チャイコフスキーのおすすめ名曲10選を彼の生涯や逸話とあわせてご紹介。

チャイコフスキーは19世紀後半を生きた作曲家です。情熱的な音楽が特徴で、現在最も有名な作曲家の一人といってよいでしょう。チャイコフスキーは大音楽家としては遅い音楽家としての一歩を歩み始めましたが、その類稀なる才能で一躍名声を獲得して生きました。そんなチャイコフスキーの名曲・生涯についてご紹介していきます。

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アイキャッチ画像出典:operaplus.cz

ピョートル・チャイコフスキー

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チャイコフスキーは1840年5月7日〜1893年11月6日を生きた作曲家で、現代でも大きな影響力を持っている音楽家の一人です。有名なバレエの音楽やピアノ協奏曲など、どんな人でも聞いたことがある曲を作曲しています。そのチャイコフスキーの生涯は他の作曲家とは異なり、異業種に就職してからの才能の開花となりました。この記事では彼の生涯の背景を覗きながら、代表曲の紹介をしていきます。

チャイコフスキーの生涯

音楽を捨てきれなかった青年時代

出典:commons.wikimedia.org

チャイコフスキーは1840年に現在のロシアで生まれました。幼少の頃から音楽を始め、才能を示しましたが、両親はチャイコフスキーを音楽家にする気はなかったようで、10歳になったところで、サンクトペテルブルクの法律学校に通うことになりました。1859年にその法律学校を卒業し、法務省に勤務します。しかしながら、チャイコフスキーはこの官吏としての職務には熱意を持って仕事をすることはありませんでした。

本格的に音楽を学び始める

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チャイコフスキーが本格的に音楽を学ぶようになるのは1861年のことでした。音楽教育をおこなっているロシア音楽協会のクラスに入学し、音楽の世界にのめり込んでいきます。1863年になると法務省を辞職し、音楽に専念するようになりました。大作曲家で、ここまで音楽を学び始めるのが遅いのはかなり珍しいと言えます。

音楽協会の教師として過ごす

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チャイコフスキーは1865年にペテルブルク音楽院を卒業し、1866年からロシア音楽協会で教師となります。この職を彼は12年間勤めることとなりました。これ以降チャイコフスキーはモスクワを拠点として活動することになります。

晩年のヨーロッパでの音楽活動

出典:jp.sputniknews.com

1877年にチャイコフスキーはアントニア・イワノブナと結婚をします。しかしながら、この結婚は結局失敗してしまい、彼は自殺を図るほど精神的に追い詰められてしまいます。これを機にチャイコフスキーはモスクワを離れ、ヨーロッパ全域で活動をして生きます。そして、1893年、交響曲第6番『悲愴』を初演し、その9日後に急死します。

室内楽の名曲

ピアノトリオ

チャイコフスキーのピアノトリオは1881年から1882年にかけて作曲された曲です。旧友ニコライ・ルビンシュタインへの追悼のために作られた音楽であるため、一貫として悲しく、荘厳な曲調です。副題には『偉大な芸術家の思い出に』とつけられています。特にピアノに高度な技術が要される曲であり、50分という長さに多くの表現が散りばめられています。二楽章からなっており、二楽章が変奏曲となっていて30分とかなり長い楽章になっています。長さと複雑さも相まって、ピアノ奏者にとっては曲者の曲だと言えるでしょう。

弦楽4重奏曲第1番

弦楽四重奏第1番は1871年に作曲された弦楽四重奏曲です。チャイコフスキーがモスクワ音楽院で教鞭を執っている時代に作った曲で、チャイコフスキーの初期の作品です。彼はこの時期、次第に名声を高めてきており、ルビンシュタインに薦められて小ホールでの演奏会をすることになっていました。しかしながら、作曲数がプログラムを組むほど多くなかったため、急遽作られたのがこの曲です。

弦楽6重奏『フィレンツェの思い出』

弦楽6重奏曲『フィレンツェの思い出』は、チャイコフスキーが作曲した最後の室内楽曲です。1892年に完成されました。弦楽6重奏の有名曲といえば、ブラームスの弦楽6重奏とこの『フィレンツェの思い出』くらいでしょう。チャイコフスキーはこの曲を作曲した際、7度目のフィレンツェ訪問をしていました。7度もフィレンツェに訪問していることを考えると、フィレンツェには大きな愛着があったのでしょう。チャイコフスキーはあまり室内楽曲を得意とせず、作曲数も多くはありませんが、この曲は高い完成度を誇っています。

オーケストラの名曲

弦楽セレナーデ

この曲はチャイコフスキーが作曲した弦楽オーケストラの曲です。「弦楽オーケストラ」とはオーケストラから、管楽器が抜けた形態のオーケストラです。 

ピアノ協奏曲第一番

ピョートル・チャイコフスキー作曲、ピアノ協奏曲第1番。クラシック好きならもはや興味の対象外となってしまうほどの有名曲。チャイコフスキーがこの曲を友人のルビーンシュタインに聞かせたところ、即座に酷評されたという話はよく知られているものです。彼はひどく傷つきながらもこの曲を完成させました。
この批判は、第一楽章が主調とは別の調から開始し、さらにその調には戻らないという大胆な構成からくるものなのですが、批判を受けたこの構成こそがこのコンチェルトの緊張感、不安感を高め、この曲の劇的な性格を生んだのです。

第一楽章:Allegro non troppo e molto maestoso- Allegro con spirito
この曲もよく知られたホルンのテーマから始まります。シンフォニックで壮麗です。

第二楽章:Andantino semplice -Prestissimo-Quasi Andante
簡潔な旋律の流れを特色あるロシア風の半音の諸関係で支えています。

第三楽章:Allegro con fuoco
ウクライナ民謡を第一主題としたロンド形式。ソナタ形式の応用も取り入れられています。

ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、ベートーヴェン・メンデルスゾーン・ブラームスの三大ヴァイオリン協奏曲に加えられて4大ヴァイオリン協奏曲とも言われることのある、ヴァイオリン協奏曲の名曲です。この協奏曲はニ長調で書かれていますが、これはヴァイオリンの特性を抑えています。ヴァイオリンはニ長調、ニ短調が『最も鳴る』と言われているからです。そのため、ニ長調・ニ短調で書かれているヴァイオリン協奏曲はこの曲の他にもかなりあり、ベートーヴェン、ラロ、シベリウスなどがこのニ調で協奏曲を書いています。

交響曲第5番

チャイコフスキーの作品は聞く人が赤面してしまうほど情緒的。聞けば彼が何を考えてこのフレーズを作り出したのかわかってしまいそうです。情熱、悲哀、喜び、全てを直球勝負で語りかけてくるような音楽。この交響曲第5番は特にその傾向が強いといえます。第一楽章のクラリネットによる『運命の動機』に始まる暗澹性。第二楽章のホルンの美しい調べ。第三楽章のワルツ。第四楽章の豪快さ。まさに名曲です。

第1楽章 Andante - Allegro con anima - Molto più tranquillo
第2楽章 Andante cantabile, con alcuna licenza - Moderato con anima - Andante mosso - Allegro non troppo - Tempo I
第3楽章 Valse. Allegro moderato
第4楽章 Finale. Andante maestoso - Allegro vivace (Alla breve) - Molto vivace - Moderato assai e molto maestoso - Presto

くるみ割り人形組曲

『くるみ割り人形』組曲は、バレエ音楽『くるみ割り人形』から一部を抜粋し作られた組曲です。『くるみ割り人形』は、チャイコフスキーの三大バレエの一つに入れられています。三大バレエとは「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「白鳥の湖」の三つから構成されています。「くるみ割り人形」はクリスマスの定番とも言われており、組曲の中の曲もCMに多用されるような有名曲ばかりです。

白鳥の湖組曲

「白鳥の湖」組曲はバレエ音楽『白鳥の湖』から一部を抜粋し組曲にされた楽曲です。そしてバレエ『白鳥の湖』はクラシック・バレエのなかでは最も有名な作品です。ジークフリート王子が湖のほとりで、白鳥に姿を変えられてしまったオデット姫に出会い、夜間にしか人間の姿に戻れない彼女を、ジークフリート王子の「純粋な愛」で助けるという物語です。

大序曲「1812年」

大序曲「1812年」は、ピョートル・チャイコフスキーが1880年に作曲した演奏会用序曲です。単に序曲「1812年」とも呼ばれますし、荘厳序曲「1812年」、祝典序曲「1812年」などと呼ばれることもあります。1812年はナポレオンのロシア遠征が行われた年であり、これを描いた曲となっています。チャイコフスキー自身はこの曲をあまり気に入っておらず、初演もあまり好評を得たわけではありませんでしたが、その後チャイコフスキー自身が指揮をふった演奏会で大成功を収め、一躍人気を得ました。

情熱的な音楽の多いチャイコフスキー

いかがでしたでしょうか。今回はチャイコフスキーの作曲した名曲と彼の生涯についてご紹介していきました。彼の曲は情熱的なものが多く、直接心を揺さぶるような作品が多いように感じられます。そのことから、「凡庸な作品だ」と主張されることも多い反面、その分かり易さから、民衆の人気を得たという一面も持っています。クラシック音楽を聴き始めという方はチャイコフスキーの音楽から始める、というのもいいかもしれませんね。

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クラシック音楽と文学と少々のお酒をこよなく愛する20代。現在は筋トレにハマりはじめている。慶應義塾大学在学中。

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斉藤情報事務

信州の曲者が集まるCLUB Autistaに所属する道楽者。車と酒と湯を愛し、ひと時を執筆に捧げる。

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