円卓の騎士の長で、王の妻との浮気が原因で騎士団を分裂させてしまったという騎士です。
ペン先は金属製でとにかく柔らかいと日本からも海外からも高い評価を受けています。ボディが傷ついても自動で修復するセルフリカバリー機能がついています。現在は製造と販売を中止しています。海外から逆乳すのが唯一の入手方法です。

メーカー型番 : LCF51MZC
重量 : 0.0317kg
サイズ : 16(W) ×14(L) ×145(H)㎜
カートリッジ式

トラディオ・プラマン

発売から30年以上もたち人気を保っているロングセラー商品です。ボールペンの台頭で苦境に立たされた際に、圧倒的な安さと書き心地で人気を誇りました。ペン先はステンレスでもなく金属でもなくなんとプラスチック製です。ペン先は意図的に左右が非対称になっており、独自の形によって金属のような弾力と同じ効果を生み出しています。1994年にはパリの国際文具見本市で金賞を受賞するなど、質の面でも劣ってはいません。

14.5×1.9×1.4cm
インク:水性染料 筆記線幅:0.4~0.7mm
カートリッジ式

出典:genkiszk.com

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ナミキ (Namiki)

パイロットの前身、並木製作所の理念を引き継ぎ独自路線を貫いている万年筆のブランドです。かつてはパイロット製品の外国での商標名でした。蒔絵や漆を生かした美しいデザインの万年筆は世界中から人気があります。特にペン先には強いこだわりがあり、ペン先を全て自社で製造しています。

ニッポンアートコレクション

デザインと外観にこだわったナミキを代表する万年筆です。羽子板、けん玉、だるま落とし、独楽、鶴と亀、鳳凰と瑞雲、富士などの日本の伝統を蒔絵で表現しています。背景が漆黒なので余計に蒔絵が目立ちます。外国人が日本のお土産として買うケースが多いようです。日本好きの外国人へのプレゼントにはぴったりかもしれません。

出典:item.rakuten.co.jp

ユカリロワイヤルコレクション

こちらも独特のデザインがウリの万年筆です。白鷺、秋草、秋と鸚鵡などの6種類のテーマがあり、ペンの根本から先端までを綺麗に覆うその絵は思わず見とれてしまうほどです。ペン先にも18金の金属がつかわれています。ナミキの製品はパイロットの技術が使われているのでそれだけでも、品質面で安心感があります。

出典:search.rakuten.co.jp

中屋万年筆

パイロットの職人を中心に創業された全製品がオーダーメイドの万年筆メーカーです。ある程度までは型が決まっており、それ以外のパーツの細かい部分をすべて自分で選択する方式になっています。蒔絵、沈金、炭粉仕上げ、名入れなどなんでもありです。パーツはそれぞれのスペシャリストが製造する分業制をとっているので、より高い品質を維持しています。部品交換を伴わない修理は基本的に無料なのも嬉しいところです。万年筆を使う人のなかでは憧れのブランドです。最低でも6万円以上する高級ブランドです。単なる文房具として考えると高いですが、一生モノのパートナーとして考えれば一考の余地ありです。

商品一覧・中屋万年筆

あなたに合った一本を見つけよう

いかがでしょうか。1000円前後のコスパのいい万年筆から高級なオーダーメイドの万年筆まで幅広い万年筆を紹介してきました。しっかりと手入れし、定期的に使っていればかなりの長期間持つのが良いところです。まずはじっくりと自分の好みを考え、最高の一本を見つけ出しましょう。

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