【クラシック音楽】北欧の作曲家たちのオススメの名曲〜シベリウス、グリーグ、ニールセン〜
シベリウス、グリーグ、ニールセン。北欧にも有名作曲家たちはたくさんいます。「フィンランディア」というタイトルはそのままフィンランドを表していますよね。北欧の音楽家たちの曲はカッコイイものが多く、日本でも人気があります。今回はそんな北欧の作曲家たちをご紹介いたします。
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アイキャッチ画像出典:www.ongakunotomo.co.jp
シベリウス
出典:clanavi.com
ジャン・シベリウスはフィンランドの作曲家です。北欧の作曲家の中では最も有名と言える音楽家。シベリウスの生きた時代、フィンランドはロシア帝国の支配下にありました。フィンランドでは独立運動が湧き上がり、1917年のロシア革命に当たって独立を実現します。シベリウスもこのナショナリズムにかなり影響を受け、1900年には愛国的な内容を持つ『愛国記念劇』を発表しました。そこに含まれるのが彼の代表曲である、「フィンランディア」です。
交響曲第二番
シベリウスはクレルヴォ交響曲を含めて8曲の交響曲を作りましたが、その中でも最も有名な交響曲が、この交響曲第2番です。この交響曲は、シベリウスのイタリア旅行をきっかけに作られたものです。極寒のフィンランドに住んでいた彼は、イタリアの温暖な気候に感動してイタリアを「魔法のかかった国」と評したと言われます。特に第二楽章はフィレンツェで得たインスピレーションから作曲されており、ファンタジックで柔らかな音色が特徴になっています。
ヴァイオリンコンチェルト
シベリウス作曲のヴァイオリンコンチェルトは、ヴァイオリンコンチェルトの中でもかなり難解な曲に類する楽曲です。シベリウスはヴァイオリニストを目指していた時期もあり、この曲を演奏するのは彼の憧れであったかもしれません。交響曲第2番が作曲された2年後に作曲されています。第一楽章の冒頭部分はとてもカッコイイですね!この冒頭部分をシベリウスは「極寒の澄み切った北の空を、悠然と滑空する鷲のように」とかたっていたそうです。
フィンランディア
記事の冒頭で述べたとおり、フィンランドの独立運動に影響を受けて作曲された曲です。シベリウスの楽曲の中で、最も有名な局地得るのではないでしょうか。作曲された当初は「フィンランドは目覚める」というタイトルであり、いかにもナショナリズムらしいタイトルになっています。金管の序奏は重々しく雄大であり、フィンランドの大自然を表しているようです。
グリーグ
エドヴァルド・グリーグは優れたピアニストでもあった19世紀半ばの作曲家です。ノルウェーの音楽家であり、故郷の民族音楽を取り入れながら、多数の作品を作りました。特に、グリーグのピアノ協奏曲は三大ピアノ協奏曲として有名であり、彼の代表作にもなっています。
ピアノ協奏曲
冒頭のフレーズはクラシック音楽をほとんど聞かないという方でもご存知なのではないでしょうか?このフレーズはノルウェー民俗音楽に特有のものなのですが、このフレーズだけでなく、この曲のいたるところにこのような民俗的フレーズがちりばめられていますね。
第一楽章:Allegro molto moderato
ティンパニのトリルに導かれてピアノが流れ落ちていくような冒頭のフレーズ。民俗的な主題が印象的です。
第二楽章:Adagio
穏やかな旋律と柔らかな管楽器の絡まりがとても美しい楽章です。終盤ではピアノが情熱的に歌い、だんだんと静かに終わりを迎えます。
第三楽章:Allegro moderato molto e marcato
第二楽章との切れ目なく始まる、前楽章とは打って変わった軽快で力強い三楽章。中間部の叙情的なフルートがとても印象的です。
組曲『ペール・ギュント』
組曲『ペール・ギュント』は、ヘンリック・イプセンが作った戯曲『ペール・ギュント』につけられた音楽のことです。自由奔放な旅人、ペール・ギュントの生涯を描いた作品であり、韻文で書かれています。最も有名なのは、第一組曲の第一曲目『朝』でしょうか。フルートの第一フレーズがいかにも朝らしく響きます。
ニールセン
カール・ニールセンはデンマークの作曲家です。デンマークの作曲家では最も有名な作曲家であり、北欧を代表する作曲家の一人。近代音楽家としても有名であり、交響曲第4番、第5番に代表される6つの交響曲や、多数の室内楽曲を作曲しました。農村地帯出身のためか牧歌的な主題が多用されるのが彼の特徴と言えるかもしれません。
木管五重奏曲
コペンハーゲン管楽5重奏団のために作曲された曲。ニールセン自身にとっても作風の転換となった曲です。この曲を境に、近代音楽家特有の難解な音楽へと向かっていきます。ニールセンは、コペンハーゲン管楽5重奏団のこの曲の初演に感動し、フルート協奏曲、クラリネット協奏曲、ホルン協奏曲、ファゴット協奏曲、オーボエ協奏曲全てを作曲すると語りましたが、フルート協奏曲、クラリネット協奏曲のみを完成させた後亡くなってしまいます。
フルート協奏曲
コペンハーゲン管楽5重奏団の演奏に感動したことをきっかけに作曲されたのが、このフルート協奏曲です。フルート協奏曲の中でもかなり難解な部類に属し、超絶技巧曲として有名です。この曲にもニールセン特有の牧歌的要素は見受けられますが、かなり難解なパッセージの中にその要素が組み込まれています。
交響曲第4番
この交響曲には「不滅」という副題がつけられています。ニールセンの交響曲の中では、最も有名な交響曲です。この交響曲、実はティンパニが2群も必要です。右と左の両側から叩き鳴らされるティンパニーは非常に圧巻で、劇的な要素を帯びた楽曲になっています。不協和音などはあまり使われませんが、楽章が分けてあるにもかかわらず、連続して演奏されたりするなど、近代音楽らしさも色濃く見受けられます。
交響曲第5番
ニールセンの交響曲の中で、最も完成度の高いと言われる交響曲です。交響曲第5番は第4番とともに、第一次世界大戦の影響を色濃く受けていますが、第5番は第4番よりも深く内面的になっている楽曲です。第1番〜第4番まで、ニールセンは打楽器をティンパニーしか使いませんでしたが、この交響曲第5番では多様な打楽器類が使われており、太鼓のアドリブソロまであるほどです。
北欧の作曲家の音楽はカッコいい!
今回は、北欧の作曲家ということで、フィンランドのシベリウス、ノルウェーのグリーグ、デンマークのニールセンについてご紹介しました。どことなくロシアに似たような雰囲気の曲でありながら、ロシアほどおもおもしくない、カッコイイ曲が多かったのではないかと思います。民族音楽も多用され、牧歌的なものもありましたね。著者は北欧の音楽が大好きで、個人的には一番カッコイイ曲を作曲しているのは北欧の作曲家だ!と思っています。もちろん一人一人で作る曲は異なりますが、どことなく同じような雰囲気を醸し出しているのは不思議ですね。皆さんも色々な曲を聴いてみて、お気に入りの作曲家を見つけてみてくださいね。
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この記事のライター
クラシック音楽と文学と少々のお酒をこよなく愛する20代。現在は筋トレにハマりはじめている。慶應義塾大学在学中。