歴史に残る大ピアニスト!ショパンコンクール第四回から第六回の覇者

ショパン国際コンクールは1927年に第一回が開催されてから現在までピアニストのコンクールでは、もっとも権威の高いです。戦時中の休止期間の後、第四回は戦後の1949年にあり順次行われています。今回は、第四回から第六回までの1位とその他の重要なピアニストをご紹介いたします。


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女性の覇者は何人?

出典:pixabay.com

フレデリック・ショパン国際コンクールは、第二次世界大戦中には休止せざるを得ませんでした。戦後は第四回が1949年に開始されたのですが、興味深いことには女性ピアニストふたりが1位を分かち合ったのです。また、ショパンコンクールは2015年の第17回までに1位の女性は4人だけです。入賞者は多いのですが、これはピアノという楽器が男性に向いていることを意味するものかもしれませんが、とにかく女性の1位をこれからも期待したいものです。

第四回 1位 ハリーナ・チェルニー・ステファンスカ

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第四回は1949年に開催されました。1位獲得は二人の女性ですが、ステファンスカは1922年ポーランド生まれです。フランスのパリでショパンの楽譜校訂で有名な大ピアニストの「コルトー」に師事しています。オーソドックスな演奏ですが、女性ピアニストに多い「大げさな表現」がない清潔感ある弾きかたは好感が持てるのではないでしょうか。

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第四回 1位 ベラ・ダヴィドヴィチ

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第四回の1位をステファンスカと分かち合ったダヴィドヴィチは1928年ロシアの生まれです。ロシアの最高の音楽学校であるモスクワ音楽院を主席で卒業しています。多くの大ピアニストを輩出した著名なピアニストのイグムノフとフリエールに師事し、ショパンコンクール1位となりましたがその後亡命しアメリカに渡っています。頻繁に手の位置を変え、鍵盤から指を離しがちでなでるようなスタイルの弾き方でありながら、メロディをしっかりと際立たせお手本的な演奏です。 
 
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第五回 1位 アダム・ハラシェヴィチ

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アダム・ハラシェビィチは1932年ポーランドに生まれています。イタリアの伝説的な大ピアニストである「ベネディッティ・ミケランジェリに師事しましたが、ショパンコンクール第五回1955年の開催は大きな話題となった事件が起こりました。恩師でありコンクールの審査員であるミケランジェリは、1位はアシュケナージだと主張し、他の審査員との意見の相違からハラシェヴィチの1位を不服とし、審査員を降板したのです。

残念ながらショパンコンクールでは、こういったことがその後も何度か起きたのですが、とにかくこのことはその後語られ続け、アシュケナージの現在の活躍から検証してもミケランジェリは正しかったのではないかとも思えます。

ハラシェヴィチの演奏はメロディが際立って美しく、宝石のようにキラキラと輝き、ショパンが理想とした「カンティレーナ」(旋律を叙情的に歌わせること)をもっとも守っているピアニストだと感じます。演奏を聴くとショパン演奏に関してはコンクールの1位は当然だったのかもしれません。
 
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第五回 2位 ウラディーミル・アシュケナージ 

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1937年ロシア生まれのアシュケナージは、現在活躍しているピアニストの中では頂点に君臨するといえます。小柄なからだから発する演奏は、落ち着いた熟練の音であり安心して聴くことのできるものです。どんな作曲家のものであっても彼の演奏は、もっとも「聴くに値する」もので「いつも完璧な演奏をする」というイメージがあります。

ショパンコンクールで1位を逃したことは不思議ですが、後に「三大ピアノコンクール」の残り二つの優勝(エリザベート王妃国際音楽コンクールとチャイコフスキーコンクール)がその実力を証明しました。近年は、指揮者としての活躍も目覚しく、今世紀最高の音楽家のひとりとして歴史に名を残すことは確実でしょう。ピアノは、やはり母国のロシアの作曲家のラフマニノフとスクリャービンの曲の演奏が素晴らしく、現在のピアニストの中には右に出る演奏家はないのではないでしょうか。
 
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第六回 1位 マウリツィオ・ポリーニ

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第六回は1960年に開催されたのですが、ポーランドとロシア以外での初の外国人の覇者となりました。
ポリーニは、1942年イタリア生まれです。彼は、母親がピアニストであったことや、20世紀を代表するピアニストの人である「ミケランジェリ」に師事したこと、指がとても長く12度(ドからソ)まで届くことなどの恵まれた環境にあったことがショパンコンクールの優勝につながったようです。

ポリーニは、技巧的なピアニストで大きな手と精緻なテクニックで難曲を楽々とこなすことで有名です。中でも「ショパンのエチュード」は彼の代表的なもので、ピアノ学習者の間で定評があります。その「切れの良いダイナミックな演奏」と粒の揃った輪郭のある音は、まさにお手本といえます。感情に溺れるような演奏ではなく、整った音から誠実で清らかな感動があるのです。

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多くの女性が入賞した時期

いかがでしたでしょうか。この第四回から第六回までは女性の活躍が多くみられました。第四回はまだ戦後の混乱期ではありましたが、1位と2位の三人が女性です。また第五回には10位に日本の「田中希代子」が入っています。更に、第六回は1位以外のほとんどを女性が占めていることが特徴的でした。これは、戦争で多くの男性ピアニストが亡くなったこと、戦後は音楽家になることよりも国を実際的に立て直すことへ男性の力が注がれたことなども関係しているかもしれません。

また、世界的に経済が上向きになると共に、「女の子はピアノを習うこと」が一般的になってきたという「平和」の象徴的出来事だったのです。そういったことが一時的にショパンコンクールにも影響し、大量に女性が入賞した理由ではないでしょうか。ただ、そういった事情とは別に、いずれもこの時期に大ピアニストを輩出したことは確かなことなのです。これからのショパンコンクールも目が離せません。


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検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。

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