フランス革命にまつわるパリの史跡・観光スポット10選

フランス国内はもとより、世界の歴史に大きな影響を与えたフランス革命。パリを訪れれば、フランス革命は決して遠い昔の出来事ではないことを肌で感じられます。今回は、歴史好きにおすすめのフランス革命に関わりの深いパリのスポットをご紹介しましょう。

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フランス、そして世界の歴史を変えたフランス革命

18世紀末に起こったフランス革命は市民が主導の革命で、近代ブルジョア社会を樹立する直接のきっかけになりました。1789年に本格的に革命が勃発して絶対王政やアンシャン・レジームが崩壊し、立憲王政を経て現在の共和制に移行しました。フランス共和国の理念である「自由、平等、友愛」は革命期に誕生し、その後多くの国家がこの理念を導入しています。
歴史的建造物が数多く残るパリには、フランス革命を偲ばせるものがたくさん残っています。今回は、その中の一部をご紹介しましょう。

アンヴァリッド(Invalide)

出典:www.musee-armee.fr

元々は、17世紀にルイ14世が退役軍人の収容施設として造った建物です。20世紀初頭からは「軍事博物館」となり、世界の武器や軍服、フランスおよびヨーロッパの軍隊の歴史を学べる展示がなされています。博物館の奥にある金色のドームの教会内にはナポレオンの棺が安置されており、来館者は自由に見学することができます。ロダン美術館も隣接しているので、興味があればこちらもどうぞ。

出典:exploringrworld.com

フランス革命は当時バスティーユにあった監獄の襲撃から始まったと言われますが、バスティーユ監獄襲撃のために市民がこちらのアンヴァリッドから武器を調達したそうです。市民に人気があった財務総監ジャック・ネッケルが王により罷免された際、数千から数万もの憤慨した市民たちがアンヴァリッドに押しかけ、3万丁の拳銃を奪いバスティーユに向かいました。バスティーユ監獄襲撃の2日前の7月12日の出来事だったそうです。

アンヴァリッド(Invalide)
住所 129 rue de Grenelle 75007 Paris
電話 +33(0) 810 11 33 99
アクセス メトロ8号線「Invalides(アンヴァリッド)」
           「La Tour Maubourg(ラ・トゥール・モーブール)」
     メトロ13号線「Varenne(ヴァレンヌ)」
           「Saint François-Xavier(サン・フランソワ・グザビエ)」
オープン時間 4月1日~10月31日:10時~18時、11月1日~3月31日:10時~17時 
閉館日 リンクを参照
入場料 常設展:11ユーロ、企画展:8.5ユーロ

ホーム - Musée de l'Armée

バスティーユ広場(Place de Bastille)

出典:monumentsdeparis.net

現在フランス共和国では7月14日が革命記念日となっていますが、その日は市民がバスティーユ監獄を襲撃した日に因んでいるのです。フランス革命当時はこちらに国事犯の収容されていた監獄があり、市民の間ではこの監獄は悪政の象徴でした。ちなみに、サディズムという言葉で有名なサド侯爵もこちらに収監されていたことがあります。
今では、7月革命を記念した塔が広場の中心にあります。おしゃれな界隈として有名なマレ地区も近く、カルナヴァレ博物館も徒歩圏内です。

出典:frompariswithlove-becky.blogspot.fr

当時を偲ばせるものは跡形もありませんが、地下鉄の「バスティーユ」駅の構内には、フランス革命をモチーフにした壁画が描かれています。

バスティーユ広場(Place de Bastille)
住所  Place de la Bastille 75011 Paris 
アクセス メトロ1・5・8号線「Bastille(バスティーユ)」

マレ、バスティーユ | フランス観光 公式サイト

パリ,パリ旅行,マレ,バスティーユ,フランス

サンジャックの塔(Tour Saint-Jacques)

出典:paris1900.lartnouveau.com

パリの賑やかなリヴォリ通りとセバストポール通りの交差点に、不思議な塔があります。かつて存在した「サン・ジャック・ラ・ブシュリー教会」の鐘楼で、52メートルもの高さがあります。1792年、フランス革命の折に他の部分が壊され、現在のような姿になったそうです。1792年から1794年にかけて、王政下で特権階級にあったカトリック聖職者は徹底的に弾圧され、多くのキリスト教関連施設や貴重な文物が破壊の憂き目に遭いました。この塔でパスカルが気圧実験をした史実があったので、塔だけは破壊を免れたという逸話も。
ちなみに、かつて存在した教会はサンティアゴ巡礼路の出発点でもあり、1998年にユネスコ世界遺産に登録されています。

出典:en.parisinfo.com

こちらは、塔から見たパリの町並み。パリには高い建物がないので、地上52メートルからの眺めが丁度よいのですね。現在、塔内は一般公開されていませんが、夏の間だけ期間限定で公開されています。
シャトレやシテ島などパリの中心地に位置しているので、ノートルダム大聖堂やサント・シャペル観光のついでにどうぞ。

サン・ジャックの塔  | フランス観光 公式サイト

パリ,パリ旅行,コンコルド広場,チュイルリー公園,ルーブル美術館,フランス

サンジャックの塔(Tour Saint-Jacques)
住所 Square de la Tour Saint-Jacques 75004 Paris
アクセス メトロ1・4・7・11・14号線「Châtelet(シャトレ)」
     メトロ1・11号線「Hôtel de Ville(オテル・ド・ヴィル)」

Tour Saint-Jacques - Paris tourist officePARIS

Tour Saint-Jacques - The Tour Saint-Jacques stands alone in the middle of a little garden of the same name. A tower in the flamboyant Gothic style,...

パレ・ド・ジュスティス(Palais de Justice)

出典:www.paris-on-line.com

こちらはかつて王会があった場所で、現在も破毀院(日本で言う最高裁判所)、パリ控訴院、パリ重罪院、パリ大審裁判所など、複数の主要な司法機関がこちらに集まっています。フランス革命期は、1793年から1795年にかけて革命裁判所がこちらに置かれました。恐怖政治時代にはここで多くの人が容赦なく裁かれ、断頭台に送られました。ちなみに、ステンドグラスが美しいサント・シャペルやマリー・アントワネットの独房があったコンシェルジュリーはこちらに併設されている施設です。

出典:tempsreel.nouvelobs.com

現在、パレ・ド・ジュスティスは無料で内部を見学することができます。建物は何度も修復や再建を繰り返しているため、現在の姿のようになったのは20世紀初頭頃なのです。館内には黒服の司法官の姿があり、なんとも言えない緊迫感があります。

パレ・ド・ジュスティス(Palais de Justice)
住所 10 Boulevard du Palais 75001 Paris
電話 +33(0)1 44 32 51 51
アクセス メトロ4号線「Cité(シテ)」
オープン時間 月曜~金曜 8時半~6時半
休館日 土日
入場料 無料

Palais de Justice

チュイルリー公園(Jardins des Tuileries)

出典:www.chinadaily.com.cn

ルーブル美術館に隣接している、パリの有名な観光スポットでもあるチュイルリー公園。かつてはここにチュイルリー宮殿がありました。17世紀から19世紀にかけて王宮として使用されており、ルイ14世やナポレオンも住んでいたことがあります。フランス革命期には、国王一家がヴェルサイユからチュイルリー宮殿に身柄を移されました。1792年に市民がチュイルリー宮殿を襲撃する8月10日事件が起こるまで、国王一家はこちらで暮らしていました。

出典:www.flickr.com

ヴェルサイユ宮殿やシャンティイ城の造園でも有名な、ル・ノートルによる庭園は大変優美です。園内にはモネの『睡蓮』で有名なオランジュリー美術館と、1960年以降の現代アートの企画展が行われるジュー・ド・ポーム美術館があります。

チュイルリー公園(Jardins des Tuileries)
住所 113 Rue de Rivoli 75001 Paris
アクセス メトロ1号線「Concorde(コンコルド)」
        「Tuilerie(チュイルリー)」
        「Palais-Royal/Musée du Louvre(パレ=ロワイヤル/ミュゼ・ルーヴル)」
オープン時間 9月の最終日曜日から3月の最終土曜日:7時半~19時半
       3月の最終日曜日から9月の最終土曜日:7時~21時
       6月・7月・8月は23時まで


チュイルリー公園 Jardin des Tuileries | フランス観光 公式サイト

彫刻や噴水で美しく飾られた野外美術館。西はシャンゼリゼ大通り、東はルーヴル美術館まで広範囲に広がるチュイルリー公園はパリ市内にある最古の庭園です。チュイルリーという名前は、かつてこの地に瓦(チュイール)を製造する工場があったことに由来しています。

コンコルド広場(Place de la Concorde)

出典:en.parisinfo.com

チュイルリー公園とシャンゼリゼ通りの間にある広場です。現在は1831年にエジプト副王から贈られたオベリスクが立っていますが、当初はルイ15世の騎馬像が置かれていたので「ルイ15世広場」と呼ばれていました。フランス革命期には「革命広場」と呼ばれ、国王ルイ16世やマリー・アントワネットらもこちらで断頭台の露と消えました。激動の時代を経て、現在は「調和」を意味する「コンコルド(concorde)広場」という名前に。車や人がひっきりなしに往来する賑やかな場所です。

コンコルド広場(Place de la Concorde)
住所 Place de la Concorde 75008 Paris
アクセス メトロ1・8・12号線「Concorde(コンコルド)」
     メトロ1号線「Tuilerie(チュイルリー)」

コンコルド広場のオべリスク | フランス観光 公式サイト

3000年以上の歴史。エジプトの副王モハメド・アリが1831年にフランスに贈ったルクソールのオベリスクは、5年間にわたる旅と紆余曲折を経て、1836年10月25日にコンコルド広場に設置されました。

ブルボン宮殿(Palais Bourbon)

出典:en.parisinfo.com

ブルボン宮殿は、コンコルド広場から架かるコンコルド橋を渡ってすぐのところのあります。フランスでは比較的珍しい古代ギリシアのコリント式の建物です。ルイ14世と愛妾のモンテスパン夫人の間の娘である、ブルボン公爵夫人のために造られました。革命期には、現在の下院にあたる五百人会の会議場として使われていました。

出典:en.parisinfo.com

現在も国民議会の下院の議事堂として使用されています。一般公開はされていませんが、9月のヨーロッパ文化遺産の日だけは見学することができます。建物内には豪華絢爛な装飾がなされており、とりわけドラクロワの壁画が描かれた図書館は圧巻です。チャンスがあればぜひとも訪れたいスポット。

ブルボン宮殿(Palais Bourbon)
住所 126 Rue de l'Université 75007 Paris
アクセス メトロ8号線「Invalides(アンヴァリッド)」

the French National Assembly

コンシェルジュリー(Conciergerie)

出典:en.wikipedia.org

パレ・ド・ジュスティス内にあるコンシェルジュリー。元々はカペー朝の宮殿として造られた建物ですが、14世紀の終わりに王宮がルーヴル宮とヴァンセンヌ宮に移り、以後、司法機関及び監獄として1934年まで使用されるようになります。フランス革命期には革命裁判所が近くに置かれ、多くの人々が収監されたそうです。

出典:www.francetravelplanner.com

王妃マリー・アントワネットも人生最期の2ヶ月間、こちらに収監されていました。当時の様子を再現した彼女の独房を見ることができます。ヴェルサイユでの華やかな暮らしから一転、暗く惨めな独房での最期は哀れを誘います。

コンシェルジュリー(Conciergerie)
住所  2 Boulevard du Palais 75001 Paris
電話 +33(0)1 53 40 60 80
アクセス メトロ1・11・14号線「Châtelet(シャトレ)」,
     メトロ4号線「Saint-Michel(サン=ミッシェル)」 「Cité(シテ)」
オープン時間 9時半~18時半
休館日 1月1日、5月1日、12月25日
入場料 9ユーロ

Conciergerie

カルナヴァレ博物館(Musée Carnavalet)

出典:parismusees.paris.fr

16世紀にパリ市議会議長ジャック・デ・リニュリの邸宅として建てられ、17世紀には建築家フランソワ・マンサールによって大々的に改装されました。17世紀後半には書簡集で有名なセヴィニエ夫人が住んでいたことでも知られています。19世紀半ば頃に建物はパリ市に買い上げられ、当時セーヌ県知事だったジョルジュ・オスマンの主導の元、パリの歴史を伝える博物館としてオープンしました。

出典:www.artluxuryexperience.com

先史時代から現在に至るまで、パリの歴史にちなんだ展示を見ることができます。フランス革命期の収蔵品も豊富で、当時の様子や事件を描いた絵画や、ルイ16世やマリー・アントワネットら国王一家の革命期の暮らしを偲ばせる遺品など、重要な資料が展示されています。アントワネットの指輪や王太子の肖像画など、ここでしか見られない大変貴重なものも目にすることができます。

カルナヴァレ博物館(Musée Carnavalet)
住所 23 rue de Sévigné 75003 Paris
電話 +33(0)1 42 72 22 62
アクセス メトロ1号線「Saint-Paul(サン・ポール)」
     メトロ8号線「Chemin vert(シュマン・ヴェール)」
オープン時間 10時~18時
休館日 月曜日
入場料 常設展:無料、企画展:4.5ユーロ

Homepage | Musée Carnavalet - Histoire de la ville de Paris | Paris.fr

サン・ドニ大聖堂(Basilique de Saint-Denis)

出典:www.uefa.com

世界で初めてのゴシック様式建築として有名な大聖堂です。こちらは正確にはパリではなく、パリ北東のサン・ドニにあります。サン・ドニ大聖堂は歴代フランス王家の墓所と呼ばれ、革命の犠牲となったルイ16世とマリー・アントワネットの墓もこちらにあります。
あまり治安が良くないエリアなので、観光の際は服装や手荷物に気をつけましょう。

出典:saintdenis-tombeaux.forumculture.net

こちらは、ルイ16世とマリー・アントワネットの姿をかたどった石像です。地下聖堂には二人の墓やパリ初の司教サン・ドニの墓、ルイ14世ら歴代王の心臓が祀られています。ルイ16世とマリー・アントワネットの息子である、10歳で病死したルイ17世の心臓もあります。ちなみに、ルイ17世には生存説も囁かれていましたが、2004年にDNA鑑定が行われ、心臓の持ち主が間違いなく国王夫妻の子供であることが証明されました。
学生時代に教科書で見た歴代のフランス王たちに近づけた気分になれる、歴史好き必見のスポットです。

サン・ドニ大聖堂(Basilique de Saint-Denis)
住所 1 Rue de la Légion d'Honneur, 93200 Saint-Denis
電話 +33(0)1 48 09 83 54
アクセス  メトロ13号線「Basilique de Saint-Denis(バジリック・ド・サン・ドニ)」  
オープン時間
    1月2日~3月31日(月曜~土曜):10時~17時15分、(日曜):12時~17時15分
    4月1日~9月30日(月曜~土曜):10時~18時15分、(日曜):12時~18時15分
    10月1日~12月31日(月曜~土曜):10時~17時15分、(日曜):12時~17時15分
入場料 9ユーロ

Basilique cathédrale de Saint-Denis

歴史が動いた瞬間に出会う旅。

いかがでしたか。パリの華やかさの裏には、壮絶な歴史があったのです。フランスを大きく変えた18世紀の革命に思いを馳せ、歴史を肌で感じる旅に出かけてみませんか。きっと今までにない豊かな経験ができるはずです。ちなみに、革命記念日である7月14日には軍事パレードや花火、音楽祭などイベントも多数行われるので、興味があればぜひ足を運んでみてくださいね。

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