個性豊かなピアニスト!ショパンコンクール第十三回から第十五回の覇者

ショパンコンクールの第十三回は1995年に開催されました。前回に引き続き1位なしという波乱がありますが、第十四回と第十五回は東洋勢の頑張りが特徴的です。中国初のユンディ・リという覇者が現れたことや個性豊かなピアニストも出ました。素晴らしい5人のピアニストをご紹介します。

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個性をコンクールで表現する事のむずかしさ

出典:pixabay.com

前回の1990年は1位なしで2位にケヴィン・ケナーが最高位となりましたが、第十三回も残念なことに1位は出ていません。変わりに2位がふたり最高位ということですが、そのうちひとりはかなり個性的です。コンクールはいくら技術があり表現力も申し分なかったとしても、「ショパン」という過去何万回も弾かれてきた曲を自分らしく「味付け」し、アピールすることはそんなに簡単ではありません。

教科書のように間違いなく弾くことができたとしても、それは芸術として価値があるということにはならないのです。むしろミスタッチはあまり関係がないといっても良いでしょう。ただ、コンクールは評価基準のある点数制であり審査員はときとして意見の相違で「もめる」ようです。

観客はそんなことよりも「誰がすぐれた演奏をしたか」という独自の評価を持っていて、審査員が出した結果に納得したかどうかはわかりません。今回は、第十三回から第十五回までの最高位と、活躍しているピアニスト5人をご紹介します。


第十三回 1位なし2位 フィリップ・ジュジアーノ

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第十三回は1995年に開催しています。前回同様、コンクールは波乱続きで1位なしの2位という結果となりました。、ジュジアーノは1973年フランス出身で、パリで著名なピアニストのジャック・ルヴィエに師事しています。彼は1990年にも出場し若干17歳の最年少で最終まで残っており、二度目の挑戦でみごとに最高位を獲得しました。演奏は、切れがよく華美な動きのない美しいスタイルの正統派という感じです。 

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第十三回 1位なし2位 アレクセイ・スルタノフ

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スルタノフは1969年旧ソ連で生まれています。ジュジアーノと同様に1位なしの2位という結果になりました。技術力は素晴らしいのですが、個性がかなり強く審査員の評価は分かれたようです。ショパンの曲を「独自の解釈というより自由な編曲」をしてあり、通常とは違う面白さに観客を大いに楽しませてくれましたが、多少個性を強調しすぎたことがマイナスになりました。

それは彼の生まれ育った環境が中央アジアにあったため、社会主義の中心地であるモスクワから遠く離れ自由な雰囲気であったことが理由かもしれません。予選通過待ちの映像では、学生結婚した妻とみられる女性と肩を組みガムをかみながらという態度であり、他のピアニストの中で「浮いた」姿が映っています。また、1位なしの2位であっても最高位であることに間違いはないのですが、受賞を拒否し退席したという行動にも疑問視する見方があります。

ショパンコンクールの後は三大ピアノコンクールである「チャイコフスキーコンクール」、「エリザベート王妃音楽コンクール」に臨みましたが落選という結果です。その後アメリカ国籍を取得し活動していますが、クラシックという垣根を取り払い日本の歌手の歌をリメイク演奏するなど、商業的、ショー的なピアニストへ転向したようにも見られます。しかし、2001年脳卒中となりピアニストとして活動はできなくなり2005年死去しています。

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第十四回 1位 ユンディ・リ

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第十四回は2000年に開催されました。ユンディ・リは1982年中国生まれです。中国人が1位になったことはコンクール初めてということと、15年1位なしという結果であったため1位が出たことで観客共々喜んだようです。彼の1位は審査員全員一致だったということで、その演奏はとても情熱的であり聴く人を感動させるものでした。

彼は、「第九回1位のツィメルマンを理想とした」と後に語っていますが、ツィメルマンの演奏のリリシズム、若々しい躍動感というよりは「激しい情熱を秘めた」ものであったと感じます。現在は、ショパンコンクールの審査員もしていますが、その演奏は当時の感動から考えると「精彩を欠いている」という批判も一部にあるようです。

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第十四回 3位 アレクサンダー・コブリン 

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コブリンは1980年ロシア生まれです。モスクワ音楽院で重鎮のピアニストのナウモフに師事しています。このコンクールで3位入賞した後は、精力的に活動したということはないようで、演奏活動は最小限のようです。あまり録音も多くなく、演奏家としてより教師として後進の指導に向いていると考えたのでしょうか、現在はアメリカの大学でピアノの教授をしているという情報があります。演奏は丁寧で好感の持てる清潔感のあるもので、個性を前に出すというものではなく誰が聴いても模範的だと感じるタイプです。  

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第十五回 1位 ラファエル・ブレハッチ

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第十五回は2005年に開催されました。ブレハッチは1985年ポーランド出身です。大きなコンクールで優勝するピアニストは近親者に音楽家がいることが多いのですが、ブレハッチの家庭は音楽には関係がなく、それほど豊かというわけではないようです。というのは、2003年まで自宅にはグランドピアノがなかったということで、あちこちのコンクールで得た賞金で購入したという話が伝わっています。

ショパンコンクールは、初回からポーランド人とロシア人が多く入賞してきましたが、なかなか1位は獲得できずにいました。ブレハッチは30年ぶりの快挙ということで、場内は開催国のピアニストの優勝という興奮で沸いたということです。 

ツィメルマン以来ということになりますが、ブレハッチの演奏は申し分なく安定しており、情熱と技術そして柔らかい内的な表現との調和が見事なものでした。激情に絡め取られることがなく、熟練したピアニストのように安心して聴くことのできる素晴らしいピアニストであり、今後の活躍が期待されています。

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東洋勢もたくさん進出

いかがでしたでしょうか。上ではご紹介できませんでしたが、日本、中国、韓国という東洋人ピアニストもたくさん出ています。第十三回から第十五回まで日本人では10位以内に合計で7人という快挙は初めてのことです。また、中国ではユンディ・リを入れて3人、韓国でも3人入りました。この特徴は国の経済状態とも無縁ではなく、おそらく今後のショパンコンクールの最終選に中国と韓国のピアニストが残るであろうと予測されますが、どうでしょうか。

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検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。

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都内在住。コーヒーとサンドイッチが大好きで1日1カフェ生活を送っている。夏の定番はレモネード、冬の定番はホットチョコレート。オシャレやヘルシーという言葉に敏感なミーハー系女子。

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