【夜の切り札】王道こそ夜の正道・スタンダードカクテル①
知識は酒を美味しくします。目の前の一本、その一杯の香味の後ろに広がるストーリーに思いを馳せ、語ることができたら。知識は夜の切り札。今回は誰でも覚えておきたいスタンダード・カクテルを紹介します。立ち寄ったバーでメニューを見ずおもむろに好きなカクテルを頼める人生と頼めない人生、格好いいオトナはきっと前者です。
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ファッションのクラシックスタイルを押さえるように、カクテルも
ファッションに、音楽に、文化の香りがするものにはあまねくクラシックスタイルがあるように、カクテルにもクラシックスタイルがあります。時代を超えて親しまれ続けたスタンダード・カクテルを知っていることは、カクテルの歴史にも通ずるということ。スタンダードを知っていれば、どこのバーでも頼むことができ、その場で語ることができます。
身に着けるものだけでなく、バーで飲む物も知識とこだわりを持って選ぶのがスマートな大人というものでしょう。
マンハッタン
1876年の第19代大統領選の候補者支援パーティーが催された際、マンハッタンクラブで考案されたのが発祥と言われています。この考案者とされるジェニー・ジェローム令嬢は、後の英国首相であるウィンストン・チャーチルの母となるという逸話があります。
カナディアンウィスキーにスイートヴェルモットとアンゴスチュラビターズを加えてステア。カクテルピックに刺したチェリーを沈め、レモンピールを一振りして完成。
度数は高く、甘みと苦みの中間を行き来する味は、夜を静かに楽しみたい時にしっくりくるでしょう。
「カクテルの女王」とも呼ばれています。
マティーニ
「カクテルの女王」がマンハッタンなら、「カクテルの王様」がマティーニです。
発祥については、イタリアはトリノのMARTINIというベルモットメーカーが販売した、というものもあれば、石油王ジョン・D・ロックフェラーのためにニューヨークのニッカー・ボッカー・ホテルのバーテンダーであるマルティニ・ディ・アルマタオア氏が提供した、というものまで諸説があるようです。
ドライジン3に対してドライベルモット1を加えてステアして作るのが標準で、ベルモットがこれより多いと甘口、少ないと辛口となるようです。
度数が高く辛口の味は、シンプルだからこそバーによって味わいが変わってくるもの。バーテンダーと語りながらその店の味わいを楽しみましょう。
ジャック・ローズ
リンゴのブランデーであるカルバドスを使った美しいカクテル。
1900~1910年の間に、著名な暗黒街のボスだったジェイコブ・ローゼンワイヒのニックネーム「ボールド・ジャック・ローズ」から名付けられたという説が主流のようです。
カルヴァドスにライムジュースとグレナデンシロップを加えた深紅のカクテルは、甘みと酸味が程よいバランス。度数は20〜と中程度。華やかな色合いが夜の時間にアクセントを加えてくれることでしょう。
カルヴァドス以外のアップルブランデーで作ると「アップル・ジャック」と言われるようです。
ホワイト・レディ
ジンを使ったスタンダードカクテルの中でも最もバーテンダーの腕前が現れるとも言われるこのカクテルは、1919年に「シローズ・クラブ」(ロンドン)のバーテンダー、ハリー・マッケルホン氏によってこの世に生まれました。
ドライジン、コアントロー、レモンジュースをシェークしたこのカクテルは甘み、レモンの酸味のバランスが絶妙です。
ジンの代わりにブランデーを使うとサイドカー、ラムを使うとX-Y-Z、ウォッカを使うとバラライカ、ウイスキーを使うとウイスキー・サイドカーというカクテルになります。
味わい方が夜のひとときを豊かに
こうした知識を持つことで、お酒の味わいも格段と幅が広がることでしょう。
カクテルの上等な愉しみ方を覚えれば、夜のひとときもまた奥深くなるというもの。
気分にあったカクテルを見つけて、素敵な夜を更かしてください。
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この記事のライター
慶應大学卒業→大手証券会社→外資系コンサルティングファーム。表参道に在住し「日常をドラマに」することに腐心し人生の上質化を目指す日々。酒を飲むこと、酒を飲むように本を読むことが好き。目を離せばすぐに眠りこもうとする遊び心をジャズとビールで蹴飛ばしながら、今日も都心で生きてます。