【夜の切り札】王道こそ夜の正道・スタンダードカクテル②
知識は酒を美味しくします。目の前の一本、その一杯の香味の後ろに広がるストーリーに思いを馳せ、語ることができたら。知識は夜の切り札。今回も誰でも覚えておきたいスタンダード・カクテルを紹介します。立ち寄ったバーでメニューを見ずおもむろに好きなカクテルを頼める人生と頼めない人生、格好いいオトナはきっと前者です。
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ファッションのクラシックスタイルを押さえるように、カクテルも
ファッションに、音楽に、文化の香りがするものにはあまねくクラシックスタイルがあるように、カクテルにもクラシックスタイルがあります。時代を超えて親しまれ続けたスタンダード・カクテルを知っていることは、カクテルの歴史にも通ずるということ。スタンダードを知っていれば、どこのバーでも頼むことができ、その場で語ることができます。
身に着けるものだけでなく、バーで飲む物も知識とこだわりを持って選ぶのがスマートな大人というものでしょう。
ブルームーン
淡いパープルの美しい一杯。
発祥や作者、誕生した時期などが現在も不明のままで、詳細の多くが謎に包まれたカクテルとしても知られています。
スミレの花の色と香りをつけたリキュールである、パルフェ・タムールに、ドライジン、レモンジュースを加えてシェイク。酸味とすっきりした甘みのバランスはロマンチックな夜の始まりに頼みたい一杯。
ただ、こんな謂れもあるので要注意?
直訳の「青い月」という意味の他に、「完全なる愛」「叶わぬ恋」「出来ない相談」という意味もある。「完全なる愛」については材料とされているバイオレットリキュールの商品名が「パルフェタムール (フランス語: Parfait amour:完全なる愛)」であるため、そこから言われるようになったと思われるが、基本的には「出来ない相談」の方がよく使われる意味。女性なら、「あなたとお付き合いしたくありません」という意味を込めて、これを注文するのがスマートなお断りの方法とも言える。
オールド・ファッションド
19世紀半ばにアメリカで誕生したとされる、古典的なウイスキーベースのカクテル。
ウィンストン・チャーチルの母、ジェニー・ジェロームが作ったという説、1800年代にケンタッキーダービーが行われる競馬場のバーテンダーが作ったという説があります。
バーボンなどアメリカのウイスキーにアンゴスチュラ・ビターズとソーダを加え、柑橘系のフルーツを添えて完成。底に角砂糖を沈め、マドラーでつぶしながら好みの味に調整できるので、ウイスキーに挑戦したいけど、ロックは...という気分の時にぜひ。
スティンガー
英語でstingerは毒舌家、針を意味しますが、その名の通りミントの香りが刺激的な一杯。
ニューヨークのレストランであるコロニー・レストランが発祥と言われています。
ブランデーとホワイトミントリキュールをシェイクした一杯はまろやかさと爽やかさが心地いい味わい。ディジェスティフ(食後酒)には最適です。
アレキサンダー

出典:gbiz.jp
甘口で食後に飲むカクテルとして人気のアレキサンダーは、19世紀中頃にイギリス国王であるエドワード7世が、王妃アレクサンドラに捧げたカクテルとして知られています。
ブレイク・エドワーズ監督の映画『酒ととバラの日々』ではこのカクテルにハマってしまった挙げ句アルコール依存症に陥る会社秘書のカーステン(リー・レミック)の姿が描かれています。
ジンベース、ブランデーベースの2種類のレシピがありますが、クレーム・ド・カカオと生クリームの味わいはチョコレートケーキのよう。甘い口当たりとは裏腹の高い度数のため、飲み過ぎ・飲ませ過ぎには注意しましょう。
知識は夜のひとときを豊かに...
こうした知識を持つことで、お酒の味わいも格段と幅が広がることでしょう。
カクテルの上等な愉しみ方を覚えれば、夜のひとときもまた奥深くなるというもの。
気分にあったカクテルを見つけて、素敵な夜を更かしてください。
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この記事のライター
慶應大学卒業→大手証券会社→外資系コンサルティングファーム。表参道に在住し「日常をドラマに」することに腐心し人生の上質化を目指す日々。酒を飲むこと、酒を飲むように本を読むことが好き。目を離せばすぐに眠りこもうとする遊び心をジャズとビールで蹴飛ばしながら、今日も都心で生きてます。