渡航必要なし!無料で学べる世界の大学オンラインコースおすすめ10選
海外留学はしたいけれど、学費は高いし、ビザ取得は大変……。留学の前に立ちはだかる壁は決して低くありません。厳しい現実のせいで、海外で学ぶことを諦めている方に朗報です! 日本の生活を維持したまま、外国の大学の講義も無料で受けられることをご存知ですか? ここでは、そんな国内外のオンライン大学講座10サイトをご紹介します。
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海外留学の手続きは面倒……でも、外国の大学で学びたい方へ
いざ海外留学!となると、準備もお金の工面も簡単ではありません。高い学習意欲や潤沢な資金に加え、煩雑な手続きをあれこれこなした末に渡航をして、ようやく実現するものです。入学後も、勉強が大変なだけではなく、外国で暮らすわけですから、一筋縄ではいかないこともあるでしょう。つまり、「海外で学びたい!」という確固たる意志が根底に常にあって初めて、全てを克服し、有意義な留学生活が送れるのです。
外国に行くのは不安。今の生活は変えられない。でも、学びたい! そんなジレンマを抱え、どうしたらいいのかと頭を抱える方もいるかもしれませんが、今やインターネットであらゆる情報が得られる時代。ならば、現在の暮らしは現状維持のまま、海外の大学の講義で学べることも可能──? 答えはもちろん、YESです!
インターネットで自由に国内外の大学講座で学べるMOOC
「MOOC(ムーク)」という言葉を耳にした方もいるでしょうが、これは、「Massive Open Online Course:大規模オンライン公開講座」の略称です。 世界各国の有名大学の講義が基本的に無料で受けられ、しかも、インターネットで自宅でも出先でもどこでも視聴が可能です。一般的に、MOOCの講義は10分ほどで、数回に区切られ、学習者同士が情報交換し、議論できる掲示板が設けられています。さらに、一定の成績を納めた受講者には修了証が発行されるところもあり(発行は有料の場合も)、学習者のモチベーションを高く維持する工夫がされています。10年ほど前から本格的に指導したMOOCですが、日本の大学でも世界の流れに乗り、東京大学、京都大学、慶応大学などMOOCに参加している著名大学が複数存在します。
ここでは、米国、英国、日本など、各国の有名大学の講義で勉強できる、定評のある10のMOOCサイトをご紹介します。
MOOCのポスター
JMOOC(ジェイムーク)
初心者向け!対面学習もあって学びやすい日本版MOOC
JMOOCは、アメリカで始まったMOOCの日本での拡大、普及を目指し、2013年に一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会の略称です。JMCOOCでは、日本の様々な大学の講師陣および企業が提供する本格的オンライン講座を140講座以上公開、誰もが無料で受講できる教育サービスを提供しています。
多くの学習講座は、4週間程度に設定されており、1週間に見るべき動画が5〜10本公開されます。各講義は1本10分程度。見終わると、確認の小テストが提示されます。さらに1週間の学習が済んだ時点で課題が示され、提出期限内に提出します。これを4週間繰り返し、最後に総合課題を提出して終了となり、全ての課題が修了条件を満たしていたならば修了証がもらえるという流れです。他の学習者との意見交換ができる掲示板もあり、一部の学習では、講義映像に登場する先生に直接教えてもらえる対面コースもあります。JMOOC受講者数はすでに50万人以上。MOOCが初めてという方は、まずは日本のMOOCから始めてみてはいかがでしょうか。
JMOOCのロゴ。赤と青に塗られたOの文字は、水平線から昇る太陽がイメージ
JMOOCの成り立ちや仕組みをJMOOC事務局の福原氏が詳しく解説!
日本のMOOCであるJMOOCの公式サイト
Asuka Academy(アスカ・アカデミー)
海外トップレベル大学の講義が日本語で学べる無料サイト
Asuka Academy(アスカ・アカデミー)は、海外の高等教育機関と提携し、日本語で講義内容を学べる画期的な無料学習サイトです。MIT(マサチューセッツ工科大学)のオープンコースウェア(大学が2100もの講義を無料でウェブ上で公開し、これまで世界215ヶ国以上から1億5000万人以上がアクセスした人気サイト)と日本で初めてオフィシャルパートナーシップを結んでいるので、MITの講座の充実ぶりは見事。他にもUCI(カリフォルニア大学アーバイン校)、デルフト工科大学などの一流校の本格的な講座をあれこれ視聴することができますが、とりわけ科学やコンピュータサイエンスの専門的な講義の豊富さに驚かされます。Asuka Academyは、2016年には日本e-Learning大賞「文部科学大臣賞」を受賞。特別講座など、ごく一部有料のものもありますが、会員登録、受講、修了証発行まで、基本的に無料で学習できます。外国のサイトでいきなり英語で講義内容を理解するのが難しい人は、こちらのサイトを利用するのも手です。
Asuka Academyにアップされた講義のサンプルビデオ。各講座とも受講前に、サンプルや詳しい解説が見られます
世界最高の大学講義を日本語で無料で学ぼう! MITやバークレーなど海外トップレベルの大学のネット講義をだれでも無料で、しかも日本語で学べます。修了証も取得できます。
edX(エデックス)
東大、京大も参加!MITとハーバード大が創立したMOOCプラットフォーム
edX(エデックス)は、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学が、2012年に創立したMOOCのプラットフォームです。2016年12月の段階で、30種類のコースで1300以上の講座が視聴でき、世界中で1000万人以上が学んでいる人気サイトで、上記2大学に加え、ボストン大学、カリフォルニア大学バークレー校、オーストラリア国立大学、アデレード大学、オックスフォード大学、北京大学、清華大学など、欧米からアジアに至るまで名だたる大学と提携しています。東京大学や京都大学、早稲田大学なども講義をアップしており、英語ですが、もちろん無料で受講することが可能です。特に人気が高いのは、コンピュータサイエンス、ビジネスマネジメント、語学、人文学など。外国語の講座もバラエティに富んでいるので、これから実際にアメリカ留学予定の方はこちらでTOEFLテストのレッスンをしておくと、のちのち役に立つでしょう。また、アメリカの大学の講義がどのようなものか前もって経験しておくのにも最適なサイトです。
edXで視聴できる京都大学の素数について講義のイントロダクションビデオ
こちらはカリフォルニア大学バークレー校の講座。英語小論文の書き方レッスンのイントロダクションビデオ。実際にアメリカの大学に留学したい人にオススメの講義!
edXの公式HP。edX offers free online courses and classes. Find the latest MOOC from the world’s best universities including MIT, Harvard, Berkeley, UT and others.
Udacity(ウダシティ)
グーグル副総裁である科学者が作ったオンライン教育サイト
創設者セバスチャン・スラン氏は、Udacityの存在意義を「高等教育をあらゆる人に拓くため」と言っています。彼は、プログラマー、ロボット開発者、コンピュータサイエンティストであると同時にグーグルの副総裁・フェローであり、スタンフォード大学のコンピュータ科学部門で非常勤講師でもあった素晴らしい経歴の持ち主。そんなスラン氏は、Udacityで科学、技術、工学、数学といった分野を無償で提供しています。現在では、大学講座というよりは、IT関連のキャリアに直結した内容のレクチャーがほとんどを占めており、グーグルはもちろんのこと、フェイスブックやアマゾンなど、名だたる企業が提携しています。実際に第一線で働く技術者たちから学べるのですから、興味があるならばオススメのサイトです。
スタートアップ紹介動画
生成AIに関するビデオ
Udacityの公式サイト。Join Udacity and learn to code from the best online free courses and Nanodegree programs.
Coursera(コーセラ)
MOOCの大御所!29ヶ国150の提携パートナーが優良講座を提供
2012年にスタンフォード大学コンピュータサイエンスの教授が創立したCoursera(コーセラ)は、MOOCの大御所的存在です。今や29ヶ国の150に及ぶ提携パートナー(大学や企業)が提供する2000コース以上のレクチャーを誇るサイトで、登録者数は世界約200ヶ国、数百万人の大規模学習サイトとなりました。コンピュータサイエンス、医療、医学、生物学、ネットワーク、社会、情報、人文学、社会科学、数学、統計学、経済学、金融学、経営学などの分野の講義が基本的に無料で受けられます。日本からは東京大学が参加し、新しい講座を更新し続けています。変わったところでは、バークリー音楽大学の講義も話題で、ギターレッスンや作詞、ボーカルレッスンなども受講可能です。
Coursera(コーセラ)の紹介動画
2000+ courses from schools like Stanford and Yale - no application required. Build career skills in data science, computer science, business, and more.ou
Courseraの公式HP
Khan Academy(カーン・アカデミー)
個人の教材ビデオが月間600万人が学ぶ世界最大の教育プラットフォームに
MOOCの先駆者ともいえるKhan Academy(カーン・アカデミー)は、2006年、創設者であるサルマン・カーン氏が12歳のいとこのために作った教材ビデオをYouTubeにアップしたことがきっかけでした。このカーン氏、只者ではなく、ハーバード・ビジネススクールでMBAを取得し、MIT(マサチューセッツ工科大学)で学位を3つ取った後、オラクルをはじめとするシリコンバレーの企業のアナリストも経験している人物。カーンアカデミーはゲイツ財団とグーグルの資金援助を受け、彼がひとりで作成した3000本のビデオをネット上で公開しています。
数学の動画が多めで、幼稚園向けから高校生対象の内容まで多岐にわたっていますが、他にも科学や芸術、歴史、アメリカのSATをはじめとする試験対策ようのレクチャーもあります。1本の動画は10分程度と短く、黒板に見立てた黒い背景にチョークで板書するように、公式や数字などを書きながら授業が進んでいきます。カーン・アカデミーの動画は様々な言語に訳されており、日本語版も充実しているので、気軽に取り掛かることができます。
カーン・アカデミーの日本語版ビデオ。難しい数学もわかりやすく説明されています
Khan Academyの公式サイト。You can learn anything. Expert-created content and resources for every subject and level. Always free.
サイト左下のLanguage欄を日本語に設定すると、日本語版ビデオを視聴することができます
FutureLearn(フューチャー・ラーン)
多彩な分野の講義が魅力。イギリスの大学が主体のMOOC
FutureLearn(フューチャー・ラーン)は、イギリスのオープン大学が2012年12月に創立した、デジタル教育プラットフォームで、提携校は、バーミンガム大学、エジンバラ大学、キングス・カレッジ・ロンドン、モナシュ大学、ダブリン大学トリニティ・カレッジ、バース大学、サウサンプトン大学など。さらに英国の大学をメインに、欧米、アジアの様々な大学も名を連ねています。日本の慶応大学も参加しており、日本のサブカルチャーを紹介する講座を提供。FutureLearnで学べるコースは多岐にわたり、興味深いタイトルの講座も随時更新されていて学習意欲をそそります。また、アワード(賞)をもらえるコース、学位が取れるコースもありますので、自分の目的に合った学習コースを選び、勉強することができるのも魅力のひとつです。
FutureLearn(フューチャー・ラーン)の紹介ビデオ
Explore Japanese subcultures and learn about their history from the 1970s to today.
慶応大学による日本のサブカルチャーについての講座のイントロダクション
openHPI(オープン・エイチ・ピー・アイ)
コンピュータ分野に特化した独ポツダム大学のMOOC
openHPI(オープン・エイチ・ピー・アイ)は、ドイツのポツダム大学が2009年に創設したMOOCで、コンピュータサイエンスや情報テクノロジーの分野の本格的な講座が学べます。動画はドイツ語ものもと英語のものがあり、インターネットに接続できるのであれば、パソコンでもスマホでも学ぶことが可能です。専門性の高い内容が多く、IT、プログラミング、ウェブデザイン、JAVAなど細分化されたコースで、自分の興味があるものをじっくりと学ぶことができる教育サイトになっています。
各コースとも6週間にわたって学び、ビデオを見、教材を読み、小テストを受けます。毎週ディスカッションフォーラムが設けられるので、意見交換ができ、課題を提出して習熟度を認定してもらうという流れです。
openHPIは、創立以来、インターネット学習に対する様々な賞に輝いているおり、安心して学べる良質サイトであることがわかります。
openHPI(オープン・エイチ・ピー・アイ)の紹介ビデオ
openHPIの公式サイト
University of the People(ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープル)
世界初の授業料無料のオンライン大学
世界には教育を受けたくても受けられない人たちがたくさんいます。国の事情によるケースもあれば、家庭の事情による場合もあり、進学が難しい理由は人それぞれです。2009年、ユダヤ系イルラエル人の起業家シャイ・レシェフ氏が、貧困地域、遠隔地域を高等教育機関をつなぎ、高等教育を普及させる目的で創立したのが、ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープルです。
高校卒業の資格を持ち、十分な英語力とインターネット接続があれば、誰でも学べるこの大学では、授業料は無料ですが、試験費用だけ支払います。全ての学位を取得するには、4000ドルを超える費用が必要になりますが、それも支払えない学生には奨学金制度もあります。教鞭をとるのは、ニューヨーク大学、イェール大学、カリフォルニア大学バークレー校、オックスフォード大学といった名門学校の学長、副学長、教授、教育アドバイザーなど3000人。経営学、コンピュータサイエンス、公共衛生学で学位を取得することが可能で、優秀な成績の学生は、提携校に移籍して学問を続けることもできるようになっています。
ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープルのエンブレムデザイン
創設者シェイ・レシェフ氏による挨拶
Welcome to the world’s first non-profit, tuition-free, accredited, online, American university. Follow your dreams. Your career starts here.
ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープル公式サイト
Schoo(スクー)
ビジネススキルはここで学べ!国内最大級の授業数を誇るオンライン学習サービス
業界最先端のITスキル、プログラミンやウェブデザイン、一般的なビジネススキルを学べる社会人のためのオンライン学習サイト、それがSchoo(スクー)です。もともとは大学の講義で学ぶMOOCの形をとっていましたが、現在では、Udacityと同様、著名な企業の第一線で働くプロが“先生”となり、様々な知識や技術を伝授してくれます。
Schooの特徴は、「参加型生放送」。授業は毎日開講されており、受講生同士や先生との生放送での対話を通じて、新しい発見をし、より理解を深めることができます。これまで、マイクロソフトやグリー、メルカリ、サイバーエージェント、ヤフー・ジャパンといった一流企業の“先生”が登場しました。
2015年版から更新はないのですが、当時の大学講座が現在でも視聴できますので、日本国内13大学の講義で学習することも可能です。
Schooのレクチャーの一例。「のび太くんとドラえもんの関係から学ぶビジネルの見つけ方」
Schoo(スクー)は最先端のITスキルやプログラミング、Webデザイン、ビジネススキルのオンライン動画学習サービス。ユーザー参加型の生放送授業で、明日の仕事に生きる「答え」に出会おう。
インターネットを活用すれば、学びの幅は大きく広がる
インターネットにつながれば、たちまち世界とつながる時代です。パソコンやスマホで、何気なくいいニュースサイトやまとめサイトを見ているだけで、あっという間に1時間くらい経ってしまいますが、その時間を、オンライン学習に回してみるのはどうでしょうか。日本の有名大学だけでなく、海外の一流大学の講座を無料で視聴できるのですから、利用しないのはもったいないと思いませんか。MOOCをはじめ、オンライン学習サイトは、バラエイティに富んだコース、多彩な内容で、あなたの知的好奇心を満たしてくれるはずです。
実際に外国の大学で学びたいと本気で考えている方は、こういったサイトは留学の前準備に最適です。試験対策や英語レッスンなど、留学に欠かせない講義もありますので、いろいろ探して受講しましょう。
どこにいても気軽に、しかも無料で受けられる講座の数々。しかしその分、自分で自分の勉強時間や学習ペースを管理し、きちんと最後まで続けることが大切です。きちんと計画を立て、ぜひ楽しみながらオンラインコースで学んでください。
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この記事のライター
数々のミステリー、アクション小説、伝記本、映画雑誌のインタビュー記事、人気ゲーム関連の邦訳を手がけるキャリア20年の翻訳家。小学2年で読書の悦びに目覚めた本の虫で、読書と翻訳作業で培った知識は、映画、海外ドラマのショウビズ関係はもとより、生物学、医学から欧米の文化、政治、歴史、犯罪、銃器、ミリタリーなど広範囲に及ぶ。日々の生活で「一日一善、一日一爆笑、一日一感動」を心がけ、読者を笑顔にし、読み手の胸に染み入る文章を目指す。米国フロリダ州オーランド在住で、映画、海外ドラマ、アメリカンカルチャーなどの旬な情報も随時発信。