【夜の切り札】王道こそ夜の正道・スタンダードカクテル④
知識は酒を美味しくします。目の前の一本、その一杯の香味の後ろに広がるストーリーに思いを馳せ、語ることができたら。知識は夜の切り札。今回は誰でも覚えておきたいスタンダード・カクテルを紹介します。立ち寄ったバーでメニューを見ずおもむろに好きなカクテルを頼める人生と頼めない人生、格好いいオトナはきっと前者です。
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ファッションのクラシックスタイルを押さえるように、カクテルも
ファッションに、音楽に、文化の香りがするものにはあまねくクラシックスタイルがあるように、カクテルにもクラシックスタイルがあります。時代を超えて親しまれ続けたスタンダード・カクテルを知っていることは、カクテルの歴史にも通ずるということ。スタンダードを知っていれば、どこのバーでも頼むことができ、その場で語ることができます。
身に着けるものだけでなく、バーで飲む物も知識とこだわりを持って選ぶのがスマートな大人というものでしょう。
ニューヨーク
ニューヨークの日の出を彷彿とさせる、深い赤色のカクテルです。
バーボンウイスキーに、ライムジュースとグレナデンシロップを加えてシェーク。鮮やかな見た目よりも甘さは少なめで、ニューヨークを思わせる都会的でシャープなカクテルと言えるでしょう。
度数は比較的低く口当たりもさっぱりしているため、飲みやすい一杯です。
オレンジスライスを加えてシェーク、オレンジピールを振りかける、などフレッシュさを増す頼み方も覚えておくといいかもしれません。
エーワン
強烈な度数のジンカクテルです。A1(エーワン)とはアルファベットのA、数字の1を組み合わせた言葉であり、最高・超一流、という意味の他に第一級の船舶を指します。クイーン・エリザベス号もかつて同じように呼ばれており、そうした一流の豪華客船で振る舞われるために考案された、という説も。
アルファベット順に掲載するカクテルブックでは必ず最初に登場することもあり、前祝いとして飲まれることもしばしばあるようです。
ドライジン、グランマルニエ、レモンジュースをシェークして完成。強烈な度数と甘さでパンチの効いた一杯ですが、新しいスタートを切る時の景気付けとして頼むのもいいでしょう。
マルガリータ
マルガリータは女性の名前が由来とされています。
このカクテルにマルガリータの名が付けられた由来には、何種類かが挙げられている。
・1949年にロサンゼルスのバーテンダー、ジャン・デュレッサーが考案。1949年のUSAナショナル・カクテル・コンテストで3位に入選したことで広く知られるようになった。ジャン・デュレッサーの若き日の恋人マルガリータが、狩猟場で流れ弾にあたり亡くなったのを偲んでつけられたと言われている。
・どんな酒も塩をなめながら飲むガールフレンドのために、1936年にメキシコのホテルのバーテンダーが作り、ガールフレンドの名前をとって名付けた。
テキーラにホワイトキュラソー、レモンジュースを加えてシェーク。スノースタイルでグラスの縁を飾る塩が全体の味を引き締めます。
またこれに加えてクラッシュアイスに砂糖一さじを加えた「フローズン・マルガリータ」はスムージーのようで夏にぴったりの一杯に。
アラスカ
ジンをベースにした個性的な一杯。
発祥は1920年のロンドン。サヴォイ・ホテルのチーフ・バーテンダーだったハリー・クラドックが考案したと言われています。ハーブ・リキュールを代表するシャルトリューズを用いたアルコール×アルコールのレシピは相性抜群のスタンダードとして人気を博しました。
なお、シャルトリューズ・ジョーヌ(黄)の代わりにシャルトリューズ・ヴェール(緑)を用いた場合はグリーン・アラスカと呼ばれます。こちらはアルコール度数、薬草の味が濃くなり、より濃密な一杯に。
ハーブ系の味わいが好きな方はハマるかもしれません。
知識が夜のひとときを豊かに...
こうした知識を持つことで、お酒の味わいも格段と幅が広がることでしょう。
カクテルの上等な愉しみ方を覚えれば、夜のひとときもまた奥深くなるというもの。
気分にあったカクテルを見つけて、素敵な夜を更かしてください。
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この記事のライター
慶應大学卒業→大手証券会社→外資系コンサルティングファーム。表参道に在住し「日常をドラマに」することに腐心し人生の上質化を目指す日々。酒を飲むこと、酒を飲むように本を読むことが好き。目を離せばすぐに眠りこもうとする遊び心をジャズとビールで蹴飛ばしながら、今日も都心で生きてます。