フォーレを聴いて「優しさ」と「宿命観」に浸ってみる!有名曲5選
ガブリエル・フォーレはフランスを代表する作曲家の1人です。その音楽は、優しさに満ちていて激しい感情を露わにすることは滅多にありません。ただ、心の奥深くに何かしら「宿命感」に似た悲壮観も感じてしまうのです。
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ガブリエル・フォーレという大作曲家
フォーレは、1845年に生まれています。ショパンが亡くなり、音楽は次の時代へと変わろうとしている頃といえます。フォーレは最初、古典宗教音学校に入り後にパリ音楽院院長を務めていますから、音楽は古典的で人間的にも穏やかで真面目な印象です。それは作品にも表れており、感情的に激しくなるような「盛り上がり」はあまりないものが多い感じを受けます。ただ、それは曲により時には大変苦しい心情を吐露するかのような一面を見せるのです。これからご紹介します5つの曲をどうぞ聴いてみてくださいね。
1. シシリエンヌ
シシリエンヌは、フォーレを代表する曲の一つです。とても人気があり、いろいろな楽器編成で演奏されていることからもわかります。穏やかで、しみじみと語りかけてくる音楽はその冒頭部分から人を引きつけて止まない魅力があり、「これがフォーレ」という凝縮した良さがあるように思います。ぜひいろいろな楽器の編曲で聴いてみてくださいね。
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2. 夢のあとに
「夢のあとに」もフォーレの代表的な曲ですが、題名とは裏腹に「かなり心に迫ってくる」感じではないでしょうか。悲壮感漂うこの曲も「シシリエンヌ」のようにいろいろな楽器編成で演奏されています。ただ、チェロとピアノで演奏される機会が多いような感じを受けるのは、チェロの落ち着いた音色がより一層心をかき乱すことに成功しているからかもしれません。「ヨーヨーマ」「カザルス」など名チェリストたちが演奏をしています。
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3. パヴァーヌ
フォーレは、激しい感情とは無関係のようでありながら「パヴァーヌ」のように、淡々と「自分の宿命」に抗うことなく受け入れるような雰囲気の曲を書いています。それは、悲壮感あふれるというより小さくため息をついて諦める、といった人生の悲哀を謳っているように聴こえはしないでしょうか。人生が順風満帆のように見えたフォーレにもこのような感情があるのかと思う作品です。
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4. エレジー
「エレジー」というのは「悲歌」と邦訳しますが、この曲はフォーレの作品中めずらしく「悲壮感」を直接に心に訴えるものです。かなり重々しく、号泣しているかのような場面から入り中間部分では穏かな慰めのメロディーが聴こえてきます。しかし、最後は絶望のどん底に落ちていくかのような終わり方をしており、救いのないほどの悲しみなのかもしれません。
フォーレ:チェロ・ソナタ第1番&第2番&エレジー他
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5. ドリー より子守唄 (4手のピアノため)
「ドリー」は、フォーレの友人の娘のエレーヌの愛称であり、彼女への贈り物として作られた曲です。6曲あり、中ではこの「子守唄」が有名でよく演奏もされています。技術的にも易しいことや、たいへん愛らしく楽しい曲なので発表会にもよく弾かれているようですね。「ミーアーウー」「子猫のワルツ」など小さな子供と子猫が楽しくたわむれている様子も想像でき、ドガやルノワールの印象派の絵のような感じを受けます。
フォーレ:舟歌、即興曲、無言歌、「ドリー」組曲 他
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フランスが誇る大作曲家
いかがでしたでしょうか。フォーレは、生涯にたくさんの作品を残しています。ピアノ曲、室内楽、歌曲、宗教曲など多種ありますから専門家でもなければ全部聴く機会はないでしょう。優れた指導者であり、フランスの音楽界で尊敬されただけではなく、亡くなった際には国葬されたと伝わっています。穏かでのどかな中にも激しい感情を時には出し、諦めに似たため息をついて現実を静かに受け入れる、そんな感想を抱きましたが、どうでしょうか。
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この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。