古典派からロマン派音楽、現代音楽まで!美しいピアノ曲おすすめの名曲ベスト30!

古典派、ロマン派、印象派、現代音楽の中から最も演奏機会が多く、さらに、「美しい曲」をテーマに集めました。この30曲を知っておけば、クラシック音楽のピアノ曲の特徴は網羅して抑えることができるでしょう。

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アイキャッチ画像出典:www.totsuka.hall-info.jp

古典派の音楽家のピアノ曲

出典:www.totsuka.hall-info.jp

古典派の音楽からは代表的なモーツァルトとバッハのピアノ曲を紹介します。古典派の音楽は、音楽の合理的な展開が重視され、聴きやすい曲が多く、クラシック音楽を聴き始める初心者にとっては最適な始め方と言えるでしょう。技巧性が問われるというよりは表現性を問われる楽曲が多く、演奏者によって演奏が違ってくるのも面白みがあります。

バッハ

「音楽の父」と呼ばれるバッハ。今では誰でも聞いたことがあるその名ですが、その生涯は恵まれたものではありませんでした。作曲家としてよりは演奏家として活動しており、生前には彼の作曲していた曲が有名になっていたわけではありません。そんなバッハですが、今ではその数学的とも言える精巧な曲で名を馳せています。

半音階的幻想曲とフーガ

「半音階的幻想曲」というタイトルからも分かる通り、半音階のめまぐるしいフレーズから入ります。この曲の和声進行と調展開はかなり計算されており、バッハらしさが際立ちます。この曲はバッハが弟子にレッスンする場合には必ずと言っていいほど弾かせた曲であり、自筆譜は残っていないにもかかわらず、弟子の書いた様々な譜面が残されています。

平均律クラヴィーア曲集

バッハの生きた18世紀前半には、まだ現代でいうような12等分平均律は実践されていませんでした。つまり未だ音階が完成されていたわけではありません。ただし、バッハは「24の調がすべて綺麗に弾けるように自分の楽器を調律することを学んだ」と語っています。この曲はその24の調全てを用いることを目標に書かれた曲であり、音楽界を歴史的に変えた曲と言っても過言ではありません。

モーツアルト

映画「アマデウス」でも取り上げられたモーツァルト。ハイドン、べートーヴェンと並べて古典派の三大作曲家として数えられています。まさに「天才」。幼少時から世界各国を父親と音楽演奏旅行をして回りました。モーツァルトの後を追随してその後の音楽家達は皆子供を引き連れて各国音楽演奏旅行をするようになります。短い生涯にもかかわらず数多くの曲を作曲しました。

きらきら星変奏曲

♪きらきらひかる夜空の星よ」
この『きらきら星』の原曲でもある、きらきら星変奏曲。変奏曲というのは1番目の主題を元に数々のバリエーションを生んでいく音楽のことです。この曲には12のバリエーションがあります。明るく弾むようで、まさにモーツァルトと言えるようなピアノ曲。『のだめカンタービレ』や『四月は君の嘘』などいろいろな漫画や番組においても取り上げられる有名な曲です。

ピアノソナタ ハ長調

初心者のためのクラヴィーア・ソナタとモーツァルト自身が名付けたピアノソナタ。今でもピアノを学ぶ方なら誰でも弾いたことがある曲なのではないでしょうか。初心者にとっては練習するのに最適な曲と言えるでしょう。のだめカンタービレや名古屋市営バスの停車時に流れるなど、一般の方にとってもお馴染みの曲でしょう。

ロマン派の音楽家のピアノ曲

出典:cla-s.com

ロマン派音楽は古典派の音楽を発展させた19世紀のクラシック音楽です。ロマン派の音楽は古典派の音楽同様聴きやすくわかりやすい音楽が多いですが、古典派よりも叙情的なものが多いといえます。教会音楽から始まった数学的な音楽がだんだんと精神的で心に訴えかけるものとなってきているのです。

ベートーヴェン

古典派音楽の集大成の作曲家であると同時に、ロマン派音楽の先駆けと言える作曲家ベートーヴェン。ベートーヴェンもモーツァルト同様に父親から音楽を学びました。ただし、その教育はほとんど虐待。苛烈な教育を経てこの天才作曲家は生まれました。

月光

ベートーヴェンの三大ピアノソナタの一つである「月光」。かなり有名な曲なので聞いたことのある方も多いのでないでしょうか。「ムーンライト・ソナタ」とも呼ばれ、短調の物悲しい曲ですが、その一見単純な譜面からは想像できないほど美しく、叙情的な曲となっています。この曲はベートーヴェンの弟子であり、恋人でもあったジュリエッタ・グイチャルディに捧げられた曲です。

悲愴

ベートーヴェンの難聴が発覚した時期に書かれたピアノソナタ第8番「悲愴」。この曲もベートーヴェンの三大ピアノソナタの一つです。ただし、難聴が発覚した悲しみから書かれた曲、というわけではありません。この「悲愴」は人生の様々な悲しさを経験したベートーヴェンの魂から発露した名曲です。この2楽章もただ悲しみを表現した曲というよりは、悲哀を超えた先にある美しさを表現した曲と言えるでしょう。

リスト

リストは19世紀にハンガリー、ドイツで活躍した音楽家、作曲家。テクニカルなピアニストとして名を馳せました。「ピアノの魔術師」と呼ばれ、どんな曲でも初見で弾きこなせたと言われています。指が6本あるのではないかと噂されていたほど。彼の作曲した曲にも超絶技巧を必要とするものがかなり多く、現在でも多くの演奏者の重要なレパートリーとなっています。

ラ・カンパネラ

弾くのがかなり難しいとされるラ・カンパネラ。フジ子・ヘミングが演奏したことにより、一躍脚光を浴びた曲でもあります。もともとはパガニーニが作曲したヴァイオリンの曲であり、それがリストによって編曲されたものです。音の跳躍がかなり難しく、手の小さな人にはかなり弾きこなすのは難しいでしょう。

愛の夢 第3番

当初はソプラノ歌手用に作曲された曲ですが、その後作曲者本人により、ピアノ曲に編曲されました。ラ・カンパネラほどの技巧は問われませんが、それでもかなり難しく、さらにはその表現性もかなりのものを問われる曲と言えます。このフジ子・ヘミングの演奏はその両者、どちらも兼ね揃えた素晴らしい演奏と言えるでしょう。

詩的で宗教的な調べ:第3曲「孤独の中の神の祝福」

先ほどまでの技巧的な曲とは打って変わって、音の量の少ない美しい曲。リストにしてはこの曲は珍しい曲調になっています。このような曲調を持つのは、この曲の他に、村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」にあげられた「巡礼の年」くらいでしょうか。非常に美しく穏やかな曲となっています。

ショパン

ショパンは19世紀前半のポーランドの作曲家、ピアニスト。リストが「ピアノの魔術師」と呼ばれたのに対し、ショパンは「ピアノの詩人」と呼ばれました。ピアノの演奏会で取り上げられるのはショパンが一番多いのではないでしょうか。様々な形式や旋律によってピアノの新たな新天地を切り開きました。

子犬のワルツ

デルフィーヌ・ポトツカ伯爵夫人に捧げられたこの曲。ショパンのワルツ第6番であり、子犬のワルツという通称で親しまれています。子犬が跳ねるような、遊ぶような音使いがされ、技巧的に過ぎず美しく響きます。ショパンの中では演奏しやすい曲であり、ピアノを学ぶ方の中では、弾く機会の多い曲と言えるでしょう。

幻想即興曲

この曲もかなり演奏機会の多い曲。小犬のワルツとは違い、情熱的で技巧的な曲になっています。ショパンの幻想曲は4曲ありますが、その中で一番最初に作曲された曲です。この曲はショパンの生前には発表されず、「私の死後、この曲は燃やしてほしい」と友人に頼んだそうですが、友人のフォンタナがそれに背いて発表しました。

ノクターン第2番

ノクターン第2番は「幻想交響曲」で有名なベルリオーズの元婚約者である、ピアノ製作会社プレイエル社長カミーユ・プレイエルの妻マリーに捧げられた曲。夜想曲(ノクターン)は21曲ありますが、その中で最もよく知られ、演奏機会の多いのが、このノクターン第2番です。左手の同じリズムが繰り返される中で、右手の旋律が変奏されていきます。

ブラームス

ブラームスはバッハ、ベートーヴェンと並び、ドイツ音楽の「3大B」と称される作曲家です。作風は主にロマン派音楽ですが、古典主義的な形式美を尊重する傾向もあります。ドイツ音楽といえばアーフタクトの強い音楽が特徴ですが、バッハ、ベートーヴェンよりもかなりその色彩が濃く、その点においては、ロマン派音楽の作曲家らしいと言えるでしょう。

6つのピアノ小品

ブラームスの最晩年の曲の一つ。ドイツの音楽家らしく、アーフタクトを強調するような強い主張の音楽が比較的有名なブラームスですが、この曲はかなり穏やかで美しい曲となっています。上の動画にあげた第二曲は6曲ある6つのピアノ小品の中で最も単独で演奏される機会の多い曲であり、メランコリックな曲調が印象的です。

愛のワルツ

ピアノ連弾曲集「16のワルツ」の15番目の曲。16のワルツの中には、スラブ的な民族音楽をモチーフにしたもの、ハンガリーをモチーフにしたもの、子守唄的なものなど様々な色彩を持つワルツが集められています。この曲も『のだめカンタービレ』やCMなどに使われています。

印象派の音楽家

出典:ism.excite.co.jp

20世紀のフランスに勃興した印象主義音楽。ロマン派でははっきりした主張が感じられるような音楽が多いですが、印象派では音楽の「雰囲気」や「気分」にその比重が置かれます。調整がはっきりしているわけではなく、長調と短調をぼかすような曲が多いですが、現代音楽のような無調整で「わかりにくい」音楽とは違っています。複雑な和声と、美しい響きが特徴と言えるでしょう。

ラヴェル

言わずと知れた名作曲家、モーリス・ラヴェル。フランス印象派の作曲家です。日本で特に愛されるのが、このラヴェルをはじめとするこの印象派の諸作曲家。なんとも形容しがたい官能的な不協和音や遊ぶような音使い、情緒に訴えすぎない音楽が特徴です。

水の戯れ

印象主義音楽の先駆けとも言えるラヴェル作曲の「水の戯れ」。技巧的ですが穏やかな曲調で、このアルゲリッチの演奏はその技巧的ながら美しい音楽を表現しきっていると言えます。アルゲリッチと言えば表現性を兼ね揃えたテクニック。しばしば通常の演奏よりも少し早めに演奏されますが、この曲についてもそうなっています。

クープランの墓

オーケストラ、木管五重奏、吹奏楽など様々に編曲されるラヴェルの中でも最も人気の高い曲である、「クープランの墓」。「プレリュード(前奏曲)」、「フーガ」、「フォルラーヌ」、「リゴドン」、「メヌエット」、「トッカータ」の6つの曲からなっています。第一次世界大戦で亡くなった人たちへ捧げるための曲として書かれました。ラヴェル最後のピアノ独奏曲になっています。

ピアノのためのソナチネ

古典的な形式に則って作られた曲。第一楽章「中庸の速さで」第二楽章「メヌエット」第三楽章「生き生きと」からなる曲です。繊細なメロディーながらもうまく古典的形式にはまった曲です。音楽雑誌作曲コンクールのために書かれた曲で、その完成度が光ります。

ドビュッシー

ドビュッシーはラヴェル同様、長調や短調に縛られない旋法を用いた作曲が特徴的なフランス印象主義の作曲家です。ただ、本人自身はフランス印象主義の作曲家であることを否定しており、象徴主義であると主張しています。彼の作曲した弦楽四重奏がラヴェルの参考にされるなど、19世紀後半から20世紀にかけて最も影響力を持った作曲家の一人でしょう。

この曲はドビュッシーが経済的に苦しんでいた時期に書かれた曲です。自身は「ロマンティックなタイトルに惹かれて作曲したに過ぎない」としてこの曲を酷評し、出版しようとはしませんでした。しかし、1908年に出版されました。ドビュッシーにしては平易な曲ですが、ロマンティックなメロディーと美しい構成が特徴的でとても演奏機会の多い曲になっています。

ベルガマスク組曲より「月の光」

ベルガマスクは「プレリュード」「メヌエット」「月の光」「パスピエ」の4曲からなる組曲であり、「月の光」が最も有名で演奏機会の多い曲です。優しく切ない曲調で有名です。この曲はフォーレの「月の光」を参考にして作られた曲と言われています。月の光に照らされる幻想的な風景が眼に浮かぶようですね。

喜びの島

先ほどの二曲は優しく平易な曲調ですが、この喜びの島は非常に技巧的です。しかしながら爽やかな喜びに包まれた聴きやすい曲で、非常にドビュッシーらしい曲と言えるでしょう。もともとはベルガマスク組曲の一つの組曲にいれられる予定でしたが、結局は単独で発表されることとなりました。印象派的で上品な雰囲気に包まれています。

日本人作曲家

出典:1000ya.isis.ne.jp

クラシックピアノ曲といえば、海外の作曲家!と思われる方が多いかもしれませんが日本にも名だたる作曲家はたくさんいます。今回は武満徹、久石譲、吉松隆、山田耕筰、三善晃の代表的なピアノ曲を紹介します。日本人の曲はカッコよく美しい曲が多いですが、あまり聞かれることは少ないので、ぜひこの機会に日本人作曲家の魅力を堪能してください。

武満徹

まさに日本が誇る現代音楽の作曲家。音楽のほとんどを独学で学びましたが、かなり前衛的な音楽を展開します。無調整で「わかりにくい」音楽を展開しますが、「世界のタケミツ」として様々な映画音楽を作り、高い評価を得ています。晩年には「実は数的秩序をハーモニーに導入している」などと語り、メロディーを意識した音楽を作っていることを主張しました。

ピアノディスタンス

全体を通して音楽には静けさが感じられますが、所々に無調性の合いの手が入れられだんだんとクライマックスを迎えていきます。中間部にクライマックスに迎えられますが、なぜか音の量と反比例するようにその静けさが痛切に感じられるのはなぜでしょうか。まるで古典音楽の通奏低音のようにその静けさが心に響く曲です。

ロマンス

武満にしては珍しく、最初のフレーズには、調整のある「ロマンス」を感じさせる主題が用いられます。もちろんそのような調整が感じられるだけの曲ではありません。美しいメロディーに対して、その調整には一見合わないような伴奏が合わせられます。しかし、そこには調和が見いだすことができます。この矛盾するようなメロディーと伴奏に調和を生み出す技術が「世界のタケミツ」とまで言われることを可能にしたのでしょう。

久石譲

ジブリ音楽で有名な久石譲。世間的な認知では映画音楽の作曲家としての活躍にスポットライトが当てられますが、ミニマル・ミュージックの旗手として「時代や国境を越えて聴かれ演奏される音楽を創作したい」と語っています。とは言っても、映画音楽の作曲をしない訳ではなく、幅広い音楽活動を展開している作曲家と言えるでしょう。あまりピアノ曲が有名という訳ではありませんが、非常にオシャレでかっこいい曲が多く、聴きやすいピアノ曲を提供しています。

Oriental Wind

この曲はサントリー緑茶伊右衛門のCMソングとして親しまれた曲です。ピアノソロ、室内楽、フルオーケストラなど様々な編曲がされています。オーケストラ版ではロンドン交響楽団と共演しており、規模の大きい豊かな音の響く曲となっています。

Summer

映画「菊次郎の夏」のメインテーマ。前半の主題が有名でよく聞かれますね。様々な編成で編曲されており、アンサンブル、ピアノソロ、オーケストラ等々があります。前半の主題と後半の副題と主題の変装から成り立っている曲です。映画「菊次郎の夏」だけではなく、カローラなどのCMでも何度も用いられている楽曲です。

吉松隆

吉松隆は昭和に生まれた作曲家。慶応義塾大学工学部を中退し、東京芸術大学の教授に音楽を学んだり、ロックバンドを作ったりと様々な音楽活動をしました。作曲コンクールに幾度となく応募し、落選を繰り返しますが、現代音楽展'81にて「朱鷺によせる哀歌」を初演し、若い世代の音楽家として認知され始めました。最近では大河ドラマ「平清盛」の音楽を担当するなどしています。

プレイアデス舞曲集

現代音楽はその「無調性」が特徴ですが、吉松は「現代音楽撲滅運動」を展開している作曲家だけあって、しっかりとした調整を持ち合わせた音楽を作曲します。「プレイアデス舞曲集」もその一つです。プレイアデス舞曲集は、Ⅰ〜Ⅴからなる舞曲集で、86〜92年にかけて作曲された曲です。吉松隆らしく、一つの主題がまず用意され、その主題がだんだんと展開されていきます。繰り返しのフレーズが多いですが飽きることなく耳に入ってきます。

ランダムバード変奏曲

先ほどのプレイアデス舞曲集とは打って変わって非常に技巧性が問われる曲です。調整は持っていますが、そこに無調性のフレーズが割って入ります。吉松隆は無調整音楽には否定的ですが、「わかりやすい」音楽に迎合する訳ではありません。変拍子や不規則な音の運びが非常にうまく音楽を成り立たせています。

山田耕筰

山田耕筰は大正時代から昭和時代にかけて活躍した作曲家。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮するなど、海外にその名を知らしめたはじめての日本人作曲家です。軍歌も多く作曲していますが、北原白秋を作詞に多くの唱歌を書きました。室内楽なども多く作曲しましたが、戦災によりほとんどの自筆譜が消失してしまい、あまり作品は残っていません。曲調は日本語の抑揚をうまく利用したものが多いのが特徴です。

スクリャービンに捧ぐる曲

スクリャービンはロシアの作曲家です。ドビュッシーやシェーンベルクなどと同時期の作曲者であり、現代音楽の先駆者として捉えられます。その音楽の特徴は「揺れ動く不安定さ」。山田耕筰はその点をしっかりと捉えています。この曲はその「揺れ動く不安定さ」を生み出している無調音楽と調整音楽の狭間で見事に両者を融合させています。技巧性はそこまで問われませんが、その表現性が聴きどころです。

からたちの花

『からたちの花』は北原白秋の作詞の唱歌。これはそのピアノ独奏版の曲です。この曲の歌詞は山田耕筰の少年時代の苦しい体験が元になっています。からたちは柑橘系の落葉低木の樹木であり、そのトゲと実が特徴。

からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ

からたちのとげはいたいよ
靑い靑い針のとげだよ

からたちは畑の垣根よ
いつもいつもとほる道だよ

からたちも秋はみのるよ
まろいまろい金のたまだよ

からたちのそばで泣いたよ
みんなみんなやさしかつたよ

からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ

自伝にはこうあります。『からたちの、白い花、青い棘、そしてあのまろい金の実、それは自営館生活における私のノスタルジアだ。そのノスタルジアが白秋によって、詩化され、あの歌となった。』
 

三善晃

三善晃(1933~2013)は、国内、海外問わず活躍した日本の作曲家。「三善晃コンクール」が作られるなどピアノ教育にも尽力した人物です。アンリ・デュティユーに私淑しており、フランス音楽の色合いが強い作風があります。ただアンリデュティユーほどの現代音楽性は強くなく、かなり聴きやすい曲を多く作っています。まるでロマン派音楽のような曲が多いですね。

二台ピアノのための組曲「唱歌の四季」

唱歌の四季は日本人なら誰でも知っている、『朧月夜』『雪』『茶摘』『紅葉』『夕焼小焼』を編曲した曲。もちろん、ただ並べた曲ではありません。うまくフランス音楽の要素を取り入れた二代ピアノ曲に編曲されています。もともとは混声合唱の曲をさらに編曲した曲となっています。

波のアラベスク

三善晃作曲『海の日記帳』の第28番「波のアラベスク」。こどものためのピアノ曲のため難易度は低いですが、三善晃らしい表現性の高さが光ります。現代の作曲家にもかかわらずその調整はかなりはっきりとしており、ロマン派の音楽のような曲調があります。同じ時代の作曲家でも三善晃と武満徹では全く違った作風が見られます。

様々な時代のピアノ曲

18世紀から21世紀にかけた代表的なクラシック音楽のピアノ曲を紹介しました。古典派、ロマン派、印象派、現代音楽を通して聞いてみるとどのようにクラシック音楽界が変遷してきたのかとてもよくわかります。数学的な教会音楽から始まったクラシック音楽は調整をまず発展させました。その後、ロマン派ではだんだんと情緒性を帯びていき、印象派ではその情緒性に比重が置かれています。現代音楽では古典派で確立した調整を崩した音楽が描かれるようになります。どの音楽にもそれぞれの良さがあるので、色々と聴き比べてみてください。

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クラシック音楽と文学と少々のお酒をこよなく愛する20代。現在は筋トレにハマりはじめている。慶應義塾大学在学中。

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