北欧のクラシックピアノ名曲5選!巨匠からマイナー作曲家まで
北欧の作曲家はグリーグだけでなく他にも美しい音楽を書いている人がいます。自国での知名度がありながら巨匠の影に隠れてしまい、演奏される機会が少ない作曲家です。その中から美しいピアノの名曲を5つ選びました。
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マイナーだといわれてしまった作曲家たち
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北欧といえば、グリーグやシベリウスという巨匠が立ちはだかり、なかなか彼らと同等にみなされる芸術というのは当時難しかったのではないかと思います。1800年代後半からヨーロッパ諸国、ロシアはクラシック音楽の全盛期であり、巨匠を数多く生み出してきました。それぞれが強い個性と主張を持ち、中世期の音楽から現代までを顧みても芸術の最盛期であったようです。北欧も同様ですが、残念ながらマイナーな作曲家と見なされている人が多く、歴史の中に埋もれてしまいそうだといえます。ただ、近年はそのような作曲家の作品に日の目を見せるという動きも一部にあり、そういった北欧の作曲家のピアノ曲も、ご紹介いたします。
グリーグ作曲 「叙情小曲集 第三集」より 「蝶々」
グリーグは、ノルウェーが誇る大作曲家です。「ペールギュント」など題名よりも、その音楽そのものがとても有名なので聴いたことがある人も多いでしょう。グリーグ自身もピアノの名手であり、難曲で名高い「ピアノ協奏曲」はピアニストにとっての金字塔でもあります。また、ピアノの小品をたくさん書いており、この「叙情小曲集」は生涯に10集で66作曲していますが、いずれも何かを意図したり特定の題材を描いたりしているわけではありません。その時々の心情、風景などを心の趣くままに作曲して溜めていったものといわれています。この「蝶々」は、蝶が軽く羽ばたく様子がよく出ていますが何か物悲しい感じもあり、グリーグらしい音の透明さが美しい一曲です。
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シベリウス作曲 「樹の組曲」より 「ピヒラヤの花咲くとき」
グリーグと人気を二分する巨匠がシベリウスといってもよいかもしれません。1865年フィンランドの生まれで、家族全員が楽器を演奏する環境に育っています。そのため、ピアノという特別な楽器に思い入れがあるというわけではないようです。管弦楽曲など大きな作品が多く、代表作は「フィンランディア」がもっとも有名でしょう。作風は、後期ロマン派の流れを汲み甘い美しいメロディと、古典的な作品も手がけています。ピアノ曲に関しては、小品が多く短いながらもシベリウスの声を聴くことができるロマンチックなものが多いようです。
ご紹介します「樹の組曲」は花や植物の名前が題名に付いています。おそらくシベリウスが、自国や旅先での想いを込めているのでしょうか。「ピヒラヤの花咲くとき」は穏かですが、時にはっとする輝きを一瞬放つような魅力あるメロディの曲です。
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メリカント作曲 「ゆっくりなワルツ」
オスカル・メリカントは1868年フィンランドに生まれていますが、両親共スウェーデン人ということです。一応フィンランドの作曲家ということになるようですが、北欧にはグリーグなどの巨匠がおり、自国以外ではあまり知名度は高くはありません。近年北欧の音楽家や演奏家もたくさん活躍していることから、メリカントの作品を多く演奏する愛好家も増えているようです。代表作は「夏の夜のワルツ」ということですが、日本人にも馴染みやすい優しく語りかけてくる雰囲気の「ゆっくりなワルツ」をお聴きください。
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ニールセン作曲 5つのピアノ小品
カール・ニールセンは1865年にデンマークで生まれています。デンマークを代表する作曲家ですが、他の同時代の巨匠に比べて演奏する機会がかなり多いというわけではないようです。交響曲や協奏曲、管弦楽曲、オペラなど大曲が多く、ピアノという楽器には馴染みがなかったと言われており作品は多くはありません。ニールセン独自の語法が魅力となっていますが、ピアノ曲は技巧的にはそれほどでもない物が多く、またロマンチックなメロディの曲から近代的、前衛的な感覚な物など幅広いといえます。
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カスキ作曲 「夜の浜辺にて」
ヘイノ・カスキはフィンランドに1885年に生まれています。フィンランドには巨匠シベリウスがおり、カスキは弟子として師事しています。やはり自国以外には知名度が低く、演奏される機会はあまりありませんでした。通俗的である、と敬遠されていたようですが近年、日本人の「館野泉」さんにより積極的に演奏活動が行われ、クラシック音楽として再評価されつつあります。確かに、主張がつかみにくく個性に乏しいメロディは印象に残りにくいのですが、何かフィンランドの透明な空気感といったものや優しさは「癒し系音楽」として心に入ってくる気がします。この「夜の海辺にて」は海の波の打ち寄せる様を、カスキらしい言葉で語りかけていますから、聴いてみてくださいね。
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北欧を感じさせてくれる音楽
いかがでしたでしょうか。北欧の作曲家は、国民学派という「自分の国らしさを表現する音楽」を追求することに共通点があるように思います。また、それが独自に北欧らしさを感じさせる曲を書いたグリーグやシベリウスが巨匠であるといわれる所以であるのでしょう。北欧らしさとは、他国から想像すれば「極寒の自然、氷やオーロラ、青々とした緑や鮮やかな色の花、白夜、澄んだ空気、フィヨルド」などですね。ご紹介しましたピアノ曲に、どのような感想を持ったでしょうか。
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この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。