ベル・エポックにタイムスリップ。パリの壮麗な鉄とガラスの建築10選
今回は、主にベル・エポック期に作られた鉄とガラスの織りなすパリの美しい建物群をご紹介しましょう。パリ観光の際には、ぜひ足を運んでみてください。
- 12,315views
- B!
華麗なる時代に生まれた建築たち
19世紀後半から第一次世界大戦が始まる頃までの時代は「ベル・エポック(美しい時代)」と呼ばれ、パリが最も繁栄していた時です。そんな時代に生まれたのが、新しい素材である鉄とガラスを組み合わせた建築です。しなやかな鉄骨と光が降り注ぐガラス張りの天井や窓のある建築は、移ろいゆく自然の光を表現した、同時代に生まれた印象派にも通じるものがありますね。かつての華やかさを今に伝える建物を訪れて、美しき時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
グラン・パレ(Grand Palais)
出典:france.fr
パリで最も賑やかなシャンゼリゼ通りにほど近いこちらの美術館は、1900年に行われたパリ万博の展示室のために建てられました。全長240メートル、高さ45メートルもの大規模な建物で、設計には4人もの建築家が携わっています。パリ万博の華やかなムードを今に伝える、ダイナミックでゴージャスなボザール様式の建物です。
こちらはガラスドームの内部。クラシカルな石造りの部分とモダンなアール・デコ様式の鉄骨の組み合わせが、当時はとても目新しいものでした。フランスの技術と進歩を世界に示すために作られた建物だったのです。現在はアートの展覧会場として使われ、これまでに、ピカソ、モネ、エドワード・ホッパー、葛飾北斎など、世界の名だたる画家の展覧会も開催されました。
Gland Palais(グラン・パレ)
住所 3 avenue du Général Eisenhower 75008 Paris
電話 +33 (0)1 44 13 17 17
オープン時間 リンクを参照
休館日 リンクを参照
アクセス メトロ1・9・13号線「 Franklin-D.-Roosevelt(フランクリン・ルーズベルト)」
メトロ1・13号線「Champs-Elysées-Clemenceau(シャンゼリゼ・クレマンソー)」
オルセー美術館(Musée d'Orsay)
出典:xdaysiny.com
1900年から1939年にかけて、オルセー駅として利用されていた建物です。印象派を中心に1848年から1914年頃までの、4000もの西洋美術作品を収蔵しています。ゴッホ、マネ、ルノアールなどの印象派の作品やアカデミズム絵画など、美術史上において外すことのできない重要な作品を多数展示しているので、アート好きは必見のスポットです。
ガランとした広いホールには、ここがかつて駅だった名残がありますね。天井から光が燦々と差し込むので、明るく開放的な雰囲気です。ちなみに、2011年末にリノベーションを終え、新たに展示スペースが400㎡も増えました。オルセー美術館から臨むセーヌ川沿いのパリの町並みも美しいので、ぜひ眺望を堪能しましょう。
Musée d'Orsay(オルセー美術館)
住所 1 Rue de la Légion d'Honneur 75007 Paris
電話 +33(0)1 40 49 48 14
オープン時間 火曜・水曜・金曜・土曜・日曜 9時半~18時、木曜9時半~21時45分
休館日 月曜日
アクセス メトロ12号線「Solférino(ソルフェリノ)」
RER・C線「Musée d'Orsay(ミュゼ・ドルセー)」
入場料 12ユーロ
自然史博物館 進化大陳列館(Musée national d'histoire naturelle, Grande Galerie de l’Évolution)
ルイ13世時代に設立された「王立薬用植物園」にルーツを持つ、4世紀もの歴史がある植物園内の博物館です。こちらの「進化大陳列館(Grande Galerie de l’Évolution)は19世紀に活躍した建築家、ルイ=ジュール・アンドレの作品。調和の取れた重厚感のある建物ですね。ちなみにこちらには進化大陳列館の他に、「比較解剖学と古生物学の博物館」や「鉱物学と地質学の博物館」などの施設もあります。
「進化大陳列館」という名の通り、動物たちの進化の過程を学ぶことができる博物館です。館内には様々な動物の剥製や骨格などがユニークな方法で展示されているので、見ていて飽きません。生命が地球に誕生してからの40億年の壮大な歩みに、感動を覚えます。
Musée national d'histoire naturelle, Grande Galerie de l’Évolution (自然史博物館、進化大陳列館)
住所 36 rue Geoffroy Saint-Hilaire 75005 Paris
電話 +33(0)1 40 79 56 01
オープン時間 月曜、水曜~日曜 10時~18時
休館日 火曜日、12月25日、1月1日、5月1日
アクセス メトロ5号線「Gare d'Austerlitz(ガール・オーステルリッツ)」
メトロ7号線「Censier Daubenton(サンシエ・ドーベントン)」
メトロ10号線「Jussieu(ジュシュー)」
RER・C線 「Gare d'Austerlitz(ガール・オーステルリッツ)」
入場料 9ユーロ
パリ植物園の温室(Jardins des plantes)
こちらもパリ植物園にある施設です。植物園内には3つの温室があり、それぞれ異なった環境の植物を育てています。1937年にルネ・ベルジェが建てた、丸いフォルムが印象的なアールデコ様式のこの温室は「冬温室(Serre d'hiver)」と呼ばれています。ここではバナナやつる性植物、ヤシなど、主に熱帯の植物を見ることができます。
「メキシカン温室」と呼ばれるこちらの温室では、その名の通り南アメリカに自生するサボテン、アボカド、コーヒー、胡椒などの植物を育成・展示しています。建築家のシャルル=ロオー・ド・フリュリが19世紀初頭に建てたこの温室は、パリ特有の「鉄とガラス」建築の初期を代表する作品と見なされています。
Jardins des plantes(パリ植物園)
住所 57 Rue Cuvier 75005 Paris
電話 +33(0)1 40 79 56 01
オープン時間 4月4日~9月18日 7時半~20時、9月19日~10月2日 8時~19時半
10月3日~10月16日 8時~19時、10月17日~10月30日 8時~18時半
10月31日~2月5日 8時~17時半
休館日 なし
アクセス メトロ5号線「Gare d'Austerlitz(ガール・オーステルリッツ)」
メトロ7号線「Censier Daubenton(サンシエ・ドーベントン)」
メトロ10号線「Jussieu(ジュシュー)」
RER・C線 「Gare d'Austerlitz(ガール・オーステルリッツ)」
入場料 7ユーロ
リヨン駅(Gare de Lyon)
1847年に完成した駅舎は、華やかな19世紀のムードを今に伝える鉄とガラスのレトロな建物です。ちなみにリヨン駅という名前は、リヨン方面に向かう列車がこちらから出発していたことに因んでいます。駅周辺には、「ヴィアデュック」と呼ばれるかつての高架下を利用した画廊や雑貨屋の集まるアーティスティックな界隈や、ワイン貯蔵庫を利用した可愛らしい商業エリア「ベルシー・ヴィラージュ」など見どころがたくさんあります。
リヨン駅に来たなら、ベル・エポック期の装飾が施されたレストラン「Le Train Bleu」でぜひお食事を。かつてパリの裕福なブルジョワジーたちは、リヨン駅からニースやマルセイユなど地中海沿岸の町へ向かいました。旅の始まりに相応しい、旅情をかき立ててくれる爽やかで美しい装飾は必見です。
Gare de Lyon(ガール・ドゥ・リヨン)
住所 Place Louis-Armand 75571 Paris
Le Train Bleu(ル・トラン・ブルー)
住所 Paris Gare de Lyon Place Louis-Armand 75012 Paris
電話 +33(0)1 43 43 09 06
Eメール contact.trainbleu@ssp.fr
オープン時間 (レストラン) ランチ 11時半~14時45分、ディナー 19時~22時45分
(バー)月曜~土曜 7時半~22時半、日曜・祝日 9時~22時半
平均予算 60~130ユーロ
ボン・マルシェ(Bon Marché)
世界初のデパートとして1852年に誕生したボン・マルシェ。ショーケースを使ったスペクタクルな商品の展示、バーゲンセール、返品サービスなど、今までになかった試みは20世紀の商業モデルの先駆けとなりました。1887年に大規模な改装があり、現在のような姿に。建築家のルイ=シャルル・ボワローと、エッフェル塔で有名なギュスターヴ・エッフェルが設計に携わりました。エッフェルが得意とした鉄骨の曲線が生かされています。
出典:www.lvmh.fr
ボン・マルシェの見どころは、何と言っても1階から4階までの巨大な吹き抜けです。この吹き抜けのおかげで、どこにいても全体を見渡せる作りになっているのです。世界最古のデパートであるにも関わらず、大変モダンでアーティスティックな空間が広がっています。
Bon Marché(ボン・マルシェ)
住所 24 Rue de Sèvres 75007 Paris
電話 +33(0)1 44 39 80 00
オープン時間 月曜~土曜 10時~20時、木曜・金曜 10時~20時45分
休業日 日曜日
アクセス メトロ10・12号線「Sèvres Babylone(セーヴル・バビロン)」
ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)
1912年オープンと、パリの百貨店の中では一番新しいギャラリー・ラファイエットですが、ヨーロッパ最大級の売り場面積で知られ、パリの中でエッフェル塔に次ぐ集客数を誇るスポットでもあります。オスマン通りの建物は、革新的な作品で知られる建築家、ジョルジュ・ジョダンヌの手によるものです。
高さ43メートルものクーポール(丸天井)には、ガラス細工師ジャック・グリュベールの手によるビザンチン様式の色ガラスが使用されています。光とガラスの織りなす美しさは、ため息が出るほど。その他、アール・ヌーヴォー様式の優美な装飾や、オペラ座から着想を得たゴージャスな手すりなども見どころです。まるで劇場のような素敵な空間です。
Galeries Lafayette(ギャラリー・ラファイエット)
住所 40 Boulevard Haussmann 75009 Paris
電話 +33(0)1 42 82 34 56
オープン時間 月曜~土曜 9時半~20時半、日曜 11時~19時
アクセス メトロ7・9号線「Chaussé d'Antin -La Fayette(ショッセ・ダンタン・ラファイエット)」
メトロ12号線「Trinité(トリニテ)」
メトロ3・7・8「Opéra(オペラ)」
プランタン(Printemps)
1865年に創設された百貨店で、かつては日本やアメリカ、サウジアラビアでも展開していました。モード館、コスメ・セゾン館、メンズ館の3つの建物に分かれています。建築はポール・セディーユが手がけたもので、アール・ヌーヴォー様式の丸屋根がとても印象的です。クリスマスシーズンにはイルミネーションやからくり人形のショーウィンドーが登場し、道行く人を楽しませています。
モード館の6階にあるレストランで、素敵な丸天井を見ることができます。1923年に作られたという、ステンドグラスで飾られた天井は非常に美しく、いつまでも眺めていたくなります。モダンでシックなレストランの内装は、人気インテリアデザイナー、ディディエ・ゴメス氏によるものです。
Printemps(プランタン)
住所 64 boulevard Haussmann Paris 75009
電話 +33(0)1 42 82 50 00
オープン時間 月曜~水曜、金曜・土曜日 9時35分~20時、木曜 9時35分~20時45分
休業日 日曜日
アクセス メトロ3・9号線「Havre Caumartin(アーヴル・コーマルタン)」
メトロ9号線「Saint-Augustin(サン・オーガスタン)」
メトロ3・12・13・14号線「Saint-Lazare(サン・ラザール)」
メトロ7・9号線「Chaussé d'Antin -La Fayette(ショッセ・ダンタン・ラファイエット)」
RER・A線「Auber(オーベール)」
パサージュ(Passage)
大きな通り同士をまたぐ通路として19世紀に登場した、ガラス天井のパサージュ。かつては華やかな買い物スポットとして親しまれていましたが、百貨店にその地位を奪われ次第に人々に忘れられていきます。しかしながら、近年のレトロブームでパサージュが再び注目を集めるようになりました。パサージュに足を踏み入れると、懐かしく不思議な気分になります。現在パリには右岸を中心に19のパサージュがあるので、レトロ好きな方はぜひ足を運んでみてくださいね。パサージュ内には店舗もたくさんあるので、お買い物や食事、ティータイムにもおすすめです。
パリで観光を楽しみながら買い物をするためのアイディアを集めました。パリ, 日曜日,ショッピング,買い物,休日,市場,蚤の市,ブキニスト,古本屋,古道具
こちらのページに見どころのあるパサージュのリストがあります。
ポルト・ドーフィヌ駅(Porte Dauphine)
地下鉄2号線のポルト・ドーフィヌ駅には、パリで最も美しいと言われる地下鉄のエントランスがあります。こちらは、アール・ヌーヴォーを代表する建築家、エクトール・ギマールが手がけました。かつてはギマールの手がけたエントランスはパリのあちこちにあったそうですが、今ではこちらのみとなっています。レトロで味のある装飾が素敵です。
ちなみに、最近この近くに「フォンダシオン・ルイ・ヴィトン」という新しい美術館ができたので、ここまで来たら立ち寄ってみるのもおすすめです。
住所 75116 Paris
アクセス メトロ2号線「Porte Dauphine」、RER・C線「Avenue Foch(アベニュー・フォシュ)」
「麗しの時代」を探しに行こう
いかがでしたか。パリが最も華やかで輝いていた時代に生まれた建築は、当時の雰囲気を伝えるタイムカプセルのような存在です。パリにはまだまだベル・エポックを偲ばせる建物があちこちにあるので、ぜひご自分の足で探してみてくださいね。パリの街角で、鉄とガラスの建築を愛でながらベルエポックにタイムスリップしましょう。
この記事のキーワード
この記事のライター
フランス在住です。読書・アート・料理・食べ歩きが趣味。現地の情報や、自分の気になったものをお伝えします。