「音楽の父」バッハの名曲オススメ10選【クラシック音楽】
バッハを聞かれたことはありますか?バッハは古典派の音楽家であり、「音楽の父」とも称されます。その音楽はラヴェルやチャイコフスキーなどのロマンチックな音楽とは一線隠しており、精緻に作られた数学的とも言える音楽です。今回はそんなバッハの音楽についてご紹介します。
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アイキャッチ画像出典:www.christianitytoday.com
「音楽の父」と呼ばれたヨハン・セバスティアン・バッハ
「音楽の父」と呼ばれるバッハ。今では誰でも聞いたことがあるその名ですが、その生涯は恵まれたものではありませんでした。作曲家としてよりは演奏家として活動しており、生前には彼の作曲していた曲が有名になっていたわけではありません。そんなバッハですが、今ではその数学的とも言える精巧な曲で名を馳せています。バッハは18世紀後半から19世紀初頭の西洋音楽形式である古典派の作曲家です。古典派の音楽は、音楽の合理的な展開が重視され、聴きやすい曲が多く、クラシック音楽を聴き始める初心者にとっては最適な始め方と言えるでしょう。技巧性が問われるというよりは表現性を問われる楽曲が多く、演奏者によって演奏が違ってくるのも面白みがあります。
トッカータとフーガ ニ短調
「トッカータ」とはイタリア語で「触れる」、「フーガ」とは一つのテーマを複数の旋律が模倣しながら次々と追いかけていく演奏様式を示します。この「トッカータとフーガ」はトッカータの試し引きのような即興的な早いパッセージや技巧と次々と追いかけるフーガの様式が合わさった音楽です。数あるバッハの曲の中でも最も有名と言えるようなこの曲ですが、作曲されたのはバッハの若い頃であり、初期作品と言えるでしょう。
パストラーレ へ長調
パストラーレとは、羊飼いの音楽のような音楽や田園劇の音楽など牧歌的な性格を持ち合わせた音楽のことで、このバッハの「パストラーレ」もパストラーレの有名曲の一つです。伝統的にはクリスマス音楽を連想させる音楽です。曲は4つから成り立っており、第1曲へ長調は明るくのどかに、第2曲はアルマンド風の舞曲、第3曲は穏やかで耽美なアリア、第4曲は明るく快活に演奏されます。第3曲はルパン三世「カリオストロの城」でも結婚式のシーンで使われていました。
アヴェ・マリア
バッハの平均律クラヴィーア曲にラテン語の聖句「アヴェ・マリア」を歌詞に用いた声楽曲。グノーが編曲をしています。ピアノとチェロ・ヴァイオリン用に編曲された曲などもあり、「シューベルトのアヴェ・マリア」「カッチーニのアヴェ・マリア」と並べて三大アヴェ・マリアとも称されています。そもそもアヴェ・マリアというのは「こんにちは、マリア」という意味で、聖母マリアへの祈祷の言葉。この祈祷のための音楽がこの「アヴェ・マリア」という曲なのです。
無伴奏チェロ組曲
バッハの曲としても有名ですが、チェロの代表曲とも言えるこの曲。世界の代表的なチェリスト達が競って演奏、録音をしています。その音楽自体は情緒に訴えて来る種類のものではないので、演奏家自身の技巧が聞いている側に伝わりやすいのです。この無伴奏チェロ組曲は第1番ト長調 BWV1007、第2番ニ短調 BWV1008、第3番ハ長調 BWV1009、第4番変ホ長調 BWV1010、第5番ハ短調 BWV1011、第6番ニ長調 BWV1012の6つの曲からなっています。この6曲はそれぞれが単一に存在しているのではありません。それぞれに「調整」を利用して連結されているのですね。
G線上のアリア
「G線上のアリア」バッハの作曲した『管弦楽組曲第3番ニ長調』の第二曲「アリア」を編曲したもの。この曲の名前はヴァイオリンの4本の弦のうち、G線だけで演奏可能なことからこの名称が来ています。G線というのはヴァイオリンの弦の中でも太い弦です。この太い弦を使って演奏することで、落ち着きのある温かみのある音が生まれます。テレビ番組やアニメなどでも多用される曲なので聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ヨハネ受難曲
ヨハネ受難曲は新約聖書「ヨハネによる福音書」の18〜19章にかけたイエス・キリストの受難を題材にした受難曲です。受難とは、イエス・キリストの裁判、処刑における精神的・肉体的苦痛のための言葉でありキリスト教の信条にとって重要なもので、受難曲とはその受難を描いた音楽作品のことです。バッハは『マタイ受難曲』と『ヨハネ受難曲』の二曲を作曲していて、この二つの曲は対照的に作られているという説が一般的です。
マタイ受難曲
マタイ受難曲は新約聖書「マタイによる福音書」の26〜27章にかけたイエス・キリストの受難を題材にした受難曲です。マタイ受難曲は第一部と第二部の二部構成になっていて、第一部はイエスが捕らえられるまでを、第二部は裁判を受け、十字架に磔され、死んだ後に埋葬されるまでを描写しています。このような受難曲は深く理解するためには様々な知識が必要です。音楽の領域に収まらない世界をぜひ堪能してみましょう。
半音階的幻想曲とフーガ
「半音階的幻想曲」というタイトルからも分かる通り、半音階のめまぐるしいフレーズから入ります。この曲の和声進行と調展開はかなり計算されており、バッハらしさが際立ちます。この曲はバッハが弟子にレッスンする場合には必ずと言っていいほど弾かせた曲であり、自筆譜は残っていないにもかかわらず、弟子の書いた様々な譜面が残されています。
平均律クラヴィーア曲集
バッハの生きた18世紀前半には、まだ現代でいうような12等分平均律は実践されていませんでした。つまり未だ音階が完成されていたわけではありません。ただし、バッハは「24の調がすべて綺麗に弾けるように自分の楽器を調律することを学んだ」と語っています。この曲はその24の調全てを用いることを目標に書かれた曲であり、音楽界を歴史的に変えた曲と言っても過言ではありません。
シチリアーノ
このシチリアーノの原題は「フルートとチェンバロのためのソナタ第2番変ホ長調より第二楽章」。シチリアーノとはイタリアのシチリア島の舞曲のことです。「シチリアーナ」や「シシリエンヌ」とも表記されますね。実はこの曲は偽作であるという説も濃厚であり、バッハの息子であるC.P.E.バッハの曲ではないかとも言われています。そうとは言っても、美しく洗練された音楽はフルート奏者だけでなく様々な演奏者にとって重要な曲となっています。
最後に
バッハの音楽はうっとりとするロマンチックな音楽というよりは、精緻で綿密に作られた音楽です。そのため、演奏する音楽家の音楽性が非常に問われるものが多いばかりか、しっかりとした予備知識がないとうまく理解のできない音楽も存在します。バッハの音楽を聴く時は、ぜひそのような予備知識などを把握しつつ聴いてみてください。きっとこれまでにはなかった音楽の楽しみ方ができるはずです。
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この記事のライター
クラシック音楽と文学と少々のお酒をこよなく愛する20代。現在は筋トレにハマりはじめている。慶應義塾大学在学中。