北欧モダンデザインの超ロングセラー、ヤコブセンのチェアで心もウキウキ!
家具が趣味というのもおしゃれなものではないでしょうか。今回は北欧モダンデザインの超ロングセラー、ヤコブセンのチェアをご紹介します。
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家具にもこだわりを
デンマークの建築家でデザイナーのアルネ・ヤコブセンの家具は、モダンで都会的でありながら、人間味のあるあたたかなデザインで、現在もなお世界的に根強い人気を誇っています。特に、エッグチェアやアントチェアなどの椅子はモダンデザインの家具の代名詞ともいうべき超ロングセラー商品です。
そんなヤコブセンのチェアやソファも、近年ジェネリック商品も含めて入手しやすくなっています。ヤコブセンの椅子のあるお部屋の空間づくりを楽しんでみませんか。
インパクト大のエッグチェア
ヤコブセンが設計したデザイン家具の中でも、もっともひろくその形態が知られているのがエッグチェアではないでしょうか。
エッグチェアは、もともとは1958年にスカンジナビア航空ロイヤルホテルのロビーで使用される目的で設計されたもので、その斬新なフォルムから人気が高まり、世界中で販売されるようになりました。
まるで座る人をやさしく包み込んでくれるようなそのフォルムは、ヤコブセンが粘土を使って造形し、モデリングを行って追求したものといわれています。
開発当時のオリジナル製品は、シェルの張地の下に硬い発泡材を使用するという画期的な手法に注目されました。現在では世界中の公的施設のほか一般家庭でも愛用されているロングセラー商品です。
心地よいのに機能的なスワンチェア
スカンジナビア航空ロイヤルホテルのためのソファ椅子を設計したときに、実はヤコブセンはもうひとつのソファ椅子を設計しています。それがスワンチェアです。エッグチェアと同様に曲線だけで構成され、人を包み込むようなやわらかなデザインです。
エッグチェアが完全な「個」の安らぎをあたえてくれるソファ椅子だとすれば、スワンチェアは立ち座りの機動性と、座りながらの作業性がしやすい特徴をもっています。エッグチェアのファンは多く、家庭に購入して愛用されている数も多いようですが、このスワンチェアは、洗練された都会的な雰囲気をかもしながらも、ライブな生活感にぴったり寄り添ってくれる不思議な魅力をもっています。
設計から半世紀が経過したとは思えない現代的なデザインの椅子。ぜひ、安らぎのエッグチェアと、機動性のスワンチェアの、ふたつのデザインを一緒に取り入れて生活を楽しみたいもの。それには、お手ごろなジェネリック商品がおすすめです。
エッグチェアのインパクトが大きいだけについ見過ごされやすいのですが、実はヤコブセンの設計したチェアで最初に商品化されて成功したデザイン椅子はアント・チェア、すなわち「蟻さんの椅子」です。ヤコブセンが最初に成形合板を採用したスタッキングチェアとして、隠れた彼の代表作でもあるのです。
これはヤコブセンが設計した製薬会社の社員食堂のためにデザインされた椅子で、そのため限られたスペースに効率よくたくさんの人が座れるように考えられています。そのため、最初のオリジナルデザインは、前に1本、後ろに2本の3本脚というユニークな構造になっているのです。その後、この蟻さんを思い起こさせるユーモラスな背板が人気を集め、使いやすい一般的な4本脚の商品も市販されるようになりました。
ヤコブセンの思想を味わいたい人にはぜひ3本脚のクラシックバージョンをおすすめします。
世界的大ヒット作のセブンチェア
一見、見た目には地味ですが、実はヤコブセンのデザイン家具で最も多く販売されてきたのはセブンチェアです。1955年に設計されたセブンチェアが、1963年にイギリスのヌードモデル、クリスティーン・キーラーの写真で使われたことで、その近未来的で洒落たフォルムが一躍注目されたのでした。しなやかで印象的な曲線美が女性の体の曲線美と呼応して美しい空間を演出した写真でした。
セブンチェアは、そうしたモダンで有機的な曲線美を極限まで単純化しながら、いくつもの椅子を重ねてコンパクトに収納できる機能性も兼ねそろえているのです。クラシックモデルはシンプルな4本脚ですが、そのシンプルなフォルムは立ち座りに弁理で、そのため背の高いカウンタースツールも販売されています。
世界中で愛されたイス
曲線を特徴とするモダニズムの巨匠、ヤコブセンが生み出した愛すべき椅子たち。半世紀たった今もなお世界中で愛されているのは、さまざまな生活空間のシチュエーションにもしっくり馴染む順応性が高いからでしょう。いまの生活空間のままでも、そこにひとつヤコブセンの椅子が置かれるだけで、毎日がウキウキしてくるのではないでしょうか。
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この記事のライター
藝術文化系のコラム、論評の執筆を多くこなしてきました。VOKKAではインテリアなど、アートに関わる記事を中心に執筆しています。