伝説のピアニストたち!ショパンコンクールの第一回から第三回の覇者
フレデリック・ショパン国際コンクールは、ポーランドの国民的行事でありピアニストが世界中から挑戦します。第一回は1927年に開催されていますが今回は第三回までの優勝者と入賞者の著名なピアニストの演奏をご紹介します。
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1位でなくとも活躍しているショパンコンクールの入賞者たち
出典:pixabay.com
フレデリック・ショパン国際コンクールは、1927年からショパンの出生国のポーランドで5年ごとに行われています。途中、第二次世界大戦中と戦後の混乱のため間があき、1937年の次は1949年、1955年とばらつきがありましたが現在は順調に5年ごとに開催されるようになりました。後の1958年開催の「チャイコフスキー国際コンクール」はショパンコンクールに対抗する意味で旧ソ連が威信をかけて作ったと言われています。
このふたつのコンクールと「エリザベート王妃国際音楽コンクール」とを合わせて、「三大音楽コンクール」と呼ばれるのですが、ピアノに特化したショパンコンクールはピアニストにとって大変重要なもので、「第1位は世界的ピアニストとしての将来」を約束されたようなものです。ただ、第2位は意味がないというわけではありませんし、3位以降にも活躍がすばらしく世界的に知られることになったピアニストも大勢います。
幼少から神童として活躍しているキーシンやラン・ランなどすでに世界に技量を示す必要のないピアニストでない限り、国際コンクールで1位を制覇することはピアニストにとっての目標であるといえます。今回は、ショパンコンクール第一回から第三回までの1位と、1位以外で活躍しているピアニスト計5人の名演をご紹介します。
第一回 1位 「レフ・オボーリン」
オボーリンは1907年ロシアに生まれています。名高いモスクワ音楽院でイグムノフという優秀な教授に付いて学び研鑽を積んだあと、1927年ショパンコンクール第一回の栄えある1位を獲得しました。その後、母校で教鞭をとりましたが、弟子に高名なピアニストで指揮者の「ウラジミール・アシュケナージ」がいます。
日本に何度か訪れ演奏していますが、ロシアでは教育者としてだけではなく伝説的なピアニストでありレパートリーもかなり広かったようです。残念ながら録音はあまり残ってなく、チャイコフスキーの四季など数点であるということです。演奏は、誠実で気高く作品に忠実で、まさにピアニストのお手本タイプといえます。
レフ・オボーリン 1963年2月 東京録音 (Lev Oborin in Tokyo 1963)
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第一回 4位 「グレゴリー・ギンズブルク」
1904年、ロシアでギンズブルクは生まれました。モスクワ音楽院で、著名なピアニストをたくさん輩出しているゴリデンヴェイゼルに師事しています。ショパンコンクール4位ではありましたが、その演奏は純粋で誠実であり、自身の信条も「たくさんの人に素晴らしい巨匠の作品を聴いてもらうこと」だということです。得意なショパンとリストの演奏が有名です。ギンズブルクも二つの世界大戦があったことから録音はほとんど残っていません。
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第二回 1位 「アレクサンドル・ウニンスキー」
ウニンスキーは、1910年にウクライナで生まれていますがキエフ音楽院の後にパリ音楽院へ移り研鑽を積みました。1932年のショパンコンクール第二回では1位を得たあとショパン中心の演奏活動をしています。録音は当時たくさんなされたといわれていますが現在レコード、CDはわずかにあるのみです。演奏はスマートで技巧的ですが、すっきりとした現代的な雰囲気があります。
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第三回 1位 「ヤコフ・ザーク」
ザークは、1913年ウクライナの生まれです。モスクワ音楽院で、伝説的なピアニストである「ゲンリヒ・ネイガウス」に学びました。ネイガウスは「グスタフ・ネイガウス」から四代続いているピアニストで、子供は「スタニスラフ・ネイガウス」であり孫は、現代に活躍する「スタニスラフ・ブーニン」です。
ネイガウスはユダヤ人であったためなのか、弟子はユダヤ人が多くザーク自身もそうであるのですが、この「ネイガウス クラス」は特に優秀なピアニストをゾクゾクと輩出していることで有名です。1937年ショパンコンクール第三回の1位ザークの演奏は、穏かでゆったりと規模の大きなものであったということなのですが、ショパンの演奏録音を聴く限りではテンポ・ルバート(テンポを急に落としたり自由に変えること)が印象的でいささかオーバーであり、個性的だというイメージがあります。
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第三回 8位 ヤン・エキエル
1913年ポーランドにエキエルは生まれました。2014年に101歳目前に死去していますが、ショパンコンクール以来その名前はピアニスト、教育者としてだけではなくショパンを学習する人には「エキエル版」の楽譜としての名前で知られています。ショパンの研究者、楽譜の編集者などで数々の勲章を授与されたポーランドの英雄の1人といえます。演奏は、感情に溺れないすっきりとしたスタイルといった印象を受けます。長生きをしたピアニストの1人であることから、演奏は多く残されておりショパンの作品を聴くことができることは幸いです。
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過去の貴重な遺産である「ピアノ演奏録音」
いかがでしたでしょうか。ショパンコンクールの第一回から第三回までの入賞者たちは、すでに亡くなっている方がほとんどです。第二次世界大戦前に活躍した人は、ピアノコンサートどころではなく活躍する場を失われ大変であったと思います。現在では録音はわずかに残る状態の人もいますが、過去の貴重な遺産である演奏を聴くことができることに感謝と敬意を表したいと感じます。
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この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。