ぞっとする絵に大作曲家が曲をつけた!絵画から生まれたクラシック音楽

絵画の世界とクラシック音楽の世界は別個であると思っていたら、そうでもなく、名画からインスピレーションを得て曲を書いた人がいます。クラシック音楽の巨匠たちは、どのような絵を見て着想し、どういった音楽となったのでしょうか。

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アイキャッチ画像出典:htthttps://www.artpedia.asia/isle-of-the-dead/ps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%B3%B6%E3%81%AE%E5%B7%A1%E7%A4%BC

絵画から曲を生み出すのは難しい

出典:worldmasterpieces.jp

名画を鑑賞し感動したとしても、そこから音楽を作り上げることはとても難しいのではないでしょうか。「感想文」「感想画」を書くことはできても、音楽として表現するというのは普通とはいえません。作曲家が曲を書くとき、何かをイメージして書くことはできても「最初からある芸術作品」から別の芸術作品を生む感覚は、かなりの感性と想像力が必要と思われます。絵画から着想を得て作った曲は、どれも巨匠の名作。今回は、6つの名作をご紹介します。

葛飾北斎とドビュッシー作曲の「海」 

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交響詩「海」はドビュッシーが、パリ万博(1900年)で日本の葛飾北斎作である海の絵を見て着想したといわれます。このパリ万博の日本の出典の絵画、陶器、漆器、書や芸能に当時の人たちは魅了されたようです。空前の「ジャポニズム」ブームは、絵画には顕著に表れていますが、音楽も同様で特にドビュッシーはその影響を濃く受けています。彼の音楽が何か日本人にとって馴染み深い理由はそれにあるのかもしれません。

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アーノルド・ベックリンとラフマニノフ作曲の「死の島」 

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画家ベックリンはスイスの生まれです。この「死の島」は少し興味深い話が伝わっています。この絵はシリーズで5枚描かれており、一枚は戦争で消失。一枚は、あのヒットラーが気に入って手に入れ、飾っていたようです。また、最初の三点はイタリアのフィレンツェのイギリス人墓地の小島をモデルに描いたといわれ、その墓地に亡くした娘を埋葬したと伝えられます。

何か不吉な縁起の悪い感じがしますが、この絵はドイツでとても人気があり、ラフマニノフがこれを題材に曲を作りました。絵画の「死の島」は、ギリシャ神話に着想を得たものと見なされています。わかりやすく説明しますと「死神が棺を小船に乗せ、死者をあの世の世界へと旅立たせる様子」を描いているといえます。

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ヴィクトル・ハルトマンとムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」

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この「展覧会の絵」はムソルグスキーが、若くして亡くなった親友の画家「ヴィクトル・ハルトマン」の展覧会に触発され、作曲したとされています。ムソルグスキーの代表作となり、現在でもたいへん人気の高い曲です。ピアノ用に編曲されたものが特に有名で、難曲として知られています。

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ボッティチェッリとレスピーギ作曲の「ボッティチェッリの三枚の絵」

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ボッティチェッリはイタリア、ルネッサンスの巨匠です。「ヴィーナスの誕生」は絵に詳しくない人でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。このレスピーギ作曲の「ボッティチェッリの三枚の絵」とは、「春」「東方の三人の博士の礼拝」とヴィーナスの誕生を指しています。レスピーギは1879年にイタリアに生まれ、代表作品は「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」の三部作などがあります。

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アントワーヌ・ヴァトーとドビュッシー作曲「喜びの島」

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ヴァトーはフランスロココ時代の画家です。この「シテール島への船出」は若い男女の愛を描いたもの。ドビュッシーは愛する人と結婚したばかりで、幸福の絶頂期にありました。その喜びにあふれた様子は「喜びの島」というピアノ曲の作品として描かれています。

随所にキラキラと輝く太陽を浴びながら、楽園の島に向かい小船が波に揺れる雰囲気が表されています。そして、いよいよ最終のクライマックスでは全身で幸福を感じ取る様子がわかります。ドビュッシーのピアノ曲の名作です。

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ディエゴ・ベラスケスとラヴェル作曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」

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ベラスケスは1599年スペインに生まれました。宮廷画家となりフェリペ四世に仕え、王侯貴族や宮廷の様子を多数描きました。その中で、王女マルガリータの絵はたいへん有名ですが、ラヴェルはルーブル美術館のこの絵に触発されて曲を書いたといわれます。しかし、彼自身は特定の王女を指しているのではないと否定しており、スペイン風の昔の王女が踊ったパヴァーヌをイメージしたとしています。

この曲は当時からとても人気があり、元々のピアノ曲を管弦楽用に編曲されたものも有名です。何か、しみじみとした情感があり、題名から連想する物語と曲の持つ悲しげな雰囲気がマッチしていることも人気の理由のようです。

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絵画のように音楽にもタイトルは必要?

いかがでしたでしょうか。クラシック音楽と絵画は芸術という同じ世界観がありますが、意外にも直接絵画と音楽を結びつけて作られたものは少ないようです。音楽家は、曲に最初から題名をつけイメージを押し付けることを嫌う人はたくさんいます。自分の作品は、それを聴いた人がそれぞれの経験や思いで様々に想像し楽しむことが音楽であるという考え方です。

そういった音楽家が「真の音楽家」という気がします。ショパンやブラームスはその種類の人たちですが、後に楽譜を販売する出版社が無題では売りにくいために「別れの曲」などと題名をつけています。逆にワーグナーやリストなどはしっかりと題名をつけるタイプです。

タイトルをつけイメージを最初から相手に「押し付けている」とまではいいません。しかし、恋愛においても人生を消極的、謙虚に不器用に生きたとされるショパンやブラームスと、略奪愛を貫いたとされるワーグナーやリストとの違いをみる気がします。

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検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。

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