オーケストラおすすめ名曲30選【激しいクラシックから癒やしの定番曲まで】

今回はオーケストラで演奏される名曲についてジャンル別にご紹介いたします。オーケストラで演奏される曲目として花形とも言える交響曲や協奏曲からもう少しマイナーな序曲や交響詩など30曲をご紹介いたします。

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アイキャッチ画像出典:antasysun.work

オーケストラとは「編成」もしくは「曲の種類」のこと

出典:www.aoyama-symphony.com

オーケストラというのは、トランペットやフルートなどの金管楽器、木管楽器と言われる管楽器とヴァイオリンやチェロなどの弦楽器にティンパニなどの打楽器を加えた「管弦楽団」のことを指します。もしくは、その「管弦楽団」によって演奏される曲のことを指すこともありますが、日本でオーケストラというと主に前者でしょう。今回は管弦楽団によって演奏される曲をご紹介していきます。オーケストラの曲の分類から実際に曲というようにご紹介していきますので、先に曲を聴きたい方は下の方をご覧ください。

オーケストラの曲の分類

出典:gigazine.net

オーケストラで演奏される曲を分類してみると以下のようになります。交響詩や組曲などはクラシック初心者の方にとってみてはあまり違いがわからないかもしれませんがここでは便宜上分類しておきます。特に管弦楽曲という分類方法はかなり曖昧ですので、特に気にする必要はありません。

交響曲

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交響曲はオーケストラにおける「花形」。主に4つか3つの楽章によって構成されていて、オーケストラの編成としても大規模であるのが特徴です。

協奏曲

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協奏曲は一つもしくは複数の独奏楽器と管弦楽団によって演奏される楽曲のことです。「コンチェルト」とも呼ばれており、主に3楽章の多楽章からなっています。ピアノコンチェルトといえばピアノの独奏+管弦楽団、フルートコンチェルトといえばフルートの独奏+管弦楽団というようになっています。

序曲

出典:www.google.com

序曲は、本来はオペラや劇付随音楽、古典組曲などの最初に演奏される音楽のことです。独立して演奏される機会が多く、今回はその独立して演奏される機会の多い楽曲をご紹介していきます。演奏会用序曲とも呼ばれます。

交響詩

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交響詩の楽曲の形式は「自由」です。あえて定義するとすれば、単一楽章で切れ目なく演奏されるということでしょうか。また、音楽に加えて「お話」がついていることも多いのが特徴で、文学的な内容や絵画的な内容を含んでいることも多々あります。後期ロマン派の作曲家によって多く作曲されました。

組曲

出典:www.google.com

組曲は、いくつかの楽曲を連続して演奏するように組みあわせ、並べたものをさします。一つ一つの楽曲は数分程度と短めであることが多く、全体で一作品とするものです。「くるみ割り人形」や「ペール・ギュント」などバレエなどの音楽を抜粋し、並べたものも多いのが特徴です。

管弦楽曲

出典:www.google.com

管弦楽曲は言うなればオーケストラで演奏されるもの全てが管弦楽曲ですが、今回は上の分類に漏れた曲を管弦楽曲という一括りにして分類しておきます。

交響曲

ドヴォルザーク:交響曲第9番『新世界より』

アントニン・ドヴォルザーク作曲、交響曲第9番『新世界より』
テレビCMなどでもこの曲の第2楽章、第4楽章のテーマがよく用いられています。新世界とはアメリカのこと。新世界アメリカに滞在していたドヴォルザークが故郷ボヘミアに向けて作った曲です。彼はボヘミアの音楽とアメリカ黒人の音楽が似ていることに刺激を受け、この楽曲を作成したと言われています。そのためボヘミアやアメリカ黒人の古い民謡のモチーフがふんだんに取り入れられています。

第1楽章 Adagio - Allegro molto
第2楽章 Largo
第3楽章 Scherzo - Molto vivace
第4楽章 Allegro - Presto

シューベルト:交響曲第7番『未完成』

実は、シューベルトの交響曲第7番は時代によって、その都度変化しています。なぜならこの交響曲がその名の通り「未完成」だから。時代によってこの曲がいつかかれたか、解釈が異なってきました。少し前までは、交響曲第8番と認識されてほどです。
この交響曲、未完成ながら三大交響曲の一つとして知られています。その理由は、シューベルト特有の美しい響き、物悲しさがふんだんに取り入れられていることにあります。私がこの曲を聞いたのは14歳のころなのですが、初めて聞いた時の感動は今も忘れていません。未完成のまま残っていなかったらこれほど有名にはならなかったでしょう。

第1楽章 Allegro moderato
第2楽章 Andante con moto
第3楽章 Allegro (未完

ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』

誰もが知っているであろう「ダダダダーン」というフレーズ。
ベートーヴェンはこのフレーズだけでこの曲を作ってしまうのですからやはり天才です。
世界三大交響曲の一つとしても数えられる有名すぎる交響曲、ベートーヴェン作曲交響曲第5番『運命』。
有名な「ダダダダーン」というのは「運命の動機」と呼ばれています。この「運命の動機」は第一主題として使われるだけでなく、第二主題、第三主題、と様々な主題が登場してもなお、バックでまとわり続けます。この「運命の動機」が穏やかな旋律の裏に流れ続けることによって、この交響曲に緊張感を生み出ているのですね。

第1楽章 Allegro con brio
第2楽章 Andante con moto
第3楽章 Allegro. atacca
第4楽章 Allegro - Presto

チャイコフスキー:交響曲5番

ピョートル・チャイコフスキー作曲、交響曲第5番。チャイコフスキーの作品は聞く人が赤面してしまうほど情緒的。聞けば彼が何を考えてこのフレーズを作り出したのかわかってしまいそうです。情熱、悲哀、喜び、全てを直球勝負で語りかけてくるような音楽。この交響曲第5番は特にその傾向が強いといえます。第一楽章のクラリネットによる『運命の動機』に始まる暗澹性。第二楽章のホルンの美しい調べ。第三楽章のワルツ。第四楽章の豪快さ。まさに名曲です。

第1楽章 Andante - Allegro con anima - Molto più tranquillo
第2楽章 Andante cantabile, con alcuna licenza - Moderato con anima - Andante mosso - Allegro non troppo - Tempo I
第3楽章 Valse. Allegro moderato
第4楽章 Finale. Andante maestoso - Allegro vivace (Alla breve) - Molto vivace - Moderato assai e molto maestoso - Presto

ベートーヴェン:交響曲9番

「第九」という愛称でお馴染みであるのがこのベートーヴェンの交響曲第9番。
「第九」といえば年末に聞くことが多いですが、実はこの風習は日本だけ。
NHK交響楽団がまだ有名でなかった頃、年末に「第九」を演奏して、大成功。それから日本では「第九」を演奏することが流行しはじめました。「第九」は合唱つきであることから「合唱」もしくは「合唱つき」として副題をつけられることが多く、4人の独唱もついています。これほど大編成なのにここまで頻繁に演奏される交響曲は稀ですね。

第1楽章Allegro ma non troppo, un poco maestoso
第2楽章Molto vivace
第3楽章Adagio molto e cantabile - Andante moderato - Tempo I - Andante moderato - Tempo I - Stesso tempo

ブラームス:交響曲第1番

4曲あるブラームスの交響曲の中で最も有名な「交響曲第1番」。
ベートーヴェンを尊敬してやまないブラームスはベートーヴェンを超える交響曲を書こうと奮闘し、「ベートーヴェンの10番目の交響曲」と言われるほどの大曲を作曲することに成功しました。この曲の最初の短調の主題はなんだか「運命」と歩調が似ていますが、実は第一楽章の終盤では先ほどの「運命の動機」が使われています。本当にベートーヴェンを強く意識して作曲されている曲なのですね。

第1楽章 Un poco sostenuto - Allegro
第2楽章 Andante sostenuto
第3楽章 Un poco allegretto e grazioso
第4楽章 Adagio - Più andante - Allegro non troppo, ma con brio - Più allegro

マーラー:交響曲第1番

マーラーは今ではクラシック好きなら誰でも知っているような作曲家ですが、実は有名になったのは最近。マーラーの交響曲は編成が大規模すぎて、近年まではあまり演奏されることはありませんでした。しかもその曲の内容自体が難解!あまり日の目を見ることはなかったのです。
そんなマーラーの代表曲、交響曲第1番「巨人」。この曲は比較的編成が小さいことから最も演奏機会の多い交響曲です。この副題はジャンパウルの小説から取られた表題なのですが、作曲家本人は「これは適切な表題ではない」と言って破棄したのだとか。ただ、重々しい第一主題からこの副題をつけた人の気持ちもなんだか察せますよね。

第1楽章 Langsam, Schleppend, wie ein Naturlaut - Im Anfang sehr gemächlich
第2楽章 Kräftig bewegt, doch nicht zu schnell
第3楽章 Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen
第4楽章 Stürmisch bewegt

モーツァルト:交響曲第39番、第40番、第41番

モーツァルトの三大交響曲第39番、第40番、第41番。その中でも交響曲第40番は数ある交響曲の中でもたった二曲しかない短調の曲です。これらの三曲、動画を見ての通り全部で二時間もの大曲なのですが、たった6週間で書かれたと言われています。映画「アマデウス」をご覧の方はご存知かもしれませんが、この交響曲は死の直前に書かれた晩年の曲。最期までいかに精力的に作曲を続けていたかが伺えます。

ベルリオーズ:幻想交響曲

ベルリオーズ作曲「幻想交響曲」。今までこの記事をご覧の方にはわかると思いますが、今までの曲には交響曲ごとに表題がつけられていましたが、この曲には楽章ごとに表題がつけられています。
第一楽章:「夢、情熱」
第二楽章:「舞踏会」
第三楽章:「野の風景」
第四楽章:「断頭台への行進」
第五楽章:「魔女の夜宴の夢」
大変珍しいことにこの交響曲にはストーリーがついています。ベルリオーズ自身が失恋経験を告白するために作られた交響曲なのです。アヘンと恋に溺れた病的な感受性と激しい想像力を持った作曲家による劇的で「サイケデリック」な交響曲です。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

ドミトリイ・ショスタコーヴィチは旧ソビエト連邦の作曲家。この曲を書く以前には「体制への反逆者」として扱われていた彼が自身の名誉を取り戻すために、革命20年を記念して書いた交響曲です。この曲はある意味「わかりやすい音楽」となっていて、今までの先進的で前衛的な交響曲とは異なり、古典的な構成となっています。この曲の作曲以後、ショスタコーヴィチは名誉を徐々に取り戻していきます。特に第四楽章が有名で、力強く迫力ある曲になっています。少しジョンウィリアムズのスターウォーズに似たフレーズなどもあり、大衆受けした理由がわかりような気がしますね。

第1楽章Moderato - Allegro non troppo
第2楽章Allegretto
第3楽章Largo
第4楽章Allegro non troppo

ピアノ協奏曲

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調『皇帝』

『皇帝』はその名の通り堂々とした曲。でも実は、この『皇帝』というタイトルはベートーヴェン自身がつけたものではありません。この曲を聞いた人たちがその壮大さに感動してこう名づけたのかもしれませんね。ベートーヴェンはナポレオンへの賛同を示して交響曲『英雄』を書いているくらいですから(完成後、ナポレオン皇帝即位に激怒して『ある英雄の思い出のために』と書き換えたのですが…)この曲も自分の思い描く皇帝を描写したものなのかもしれません。

第一楽章:Allegro
いきなりのピアノ独奏。とてもよく知られているフレーズです。ピアノソロとオーケストラの儀式風のカデンツァがとても印象的です。内省的なピアノ協奏曲第4番とは全く異なる力強さが示されています。

第二楽章:Adagio un poco mosso
穏やかな曲調の第二楽章。変奏曲形式になっており、全体は3部から構成されています。

第三楽章: Rondo Allegro - Piu allegro
第二楽章からそのままなだれ込み、快活なリズムで始まります。

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

ピョートル・チャイコフスキー作曲、ピアノ協奏曲第1番。クラシック好きならもはや興味の対象外となってしまうほどの有名曲。チャイコフスキーがこの曲を友人のルビーンシュタインに聞かせたところ、即座に酷評されたという話はよく知られているものです。彼はひどく傷つきながらもこの曲を完成させました。
この批判は、第一楽章が主調とは別の調から開始し、さらにその調には戻らないという大胆な構成からくるものなのですが、批判を受けたこの構成こそがこのコンチェルトの緊張感、不安感を高め、この曲の劇的な性格を生んだのです。

第一楽章:Allegro non troppo e molto maestoso- Allegro con spirito
この曲もよく知られたホルンのテーマから始まります。シンフォニックで壮麗です。

第二楽章:Andantino semplice -Prestissimo-Quasi Andante
簡潔な旋律の流れを特色あるロシア風の半音の諸関係で支えています。

第三楽章:Allegro con fuoco
ウクライナ民謡を第一主題としたロンド形式。ソナタ形式の応用も取り入れられています。

グリーグ:ピアノ協奏曲

エドヴァルド・グリーグは優れたピアニストでもあった19世紀半ばの作曲家です。数々のピアノ作品を作っていますが、その中でも特別な位置を占めるのがこのピアノ協奏曲。冒頭のフレーズはクラシック音楽をほとんど聞かないという方でもご存知なのではないでしょうか?このフレーズはノルウェー民俗音楽に特有のものなのですが、このフレーズだけでなく、この曲のいたるところにこのような民俗的フレーズがちりばめられていますね。

第一楽章:Allegro molto moderato
ティンパニのトリルに導かれてピアノが流れ落ちていくような冒頭のフレーズ。民俗的な主題が印象的です。

第二楽章:Adagio
穏やかな旋律と柔らかな管楽器の絡まりがとても美しい楽章です。終盤ではピアノが情熱的に歌い、だんだんと静かに終わりを迎えます。

第三楽章:Allegro moderato molto e marcato
第二楽章との切れ目なく始まる、前楽章とは打って変わった軽快で力強い三楽章。中間部の叙情的なフルートがとても印象的です。

そのほかの協奏曲

シベリウス:ヴァイオリンコンチェルト

シベリウス作曲のヴァイオリンコンチェルトは、ヴァイオリンコンチェルトの中でもかなり難解な曲に類する楽曲です。シベリウスはヴァイオリニストを目指していた時期もあり、この曲を演奏するのは彼の憧れであったかもしれません。交響曲第2番が作曲された2年後に作曲されています。第一楽章の冒頭部分はとてもカッコイイですね!この冒頭部分をシベリウスは「極寒の澄み切った北の空を、悠然と滑空する鷲のように」とかたっていたそうです。

モーツァルト:オーボエ協奏曲

のだめカンタービレでも取り上げられていたこの曲。天に昇るようなオーボエの倍音の深い音が響き渡ります。CMなどでもよく使われている曲です。フルート協奏曲にも編曲されており、フルート奏者、オーボエ奏者にとっては定番の曲です。

序曲

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲

『フィガロの結婚』はフィガロ三部作のひとつで、前作『セビリアの理髪師』の好評を受けての続編。第三部には『罪ある母』が続きます。オペラ『フィガロの結婚』にはいたるところに笑いとその伏線が仕掛けられています。そのため何度見ても楽しい喜劇の傑作として知られています。主人公のフィガロとその婚約者スザンヌ、そしてその二人の主人である伯爵の結婚をめぐるストーリーとなっています。

ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲

戯曲『ヴィルヘルム・テル』を元に、ロッシーニがオペラ『ギヨーム・テル』作曲し、そのオペラの序曲がこの有名な「ウィリアム・テル」序曲です。

ベートーヴェン:序曲「レオノーレ第3番」

レオノーレ序曲第3番は、歌劇『レオノーレ』を改定していく上で作曲された序曲です。歌劇『レオノーレ』は第二版として一度改作されていますが、その改作の際に序曲も合わせて改作されたのがこのレオノーレ序曲第3番です。展開部のトランペットと再現部のフルートソロが印象的です。ソリスティックなパッセージが人気を得ていますね。

ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」

ドヴォルザークの序曲『謝肉祭』は、ドヴォルザークの作品の中でも特に人気を得ている楽曲です。『自然と生命と愛』と呼ばれるドヴォルザークが作曲した演奏会用序曲の三部作のうちの2番目の曲で、本来ならばこの三部作は一続きで演奏することを意図して作曲されていますが、現在では、この『謝肉祭』のみで演奏されることが多くなっています。最初から最後まで賑やかな曲で、リズムは活気にあふれ、メロディは表情豊かですね。

ロッシーニ:歌劇「泥棒かささぎ」序曲

序曲「どろぼうかささぎ」は歌劇『どろぼうかささぎ』の最初の9分を飾る序曲です。『どろぼうかささぎ』は「オペラ・セミセリア」と呼ばれるジャンルに属しています。華やかな行進曲のように始まり、その終わりに小太鼓の連打があります。太鼓の響きには軍隊や処刑の意味が込められているそうです。その後三拍子に移行してまたもや華やかなパッセージが繰り返されていきます。

バーンスタイン:キャンディード序曲

キャンディード序曲は、レナード・バーンスタイン作曲の舞台歌劇『キャンディード』の最初を飾る序曲です。今回ご紹介する作品の中ではもっとも新しい楽曲でしょう。1956年の舞台初演に合わせて演奏されたのが初演であり、オーケストラによるレパートリーとして大きな人気を持つ楽曲です。

交響詩

ラヴェル:ラ・ヴァルス

ヴァルスとは、フランス語でワルツのこと。「スペイン狂詩曲」などラヴェルはオーケストラのためのワルツを多く書いています。ただ、この「ラ・ヴァルス」は舞踏会のような華々しさ、軽やかさというよりは怪しさを感じさせるワルツです。冒頭の部分から混沌とした雰囲気が漂いますが、その影からだんだんとワルツらしい主題が現れてきます。ただし、単純に優雅なワルツではありません。その背後には怪しいトレモロが流れ、だんだんとテンポが崩れ、リズムが破壊され、最後は無理やりとでも言えるような終わり方を見せます。

シベリウス:フィンランディア

記事の冒頭で述べたとおり、フィンランドの独立運動に影響を受けて作曲された曲です。シベリウスの楽曲の中で、最も有名な局地得るのではないでしょうか。作曲された当初は「フィンランドは目覚める」というタイトルであり、いかにもナショナリズムらしいタイトルになっています。金管の序奏は重々しく雄大であり、フィンランドの大自然を表しているようです。

ドビュッシー:交響詩「海」

この「海」は交響詩の代表曲であるだけでなく、このドビュッシーの時代である印象主義音楽を代表する作品でもあります。タイトルの通り、この曲は「海」をイメージしており、このような音楽のことを標題音楽と言います。音楽だけでなく音楽以外の情景やイメージ、気分や雰囲気など、音楽以外のものをも描写した音楽のことが標題音楽です。楽曲の構成としては、通例のようにひと続きなのではなく、三楽章構成になっており、「海の夜明けから真昼まで」「波の戯れ」「風邪と海の対話」から構成されています。

出典:www.amazon.co.jp

この時代の芸術家にありがちなのですが、ドビュッシーには東洋趣味がありました。1905年に出版されたスコアの表紙には葛飾北斎の浮世絵『富嶽三十六景』「神奈川沖浪裏」が使用されています。もしかすると葛飾北斎の浮世絵にもインスピレーションを受けていたのかもしれません。

組曲

ダフニスとクロエ組曲

『ダフニスとクロエ』組曲は『ダフニスとクロエ』と呼ばれるバレエ音楽から一部を抜粋し作られた組曲です。「ボレロ」「スペイン狂詩曲」と並んでラヴェルの作品の中でも最も有名な楽曲の一つになっています。ディアギレフがラヴェルに対してバレエ音楽を作曲するように依頼し、作曲されましたが、当初ディアギレフはこの楽曲の基盤がバレエ的でないことに不満を感じていたようです。それはこの曲の主眼が「リズム」にではなく「メロディ」におかれていることにあります。ラヴェル自身ものちにこの曲を『舞踏交響曲』と評したことから、作曲者自身もその点については理解していたのかもしれません。

くるみ割り人形組曲

『くるみ割り人形』組曲は、バレエ音楽『くるみ割り人形』から一部を抜粋し作られた組曲です。『くるみ割り人形』は、チャイコフスキーの三大バレエの一つに入れられています。三大バレエとは「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「白鳥の湖」の三つから構成されています。「くるみ割り人形」はクリスマスの定番とも言われており、組曲の中の曲もCMに多用されるような有名曲ばかりです。

白鳥の湖組曲

「白鳥の湖」組曲はバレエ音楽『白鳥の湖』kら一部を抜粋し組曲にされた楽曲です。そしてバレエ『白鳥の湖』はクラシック・バレエのなかでは最も有名な作品です。ジークフリート王子が湖のほとりで、白鳥に姿を変えられてしまったオデット姫に出会い、夜間にしか人間の姿に戻れない彼女を、ジークフリート王子の「純粋な愛」で助けるという物語です。

アルルの女

組曲『アルルの女』は戯曲『アルルの女』の付随音楽です。戯曲『アルルの女』はドーレによって作られた短編小説であり、それを戯曲として上演するためにビゼーが作曲した27の付随音楽が組曲として構成されています。最も有名な曲は第二組曲の第三曲『メヌエット』でしょうか。フルートとハープによる美しい旋律が展開されています。

管弦楽曲

ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー

ジョージ・ガーシュウィン作曲のこの曲。クラシック音楽好きにjazzyなクラシック音楽家って誰?と聞けば十中八九最初に出てくるのが、このジョージ・ガーシュインでしょう。ガーシュインはまさにアメリカ音楽の祖。クラシック音楽界、ポピュラー音楽界双方に大きな功績を残した人物です。
オペラ、ミュージカル、管弦楽曲様々なジャンルで活躍した彼ですが、その中でも最も有名である曲がこの『ラプソディー・イン・ブルー』。のだめカンタービレなどでも度々登場し、日本でも一躍有名な曲となりました。クラリネットのグリッサンドから始まる印象的なソロとまさに「アメリカ」なjazzyなメロディ。クラシック音楽に興味がないという方でも押さえておくべき楽曲でしょう。

ブラームス:ハンガリー舞曲第5番

ハンガリー舞曲は、ロマの民族音楽であるジプシー音楽を編曲して作られたものであり、伝統的音楽からかなり影響を受けています。ブラームスはこのハンガリー舞曲でかなりの成功を収め、ドヴォルザークにスラブ舞曲を作曲することを勧めたほどです。

激しい曲調から癒しの曲調まで様々な表現が!

いかがでしたでしょうか。オーケストラで演奏される曲は現在流行しているようなロックやポップスとは違い10~40分と、長い曲が多いですね。そのために、曲の中には、聴く人を飽きさせないような、様々な表現がちらばめられています。特に交響曲はその傾向が顕著で、楽章ごとに雰囲気がガラッと変わっていますよね。しかしながら楽章と楽章に調和を持たせなければ、一つの曲とは言えません。作曲家たちはそのような調和を持たせるためにも苦労をしたのでしょうか。

聞けば聞くほど、知れば知るほど面白くなって行くのがクラシック音楽です。ぜひ、様々な曲をお聞きになってください。

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クラシック音楽と文学と少々のお酒をこよなく愛する20代。現在は筋トレにハマりはじめている。慶應義塾大学在学中。

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