ドヴォルザークのおすすめ名曲14選を彼の生涯や逸話とあわせてご紹介

今回はドヴォルザークの名曲について、彼の生涯や逸話とあわせてご紹介いたします。ドヴォルザークは、交響曲第9番『新世界より』などを作曲したチェコの作曲家です『新世界』や弦楽四重奏『アメリカ』などに代表されるように、民俗的なフレーズを持つ音楽が多いのが特徴的です。

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アイキャッチ画像出典:magazine.snacle.jp

アントニン・レオポルト・ドヴォルザーク

出典:motton.snacle.jp

ドヴォルザークは、交響曲第9番『新世界より』などを作曲したチェコの作曲家です。時代的には、後期ロマン派の作曲家です。『新世界』や弦楽四重奏『アメリカ』などに代表されるように、民俗的なフレーズを持つ音楽が多いのが特徴的です。

ドヴォルザークは『肉屋専門学校』で音楽を学んだ!?

出典:tashilogy.tokyo

ドヴォルザークは北ボヘミアの肉屋の息子として生まれました。父親はその経営の傍ら、弦楽器の演奏をしたり時には作曲をしたりする人物で、ドヴォルザークに幼少から音楽を勉強させていました。しかしながら、父親は肉屋を長男であるドヴォルザークに継がせる気であったため、肉屋の修行に行かせました。そこで出会ったのが職業専門学校の校長でしたが、彼は教会のオルガニストなどを務める音楽家でもあり、ドヴォルザークの才能に目をつけ、楽器演奏や音楽理論について教えました。

経済的に苦しかった青年時代

出典:www.google.com

周りからの推薦もあり、その後ドヴォルザークは音楽学校に進学しますが、家庭状況の悪化により経済状態は苦しかったようです。両親は肉屋の手伝いをさせようとしましたが、それに対して校長であったリーマンと伯父が反対をして、彼の経済状況を支えました。

ワーグナーとブラームスがキーパーソン

出典:karapaia.com

青年期のドヴォルザークはワーグナーに多分に影響を受けていました。ワーグナーの作品に対して影響を受け、作曲した作品が数多くあります。しかしながら、ドヴォルザークがその名声を確固たるものとしていく中で、ワーグナーの手法から次第に離れて行きました。1878年になるドヴォルザークはブラームスと出会い、彼の『ハンガリー舞曲』に影響を受け『スラブ舞曲』を作曲するなど、ブラームスとの信仰が深くなって行きます。

ドヴォルザークのアメリカ時代

出典:www.classica-jp.com

この頃、ドヴォルザークはチェコにおける民族主義的な音楽家としての地位を確固たるものとしており、その名声を聞きつけたサーバー夫人がアメリカにおける民族主義的な音楽を確立してほしいとの願いから、ドヴォルザークを招聘しました。このような中でドヴォルザークは交響曲第9番『新世界より』を作曲することとなります。

様々な名誉を得たドヴォルザーク

出典:tashilogy.tokyo

ドヴォルザークは帰国後、様々な名誉を得ました。ウィーン学友協会は名誉会員に推薦し、ウィーン音楽省はプラハ音楽院への援助を増やすことでドヴォルザークの給料をあげることを要求しました。さらには芸術科学名誉勲章までも与えられます。そのような中、晩年まで多忙な毎日を送り、彼は1904年に息を引き取ります。

名曲


室内楽曲
■アメリカ
■4つのロマンティックな小品
■ピアノ5重奏曲

オーケストラ曲
■交響曲第9番『新世界より』
■交響曲第8番
■交響曲第7番
■序曲『謝肉祭』
■チェロ協奏曲
■ピアノ協奏曲
■スラブ舞曲

弦楽作品
■弦楽セレナーデ
■チェコ組曲

ピアノ曲
■8つのユーモレスク
■詩的な音画

ドヴォルザークの室内楽曲

弦楽四重奏曲「アメリカ」

アントニン・ドヴォルザーク作曲、弦楽四重奏曲第12番作品96「アメリカ」。ドヴォルザークといえば交響曲第9番「新世界より」ですが、この曲にも「新世界」と同じように民謡風のフレーズがいたるところに散りばめられています。最初のヴィオラによるフレーズなどはまさにそれですね。なんとなく、懐かしい響きが感じられます。明るく温かく優しい曲となっています。

4つのロマンティックな小品

4つのロマンティックな小品は、ヴァイオリンとピアノのための組曲です。この曲は、弦楽三重奏のための『ミニチュアール』からの改作です。ヴィオラ奏者であったドヴォルザークはこれを友人のアマチュア奏者二人と演奏するために作曲し、かなり楽しんで作曲しましたが、作曲後すぐにこの編曲版に取りかかったようです。

第一楽章:「カヴァティーナ」アレグロ・モデラート
第二楽章:「奇想曲」アレグロ・マエストーソ
第三楽章:「ロマンス」アレグロ・アパッショナート
第四楽章:「バラード」ラルゲット

ピアノ5重奏曲第2番

ドヴォルザークによるピアノ五重奏曲第2番は1887年に作曲されたものです。ドヴォルザークが作曲家として円熟期にあった時期に作曲されたものであり、すでにスラブ民族的な音楽家としての名を確立していました。このピアノ五重奏にもその色は垣間見ることができ、第二楽章には「ドゥムカ」、第三楽章には「フリアント」という名前がつけられていますが、この名称はウクライナの民族舞曲からつけられています。ドヴォルザークはピアノ五重奏を第1番、第2番のに曲を作曲していますが、ドヴォルザークのピアノ五重奏といえば、この第二番を一般的には指します。

ドヴォルザークのオーケストラ曲

交響曲第9番『新世界より』

ドヴォルザークの作曲した曲で最も有名と言えるのがこの交響曲第9番『新世界より』でしょう。
テレビCMなどでもこの曲の第2楽章、第4楽章のテーマがよく用いられています。新世界とはアメリカのこと。新世界アメリカに滞在していたドヴォルザークが故郷ボヘミアに向けて作った曲です。彼はボヘミアの音楽とアメリカ黒人の音楽が似ていることに刺激を受け、この楽曲を作成したと言われています。そのためボヘミアやアメリカ黒人の古い民謡のモチーフがふんだんに取り入れられています。

第1楽章 Adagio - Allegro molto
第2楽章 Largo
第3楽章 Scherzo - Molto vivace
第4楽章 Allegro - Presto

交響曲第8番

交響曲第8番はかつては『イギリス』という副題で呼ばれることが多かったようです。それは、普段から出版する契約を結んでいた出版社で楽譜を出版せずに、イギリスの出版社で出版をしたという理由からです。しかしながら、音楽の内容は、ドヴォルザークの故郷であるチェコの民族音楽の影響を多分に受けていることから、その愛称で呼ばれることは少なくなりました。特に第四楽章はボヘミア独立の英雄を描いているという説もあり、力強く勇壮な楽章となっています。

第一楽章:Allegro con brio
第二楽章:Adagio
第三楽章:Allegretto grazioso - Molto vivace
第四楽章:Allegro ma non troppo

交響曲第7番

ドヴォルザークの交響曲は第9番がかなり有名で演奏頻度も圧倒的ですが、この交響曲第7番は交響曲第9番、第8番についで演奏頻度の多い曲と言えるでしょう。ブラームスの影響を受けた交響曲でもあります。ドヴォルザークは1883年にブラームスの交響曲第3番の初演を聞いて、この交響曲の作曲に意欲を示しました。わずか4ヶ月足らずでこの交響曲を完成させたと言います。この曲に関しても多分に民族音楽の研究成果が現れています。

第一楽章:アレグロ・マエストーソ ニ短調 6/8拍
第二楽章:ポコ・アダージョ ヘ長調 4/4拍
第三楽章:スケルツォ:ヴィヴァーチェ―ポコ・メノ・モッソ ニ短調 6/4
第四楽章:フィナーレ:アレグロ ニ短調 2/2拍

序曲『謝肉祭』

ドヴォルザークの序曲『謝肉祭』は、ドヴォルザークの作品の中でも特に人気を得ている楽曲です。『自然と生命と愛』と呼ばれるドヴォルザークが作曲した演奏会用序曲の三部作のうちの2番目の曲で、本来ならばこの三部作は一続きで演奏することを意図して作曲されていますが、現在では、この『謝肉祭』のみで演奏されることが多くなっています。最初から最後まで賑やかな曲で、リズムは活気にあふれ、メロディは表情豊かですね。

チェロ協奏曲

ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、ドヴォルザークの作曲した数々の曲の中でも特に有名な曲であり、交響曲第9番『新世界より』と弦楽四重奏第12番『アメリカ』と並ぶ傑作の一つです。チェロ奏者にとっては重要なレパートリーの一つにもなっています。この曲はドヴォルザークがチェコへ帰国する直前の1894年に書かれた曲であり、『新世界』や『アメリカ』と同様に、ボヘミアの音楽や黒人の霊歌をクラシック音楽と見事に融和させています。競争医局としては異例なほど、オーケストラの活躍する曲になっています。

ピアノ協奏曲

このピアノ協奏曲はドヴォルザークが唯一作曲したものですが、あまり有名ではありません。ヴァイオリン協奏曲やピアノ協奏曲よりもチェロ協奏曲が有名な作曲家というのはなかなか珍しいことですね。ある音楽評論家によると、「ピアノ・パートが効果的に書かれているとは言いかねるも、魅力的なピアノ協奏曲」ということだそう。
この協奏曲はピアノが「目立つ」作品ではないということでしょう。ピアノ協奏曲というとピアノの「超絶技巧」を見事に聞かせるという側面を持ち合わせているのが普通ですが、この協奏曲は、ピアノとオーケストラは見事に調和しています。そのような点からこの協奏曲は演奏機会が少ないのかもしれません。

スラブ舞曲

スラブ舞曲には第1集・第2集があり、各8曲ずつで編成されています。元々はピアノの連弾曲として作曲されましたが、作曲者自身によってオーケストラ用に編曲されました。この曲はブラームスの「ハンガリー部曲集」に大きな影響を受けています。第2集は、第1集の成功を受けて出版社から作曲の要請があり、この曲が作曲されました。

弦楽セレナーデ

この曲は、ドヴォルザークにとっては実りのある年であった1875年に作曲された曲で、これまでの活躍から奨学金を十分に得ることができ、交響曲第5番やその他の室内楽曲など作曲に集中することのできた年でした。

第一楽章:Moderato
第二楽章:Tempo di valse
第三楽章:Scherzo: Vivace
第四楽章:Larghetto
第五楽章:Finale: Allegro vivace

チェコ組曲

チェコ組曲は1879年に作曲された管弦楽曲です。ポルカやフリアントというのは、チェコ民族舞曲の一種で、ここにもドヴォルザークの民族音楽の研究成果が見られます。第五楽章のフリアントは、変則的なリズムとテンポが特徴的で、三拍子の音楽です。フリアントという種類はこの曲以外にも、スラブ舞曲集や交響曲第7番などにも活用されています。

第一楽章:前奏曲
第二楽章:ポルカ
第三楽章:メヌエット
第四楽章:ロマンス
第五楽章:フィナーレ(フリアント)

ドヴォルザークのピアノ曲

8つのユーモレスク

8つのユーモレスクは1894年に作曲されたユーモレスク集です。ユーモレスクというのはロマン派音楽以降に作られるようになった音楽の形式で、自由な発想によって作られたピアノのための短い楽曲であり、特に滑稽さであったり、気まぐれさであったりが表現されることが多い形式です。この8つのユーモレスクで最も有名なのは7番目の曲で、数々のテレビ番組やアニメなどでも使われています。

詩的な音画

あまり「有名曲」とは言えないかもしれません。ドヴォルザークの有名曲は15曲もありませんね。この「詩的な音画」はボヘミアの田舎の風景を描いたピアノ曲です。13曲からなっています。
1.夜の道
2.たわむれ
3.古い城で
4.春の歌
5.農夫のバラード
6.悲しい思い出
7.フリアント
8.妖精の踊り
9.セレナード
10.バッカナール
11.おしゃべり
12.英雄の墓にて
13.聖なる山にて

民族音楽の頂点であったドヴォルザーク

いかがでしたでしょうか。今回はドヴォルザークの名曲についてご紹介いたしました。ドヴォルザークの曲はやはり民族音楽的なものが多いですね。なんとなく故郷を思い出すような、哀愁漂う音楽が多いのが特徴です。

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クラシック音楽と文学と少々のお酒をこよなく愛する20代。現在は筋トレにハマりはじめている。慶應義塾大学在学中。

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