九州のおすすめ観光列車10選!優雅でラグジュアリーな大人のひと時を楽しもう
観光列車が豊富でサービス内容も充実している九州は、大人が楽しむラグジュアリー感あふれる列車から家族で楽しめる列車まで幅広く楽しめる点が特徴です。各列車の特徴をご紹介しますので、九州旅行の折にはぜひ参考になさってください。
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九州でD&S(デザイン&ストーリー)列車の旅を楽しもう
JR九州が「観光列車王国」と呼ばれていることをご存知ですか?2004年の九州新幹線開業、2011年の九州新幹線全線開通に合わせて、各ローカル線でその土地に合わせた趣向を凝らした観光列車が投入されました。
趣向を凝らした内装、食事などの様々なサービスは今や、観光列車に乗ることそのものが旅になっているほど人気を博しています。今回は、九州を走る観光列車のうち、大人の時間を演出してくれる豪華なものから車窓を楽しむものまで10の列車を紹介していきましょう。
ぜひ、素敵な旅の思い出を作ってくださいね。
大人の優雅な時間を演出する観光列車
まずご紹介したいのが、九州を走る観光列車の中でも、大人の優雅な時間を演出できる豪華な列車です。超豪華な観光列車として有名になった「ななつ星in九州」を始め、セレブな大人にこそ楽しんでもらいたい素晴らしい空間を持つ列車は、どれもが非日常な時の流れを感じさせてくれますよ。
1.超豪華観光列車の先駆け「ななつ星in九州」(JR九州)
まず紹介する列車は、2013年10月にレビューを飾った「ななつ星in九州」。非常に豪華なスイートルームを備え、定員は28名の超豪華寝台列車として注目を集めています。ななつ星は、単に移動手段として乗る列車ではなく、九州を周遊して旅行をする形でのみ乗車可能です。まさに上質な旅行のために存在する列車だと言えるでしょう。
「ななつ星は九州と言宇宙を旅する銀河鉄道」とは、ななつ星をデザインした水戸岡鋭治氏の言葉です。大人の上質な空間を演出した車両のエンブレムには星がデザインされ、「ラウンジカー ブルームン」や「ダイニングカー 木星」など、惑星にちなんだ名前が付けられた車両がさらに雰囲気を盛り上げます。
大きな窓から見える九州の雄大な景色を眺めながら、1泊2日または3泊4日の旅を乗客は楽しめるのです。また、大人が落ち着ける空間を確保するため、乗車できる人は中学生以上で、ドレスコードも「スマートカジュアル」と定められています。
料金も現在は一番リーズナブルな1泊2日で15万円~3泊4日の95万円と、これまでの常識を破る破格の高値。その上に予約申し込みが殺到してなかなか乗車できないプレミアム感も相まって、いまだに高い人気を誇っているのです。
もちろん供される食事も贅を尽くし、大人の舌をうならせる料理が楽しめます。3泊4日の場合は超高級旅館への宿泊もあり、九州のすべてを贅沢に楽しみつくせるサービスが随所にちりばめられているのです。
なかなか予約の抽選には当たらないかもしれませんが、セレブな大人の列車旅を楽しみたいならぜひ一度乗車してみてはいかがでしょうか。
2.JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」(JR九州)
金色の姿が美しく印象的なこの観光列車は、「JRKYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」です。その名の通り、車内では有名パティシェが腕を揮うスイーツが楽しめる豪華な観光列車として、2015年にデビューしました。
コンセプトは、100年以上前の1906年、当時の九州鉄道が発注しようとしていた豪華な客車を現代によみがえらせた、幻の豪華客車。「Amazing Royal Univasal」の頭文字を取って「或る列車」と命名したのだそうです。
明治期のレトロモダンな雰囲気を出した車両内は、木のぬくもりを感じさせて明るいながらも落ち着きがあります。「ななつ星」とかなり近い豪華さを誇る列車ですね。気になる料金はスイーツコースとセットのみで大人2名利用の場合24,000円から。「ななつ星」よりは気軽に豪華さを堪能できる点も魅力でしょう。
運行は数ヵ月単位で変わり、供される料理も同じタイミングでリニューアルされます。長崎コースや大分コースなど、その時々で運行する場所の観光と組み合わせて楽しむといいでしょう。
「スイーツコース」だから甘いものだけかと思われてれいる人もいるかもしれませんが、「或る列車」で供される食事メニューは、最初に小さな木の弁当箱とスープから始まります。木の器は、湯布院にあるアトリエときの作品で、「或る列車」にお似合いのぬくもりがあってお弁当もおいしく楽しめます。
その後に出されるスイーツはどれもパティシェ自慢の一品です。ゆっくりと味わいながら、「或る列車」の旅を堪能してくださいね。
3.特急 A列車で行こう(JR九州:あまくさみすみ線)
By Rsa (Own work) CC-BY-SA-3.0 , via Wikimedia Commons
続いては、あまくさみすみ線を走る、特急「A列車で行こう」のご紹介です。熊本駅始発の時は、本車両がホームにやってくる時にジャズナンバー「A列車で行こう」がどこからともなく流れてくる演出がありますよ。
あまくさみすみ線は、海の見える風景の美しいローカル線で、三角駅では天草まで行く「天草宝島ライン」とも連絡していますので、天草へ観光しに行くのも一興です。天草ではイルカウォッチングが楽しめますよ。
By Muyo (Own work) CC BY-SA 3.0,via Wikimedia Commons
「A列車で行こう」のおすすめポイントは、何と言っても1号車のバーカウンター。大人の社交場、という雰囲気がある素敵な場所で、ぜひハイボールやおつまみなどを注文して楽しみましょう。近くには誰でも座れるソファ席もあって寛げます。
あまくさみすみ線は約40分の乗車時間が短めです。そのため、泥酔ではなく少々ほろ酔い加減で到着する点もなかなか粋な配慮かもしれません。少々物足りないぐらいがちょうどいいのです。ハイボールを片手におこしき海岸など美しい海岸線を眺めていると、日ごろの疲れを忘れてリフレッシュできるのではないでしょうか。
食事が楽しめる観光列車
近頃では食事が楽しめる観光列車も増えてきました。ここまで紹介してきた豪華な観光列車も食事が堪能できますが、ここでは食事が楽しめる観光列車として、決して外すことのできない肥薩おれんじ鉄道の「おれんじ食堂」をご紹介しますね。
4.おれんじ食堂(肥薩おれんじ鉄道)
今回ご紹介する中で、唯一JR九州以外からの観光列車「おれんじ食堂」は、その名の通り純粋に食事を楽しむために生まれた肥薩おれんじ鉄道の観光列車です。九州新幹線開通時に第三セクター化して肥薩おれんじ鉄道が路線の活性化のため生み出した「おれんじ食堂」。この観光列車は全国的に一大ムーブメントとなっている「レストラン列車」の火付け役として大きな役割を果たしてきました。
新幹線から食堂車が消え、「列車で食事をする」体験がトワイライトエクスプレスなど一部の寝台列車にのみ残されていた時期に「おれんじ食堂」は登場し、あっという間に人気の観光列車となったのです。
「おれんじ食堂」1号車の海岸側席は美しい海が見えます。素晴らしい景色は料理にも最高の調味料となり、食事の楽しさをさらに高めてくれるでしょう。また、隅には子ども用の小さな椅子があり、外の景色をのんびり楽しめるという配慮のあるコーナーも。
2号車はリビング・カーで、グループが親密な距離でいられるように、カーテンの間仕切りなどもあって、プライベート感のある空間づくりになっています。
バーカウンターではお酒の注文も可能です。乗車時間はゆっくりありますので、のんびりと楽しみましょう。熊本・鹿児島の焼酎が好きな人は注文してみてはいかがでしょう。
また、「おれんじ食堂」は便によって朝食・ランチ・ディナーなど様々な種類の料理が楽しめる点も魅力です。食材はもちろん地元のものが使われ、どの料理も一工夫があって楽しめます。
絶景ポイントでは徐行運転もあり、薩摩高城駅からすぐ近くの砂浜に降りてみたり、地元の名産品を購入できる「駅マルシェ」が所々の駅で開催されていたり、と途中のサービスも充実しているのも「おれんじ食堂」の特徴。「おれんじ食堂」に一度乗車するとまた乗りたくなる、そんな不思議な魅力がこの観光列車の持ち味なのです。
車窓を楽しむ観光列車
次にご紹介するのは、車窓を楽しめる列車です。美しい車窓は列車旅の醍醐味。車では見られない眺めも楽しめます。海・川・山といった九州の美しい自然を感じてください。
5.いさぶろう・しんぺい(JR九州:肥薩線)
肥薩線の熊本・人吉駅から鹿児島・吉松駅の間を走る「いさぶろう・しんぺい」。吉松行きは「いさぶろう」、人吉行きは「しんぺい」と呼ばれていますが車両としては同じです。
この観光列車最大のウリは、何といっても「日本三大車窓」と呼ばれているえびの盆地・霧島連山の雄大な景色が堪能できること。その場所を通りかかる時は徐行運転されますので写真撮影も可能です。また、ループスイッチバックという少々変わった動きも体験できる点もポイントでしょう。
車内はダークブラウンを基調としたレトロな内装で、昔の列車旅はこのようなものだったのだろうか、と思わせるような風情があります。また、見どころのある途中の秘境駅も5分程度停車してくれますので、写真撮影する人には楽しい観光列車ではないでしょうか。ちなみに、「いさぶろう・しんぺい」は特急ではないため、青春18きっぷでも乗車可能な観光列車です。
6.特急 ゆふいんの森(JR九州:鹿児島本線~久大本線)
九州でも有数の温泉地&観光スポットになっている由布院温泉。博多から由布院、さらにその先の別府までを直通で結んでいる観光列車が特急「ゆふいんの森」です。車窓からは九州の山並みが美しく見えますが、中には滝が見えるスポットもありますよ。
車内は落ち着きのある木目調で、4人のボックスシートには大きなテーブルが付いてゆったりと歓談できますので、お子さん連れには嬉しいのではないでしょうか。
また、ゆふいんの森3号・4号には、眺めのいいサロンスペースやビュッフェもあり、由布院名物のスイーツや駅弁が売られています。3号・4号なら車内販売が充実している点も嬉しいですね。
7.特急 海幸山幸(JR九州:日南本線~日南線)
日本神話の名前を冠した特急「海幸山幸」は、その名前のとおり、宮崎の日南海岸や山間部を縦横無尽に走り抜ける観光列車です。社葬が変化に富んでいるので、車窓を眺めているだけでも楽しめるでしょう。
車窓のハイライトは「鬼の洗濯板」。綺麗に直線の筋が入ったこの奇岩は見逃さないようにしましょう。社内はとてもゆったりとしたソファ席で、白っぽい木目調なのも相まってとても開放的で明るい雰囲気です。
また、車内サービスとして日本神話の海幸山幸の話はお紙芝居で見せてくますので、小さなお子さんがいる方は喜んでもらえるのではないでしょうか。
お子さん連れも楽しめそうな観光列車
最後にご紹介する観光列車は、いつも乗っている列車とは違う、遊び心がある観光列車です。お子さんが目を輝かせそうな内装の「あそぼーい」やミストに驚く「指宿のたまて箱」など、大人はもちろんお子さんも楽しめる仕掛けがたくさんありますのでご紹介しますね。
8.特急 あそぼーい(JR九州:豊肥本線)
特急「あそぽーい」は、お子さんを主役に考えて作られた観光列車です。お子さんたちがゆったりできるラウンジや小さな子どもが遊べる期のボールプール、お子さん用の低いカウンターもあるくろちゃんカフェなど、お子さん目線で嬉しい設備で車内はあふれかえっています。
熊本から宮地までの豊肥本線を走りますので、阿蘇の雄大な車窓が見られるという点もポイント。パノラマシートがありますので、そちらでこの雄大な自然を眺めていると、きっと大人もワクワクしてくるでしょう。
9.指宿のたまて箱(JR九州:指宿枕崎線)
By Atsasebo (Own work) CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
次に紹介する観光列車は、鹿児島中央から指宿までをつないでいる特急「指宿のたまて箱」です。指宿枕崎線は、錦江湾から桜島が見える素晴らしい車窓の眺めが楽しめるローカル線で、車内は海側の眺めを楽しめるように、回転椅子やソファ席が用意されています。
「指宿のたまて箱」でお子さんの喜びそうな演出が、竜宮伝説の「たまて箱」にちなんだ煙に見立てたミスト噴出。鹿児島中央駅に到着した時に見られますので、列車を降りた後も少し注目していましょう。
また、「指宿のたまて箱」の車内販売で味わえる「いぶたまプリン」は、車体の白黒にちなんで黒ゴマプリンとカスタードプリンが二層になっておいしくお子さんも喜ぶ味ので、ぜひ一度試してみてくださいね。
10.SL人吉(JR九州:鹿児島本線~肥薩線)
最後にご紹介するのは、熊本と人吉を結んでいる「SL人吉」です。SLに乗車するというだけで大人も興味が湧きますが、お子さんは実際に汽車の吐く煙を目の当たりにするとかなり強く印象に残るのではないでしょうか。途中で何分か停車する駅があり、その時には機関室の様子も眺められますし、機関士さんに話を聞くこともできます。
また、車内では記念撮影のサービスがあり、お子さんには駅員の制服を貸してもらえますし、車内にはミニSLの展示コーナーもありますので、飽きずにSLの旅を続けられるでしょう。
車内はとてもシックでノスタルジーを感じさせるインテリアです。決して豪華ではないのですが、本当に昔はこういう雰囲気だったのだろうか、と思わせるダークブラウンの木の座席や、壁の全面がガラス張りで眺めの良い展望ロビーで球磨川の美しい眺めを堪能できます。
また、駅弁は「栗めし」が人吉駅で駅弁の立ち売りから購入できる点も珍しいですね。売られている「栗めし」は栗がごろごろと入っていてとても美味ですので、見かけたらぜひ味わってみてくださいね。
各列車の特徴を押さえて楽しい鉄道旅行を!
九州の観光列車を10本ご紹介しました。各列車の特徴を押さえて、TPOに合わせたセレクトで楽しみましょう。大人の上質な旅に似合う観光列車は予約が大変なものもありますので、簡単に予約できて大人旅を楽しみたいなら「A列車で行こう」「SL人吉」あたりがよさそうです。
また、どの観光列車も行き先が有名観光地につながっていますので、行きたい観光地に合わせて観光列車を選んでみるのもありですね。単なる移動だけではもったいない観光列車、ぜひ楽しみ尽くしましょう。
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植田正治のように、本当に好きなものしか紹介しない、そんなライターに私はなりたい。目下の興味は、旅、写真、おいしいものとにゃんず。