フランスの名ピアニスト3人!1971年からのロン=ティボー国際音楽コンクール
1971年からのロン=ティボー国際音楽コンクールは、ロシアとフランスのピアニストが上位を占めました。特にフランスからは、現代も世界的に活躍している素晴らしいピアニストが誕生しました。現在フランスを代表するピアニストとなった3人やロシア出身の2人をご紹介します。
- 12,527views
- B!
フランスのピアニストが次々に登場
出典:pixabay.com
1971年と1973年のロン=ティボーコンクールは、三人の名ピアニストを誕生させています。パスカル・ロジェ、ジャック・ルビエ、オリヴィエ・ギャルドンはフランスが誇るベテランピアニストです。いずれのピアニストもドビュッシーやラヴェル、プーランクなどのフランスの作曲家を得意としながら、自分たちの個性もしっかりと表現しています。これらの作曲家の作品を聴くとき、どの作品はどのピアニストが好みであるかを聴き比べる楽しみを私たちに提供してくれるのです。
1971年 1位 ウラディーミル・フェルツマン
1971年1位のウラジーミル・フェルツマンは1952年ロシア生まれです。モスクワ音楽院で有名なピアニストのヤコフ・フリエールに師事しています。父親が作曲家という恵まれた環境で幼少から才能もあったようです。コンクールの後は世界的なピアニストとして活動していました。
ところが、1979年にイスラエル移住のビザ申請で旧ソ連政府の反感を買ってしまい、国内から出られなくなったということです。しばらくして1987年にアメリカへの移住に成功し、世界的な演奏活動開始となりました。
American Live Debut at Carnegie Hall Import
Vladimir Feltsman
価格 4,798円
1971年 1位 パスカル・ロジェ
1971年にフェルツマンと1位を分かち合ったパルカル・ロジェは1951年フランスで生まれました。音楽家の家庭という恵まれた環境で、幼いときから才能を開花させていたようです。11歳で公式なコンサートを開いており、名門のパリ音楽院で首席卒業をしています。日本にもよく演奏に来ており、知名度の高いピアニストです。
演奏は、サン・サーンス、ドビュッシー、ラヴェルなどのフランス人の作曲家のものを中心に、ドイツのブラームスなどやガーシュインといった作品もレパートリーに含みます。ミッシェル・ベロフやジャン・フィリップ・コラールと同世代であり、それぞれに素晴らしい演奏をするフランスを代表するピアニストのひとりです。
Piano Preludes Books 1 & 2 Import
Claude Debussy (作曲), Pascal Rogé (Piano)
価格 2,086円
1971年 3位 ジャック・ルビエ
1971年の3位をヴィアードと分かち合ったのは、1947年フランス生まれのジャック・ルビエです。彼は、フランス随一のパリ音楽院をピアノ科、室内楽科で首席卒業という秀才です。フランスを代表するピアニストであったヴラド・ペルルミュテールに師事しました。コンクール歴は多く、ロン=ティボーの他にもヴィオッティなどで入賞しています。ソロ演奏と三重奏などの室内楽での活躍も多く行っているようです。
ドビュッシー:ピアノ作品全集 Box set
ルヴィエ(ジャック)
価格 2,911円
1971年 3位 ウラジミール・ヴィアード
1971年3位をジャック・ルビエと分かち合ったウラジミール・ヴィアードですが、1949年ロシアに生まれています。グネーシン音楽大学の著名なピアニストであるナウモフ教授の元で学びました。1973年のヴァン・クライバーンコンクールで1位を受賞しています。
ただ、彼もフェルツマン同様に外国への演奏旅行ができず、国内で研鑽を積んだあと1987年にドイツ、アメリカとの契約ができたようです。アメリカに拠点を移し、ヴィアードマスタークラスというセミナーを開いています。世界中からピアニストの卵たちが押しかけている優秀な先生として尽力しているということです。
Transcriptions for Piano Import
Liszt (アーティスト), Vladimir Viardo
価格 4,636円
1973年 2位 オリヴィエ・ギャルドン
1973年2位のオリヴィエ・ギャルドンは1950年フランス出身です。パリ音楽院で名ピアニストのリリー・クラウスなどに師事しました。1975年のエリザベート王妃コンクールでも6位入賞、その他のいろいろなコンクールで数々の入賞をしています。演奏活動、母校のピアノの教授、そして日本の音楽大学などでもマスタークラスを持つなど幅広く精力的に活動中です。また、指揮者、室内楽なども行っているということです。
Mussorgsky:Pictures/Exhibition Import
Olivier Gardon
価格 2,771円
旧ソ連のピアニストたち
1971年になり、世界も平和になりましたが旧ソ連だけは少し違ったようです。ソ連のピアニストは世界的なコンクールの覇者となっても「自由」ではなく、受賞後も世界的な演奏活動はいつも許可が必要であり、監視が付いていたようです。この頃のソ連のピアニストたちは、国内に留まっており西側には全く活躍が聴こえてこないため知名度が低いこともあります。
ゴルバチョフのペレストロイカ以降、アメリカに出国したピアニストが多くいます。今回ご紹介しました二人のピアニストもその例外ではありません。受賞から10年以上を国内で「くすぶった」後に、無事に世界的なピアニストとして活動しなければ今日私たちはその名前も存在も忘れていたでしょう。
この記事のキーワード
この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。