東京都内の本当に美味しい日本料理・和食の名店おすすめ29選【ミシュラン常連の高級店からランチ営業店まで】
韓国料理や、エスニック、イタリアン、フレンチなど。今、他国の料理を食べる機会は多いですが、やはり私達の舌に合うのは日本料理ですよね。今回は東京都内でいただくことのできる本当に美味しい日本料理・和食の名店31選をご紹介します。東京都内で日本料理をいただき、日本の四季の自然の美しさを、日本人の繊細な心を味わってみませんか。
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アイキャッチ画像出典:www.pinterest.jp
計り知れない日本料理の良さ
日本料理と言われて、思い浮かべるのは何でしょうか。白いご飯と、お漬物、お魚、煮物、お味噌汁でしょうか。それらがそろっていればそれは日本料理になるのでしょうか。
日本料理は、日本の風土を利用し、食品本来の味や旬を意識した料理であり、何より真心をこめて作られた料理です。単に食材が調理されたものを指すのではなく、食材がどのように入手され、誰にどう調理され、どのように盛り付けられ、それをどこで誰と食べるのか。その一連の過程すべてが日本料理だと思います。
料理は一般的に見て楽しんだり、味を楽しんだり、香りを楽しんだりします。しかし、日本料理はそれだけではなく、食材が盛られた器の手触りであったり、鍋などであれば食材の煮える音も楽しめたりします。つまり、日本料理は五感で楽しみ、そこから多数の良さを感じることのできる料理なのです。その良さは計り知れないほどなのです。
今回はそんな日本料理の名店を31店ご紹介します。ミシュラン3つ星獲得したお店と2つ星獲得したお店には以下のように店名の前に星のマークをつけてありますので参考にしてみてください。
【☆☆☆:ミシュラン3つ星獲得 ☆☆:ミシュラン2つ星獲得 ☆:ミシュラン1つ星獲得】
☆☆☆「龍吟」【六本木】
「龍吟」は六本木駅から徒歩2分のところに店を構えています。店名は禅語である「龍吟雲起」からきています。この禅語はもともと「龍吟雲起 虎嘯風生」で1つになっており、龍がうめき泣けば雲が起こり、虎が吠えれば風が吹くといった勢いの強さであったり凄まじさを意味します。このお店のシェフである山本征治氏は修行の最中、1冊の禅語の本に出会い、この言葉に込められた「想いを決めた勇者がひとたび行動を起こすと、同志が互いに共鳴し合い、そこに集う」という意味を知り店名にしたとのことです。
そして、このお店はその名のように「世界のベストレストラン50〜2016〜」で31位に、「アジアのベストレストラン50〜2017〜」では7位にランクインしました。
店内は暖色系の照明のもと、落ち着いた雰囲気の中にも高級感あふれます。個室は最大4名まで、かつお店はセミフォーマルな服装が推奨されるので、接待などに向いていると言えます。
お店の料理は季節にあったもので、その日の仕入れ状況により異なりますが、季節の名物料理やシェフ山本のスペシャリテは毎日提供されており、日本酒とのペアリングがオススメできるものとなっています。
お店自体創造性の高い料理が作られることでも有名な「龍吟」。そして、日本や日本料理、日本人の心について自身の考えをしっかりともっているシェフ山本氏。基本に立ち返りつつ、自身の創造性の高さを生かした一品一品は、口に入れると独特な世界観を広げます。
お店のサイトにて、コースの1例が示されていますが、あくまでも1例であるため、季節ごとに、そしてご予約の上、実際に確認したほうが良さそうです。基本的にお値段はコース料理で27,000円ほど。税込価格にサービス料(テーブル席10%・個室15%)が加算されます。そして、サイトにはご来店の際のご注意なども記されているので、予約されたのち確認してくださいね。
また、こちらのお店は5月末まで六本木で営業していますが、7月中旬からは日比谷での営業となりますのでそちらもサイトにて確認したほうが良さそうです。
■龍吟
住所:東京都港区六本木 7-17-24 Eisuビル 1F
TEL:03-3423-8006
営業時間:18:00~25:00(L.O.21:30)
定休日:日曜日・祝日(サイトを要確認)
☆☆☆「かんだ」【六本木】
六本木駅から徒歩8分のところにある「かんだ」は「目と手と気持ちが届く店」をコンセプトにかかげ、ライブであることを重視するお店です。
店名からもわかるように、シェフは神田裕行氏。神田氏は客の嗜好を感じ取ることに敏感で、料理とお酒の相性を考慮しながら味や量を調整させることで客が満足できるような料理を提供しています。神田氏曰く、すべての人にとっての最高の料理などは存在しえないとのこと。先ほど述べたように、来てくださったお客様がどういうものを好まれるか、その日の仕入れ状況はどうか、その日はどういう日かなどを考慮しながら、ライブだからこそできるサービスを提供しているのです。
店内は決して広いとは言えませんが、だからこその良さはありますよ。接待だけでなく、友人ともこれるような程よく高級感のあるお店となっています。
お店はライブ。その言葉通り、お客様によって提供される料理は異なります。サイトをみればわかるように、お品書きなどはありませんが、春は空豆、夏はとうもろこし、秋は銀杏など、椀種には野菜を使うことが多いようです。食材ひとつひとつを吟味し、その本来の味を十分に引き出して独特性を加えた料理と言えるでしょう。独特性がある分、人に合わせて料理を提供しているとはいえ、ごく稀に合わない部分もでてきてしまうとの意見もありますが、コース料理なので、他の料理で補うことができると思われます。
お値段はコースで21,600〜32,400円ほどで、サービス料が10%加算されます。お酒にあうように料理を調整して提供してくれるので、お酒が好きな方にオススメできるミシュラン三ツ星の日本料理店と言えるでしょう。
■かんだ
住所:東京都港区愛宕1丁目1-1虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー1
TEL:03-6459-0176
営業時間:17:00~23:00(L.O.20:30)
定休日:日曜日・祝日
☆☆☆「石かわ」【牛込神楽坂】
牛込神楽坂駅より徒歩4分、「石かわ」はシックな外観で店を構えています。入り口へのアプローチは決して広い道とは言えませんが、そこから見える景色には日本の自然の良さが伺えます。神楽坂通りで賑やかな外とは異なり、店内に入れば落ち着いた和の雰囲気が漂います。毘沙門天善国寺の裏手にあることもあって、凛とした店構えの「石かわ」ではシェフ石川秀樹氏が四季折々の食材を用いて、素材そのものの力を生かした料理を提供しています。また、素材を生かしつつも、自身の創意を凝らして毎年提供する料理が同じにならないようにしています。それは食材や料理だけを意識しているのではなく、進みゆく時間や、時とともに変化していく環境、そして、その環境で生まれゆく記憶を意識しているともいえるでしょう。
何を料理するかはもちろん大事です。しかし、誰が料理するかはもっと美味しさの本質に関わってきそうです。
先ほども述べたように、「石かわ」では毎年提供する料理が同じにならないようシェフの石川氏は創意をこらしています。とはいえ、季節ごとに定番食材というものは存在します。春は山菜、夏は野菜類と鮎、秋は松茸、冬は蟹等。あくまでも一例ではありますが、各季節これらの食材が多く見られます。春の山菜は自然の温かみを与えてくれ、山菜の甘みがほっと安心させてくれます。夏は歯ごたえのある新鮮な野菜がみずみずしさを与えてくれます。鮎は身がふっくらと焼き上げられ、頭や尾びれ、中骨はあげて出されるのでその食感の違いも楽しむことができます。秋の松茸は素材そのものの味を楽しむことのできる炭火焼か、鱧と合わせて煮物椀として提供され、松茸の香ばしさや歯ごたえを楽しむことができます。冬の蟹は炙りで蟹のじゅわっとした水分を、椀物でふわっとした身を、蟹ミソでクリーミー感を楽しむことができます。
お値段はコースで約25,000円ほどにサービス料が10%加わります。他のお店に比べ、味のみならず香りをも存分に楽しむことのできると評判のお店ですので、接待の際などに使用してみてはいかがですか。
■石かわ
住所:東京都新宿区神楽坂 5-37
TEL:03-5225-0173
営業時間:17:30〜24:00(L.O.22:00)
定休日:日曜日・祝日
☆☆☆「虎白」【飯田橋】
飯田橋駅から徒歩3分、一見素朴なデザインの中に品の良さがうかがえる店構えの「虎白」は「石かわ」の姉妹店となっています。入り口までに積まれた石の階段はずれたようにおかれていますが、そのずれに日本的美を感じることができます。きれいに整頓されていることだけが美ではない、何かが欠けていたり、ずれていたり、ありのままである美というものです。「石かわ」は正統派、「虎白」は正統派に創作を加えたものと言われているようですが、どちらも創作性はあるので、「虎白」は正統派に自然さを与えたようなものという方がしっくりくるかもしれませんね。
「石かわ」のシェフ石川氏が枠にとらわれない方というのであれば、「虎白」のシェフ小泉功二氏は枠を超えすぎない方です。食材の本来の味や旨味を熟しているからこそできる国境にとらわれない食材選び、緩急をつけた献立や、器使いがとても巧です。
食材選びが国境にとらわれていないため、鰹の出汁が染みる牛しゃぶにトリュフを添えて塩昆布を振りかけたり、揚げた鰻には八角入りの山椒塩をあわせたりしています。「石かわ」もそうですが、「虎白」も八角塩や花山椒などで香りを楽しむことができるお店です。
また、創造性が生かされているため、日本料理店ではありますが、少し洋を取り入れた日本料理などもあります。時とともに料理も変化していくものですので、時代に合わせたのかもしれません。
春は蛍烏賊や山菜、夏は鮎、秋は松茸やオータムトリュフ、冬は海老や蟹が目立ちます。「虎白」は八角塩や花山椒の他に、酸味のあるジュレを魚に合わせることが多いのですが、そのジュレがさっぱりとしていて強すぎない味が素材の味を引き立てており、人気だそうです。
お値段は25,000円ほどですが、接待のみならず友人とも来やすいお店になっていますので、予約の上訪ねてみてはいかがでしょうか。予約は毎月1日に翌々月まで受けています。
■虎白
住所:東京都新宿区神楽坂 3-4
TEL:03-5225-0807
営業時間:【平日】17:30〜24:00(L.O.22:30)
【土】17:00〜24:00(L.O.22:30)
定休日:日曜日・祝日
キャビア、フォアグラ、トリュフ。日本料理店では珍しい食材、新しい食材を取り入れたまったく想起させない料理をぜひ、虎白にてご堪能ください。
☆☆☆「幸村」【麻布十番】
麻布十番駅から徒歩で約4分ほど歩いたところにある「幸村」は東京で日本料理といえば必ず名前が挙がる名店です。店名にもなっているシェフの幸村純氏は京都の「室町和久傳」で25年間修行して料理長まで務めたこともあり、伝統的な京料理を基盤に季節感を前面に出して、旬の食材を大胆に使った料理を提供しています。店自体は都会の真ん中にありますが、料理は自然との一体感が表れており、都会の中で自然を味わうことができると評判のお店です。
また、今では他の店でも多く見られる花山椒鍋はこのお店が元祖となっています。そのため、旬である春は花山椒鍋目当ての予約が殺到してしまい数ヶ月待ちになることもあるそうなので注意が必要です。花山椒鍋の春に続き、夏は美山の鮎の塩焼き、秋は松茸を晩秋の鱧で包んだ炭火焼、冬は丹後半島の間人蟹を堪能できます。
「幸村」には名物とよばれるほど有名かつ人気の花山椒鍋や、唐墨蕎麦があります。花山椒鍋は香り高い花山椒を使った牛しゃぶです。花山椒でさっぱりとしつつも、出汁が甘いのでそのバランスが絶妙です。また、唐墨蕎麦は蕎麦の上にこれでもかというほどたくさんの唐墨がかかっていて、色鮮やかで、しっとりと旨味が広がります。この唐墨蕎麦は一通り食べ終えるとお酒を注いで唐墨酒にしてくれるそうなので、一品で二通り楽しめるのも良さですね。
また、花山椒鍋や唐墨蕎麦が美味しいのはもちろんですが、「幸村」はシャンパーニュの会というものが存在するほどお酒と合う料理を提供しています。それも日本酒のみならず、ワインなどにも合う料理です。
「幸村」は名物料理を求めて訪れる方も多いですが、季節ごとに行くと「幸村」の良さがよりわかるお店なのでぜひ一度とは言わず、二度三度と季節ごとに訪れていただきたいお店です。
■幸村
住所:東京都港区麻布十番 1-5-5 Yuken Azabu.10 3F
TEL:03-5772-1610
営業時間:17:30〜19:30
定休日:不定休
☆☆☆「まき村」【大森】
都心から距離をおき、大森に店を構える「まき村」は旬の食材を使った料理だけでなく、都心から離れているからこその心地よい空間とこだわりつくされた店内の空間、あたたかい人柄の夫婦によるおもてなしで、心に残るひと時を提供してくれる日本料理店です。また、そういった心地よさが長年地元である大森の人々に愛され続けてきました。
シェフである牧村彰夫氏は食べ終わった後もずっと心に残るような料理を作ろうというこだわりのもと、常に新たな味を追求し続けています。牧村氏のこだわりは食材や料理に限ったことではなく、空間にもつくされます。外観は白を基調とした清らかな雰囲気ですが、内観は3度も塗り直したという土壁や畳を想起させるコンクリートの床など、他の店には見られないものばかりです。素敵な空間で食べる料理は2倍、3倍もおいしくいただけそうです。
このお店の看板料理は鯛茶漬けです。新潟県魚沼産の米に天然の鯛を胡麻ダレを絡めて一口、続いて昆布だしをかけて茶漬けとして一口。たった一口で口いっぱいに広がるあたたかみと幸せとホッとする心の落ち着きは長年愛され続けてきた一品です。魚沼産のお米はお客の来店時間に合わせて炊き上げられるだけでなく、もともと一粒一粒が「これが日本の主食だ」といわんばかりの存在感を放ち、ご飯のおかずになるご飯と言われるほどの甘みがあるそうです。牧村氏の米へのこだわり、大正解ですね。
そして、「まき村」の料理は心に残るようにさせるために、一品の中にメインの食材を2つしか使わないのが基本だそうです。確かに、そうすれば素材の味が生きるだけでなく、記憶に残りやすくもなりますね。また、月ごとにメニューを更新しているので、毎月の季節に合わせた新作メニューを楽しみに足を運ぶ方も多いそうです。
お値段は2万円いかない程度でサービス料が10%加わりますが、食べごたえもしっかりとあるので他の三ツ星レストランに比べると足を運びやすいお店かもしれません。ぜひ一度は行っておきたいお店ですね。
■まき村
住所:東京都品川区南大井 3-11-5
TEL:03-3768-6388
営業時間:18:00~22:00(L.O.21:00)
定休日:日曜日・祝日の月曜
大森エリアの日本料理、まき村のオフィシャルページです。お店の基本情報やメニュー情報などをご紹介しています。
☆☆小十【銀座】
銀座駅から徒歩3分のところにある「銀座 小十」は世界に名が通っているシェフ奥田透氏の日本料理店です。奥田氏の出身が静岡ということもあり、一番初めに開店した店舗「春夏秋冬 花見小路」は静岡にありますが、その後、この「銀座 小十」、「銀座 奥田」を開き、ついにはフランスのパリに「OKUDA」という店をオープンさせました。ミシュラン2つ星を獲得しただけでなく、海外にまで店を構える奥田氏は交流のあった唐津の陶芸家の名にちなんで「銀座 小十」と名付けたそうです。ちなみに「銀座 小十」自体はカリオカビルの4Fにありますが、「銀座 奥田」はその下の地下1Fにあります。
奥田氏は旨味の深い食材を選び抜いて、調理を行うのですが、魚介は彼の地元でもある静岡から主に取り寄せます。とはいえ静岡からのみ取り寄せるのではなく、真鯛は山口県から、関サバは大分県から、イカや車海老は徳島からなど、日本各地から取り寄せられるため、本当に美味しい魚介をいただくことができるのです。
上の写真はあくまでも料理の一例ですが、唐津の陶芸家と交流があるということも影響しているのでしょうか、器とお料理の相性がとても良いです。
お値段はランチだとコースで21,600円ほど、夜はコースで27,000円ほどで、それぞれサービス料として10%加えられます。
農林水産省食料産業局長より「日本食普及の親善大使」にも任命されている奥田氏の作る和食を味わってみませんか。
■銀座 小十
住所:東京都中央区銀座 5-4-8 カリオカビル 4F
TEL:03-6215-9544
営業時間:12:00〜13:00/18:00〜21:30
定休日:日曜日・祝日
☆☆とよだ【銀座】
こちらも銀座駅から徒歩3分と駅から近い距離にあります、「銀座 とよだ」は関西で料理の修業を積み重ねてきたシェフ岡本圭一氏の日本料理店です。祖父母が食堂を経営していたこともあって、小さい頃から料理は身近に感じてきていた岡本氏は毎日食材を仕入れるために、自ら市場に向かい自身の目で美味しい食材を選んできているのだとか。美味しいものを仕入れ、自分が調理したものをお客に美味しいと言ってもらいたいその一心で料理を作っているそうです。
そんな岡本氏のこだわりは出汁にあります。日本料理でもキーとなる出汁はその料理人の腕前がわかるといわれるほどですよね。岡本氏は出汁のために、業者に削り節の厚さを指定しています。細かいところにまでこだわることで、美味しい出汁がとれるのです。
岡本氏自慢の一品はお椀料理です。というのも先ほど述べたように、一本釣りされた鰹と北海道利尻の昆布で丁寧にとった出汁がきいている、そして、出汁の味が最もよくわかる一品だからです。関西ならではの薄味の出汁が上品に仕上げてくれています。また、味だけでなく、見た目も華やかなので見て楽しむこともできますよ。
どの料理もミシュラン2つ星ならではの上品な味わいを楽しむことができます。
お値段はランチはコースで8,100円ほど、夜はコースで21,600円ほどにサービス料として10%加えられます。夜だと少し高いという方はランチで行ってみるのもよさそうですね。
■銀座とよだ
住所:東京都中央区銀座 7-5-4 La Vialle 銀座ビル 2F
TEL:03-5568-5822
営業時間:【火〜金】11:30〜15:00(L.O.13:30)/17:30〜22:00(L.O.20:30)
【月・土】12:00〜15:00(L.O.13:30)/17:30〜22:00(L.O.20:30)
定休日:日曜日・祝日
☆☆福樹【新橋】
新橋駅から徒歩5分ほど、「福樹」は日本料理研究会の師範であり、表千家不白流茶道教授でもあるシェフ小野寺克弘氏のお店です。松江藩大名茶人の松平不昧の言葉「 客の心になりて亭主せよ」や「真行草」を信条にする小野寺氏。さすが、茶道教授だけあって信条も茶の湯における招客の心構えや表現法です。前者の意味は客の立場になってもてなしをしろということであり、後者は真から草へ、つまり正格からそれを崩した風雅な型へと様々に工夫を凝らした料理を目指すということですね。
そんな小野寺氏の料理は食材の持つ旨味や香りを失わないために一皿に多くの食材を盛り込むのではなく、なるべく少ない種類の食材で日本の伝統を表現しています。素材の味を尊重し、主張させつつも味付けはとても優しく繊細です。
また、茶道と同様に器にこだわっています。螺鈿蒔絵の椀を用いたり、魯山人の器、茶道でいう千家十職の土風炉・焼物師の永楽善五郎の歴代の器、を用いたりしているので食事に行かれた際は味を楽しむのも良いですが、ぜひ器を確認してみてくださいね。
公式のホームページがない上に、ネット上にこのお店に関する詳しい情報はのっていないため、行かれる際は少し不安になりそうですが、器に興味がある方は間違いなく楽しめますし、硬派な日本料理より少し崩した形の日本料理を食べたいという方にオススメできるお店です。
お値段はランチは21,000円からで、夜はコースで23,000円から54,000円ほどにサービス料として10%加わります。美味しいご飯とともに美しい器に魅了されに行ってみてはいかがでしょうか。
■福樹
住所:東京都中央区銀座 8-8-19 伊勢由ビル 5F
TEL:03-3571-8596
営業時間:12:00~13:00(1日1組予約制)/18:00〜22:30(L.O.20:30)
定休日:日曜日・祝日
☆☆紀尾井町 福田家【永田町】
永田町駅から徒歩5分、「紀尾井町 福田家」は北大路魯山人に魅了された福田マチ氏が昭和14年に創業したお店です。実際に魯山人に一から指導してもらい、店の装飾から料理やもてなし方まで魯山人の美意識が反映されました。もともとは虎ノ門で創業されたお店ですが、昭和20年に空襲のため紀尾井町へと移転し、別館である「ふくでん」が開業となり、その「ふくでん」の場所に「紀尾井町 福田家」がまた移転し今のお店となりました。
そんな今の「紀尾井町 福田家」は和風らしい数奇屋・書院造りの枠を集めた日本の代表的建築を楽しむことができます。店内は1階2階と分かれており、1階は掘りごたつ式、2階は写真上のように座敷に椅子と机が並んでいます。また、店内には北大路魯山人が「紀尾井町 福田家」にあてた書や、北大路魯山人作の吊行灯や大壺が飾られていますのでチェックしてみてくださいね。
魯山人の影響もあり、目で食べるとも言われる日本料理の見た目は他のお店をはるかに超えて美しいです。器ももちろん美しいのですが、盛り付け方もお見事で、また器との相性も抜群です。また、他の店は季節にあった料理を提供するのが普通ですが、このお店は季節の移ろいを重んじるため、先取りした店のしつらいや料理、器を用意します。例えば、春より少し前の時期に春を感じさせるものに一度気づくと改めて私たちは「ああもうすぐ春だな」と感じます。そして、普段の生活の中で春を意識するようになります。その日本人の季節の移ろいへの敏感さ、その風情を触発してくれるのが「紀尾井町 福田家」といえるでしょう。
昼はコースで16,200円ほど、夜はコースで27,000〜32,400円ほどにサービス料として15%加えられます。他の店に比べサービス料が少し高くつきますが、魯山人の世界も堪能できると考えれば納得がいきますね。そして、「紀尾井町 福田家」は接待や祝いの席で用いられることが多いそうなので、身近でそういった場があった際にはぜひ利用してみてくださいね。
■紀尾井町 福田家
住所:東京都千代田区紀尾井町 1-13
TEL:03-3261-8577
営業時間:【月〜木】17:00〜22:00(L.O.20:00)
【金・土】11:30〜14:30(L.O.13:00)/17:00〜22:00(L.O.20:00)
定休日:日曜日・祝日
「美」と「味」の調和を大切にする北大路魯山人の想いを引き継ぐ「紀尾井町福田家」は、この度赤坂の「別館ふくでん」の場所で新たに場を移します。心のこもったおもてなしでお客様をお迎えいたします。
☆☆菊乃井【赤坂】
出典:kikunoi.jp
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赤坂駅から徒歩5分、「菊乃井」は人生の節目や大切な日を過ごすために、大切な時間のためにと作られた京都の老舗料亭です。本店はもちろんのこと、他3店舗も京都にあるのですが、1店舗のみ赤坂に店を構えています。社長の村田吉弘氏はNPO法人日本料理アカデミー理事長でもあるのですが、「菊乃井」の経営以外にも機内食や食育活動を通して食の問題の解決を図る他、京都府文化功労賞や地域文化功労者(芸術文化)を受賞しています。
そんな村田氏の率いる「菊乃井」は枯れすぎない侘び寂びを意識した料理を手がけています。侘び寂びという美意識は不足の中に心の充足を見出すことや、閑寂さの中に豊かなものを感じる美しさを指します。どちらもいわゆる日本人らしい精神と言われるのですが、「菊乃井」の考え方は違います。上品で美しく、渋くても強くあるべきだという考えです。何でもかんでも侘び寂びであればいいというのではないということですね。料理も時代の流れとともに変わっていきます。柔軟性のある侘び寂びで日本の伝統を築いていこうというのが「菊乃井」の考えなのです。
出典:kikunoi.jp
「赤坂 菊乃井」で人気の料理といえば和食でいう八寸です。八寸四方の箱を開ける時のワクワク感は格別です。箱を開けると量がとても多いわけではないのに彩りが豊かなのでとても華やかで季節を一箱の中にたっぷりと感じることができます。味も京都ならではの薄味でありますが、深い旨みがあり、満足のできる一品となっています。そして、懐石にはお酒がついてくるのですが、そのお酒も変わるのは楽しめるポイントになりますね。月ごとに変わるそうなのですが、5月の菖蒲酒などは季節にあっているのがいいですね。他にも冬の柚子酒や夏の紫蘇酒などがあります。
お値段は昼がコースで10,800円ほど、夜がコースで17,280〜32,400円ほどにサービス料が10%(夜のみ座敷 15%)加わります。
店内1階はカウンターですが、2階には数寄屋建築の茶室と座敷がありますので、東京にいながらにして京都を感じることができます。外観は少し格式高く入りづらいという声も多いのですが、大切な日だからこそのとっておきの時間を「赤坂 菊乃井」で過ごしてみませんか。
■赤坂 菊乃井
住所:東京都港区赤坂 6-13-8
TEL:03-3568-6055
営業時間:【月】17:00-20:00
【火〜土】12:00〜13:00/17:00-20:00
定休日:日曜日・第1・3月曜
☆☆懐石 辻留【赤坂見附】
赤坂見附駅から徒歩約5分ほど、「懐石 辻留」はもともと初代辻留次郎氏が京都に創業した懐石料理の名店です。現在は二十歳にして北大路魯山人のもとで修行をしていた辻義一氏が主人を務めているのですが、彼の重んじるものが調和です。調和に始まり調和で終わる懐石と言い、器の形や色、味付け全てにおいて調和を求めているそうです。茶道も同様に和というのを重んじ、お点前の一連の動作の流れを重視しますが、同様にお店が茶道の裏千家に手ほどきを受けたということもあり、料理を出す流れも大事にしています。
店内には季節を感じさせる掛け軸や生花が床の間に飾られていたり、山下清氏の絵がかけられていたりします。また、料理に季節の風情を感じさせるだけではなく、料理を盛る器や仲居の所作などにも茶の湯に見られるような日本の美しさや細かな心配りを感じます。
先ほども述べたように「懐石 辻留」は調和を重んじるので、料理も調和を感じる美味しさを味わうことができます。全体的にまとまりがあるので、ずっと食べていたくなるような味なのです。それぞれの食材がお互いを引き立て合い和を成します。
また、コースにはお抹茶と半生菓子が出てくるのですが、お抹茶も綺麗に点っていてお菓子との相性もとても良いのでお勧めです。口当たりもよく、甘みのあるお抹茶はいいお口直しにもなりそうです。
お値段は昼はコースで16,200〜37,800円ほどで、夜はコースで27,000〜46,440円ほどにサービス料が10%加わります。値段に相当するそれなりの上質な懐石料理が茶の湯精神を通していただけるので、茶道をやっている方もそうでない方も楽しめると思います。
■懐石 辻留
住所:東京都港区元赤坂 1-5-8 虎屋第二ビル B1F
TEL:03-3403-3984
営業時間:12:00〜14:00/17:00〜21:00
定休日:日曜日
☆☆おかもと【神谷町】
神谷町駅からすぐのところにある「おかもと」はミシュランで3つ星を獲得した「幸村」で料理長を務めた岡本英嗣氏の「銀座 おかもと」が神谷町に移転したお店です。シェフの岡本氏は16歳という年齢で料理人として修行を始めた長年の経験を持つ方です。また、神谷町に移転する前の「銀座 おかもと」は開店後5ヶ月足らずでミシュラン2つ星を獲得したほどの腕前です。「幸村」で料理長を務めていただけありますね。そして、岡本氏は「幸村」で料理長を務める前にも京都にある「和久傳」で修行を積んでいました。中学を卒業してからすぐ料理人としての道を歩み始め、基礎からきちんと学びベースを作った上で岡本氏独自のアレンジを加わえた料理は何度訪れても楽しめるお店であり、さらなる高みを目指して変化し続けるお店です。
岡本氏はお客の前で四季折々の食材を工夫を凝らしながら一品へと仕上げていきます。春の定番料理は花山椒のしゃぶしゃぶで、牛肉と豚肉のそれぞれの旨みが花山椒とマッチします。初夏は、揚げ出し風のアイナメという魚に昆布を利かせた汁がよく染み込んでいて優しい味です。
また一番のおすすめ料理は唐墨蕎麦。使われるお蕎麦は「和久傳」で修行をしていた際に後輩だった方が継いだ製麺所で作ってもらっているそうです。その上に荒く削られ、たっぷりとのせられた唐墨と、炒られた香ばしい蕎麦の実が絶妙なバランスで蕎麦に絡みます。
昼はコースで14,040〜32,400円ほど、夜はコースで21,600〜32,400円ほどにサービス料が10%加わります。火曜日、木曜日、土曜日のみお昼に営業しており、完全予約制の予約は12時からのみ受け付けています。また、おまかせコースしか存在しないため上記で紹介した料理が必ずいただけるとは限りませんのでその点もご注意ください。
■おかもと
住所:東京都港区虎ノ門 5-2-8 サクシード虎ノ門 B1F
TEL:03-6432-0414
営業時間:【火・木・土】12:00~14:00/18:00~23:00(L.O.21:00)
【月・水・金・日】18:00~23:00(L.O.21:00)
定休日:不定休
☆☆玄冶店 濱田家【人形町】
大正元年、「玄冶店 濱田家」は東京日本橋人形町、歌舞伎の舞台としても知られる玄冶店に開業しました。あれから百余年、伝統を守り続け、日本の奥深さを料理で伝えてきました。
歌舞伎の舞台というのはお富と与三郎の情話を描いた世話物の名作「与話情浮名横櫛」で主人公の離れてしまった二人が再会した場所なのです。「与話情浮名横櫛」の舞台となった場所で開業したということで、登場人物である蝙蝠安にちなんで「玄冶店 濱田家」のシンボルマークは蝙蝠(コウモリ)になっています。
お店は東京では数少ない数寄屋造の建物で、店内は掘りごたつが中心となっています。また、「玄冶店 濱田家」は祝い事の際に用いられることも多いため、最大60名まで使える大きなお部屋も用意されています。そのお部屋はテーブルと椅子での利用も可能になっており便利です。季節に合わせて庭も表情を変えるので、季節に合わせて飾られた掛け軸や生花とともに楽しみたいですね。
そんな「玄冶店 濱田家」の料理は日本ならではの四季を味わうことができ、かつ、外国の素材も取り入れられた新たな形の日本料理となっています。春は筍、夏は鮎、秋は松茸、冬は海老芋、外国の素材は主にフォアグラやキャビアです。それら高級食材が盛られる器はどれも名匠の手により作られた季節感のあるものです。
料理の中でもお店一押しの一品は昆布と鰹の滋味深い出汁が身体に染み渡る椀物です。出汁の味が美味しいのももちろんですが、入れられているお椀もとても美しいです。日本料理は椀物と刺しが勝負と言われることも多いのですが、「玄冶店 濱田家」の椀物は見た目も味も逸品だそうです。
昼はコースで16,200〜27,000円ほど、夜はコースで32,400〜54,000円ほどにサービス料が20%(昼のみ15%)加わります。サービス料が他店に比べ少し高めですが、祝い事の際は惜しまずに利用してもいいかもしれません。
■玄冶店 濱田家
住所:東京都中央区日本橋人形町 3-13-5
TEL:03-3661-5940
営業時間:【水・木・土】11:30-15:00/17:30-22:00
【月・火・金】17:30-22:00
定休日:日曜日・祝日
☆☆日本料理 晴山【麻布十番】
麻布十番駅から少しはなれて徒歩12分のところにある「日本料理 晴山」。このお店のシェフ山本晴彦氏は岐阜にある日本料理の名店「日本料理 たか田八祥」で修行を積んできた方で、若くして料理長に抜擢され、開業した「日本料理 晴山」では約1年半でミシュランの2つ星を獲得するという実力ある方です。
店内は全体的に和を意識しつつも、来店したお客がくつろげるようにと格式高くしすぎていません。ゆっくりと時間を過ごせるような程よい高級感は接待にはもちろん、友人やデートでの利用にも向いています。
また、お盆などの器にも山本氏はこだわっています。器の中の一番のこだわりとも言えるお盆は漆を2度塗り直されているものだそう。そして、器にこだわるだけあって、盛り付けも華やかになっています
料理においては山本氏は出汁に力を入れているため、煮物椀が店イチオシの逸品です。また、椀は見た目にもこだわっており、例として鱧は牡丹に見立て、出汁は昆布、鮪、鱧の3つを合わせたものを使った一品があるそうです。そして、夏の定番として人気なのは鮑うどん。鮑の肝ソースが稲庭うどんに絡まっていて、煮た鮑がのせられているのですが、悶絶してしまうほどの美味しさだそうです。容器も貝殻のような器なのですが、それもまた洒落ていていいですね。
昼はコースで6,260〜16,200円ほど、夜はコースで16,200円ほどです。夜のみサービス料が10% 加わります。多くの日本料理のお店では美味しい料理のための指導としてお弟子さんへの態度が厳しく気になってしまうということが多いのですが、「日本料理 晴山」は優しく穏やかな雰囲気が漂っており、お弟子さんが真摯に料理と向き合う姿を見ることができます。そういったお店の雰囲気まで気にされる方には「日本料理 晴山」がオススメかもしれません。
■日本料理 晴山
住所:東京都港区三田 2-17-29 グランデ三田 B1F
TEL:03-3451-8320
営業時間:【木〜日】12:00〜14:30(L.O.12:30)/17:30〜23:00(L.O.21:30)
【火・水】17:30〜23:00(L.O.21:30)
定休日:月曜日
☆☆かどわき【麻布十番】
麻布十番駅から徒歩5分。シックな黒の店構えに、光がポツンポツンと照らされている「麻布かどわき」は「日本料理 つきじ植むら」や「日本料理 海燕亭」で修行を積んだシェフ門脇俊哉氏のお店です。
「麻布かどわき」は常連客が多い、まさに常連になりたくなってしまう個性的ではあるが魅力がたっぷりとつまったお店です。大人の隠れ家とも言われるほど、お店自体は大きくなく、入り口も少し狭いのですが、入ると漂う程よく糸の張った緊張感。シェフの門脇氏も昔ながらの職人というような性格の方で、はじめは少し驚くかもしれませんが、常連になるとその人の好みに合わせて食材を仕入れておいてくれていたり、店内に入った時に顔を合わせて笑顔で迎えてくれるような優しい方です。そして、そんな門脇氏のお弟子さんが絶妙なタイミングでもてなしてくれるのがまた心地いいです。常連になりたくなってしまう魅力は人の魅力にあったのかもしれませんね。
「麻布 かどわき」の料理といえばトリュフご飯。しかし、トリュフをふんだんに使うというと、ちょっと悪目立ちしそうと思われる方も少なくないと思います。しかし、食べてみればわかります。ただ、高級食材であるトリュフをたくさん使っているのではないと。たくさん使っても、きちんと料理として、まとめあげられているのです。まとめ上げられているからこそ、きちんと美味しいと思うことができ、クセになり、また来たいと思ってしまうんですね。
トリュフご飯に限らず、トリュフ蕎麦や、デザートとして苺とチーズの蜂蜜トリュフかけなど。トリュフを様々な料理で使っているのも見所です。トリュフの新たな一面をみるいい機会になりそうですね。
そして、お店一押しのしらす三昧(しらす山椒、しらす梅、しらす青しば)はネットで販売を行っています。様々な料理に合わせることができ、便利なのでぜひお店に行かれた後に買ってみてくださいね。
お値段はコースで22,680〜54,000円ほどにサービス料が10%加わります。料理はもちろん、一度行けば常連になりたくなるその感情をも味わってみませんか。
■麻布かどわき
住所:東京都港区麻布十番 2-7-2
TEL:03-5772-2553
営業時間:17:30〜24:00(L.O.22:00)
定休日:日曜日・祝日
☆☆赤寶亭【外苑前】
外苑前駅から徒歩5分ほど、紅葉の門を抜けた先にある「赤寶亭」は数々の名店を生み出している「日本料理・懐石料理 招福楼」出身のお店の1つです。というのもシェフの赤塚真一氏は、滋賀の招福楼で修行を積み、赤坂の老舗料亭きくみで料理長を務めていました。招副楼出身のお店は「松川」や「青草窠」など、どれも有名なお店が多いです。建物自体は一軒家風ですが、お店に入れば仲居さんが正座でお出迎えしてくれます。靴を脱いであがるのですが、この靴を脱ぐという行為は体がリラックスした状態に自然となるのでいいですね。とはいえ、席はテーブル席であったり、掘りごたつ式になっているので構えることはありません。カウンター席もありますが、そこからは雪見障子越しに坪庭を眺めることができるのでオススメの席です。
また事前に予約が必要となるのですが、その際コース料理において苦手な食べ物の有無を聞いてくれるのはとてもありがたいです。
「赤寶亭」の料理は基本的にはシェフによるおまかせになりますが、10月から3月まではふぐ刺しやふぐちり鍋をいただくことのできるふぐコースがあります。また、その他にも献立に歳時を取り入れており、端午の節句は菖蒲で巻くちまき寿司、七夕には天の川をテーマにした料理になるそうです。
シェフ赤塚氏の一押しは出汁を用いた料理、煮物や椀物です。というのも出汁に深いこだわりがあり、鰹の熟成した本枯節の中心部だけを使い、出汁を取るための水もわざわざ滋賀から取り寄せています。上質な水を使うことで昆布の旨味がより引き立つのだそうです。
自然と一体化しているような料理は多いですが、実際に本物の花を飾りとして使ったり、デザートであるフルーツの器にフルーツを使っているのをみると自然と本当に一体化しているなと思わされる上に、見た目もパッと華やかになって素敵です。
昼はコースで8,640〜27,000円ほど、夜はコースで16,200〜27,000円ほどでサービス料が10%加わります。個室の場合別料金で3,240〜5,400円ほどかかります。個室は別料金がかかってしまうものの、利用されている方は多く、接待にも使えますね。
■赤寶亭
住所:東京都渋谷区神宮前 3-1-14
TEL:03-5474-6889
営業時間:【月】18:00~22:30
【火〜金】12:00~14:30/18:00~22:30
【土】12:00~14:30/18:00~22:00
定休日:日曜日・祝日の月曜
☆☆壽修【乃木坂】
表参道駅から徒歩10分、「壽修」は佐賀の新鮮な食材を生かした関西風割烹料理の名店です。なぜ、佐賀なのかというとシェフである先崎真朗氏の出身が佐賀であるためなのです。食材のみならず、お酒も佐賀のお酒を用意しており、佐賀のお酒として有名な鍋島は約10種類ほど飲み比べができるそうです。鍋島はそれぞれに個性のあるお酒であり、また、その個性は単に辛いや香りが高いという特徴ではなく、五感に同時に働きかけるような口当たりのいいお酒です。
また、多くのお店ではシェフと話す機会はあまりありませんが、「壽修」は関西割烹であるため、お客との距離感が近く、会話をすることでそのお客の好みや要望といった情報をさりげなく獲得していきます。
そして、同じく他の多くの日本料理の名店は子供を連れては入りにくい少し格式高い印象があるのですが、「壽修」は子供を連れて家族で来やすいようなテーブル席となっています。とはいえ、カウンター席は他のお店と同じようにやや格式高い印象なので、大事な日に利用することもできそうです。
自慢の逸品はやはり椀物。関西風とあって薄味ではありますが、滋味深く仕上げられています。また、その椀物に旬の食材をとりいれます。よく使われる旬の食材は、春は山菜や筍、夏は京野菜、秋は実の物、冬は根菜類や松葉蟹などです。冬の松葉蟹は兵庫県産を使用し、その中でも身がぎっしりと詰まっているものを選んでいます。そうして選ばれた物が自慢の逸品である椀物に使用されているのです。
また、椀物だけでなく焼き物が美味しいのもこのお店の特徴です。その焼き物の中でも人気なのが高級魚として知られるのどぐろ。脂の乗り方から焼き加減まですべてにおいて完璧です。のどぐろは焼き物だけでなく、炊き込みご飯としても提供されることが多いそうなのでそちらと食べ比べてみるのもいいかもしれません。違った美味しさが見出せるはずですよ。
お値段はコースで16,200円ほどにサービス料が10%加わります。佐賀の鍋島の飲み比べ目当てに行くのもいいですし、家族でちょっと贅沢をしに行くのもよさそうですね。
■壽修
住所:東京都港区西麻布 2-16-1
TEL:03-6427-5167
営業時間:18:00〜24:00
定休日:日曜日・祝日
西麻布 和食 「寿修」(じゅしゅう) Jushu 満足、そして納得出来る和食ならではの「お任せ」料理で、ミシュラン2つ星を獲得した寿修(じゅしゅう・西麻布・和食)を紹介する公認サイト。English Information about Jushu, Japanese Restaurant in Nishiazabu.
☆☆き久ち【乃木坂】
乃木坂駅から徒歩10分と少し離れたところにある「き久ち」はシェフ菊池隆氏が一人で切り盛りするお店です。菊池氏は食材はもちろん、「食材をどう調理するか」に重点をおき、素材本来の味を損なわないようにしています。そのため、味はシンプルであるけれどそのシンプルの中に菊池氏の調理の丁寧さがうかがえる料理となっています。
店内はやや暗く、調理場とテーブルに中心的に光が当たっています。そのため、カウンター席は木の温もりをより一層感じることができ、落ち着いた空間の中で料理をいただくことができます。カウンター席の他に4名分のテーブル席がありますが、そちらは周りが木の格子状の障子で囲まれており、カウンター席とはまた一味違う温かみを感じます。店自体は合計で10〜11名ほどしか入りませんが、菊池氏一人で切り盛りしていることを考えればちょうどいい広さですね。忙しすぎず、ゆとりがありすぎないそんな空間です。
「き久ち」の料理で一番の一品は一人分ずつ土鍋で炊いたご飯です。日本の主食といえばご飯ですよね。土鍋で炊いたご飯は美味しいと聞きますが、自分のためだけに炊かれた白飯ほど美味しいものはありません。そして、面白いのは月ごとに米の味わいが変わることです。品種自体に大きな変化があるのではなく、作り方であったり、作られた場所であったりと細かな部分が変わります。その細かな部分が変わることでどう味が変わっていくのか毎月楽しむことができるのは面白いですね。ご飯以外にも、夏の葛打ちした鱧の椀物や、備長炭を使って焼かれた幽庵焼も美味しいと人気の料理です。
料理の盛り付けは上写真のように素朴ですが、素朴だからこそ感じる自然さがありますし、全体的に色の華やかさが少ないからこそ感じるあたたかみは店内の空間とマッチしています。
お値段はコースで10,800〜16,200円ほどです。作りたてのおいしさにこだわっているため、訪れる際は時間に余裕を持って足を運ぶことを勧めます。
■き久ち
住所:東京都港区西麻布 2-17-17 港屋総本店ビル 2F
TEL:03-6313-5599
営業時間:18:00〜21:30
定休日:日曜日
☆☆重よし【明治神宮前】
「重よし」は原宿駅からすぐのところにあるコープオリンピア1階に店を構える割烹料理屋です。1階にあるとはいってもほぼ半地下にあるような感じなので少しわかりづらい場所です。
シェフの佐藤憲三氏は「重よし」を開業して約45年ほど。昭和47年に開業されているのです。この長い間同じ場所に店を構え、ずっと料理を提供していることを考えるとその料理の腕前はおのずとわかってきますよね。また、長年続けている裏には「当たり前のことを当たり前にやる」という料理に対して真摯に向き合う姿勢が伺えます。45年も店を続けているからこそ、多くのお客を見ているからこその親切なおもてなしと、よく話しかけてくれる気さくさはまた食べに来たいと思わせてくれます。
料理は予算がある場合、ある程度融通を聞かせてその予算にあわせてくれるそうです。また、一人一人のお客にどういう料理を出したかをメモすることで次来店した時に同じ料理を提供しないようにしています。こういった細かな配慮は長年経験していないとできないことです。当たり前のようで当たり前じゃないということを痛感させられます。
「重よし」の料理はいわゆる正統派の和食です。45年も続ければ、何が本当に必要で何が余分なのかもわかってきます。無駄な部分が削られ、洗練された仕上がりの料理は長年の経験と手間の積み重ねから生まれていると考えるととても深い味わいです。「シンプルだからこそ、手間がかかっている」、「料理を味わえば、その人が見えてくる」というのはまさにこのお店の料理を指すのでしょう。経験があるからこそ作ることのできる料理をぜひ味わいたいものです。
昼はコースで7,560〜16,200円、夜はコースで21,800〜32,400円ほどです。個室を利用される場合はそのお値段に10%加算されます。先ほども述べたように予算がある場合はある程度融通を聞かせてくれるそうなので、相談されることを勧めます。
■重よし
住所:東京都渋谷区神宮前 6-35-3 コープオリンピア 1F
TEL:03-3400-4044
営業時間:12:00〜13:30/17:30〜22:00
定休日:日曜日・祝日の月曜日・祝日の土曜日
原宿エリアの日本料理、重よしのオフィシャルページです。お店の基本情報やメニュー情報などをご紹介しています。
☆☆樋口【明治神宮前】
「樋口」は明治神宮前駅より徒歩10分の所にあります。住宅街の中にあるということもあり、暖簾がかかっていなければ普通に家として通り過ぎてしまいそうな家のように見えるお店なのですが、中に入れば、2016年に一度改装されたということもあり、落ち着いた雰囲気で整えられています。改装前に比べ、カウンター席が増え、テーブル席も個室になったことで、以前より格式が少し高くなったと言えるでしょう。
また、注意していただきたいのが一人での来店はお断りということ、カウンター席での撮影は禁止ということです。こういった決まりからするに、ある程度の礼儀が必要とされそうです。
樋口氏は京料理の流れを汲む親方の下で修業をしていたということもあり、素材本来の味というものを重視します。春には富山湾のホタルイカの温石焼をいただくことができるのですが、石焼だからこその香ばしさとプリプリとした身、ほんの少しの苦味が一緒になった時、大人にしかわからないたまらない美味しさがやってきます。また、初夏には太田川や美山の鮎を塩焼きで、晩秋には脂がたっぷりとのった鱧を炭火焼で、冬には香箱蟹や松葉蟹を刺身、焼物、鍋など、好みに応じていただくことができます。
夜はコースで19,980〜32,400円ほどにサービス料が10%、個室の場合は別料金で3,000円加わります。個室であれば写真撮影は可能だそうなので、どうしても写真を撮りたい方は個室を予約してくださいね。
写真を撮らないからこそ料理に集中できる、写真を撮らないからこそ身体全体で味わうことのできるその場限りの美味しさを堪能してみてはいかがですか。
■樋口
住所:東京都渋谷区神宮前 2-19-12
TEL:03-3402-7038
営業時間:17:30〜21:00
定休日:日曜日・祝日
☆☆御料理 宮坂【表参道】
「御料理 宮坂」は表参道駅から徒歩8分ほどのところにある懐石料理屋で、シェフの宮坂展央氏は京都で10年間修行を積んだ方です。この場所に店を構えるのは店前にある根津美術館の塀がどこか京都を思い起こさせるからということもあるそうです。また、「御料理 宮坂」は今ちょうど波に乗ってきており、2017年の年末には六本木ヒルズのけやき坂に分店として「茶寮 宮坂」をオープンさせました。どちらも黒漆喰壁の凛とした趣のお店なのですが、宮坂氏のおもてなしを受けると自然とくつろいでしまいます。
そんな「御料理 宮坂」の料理は野菜は丹波篠山から取り寄せたものを使っており、出汁は昆布と鰹の風味を生かすために岐阜の天然水を使っています。また、11月になると炉開の時期に値するため、味噌も変わります。そういった日本の古き習わしを意識して料理にも反映させているのは高級日本料理屋のいいところですね。背筋が伸びる思いがします。
また白いご飯は炊きたての煮えばなから供され、残りはお土産として塩握りにしていただけます。お米一粒一粒に存在感がある塩握りは店を後にしても「御料理 宮坂」の味を堪能できると人気の一品でもあります。
お値段はコースで24,840円ほどにサービス料が10%加わります。写真では伝えられないほどの美味しさを味わいに訪ねてみてはいかがですか。
■御料理 宮坂
住所:東京都港区南青山 4-26-12 B1F
TEL:03-6805-005
営業時間:18:00〜20:00
定休日:日曜日
表参道・南青山の気品を保つ、日本料理店。旬食材でシンプルに表現する料理と「白米」のストーリーを。
☆☆豪龍久保【表参道】
表参道駅から徒歩10分の「豪龍久保」は4年連続でミシュラン2つ星を獲得する日本料理の名店です。店名である「豪龍久保」はシェフの久保豪氏とその息子の名前を合わせたもので、龍は流と掛けており豪流とも読み自分流という意味をこめたそう。また、龍というのは龍虎を意味し、縁起の良さも表現しているのだとか。店名の時点で掛詞を用いている点は日本人の風流さがあらわれていて粋ですね。
お店にある器はアンティークものから現代作家まで様々に用意されているのですが、このお店はお箸やおしぼり受けにまでこだわっており、わざわざ作家の元まで足を運び特注で手配しているそうです。
また、器のみならず、食材も自ら全国各地の生産地へと足を運んでいるので、そこから推測するに久保氏は自分の足で向かい、自分で実際にみて、育てた人や作った人と話をした上で納得のいくものを使用することが美味しい料理につながると考えているのでしょう。
春は京都の白子筍、淡路の鯛、丹波の花山椒。夏は宍道湖の天然大鰻や天草の鱧、熊本の天然すっぽん。秋は松茸や北海道の大黒秋刀魚。冬なら山陰の松葉蟹や豊後水道の天然トラフグ。「豪龍久保」のサイトに載っているように、旬の食材と仕入先はほぼ決まっています。どれも自分の目でみてきて、ここのものが美味しいと判断してきたものだからこそ、ある程度決まっているのでしょう。締めは、土鍋の炊き込みご飯に手打十割蕎麦です。蕎麦は手打ちならではの歯ごたえがありすっきりとした蕎麦で、どんな蕎麦屋も叶わない絶品となっており、人気の一品です。
お値段はコースで25,000〜50,000円ほどにサービス料が10%、個室だと15%加わります。どの料理も優劣をつけることができないというほど、すべての料理がバランスよく美味しいので最初から最後まで満足のできるコース料理となっています。そう考えると値段相当の料理をいただいているのでしょうか、はたまたそれ以上の値段以上の料理をいただいているのかもしれませんね。
■豪龍久保
住所:東京都港区西麻布 2-15-1 三澤ビル B1F
TEL:050-3188-0535
営業時間:18:00〜24:00(L.O.21:00)
定休日:日曜日・祝日
☆☆懐石 小室【飯田橋】
飯田橋駅から徒歩5分のところにある「懐石 小室」は九段の懐石料理店「和幸」での修行経験があるシェフ小室光博のお店です。小室氏は茶道の流派である遠州流の家元付き料理人でもあり、家元主催の茶事にも参加しています。そのため、茶道の精神でお客をもてなします。自然な形で奥深い味を伝えたいという姿勢は確かに自然な動作の中に細かな配慮や古くから伝わる伝統を含む茶道と通ずるところがあります。
そんな小室氏のこだわりは器、お米、お酒の3つに分かれています。器は須田菁華や澤村陶哉の作品を、鍋などは信楽雲井窯の中川一辺陶の作品を用いることが多いそうです。グラスはアンティークバカラが中心となっています。お米は山梨県白州の小野田農園のものを使っており、お酒は日本酒を春日部の目利きの酒屋のものを、ワインは勝沼産のものを、シャンパーニュはフランスのシャンパーニュ地方のものを用意しています。
春は花山椒と京都塚原の白子筍で、白子筍はえぐみがなく甘みが強いです。夏の名物は鱧尽くしで、1人1本分を焼霜造りや締めの湯引きなど10種類以上の料理としていただくことができます。10種類もの料理法で食べているにも関わらず飽きのこない味なので、あっという間に1本食べることができてしまいます。秋は松茸の季節ですが、丹波の松茸は歯ざわり、香り、味と全てが完璧です。冬は松葉蟹で、炭火焼が一番美味しいといいます。蟹は兵庫県香住港で毎日水揚げされたもので、甘くぷりぷりの食感がたまりません。
写真はすっぽん鍋ですが、疲れがとれるだけでなく、養殖に比べて味が濃厚になっています。鍋ではありますが、冬ではなく冬眠前に身を肥やした秋、夏の疲れが出てくる秋に食べるのが一番のオススメだそうです。
昼はコースで8,640〜12,960円ほど、夜はコースで17,280〜86,400円ほどにサービス料が10%加わります。店の外観がどこか懐かしい雰囲気であるのに対し、品の高さが漂う店内は接待に使うのに向いています。
■懐石 小室
住所:東京都新宿区若宮町 35-4
TEL:03-3235-3332
営業時間:【月】18:30〜20:00
【火〜土】12:00〜13:00/18:30〜20:00
定休日:日曜日・祝日
☆☆(移転)蓮【銀座・新橋】
出典:ginza-ren.jp
銀座駅、新橋駅から徒歩約5分、2018年6月に飯田橋からこちらに移転ました。「蓮」は「石かわ」系列のお店となっています。「石かわ」系列といえば「虎白」もそうですね。やはり店の外観は少し「石かわ」と似ています。シェフの三科惇氏は「石かわ」の精神を踏襲しており、店名の「蓮」の花のように清らかな心で料理と向き合います。
三科氏は年齢的にはまだ若いですが、だからといって実力が足りていないかというとそうではありません。「石かわ」や「虎白」の味を守りつつも、若いなりに直球で味が伝わってくるような印象を受けます。また、お客の目の前で仕上げているその姿はまさに料理に対して真摯に向き合っている証拠であり、自らをさらけ出すような潔さには料理人として生きていくという勇ましさすら感じます。
出典:ginza-ren.jp
「石かわ」同様素材を生かした料理を提供する「蓮」ですが、やはり誰が料理をするかに重点をおいているだけあって、三科氏の個性というのが料理には表れているように思えます。というのも、「石かわ」や「虎白」が炊き込みご飯を提供するのに対して、「蓮」は蓮の花のように清らかなという意味で白いご飯を提供しているからです。全てを師匠達に教わった通りにするのではない、彼なりの料理というのが白いご飯によって主張されています。
春は筍を、夏は鱧を、秋は松茸を炭火焼としていただくことが多いようです。冬は、松葉蟹の真薯を煮物椀でいただいたり、焼き物としていただくことができるそうです。伸び代はまだまだ大きく、日々進化し続けているそうなので、これからどんな料理が待ち受けているのか楽しみですね。
お値段はコースで18,360円ほどにサービス料が5%加わります。他店よりサービス料が低いのはいいですね。だからといってサービス自体が落ちるというわけでもないので、良心的です。「石かわ」系列にもかかわらず、「石かわ」や「虎白」より低い価格で美味しい料理を味わえることから「蓮」を支持するお客も多いようです。ぜひ、一度「蓮」の料理を食べて支持する一人になってみてはいかがですか。
■蓮
住所:東京都中央区銀座7-3-13 ニューギンザビル B1F
(移転前:東京都新宿区神楽坂 4-3-2 近江屋ビル 4F)
TEL:03-6265-0177
営業時間:17:30〜24:00(L.O.22:00)
定休日:日曜日・祝日
料理は素材の味に素直に、凛と仕上げ空間やおもてなしはぬくもりを大切にお客様にとってお食事の時間があたたかなものとなるよう「笑顔」と「旬」を味わっていただければ幸いです。
☆☆青草窠【広尾】
広尾駅から徒歩10分。「青草窠」は「赤寶亭」同様「日本料理・懐石料理 招福楼」出身のお店の1つです。だとすれば、この時点で美味しいということは確定しますね。店名の「青草窠」は緑に囲まれた安らげるところという意味で北大路魯山人が彫った扁額に由来しています。その由来通り店の入り口には木々が茂っています。また、店内に足をいれ、カウンター席へと向かうとその真向かいに北大路魯山人による「青草窠」の扁額が飾られています。また、店内には本格的な茶室や個室が2つあり、白を基調としたモダンではあるが落ち着いた雰囲気のお店になっています。
また、器にもこだわっており北大路魯山人による正法字椀、桃山時代や江戸時代の陶器、かなり昔の大陸の器など様々に揃えられているのも見所です。
柚子釜を使った一品は、柚子の下から火を入れると外側は焦げるのですが、甘味が増した柚子の香りが窯の中の食材に移ります。また、食材本来の風味を鮮やかな色とともに味わうことができます。賀茂茄子は出汁を含ませているため、淡い味付けはあるものの、炊き合わせにすると肉厚な賀茂茄子からじゅわっと出汁が滲み出てきて他の食材を包み込みます。
また蟹椀はこのお店の人気の逸品で、中に入っている蟹真薯はほぼ蟹の身でできておりいわゆるすり身で作られたような真薯より蟹の味が濃厚に出ています。そして口に入れると蟹の身でできた蟹真薯が花開くようにふわあっと開く楽しみもあります。
昼はコースで6,480〜21,600円ほど、夜はコースで21,600〜36,750円ほどにサービス料が10%加わります。招福楼の出身なので外すことはないですし、昼であれば最低10,000円に以内に収まるのでオススメです。
■青草窠
住所:東京都港区南麻布 4-2-34
TEL:03-3473-3103
営業時間:12:00〜15:00/17:30〜23:00
定休日:日曜日
広尾エリアの日本料理、青草窠のオフィシャルページです。お店の基本情報やメニュー情報などをご紹介しています。
☆しのはら【銀座】
銀座駅から徒歩3分、「しのはら」はもともと滋賀県湖南市にあった名店であり、シェフ篠原武将氏のお店です。篠原氏は京都の名店「桜田」に憧れてそこで修行しようと思っていたのですが、人手は足りており、別のお店で修行することになったものの、2年ほどでやめてしまいました。そして、居酒屋を経営していた父の紹介により「山玄茶」で修行を積みました。
店内は白木のL字型のカウンター席のみとなっており、個室の用意はありません。しかし、全席カウンター席となっているため、篠原氏とお客のコミュニケーションがどの席でも取りやすいのはこの店の魅力です。また、器はオールドバカラの酒器などを取り揃えています。店内のデザインも、器もシンプルだけど、品があるもので揃えられているのがとても粋です。
「しのはら」のメニューはおまかせコースのみとなっています。
献立は毎月変わるのですが、それを楽しみに月に一回訪れる常連客もいるそうです。お酒と一緒にいただくのも美味しいけれど、お酒なしだと素材の味がよくわかってそれもまた美味しいそうでお酒が飲めない方にも人気のお店となっています。
お値段はコースで23,000〜27,500円ほどで、サービス料が別料金でかかります。美しい八寸で季節を感じに訪ねてみませんか。
■しのはら
住所:東京都中央区銀座2-8-17 ハビウル銀座2 B1
TEL:03-6263-0345
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜日
松川【六本木一丁目】
六本木一丁目駅より徒歩10分、「松川」はこれまた「日本料理・懐石料理 招福楼」出身のお店の1つです。また、シェフである松川忠由氏は以前「青草窠」のシェフでもありました。「青草窠」をやめた後に独立して作られたお店が「松川」なのです。それだけの実力があるため、お店自体は完全紹介制かつ完全予約制ではありますが、予約自体難しく、二ヶ月前から受け付けているそうなのですが、その時点で既に満席になっているそうです。
店内にはカウンター席、座敷、個室2つが用意されています。カウンター席は松川氏の調理を近くで見ることができるよさがあり、座敷は横長の窓から外の庭を横に食べることができ、個室はテーブルと椅子なのに和の雰囲気と木の温かみを感じることができるようになっています。座敷の席はお茶室になっているので床の間を楽しむこともできますよ。
まず、席に着くと渡されるおしぼりの柔らかいこと。ふわふわでやわらかいおしぼりになっており、それだけでも心あったまります。コース料理の初めはお茶をいただくのですが、春にいただく桜の花びらが浮いている香煎茶は見た目も控えめながらも華やかです。また、食事の最後にも薄茶をいただくのですが、そちらも綺麗に点っており、きめ細かいです。
料理については、国内最高の食材は「松川」に集まるというくらいに質の高い食材を使用しています。その中でも松川氏の鱧は別格と言われるほど美味しいそうで、鱧の焼き霜は甘く、しっかりとした味、歯ごたえもしっかりとしています。また、写真の鮎は美山の天然鮎で、サクサク苦味と甘みが絶妙なバランスで口内に広がります。また、サクサクとしているのに、身の部分はふわっとしていて一口一口をゆっくりと味わいたくなるような一品となっています。
お値段は昼夜かかわらず30,000円〜となっていて、手が出しにくいとは思うのですが、訪れた多くの人は皆そんだけ払っても後悔しないと言えるほどおいしいと言います。また、料理の説明の際に、勉強になるような知識も教えてくれるそうで、人生の勉強代と思って訪ねる分にはいいお値段かもしれませんね。
■松川
住所:東京都港区赤坂1-11-6 赤坂テラスハウス 1階
TEL:03-6277-7371
営業時間:【月〜水・金】18:00~22:00(L.O.20:00)
【木・土】12:00~15:00(L.O.13:00)/18:00~22:00(L.O.20:00)
定休日:日曜日・祝日(詳細は公式HPのカレンダーに記載)
松川 東京、赤坂にある日本料理店
京味【新橋】
新橋駅から徒歩10分、時代劇にでてきそうな店構えの「京味」はシェフ西健一郎氏のお店です。西健一郎氏は有名な京料理人西音松の息子であり、あの人気漫画「美味しんぼ」にも登場しました。また、「京味」という名前を命名したのは裏千家15代家元の千玄室。そして、一番の驚きはミシュラン3つ星を断ったということです。何もかもができすぎているように思える「京味」ですが、その味も格別です。
「京味」はシェフである西氏が80を過ぎているということや、かつて膝の手術をされたということもあり、料理は最初から最後まで一人で作っているというわけではありません。しかし、西氏一人が全てを作らずとも、「京味」はチーム全体で高いクオリティのものを仕上げてくるのです。そして、そのチームの中で調理する西氏はひとり手が違うと言われます。西氏の手にかかれば、味や食感などにおいて全てが完璧に揃う絶品に仕上がるというのです。
魔法の手を持つ西氏の料理はどれもが美味しいのですが、その中でも「京味」名物の鮭ハラスご飯は大人気です。一度食べてしまうともう普通のご飯に戻れなくなるほどの美味ししさと言われる鮭ハラスご飯は、ご飯の上にハラス、皮は別焼きでパリパリになっています。色あざやかなハラスは脂がたっぷり乗っており、ご飯との相性も抜群です。
今日料理であるにも関わらず、全体的に濃い味付けであるのは珍しいですが、それでも重くなく、最後まで食べれてしまうのはさすがです。全体のバランスがうまく計算されているのでしょう。
お値段は30,000円からで、かつ完全紹介制の完全予約制ですが、お昼は一見様でも来店は可能だそうなので、ぜひまずはお昼からでも訪ねてみてはいかがですか。
■京味
住所:東京都港区新橋3-3-5
TEL:03-3591-3344
営業時間:12:00〜14:00/18:00〜22:00
定休日:日曜日・祝日
新ばし 星野【内幸町】
内幸町駅から徒歩2分ほど、「新ばし 星野」は東京でもっとも予約がとれないお店と言われるお店です。というのも、席がカウンター席しか用意がなく、昼営業もなし、夜も一回転のみ、完全紹介制のお店だからなのです。「京味」の西健一郎氏のもとで修行をされたシェフ星野氏ですが、カウンター席のみの少人数しか席を用意していない理由には西氏に「まだそんなに多くの人を相手にできるほどではない」と言われたからだそう。しかし、席が多数用意されていないからこそ、こじんまりとしているからこその星野氏との距離の近さ、圧倒的ライブ感は見るもの食すものを魅了します。
また、カウンター席だけということで店内も広くはありませんが、それでいて窮屈さを感じさせません。さすが「京味」の西氏が師匠なだけありますね。
星野氏の料理は高級食材を使わずに素材の持ち味で勝負する形です。自慢の一品は椀物で、完璧な出汁の味のコントロールは、一口すすれば口の中がぱっと姿を変えます。その味はまさに「京味」の味そのものだそうで、お椀の中に閉じ込められた香りが蓋を開けるとともに香るのも特徴の1つです。
また、焼き物にも、椀物にも使われるすっぽんは浜名湖の服部中村養鼈場のものだそうで、すっきりした味となっています。〆のご飯はとてもみずみずしいお米で、あまりの美味しさに一人で5杯もおかわりをしてしまう人がいるそうです。
お値段は20,000円〜ですが、値段より何より、予約です。一年先まで予約は埋まっているとのことなので、行ってみたい方は1年前を目安に、ほんとうに大事な日に予約して行ってみてはいかがでしょうか。
■新ばし 星野
住所:東京都港区西新橋1-18-8 尾坪ビル 1F
TEL:03-3504-8118
営業時間:18:00~23:00
定休日:日曜日・祝日
一度は食べておきたい本格的な日本料理
いかがでしたか。本格的日本料理は一度は食べておきたいものですよね。
今回ご紹介したお店はどれも値段はそれなりにしますが、きっと貴重な経験になり忘れられないようなものになると思います。
和食の「和」という漢字は「日本」という意味を指すだけではなく、平和や温和のように「人と争わない」、「穏やかな」という意味をも指します。日本料理、和食をいただくことで日本を味わい、人と争わずに人と「輪」を作れるような穏やかな気持ちになりませんか。
忙しない日々をお過ごしの方も、たまには日本料理で心身を落ち着かせてみてください。