【クラシック音楽】弦楽四重奏オススメの名曲5選
オーケストラはなんだかうるさい。かと言ってピアノ曲は何か物足りない…そんな方へ送る室内楽の調べ。弦楽四重奏篇。
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弦楽四重奏とは…
弦楽四重奏とは2本のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロで構成される楽曲です。オーケストラほどの迫力や豊かな表現性はありませんが奏者一人一人のテクニックやアンサンブルをじっくりと味わうことができます。”弦楽四重奏が好き!”と聞けばなんとなく控えめで上品な印象をおぼえますね。クラシック音楽といえば、オーケストラやピアノ曲と言ったイメージが強いかもしれませんが、今回は弦楽四重奏の魅力をお伝えします。
ドヴォルザーク:弦楽四重奏「アメリカ」
アントニン・ドヴォルザーク作曲、弦楽四重奏曲第12番作品96「アメリカ」。ドヴォルザークといえば交響曲第9番「新世界より」ですが、この曲にも「新世界」と同じように民謡風のフレーズがいたるところに散りばめられています。最初のヴィオラによるフレーズなどはまさにそれですね。なんとなく、懐かしい響きが感じられます。明るく温かく優しい曲となっています。
ラヴェル:弦楽四重奏
モーリス・ラヴェル作曲、弦楽四重奏曲ヘ長調。この曲はドビュッシー作曲の弦楽四重奏曲に大きな影響を受けています。ドビュッシーの弦楽四重奏曲の作曲後十年で作られた楽曲です。まさに印象派!と言った音楽。ドビュッシーに影響を受けているだけあって、第二楽章には特徴的なピッチカートが使われていますね。和音の使い方もとても素晴らしいものです。ドビュッシーの弦楽四重奏と一緒に聞くとより深く味わえるかもしれませんね。
ベートーヴェン:弦楽四重奏第7番「ラズモフスキー第1番」
ベートーヴェン作曲弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」。この”ラズモフスキー”という副題はベートーヴェンがラズモフスキー伯爵にこの曲を献呈したことから名付けられています。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番から第9番まではどれもラズモフスキー伯爵に献呈されていて、それぞれ「ラズモフスキー第1番」「ラズモフスキー第2番」「ラズモフスキー第3番」などと副題がついているんですね。快楽から哀愁まで様々な色彩を持った楽曲となっています。
シューベルト:弦楽四重奏「死と乙女」
フランツ・シューベルト作曲、弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」。「死と乙女」という副題はシューベルト自身が作曲した歌曲「死と乙女」からきています。第二楽章のテーマがこの歌曲から引用されていることからこう名付けられました。マティアス・クラディウスの詩がついた歌曲であり、病に悩まされる乙女と死神との対話を描いたものです。力強い短調の響きと物悲しさが見事に対照的に光る楽曲です。
ドビュッシー:弦楽四重奏
クロード・ドビュッシー作曲弦楽四重奏曲ト短調作品10。ドビュッシーが唯一完成させた弦楽四重奏曲です。ドビュッシーはこの曲を作る以前にも弦楽四重奏曲を作ろうと尽力していましたが、途中で構想がまとまらずに断念してしまいました。そのためこの曲がドビュッシーの唯一の弦楽四重奏曲となっています。
この曲はドビュッシーの作曲理念を明確に反映しているといえます。決して技巧的に過ぎることなく、絶妙な和音を使用しています。重々しい主旋律の裏で奏でられるピッチカートはとても印象的ですね。
上品で控えめとは言っても…
冒頭に上品で控えめな弦楽四重奏、とは書きましたが、やはり百年以上残ってきたものだけあって、それぞれ特有の主張、表現力が見られます。弦楽四重奏をはじめとした室内楽の世界はソリスティックな部分が大きいので演奏者によって随分音楽にも差異が見られます。同じ曲を違う演奏者で聞いて楽しむというのも趣味のいい音楽の聴き方ですね。
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この記事のライター
クラシック音楽と文学と少々のお酒をこよなく愛する20代。現在は筋トレにハマりはじめている。慶應義塾大学在学中。