難解な原典を読みこなすための予備知識を得る本4選
教養として最終的には目を通しておきたい古典的な作品ですが、いきなりその原典にあたるのは骨が折れます。そこで今回は、原典を読みこなすための予備知識を習得するために有用な書籍を紹介します。
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あの古典を分かりやすく解説
古典と呼ばれる書籍は教訓に溢れている一方で、難解なものも少なくありません。現代に書かれた書籍でも当てはまるものが多くあります。
いきなり原典を読む前に、原典の意図を受け継ぎながら平易な言葉で解説してくれる書籍があれば利用しない手はありません。
そうした予備知識を獲得できる書籍をご紹介します。
『使える!「孫子の兵法」』齋藤 孝 ~古代中国の名著『孫子』を現代風に読みこなす~
『孫子』は、中国の戦国時代に孫武によって書かれた兵法書です。
「彼れを知り己れを知らば、百戦して殆うからず」をはじめ有名なフレーズのオンパレードです。
そうした『孫子』の言葉を、斎藤氏が現代ビジネスに当てはめて解説しています。
『孫子』の解説書や原典への第一歩として読むならば、とても入りやすい超入門書です。
原典『孫子』
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』 岩崎 夏海 ~女子マネージャーがドラッカーの名著に挑む~
「もしドラ」の愛称でミリオンセラーとなり、映画化もされた作品です。
ドラッカーの思想の第一歩である、顧客とは生み出すものである、顧客へ何を提供するか、といった点を野球部の女子マネージャーの行動から知ることができます。
ドラッカーの原典や解説書に入っていくための超入門書として読むならば最適です。
原典『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』
『グーグル・アマゾン化する社会』森 健 ~ネット社会の近未来を読む~
本書の下敷きとなっているのは「ニューヨーク・タイムズ」のジャーナリスト、トーマス・フリードマンの著作『フラット化する社会』です。
森氏は『フラット化する社会』を参照しつつ、日本独自の現象についても多くのページを割いています。
インターネットの普及によって、全く無名の個人の意見や考えが、一夜にして世界中に広まる時代になりました。
それは同時に膨張する情報をいかに処理するか、必要な情報をいかに入手するかが課題となり、グーグルが誕生する背景となりました。
一方でアマゾンのレコメンド機能は、似た購買履歴を持つ人を探して、大量の書籍からお勧めの本を提示してくれる便利なツールとなっています。
こうした情報社会の環境に慣れてしまうと、強力な発言力を持った一人の考えや意見に無条件に従ってしまう危険性があると森氏は警鐘を鳴らしています。
一人一人が発信者となれる一方で、知らぬ間に膨大なデータを扱うツールに操られかねないという現象を別の事象と捉えず、表裏一体のものとする森氏の考察は、今後さらに膨張する情報社会に個人がどう向き合うべきかの示唆に溢れています。
原典『フラット化する世界〔普及版〕』
『「超」入門 失敗の本質』鈴木博毅 ~超難解と言われる書籍を超簡単に解説~
第二次世界大戦の日本軍の敗因について、組織的な問題、戦略的な問題から掘り下げたのが『失敗の本質』です。しかし、『失敗の本質』は非常に難解な著作と言われています。
その名著を、わかりやすく解説し、原典への架け橋となる試みをしたのが本書です。
原典にはない、「戦略とは追いかける指標である」というキーワードをもとに原典に迫ろうとしています。
原典が難解な理由のひとつに歴史教育の問題があります。ミッドウェー海戦、インパール作戦等が、どのような作戦で、どのような経過をたどったものかを知識として持っている現代人は多くありません。背景を知らずに、その作戦の「失敗の本質」を理解しようとするのは大きな困難が伴います。
昨今、日本の近代史や現代史に関する書籍が多く見られるようになったのは、こうした現代人の近現代史の知識に関する問題点に多くの方が気づき始めた証左とも言えます。
原典『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』
読むべき古典は?
仏典や聖書を例に見ても、一冊の原典から膨大な量の解説書や、理論を発展させた書籍が誕生しています。
上記でご紹介したような書籍が出版されることは、それほど原典が魅力的であり、多くの教訓や示唆に溢れていることの証でもあります。
逆の見方をすれば、こうした解説書が書かれる書籍こそが本物の読むべき書籍と言えます。
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