未来を先取りしたフィンランドの異端児エーロ・アールニオの名作椅子4選
普段の生活においても家具にはこだわりもちたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
今回はインテリアデザイナーエーロ・アールニオのおすすめ家具をご紹介します。
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60年代に作られた未来的なデザインのイス
フィンランド・ヘルシンキ生まれのインテリアデザイナーで、1960年代に度肝をぬく未来的な椅子のデザインで世界的に注目を集めた作家です。特に、一般的な「椅子」という概念を大きく逸脱した形態の作品は、ポップカルチャーまっただ中の時代にあって、未来の人間の生活を予見するような新たな家具の可能性を示唆し、家具デザイン界に衝撃を与えました。様々な素材や技術の発展が著しい現代において、デザインが人間の生活にどのように寄与できるか。それが、エーロ・アールニオのデザイン哲学といえるでしょう。
未来の椅子!? ボールチェアで究極の安らぎを
エーロ・アールニオの作品でもっとも有名なのが「ボールチェア」とよばれる球体状の安楽椅子です。アールニオは、最もシンプルな幾何学形態である「球」をもとにした椅子を考案し、1966年のケルン国際家具フェアで、このボールチェアを発表しました。度肝をぬくその形態がセンセーションを巻き起こしたことは言うまでもありませんが、この作品が単に奇抜なだけではなく、座るという行為にまつわるプライベートな休息環境を突き詰めた究極のデザインにもなっているところが、時代を超えて語り継がれる名作になっているのです。まさに「部屋の中の部屋」ともいわれるこのボールチェアに身を沈めて、贅沢な自分の世界に浸ってみたいものです。
キャンディーに包まれて遊ぶ!? 夢あふれるパスティルチェア
パスティル(pastil)とはドロップキャンディーのこと。子どもが大好きな名前をつけたこの「パスティルチェア」は、文字通り、カラフルで楽しい気持ちになるポップな椅子として、1968年にアメリカのインターナショナル・デザインアワードに輝いたアールニオの代表作のひとつです。底面は丸みを帯びているため、座るとゆらゆらロッキングするようにできているのです。子どもが思わず座りたくなって、座っても楽しく遊べるでしょう。耐久性に優れたFRPを素材に使っているため、室内のみならず野外に設置することもできます。インテリアとして置くのもよし、子どもの遊具として使うのもよし。アールニオならではの夢にあふれた逸品です。
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宇宙時代にふさわしい!? 「ロケット椅子」
子どもが喜ぶ椅子といえば、アールニオの作品で外せないのが「ロケットスツール」です。これは一目瞭然、ロケットの形をした愛らしいスツール。ボールチェアやパピーチェアなどのような未来を感じさせる斬新なフォルムを生み出してきたアールニオだからこそ作り得たユニークな椅子といえます。見た目は丸みを帯びたコミカルな姿をしていますが、意外にも安定感は抜群。背丈の異なるバリエーションがあるので、子ども用に限らずカウンター用のスツールとしても使えます。座面はソープ仕上げで木目を美しく際立たせるという手の込みようで、子ども用というより、遊び心を忘れない大人のための椅子といえるかもしれません。
思わず飛びつきたくなる「仔犬」の椅子
「子ども目線」に秀でたアールニオの、近年の秀作がこの「パピーチェア」です。「パピー(puppy)」とは仔犬のこと。小さい子どもならかならず飛びつきたくなる愛らしいフォルムをしたこの製品は、一見ぬいぐるみのようですが、れっきとした椅子なのです。ポリエチレン製でいくつものカラフルなバリエーションがありますが、マットカラーのバージョンは屋外でも使うことができます。丸みを帯びたその造形が親にも安心感を与えますが、そのフォルムの抽象性と子どもの琴線を刺激するかわいらしさから、椅子というよりもお部屋のインテリアとして使いたくなるアイテムです。
子どもにも喜ばれるチェア
エーロ・アールニオのデザイン作品は、その度肝を抜く前衛的なフォルムが注意をひきつけますが、彼の作品が特に子どもたちの興奮を呼び起こしてきたことには注目すべきでしょう。子どもたちは、知識や論理ではなく直観でフォルムの親密さを判断できる天才です。デザインとは、いつの時代にも人々の心と生活を豊かにするために機能するもの。その点でアールニオは、現代の英知を駆使して創造し得る夢の家具を作り出している老練のデザイナーでありながら、今もなお世界の最先端にいる巨匠といえます。
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この記事のライター
藝術文化系のコラム、論評の執筆を多くこなしてきました。VOKKAではインテリアなど、アートに関わる記事を中心に執筆しています。