音を色彩に変えた魔術師モーリス・ラヴェル
精密に作られたモーリス・ラヴェルの曲は、時代を超えてい愛されています。
ダンサーのために作曲されたボレロ、音楽学校時代に作った水の戯れ、第一次世界大戦中に発表されたピアノ三重奏曲 イ短調。この3曲をご紹介します。
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ラヴェルの音楽
モーリス・ラヴェル(1875〜1937)を一言で言えば“音の魔術師” と言えるでしょう。
ラヴェルの音楽は色彩を放っており、光り輝く赤、オレンジ、緑、青、そして金色。それらが共鳴し合い、眩い光を放ち、聴く人を“音の舞台” へ誘います。
ボレロ
モーリス・ラヴェルの代表作の一つ「ボレロ」。ロシア人ダンサーのイダ・ルビンシテインの依頼で作曲されたバレエ音楽です。この曲の最大の特徴は、単純に二種類のメロディーが何度も反復されていることです。演奏中、打楽器や弦楽器など、さまざまな楽器が登場しては消えていくを繰り返し、聴衆する人にこの先どうなるのだろうと不安を与えたところで、突如転調し、終わる特徴的な曲です。1928年にパリで初演されました。
水の戯れ
水盤の上を転がり、揺らめく、水の粒。水の戯れを聴くと、噴水から銀色の弧を描き吹き上がる水がありありと目に浮かびます。印象派を代表するモネの睡蓮、ドガの踊り子のような繊細でありながら輝かしい、ほんの一瞬の自然を詩情的に捉えたピアノ曲です。1901年に作曲されました。
ピアノ三重奏曲 イ短調
気品のある旋律がそっと始まります。このピアノ三重奏曲 イ短調は、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの三つの楽器で演奏されます。演奏時間は約30分ほど。西洋と東洋の音楽が混じりあっているような不思議な音色です。
囁くようにおだやかに奏でられるメロディーは、まるで午後のサロンに集まった貴婦人、紳士の笑い声のようです。コロコロと転がるようなピアノ、繊細なヴァイオリン、調和するチェロ、色彩豊かな音色は華々しくも、どこか不吉な陰影を落とします。
おだやかに始まった旋律は、夏の嵐に巻き込まれたように激しくなり、そして軽やかに終わります。1915年にパリで初演されました。
モーリス・ラヴェルが活躍した時代
モーリス・ラヴェルの音楽について「死の概念を貴族的昇華」 しているとある音楽美学者は言います。ラヴェルの生きた時代は第一次世界大戦と重なっています。生きる喜びと死の悲しみ、自然と調和、破滅と光り、それらを色彩豊かな音色で表現したラヴェルは62歳で生涯を閉じました。
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