スペインのピアノ曲は情熱的!巨匠音楽家四人の名曲をご紹介
スペインの音楽はどれも情熱的で南国の情緒がいっぱいです。ピアノ曲も熱く激しく語ります。フラメンコのギターのように超絶技巧を駆使してピアニストが全身で表現する熱い音楽をお聴きください。きっとスペイン音楽の虜になるでしょう。
- 26,113views
- B!
アイキャッチ画像出典:www.pinterest.jp
スペイン独自のリズムとメロディー
出典:pixabay.com
ご紹介します音楽家はすべて19世紀の末頃生まれています。スペインという国は、中世期の世界の中で大国として力がありヨーロッパの国々に影響がありましたが、国の中でもそれぞれ小さな国に分かれ独自の言葉や文化、音楽があったのです。その独自の民謡のリズムやメロディは時代が、どう変わろうともスペインの人たちの遺伝子の中に組み込まれてきたのかもしれません。19世紀のフランスやドイツなどの音楽から強い影響があったとは感じられず、スペイン独自の音楽はこれからご紹介する音楽家たちによりしっかりと生み出されたことは驚くべきことだと感じます。いずれの音楽も、民謡から主題をとったものではなく作曲家の魂の中から自然に生まれた「スペイン的な」リズムとメロディなのです。では、どうぞ聴いてみてくださいね。
グラナドス スペイン舞曲より アンダルーサ
エンリケ・グラナドスはスペインを代表する作曲家の1人です。1892年スペイン生まれで、優れたピアニストでもあります。このアンダルーサは「スペイン舞曲集」の中の一曲で彼の作品の中ではもっとも有名なものです。ギターなどいろいろな楽器に編曲され愛されている曲ですが、少し寂しい雰囲気のする「スペインらしさ」を感じさせる傑作となっています。グラナドスは、自分の曲に曲名を具体的につけてはいなかったので、各出版社が勝手に題名をつけて出版してしまった経緯があります。そのため楽譜出版社により題名が異なっているなどの混乱があるので注意が必要のようです。
グラナドス:スペイン舞曲集
価格 2,472価格
アルベニス スペインの歌より 前奏曲(アストゥリアス)
アルベニスは1886年に生まれたスペインを代表する作曲家ですが、幼少からピアノでは神童として知られていました。この曲は彼の代表的な作品といわれていますが、ちょっと混乱するような事情があります。それは後の出版社の編集により「スペイン組曲」の中に勝手に「アストゥリアス」という名前で「スペインの歌」の「前奏曲」を出版してしまったということなのです。同じ曲が別名で他の曲集に入っているというおかしな事情ができてしまったのですね。また、この曲は元々アルベニスがフラメンコギターの曲を聴いて感銘を受けて作曲をしているため、ピアノ曲ではなくギター用に編曲されたものが有名になりました。激しく音を打ち付ける情熱的な曲風は、「これぞまさにスペイン」と思わせる傑作です。
入江のざわめき/スペイン・ピアノ名曲集
価格 2,200円
アルベニス スペイン組曲より タンゴ
スペインといえば、フラメンコやギターのかき鳴らしやタンゴを連想するのではないでしょうか。このアルベニスの「タンゴ」は代名詞のように有名な曲です。ハバネラ風の陽気なメロディに、穏かでのどかな雰囲気とスペインの紺碧の海と白い壁を思い浮かべてしまいますね。いろいろな楽器に編成され世界中で愛され続けており、ピアノでは「ゴドフスキー」による技巧的な編曲もピアニストの間で人気があります。
入江のざわめき~スペイン・ピアノ名曲集
価格 5,192円
ファリャ ノクターン
ファリャは、グラナドスやアルベニスと同様にスペインを代表する有名な作曲家です。管弦楽曲、バレエ曲、歌曲、室内楽曲など多数ありますが、ピアノ曲では「火祭りの踊り」がよく演奏されています。ファリャの作風は、先にご紹介しました二人の技巧的で激しい感情をぶつけるようなものとは異なっており、たくさんの音をたっぷりと使う表現法ではなく、しっとりと語りかけてくるような親密さが感じられます。
マヌエル・デ・ファリャ:ピアノ作品全集 CD, Import
価格 2,668円
モンポウ 内なる印象
モンポウは、あまりご存知でない人も多いと思いますがスペイン国内では、近年再評価されておりピアニストによる演奏も増えるに従い、20年ほど前から徐々に楽譜の出版がされるようになりました。モンポウの作風は、その人となりに強く由来するようです。彼はとても内向的で、人前で演奏するピアニストとしては断念する他なかったようで一時期精神衰弱にもかかっていたそうです。彼の音楽は極端に音が少ないため独特な音の純粋さが感じられ、楽譜に小節線を書かないという「サティ」との類似性もいわれています。一見のんびりとした穏かさがあり演奏は易しそうですが、少ない音での表現はかえって難しいともいえます。この「内なる印象」はパリで印象派に傾倒していたことが想像でき、「内側に向かう感情」は切々と物悲しくもあり、ほんわかとした暖かみのある名曲です。静かなピアノの音を聴きたいときにお勧めします。
モンポウ:ピアノ作品集 Limited Edition
価格 1,580円
南国の熱気と情熱的な愛
いかがでしたでしょうか。スペインの作曲家の名曲の数々に何をお感じになったでしょうか。スペインのような南国の熱気、フラメンコギターのかき鳴らし、黒い瞳と丹精な顔立ち、そういったスペインのイメージはそのまま「情熱的な愛」という印象につながりますが、どうでしょう。
ご紹介しましたアルベニス、グラナドス、ファリャ、モンポウも熱い恋をしたのでしょうか、そんなことを考えてしまいました。
この記事のキーワード
この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。