伝統美を求めて!世界に誇る京都の私設美術館10選
1200年の歴史を誇る京都には、世界的な美術品・工芸品を所蔵する美術館が多数存在する。なかでもコレクターや芸術家個人が展示運営する私設美術館は、公立の美術館に比べると規模は小さいのですが、所蔵品や展示に独特の趣と独創性が満ち溢れています。京都で生まれ京都で息づく伝統の美を求めて私設美術館を探訪してみましょう。
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私設美術館
一般的に美術館というのは、博物館の一分野で美術品を専門の対象とするものをいいます。運営主体は国や地方公共団体から、コレクターや作家自身が開設するところまでさまざまです。京都には伝統工芸や美術の長い歴史があり、いわゆる私設の美術館も多く存在します。特に茶道に関わる陶器や皇室への献上品などにみられる工芸品など、大規模な美術館にない醍醐味を私設美術館で味わってみましょう。
【東山区】清水三年坂美術館
京都を拠点に電子部品の製造販売を行なっている「村田製作所」の創業者次男である村田理如が運営している。村田理如が1980年代にニューヨクで入手した、幕末から明治にかけての印籠に感動し同時期の名品蒐集を始めました。その後、海外流出してしまっている同時期の美術品を日本で紹介したいと開館、幕末・明治の金工、七宝、蒔絵、薩摩焼を常設展示する日本でも珍しい美術館です。洗練された芸術性と欧米の影響を受けた新しい感覚の作品に感動すら覚えます。
住所:〒605-0862 京都市東山区清水寺門前産寧坂北入清水三丁目337-1
電話番号:075-532-4270
アクセス:JR京都駅から京都市バス206・100号系統「清水道」下車、徒歩約5分
料金:大人800円、大・高・中生500円、小学生300円、幼児無料
【東山区】河井寛次郎記念館
明治23年(1890年)島根県安来町(現:安来市)の大工の家に生まれる。東京高等工業学校(現:東京工業大学)窯業科で学び、卒業後は京都市陶磁器試験場において釉薬の研究や過去の陶磁の研究を行なっていました。1926年には柳宗悦、濱田庄司らとともに民芸運動に関わり、無名職人による日用の美を広め、この時期以降は作品に銘を入れないようになったそうです。この記念館は大正・昭和にわたって陶工として活動した仕事場兼住居をそのまま公開、陶芸から木彫、書やことばまで数多くの作品を展示し、彼の人間性と精神性を感じることができる場所となっています。
住所:〒605-0875 京都市東山区五条坂鐘鋳町569
電話番号:075-561-3585
アクセス:JR京都駅から京都市バス206号系統「馬町」下車、徒歩約1分
料金:大人900円、高・大学生500円、小・中学生300円
【東山区】並河靖之七宝記念館
ここは明治期を代表する七宝家の一人、有線七宝にこだわり続けた「並河靖之」の自宅兼工房。制作の様子や彼の作品約130点を所蔵し展示しています。明治政府が日本の伝統工芸品を欧米への輸出品として奨励したことを契機に制作に励み各種の賞を受賞している。彼の作品は一つ一つが小さく、小さい世界の中に独創的な画面構成と色彩感覚を埋め込んだ繊細で優雅な作品が特徴です。まさに超絶技巧と呼ぶにふさわしい作品の数々を驚きとともに堪能しましょう。
住所:〒605-0038 京都市東山区三条通北裏白川筋東入堀池町388
電話番号:075-752-3277
アクセス:地下鉄東西線「東山駅」下車、徒歩約3分
料金:大人800円、大学生・70歳以上600円、高・中学生400円、小学生以下無料
【左京区】細見美術館
大阪で毛織物を商い財を成した実業家「細見亮一」「細見實」「細見良行」の細見家三代が蒐集した東洋古美術品を展示するため1994年に開館しました。近年話題となっている「伊藤若冲」の絵画も所蔵し人気を博している。館内には茶室・ショップ・カフェを併設し、「カフェキューブ」ではウエディングやパーティーにも利用され、観光客をはじめ女性にも人気のスポットとして注目を集めています。
住所:〒606-8342 京都市左京区岡崎最勝寺町6−3
電話番号:075-752-5555
アクセス:地下鉄東西線「東山駅」から徒歩約10分
料金:開催中の展覧会の内容により変わります(詳しくはHPを確認してください)
【左京区】泉屋博古館
住友家が長年蒐集してきた美術品を保存展示する中国古美術を中心とした美術館。京都の本館と東京の分館があります。収蔵品には国宝や重要文化財も多く含まれ、特に青銅器と鏡鑑が素晴らしく専用の展示室を作り展示しています。考古資料として展示される鏡は、三角縁神獣鏡といった教科書でしか見たことのないもものもあり、実物の迫力を堪能することができます。
住所:〒606-8431 京都市左京区鹿ケ谷下宮ノ前町24
電話番号:075-771-6411
アクセス:JR京都駅から市バス5・100号系統「東天王町」下車、徒歩約3分
料金:一般800円、高・大学生600円、中学生350円、小学生以下無料
【上京区】相国寺承天閣美術館
臨済宗相国寺派大本山「相国寺」が、約600年の歴史を通じて所蔵する墨跡・絵画・茶道具を中心に展示している美術館。現在国宝5点、重要文化財143点を所蔵し、近年注目を集める「伊藤若冲」の水墨画などを常設展示しています。本山の相国寺だけでなく、鹿苑寺(金閣寺)・慈照寺(銀閣寺)など他の塔頭寺院の美術品も保存展示を行なっており、同時に多くの美術品に出会えるメリットがあります。
住所:〒602-0898 京都市上京区今出川通烏丸東入
電話番号:075-241-0423
アクセス:地下鉄烏丸線「今出川駅」から徒歩約10分
料金:一般800円、大学生・65歳以上600円、中・高校生300円、小学生200円
【上京区】樂美術館
1978年、樂焼窯元・樂家14代吉左衛門・覚入によって設立されました。樂家代々の作品から茶道具工芸美術品、関係する古文書などを展示し、樂焼の伝統とその世界を感じる貴重な美術館となっている。樂焼という言葉を知りながらも、実際にどんな形で造られるのか、その独特の作陶風景や茶道との関係など、茶道愛好家から陶器ファンまで幅広い方々にも興味をもっていただけます。夏休みには小学生を対象にした展示を行い、実際に樂焼を手にとって触れることができ、焼物に対する理解を深めてもらう役割も担っています。
住所:〒602-0923 京都市上京区油小路通一条下る
電話番号:075-414-0304
アクセス:JR京都駅から市バス9・50号系統「堀川中立売」下車、徒歩約8分
料金:展覧会により異なります。
【中京区】大西清右衛門美術館
大西家は室町時代後期から続く京釜師(茶道の茶釜制作)、4代目から当主は「清右衛門」を名乗り現在は第16代清右衛門が当主。「大西清右衛門美術館」は、代々の清右衛門が守り続けてきた伝統と様式に支えられた茶釜を知って欲しいと、名品の数々を展示する美術館として開設されました。茶道で使われる「茶釜」という独特の世界観を味わえる貴重な美術館です。
住所:〒604-8241 京都市中京区三条通新町西入釜座町18-1
電話番号:075-221-2881
アクセス:地下鉄烏丸線「烏丸御池駅」から徒歩約7分
料金:展示内容により異なります。
大西清右衛門美術館は、代々の清右衛門が精進を重ね、 工夫を凝らした茶の湯釜の伝統と様式を、広く皆様に公開するために開設致しました。
【北区】古田織部美術館
古田織部は、織田信長、豊臣秀吉と戦国武将に仕え、千利休亡き後「天下一」と称せられた武将茶人。古田織部美術館は、古田織部研究家「宮下玄覇」が蒐集した織部焼の数々を展示するため2014年に開館し、2016年に現在の場所へ移転してます。織部焼といえば「不思議な絵」「歪んだ形」など独特の世界観があり、400年前にこれほど前衛的で刺激的な作品を作り続けた人物がいたことに驚きを隠せません。小さいながらも「古田織部の世界」を堪能できる珍しい美術館です。
住所:〒603-8054 京都市帰宅上賀茂桜井町107-2 B1
電話番号:075-707-1800
アクセス:地下鉄烏丸線「北山駅」から徒歩約3分
料金:一般500円、高・大学生400円、中学生以下300円
【乙訓郡大山崎町】大山崎山荘美術館
大山崎山荘美術館は、英国風山荘の本館と安藤忠雄設計による「地中の宝石箱」「夢の箱」などで構成されています。元々は関西の実業家「加賀正太郎」が別荘として大正から昭和にかけて建築。1989年にアサヒビール株式会社が復元し美術館として開館しました。収蔵品はアサヒビール初代社長「山本爲三郎」のコレクションです。河井寛次郎・濱田庄司・バーナードリーチといった民芸運動の陶芸家の作品から、クロードモネの「睡蓮」連作などを見ることができます。美術品に囲まれつつ、落ち着いた別荘の一室で腰を落ち着けると、ゆったりとした時間に包まれ至福の時間を味わえます。
住所:〒618-0071 京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
電話番号:075-957-3123
アクセス:JR京都線「山崎駅」から徒歩約10分
料金:一般900円、高・大学生500円、小・中学生無料
注意:大規模修繕工事のため2017年5月29日から同年9月15日まで休館中
世界に誇る京都の美
いかがでしたか。長い歴史を重ねてきた京都には、時代々々に特徴ある文化や芸術が生まれてきました。そこには多くの作品を研究し蒐集したコレクターたちの存在があります。彼らが蒐集した作品は多岐にわたるものの、コレクター一人一人の想いが独特の美術館を誕生させている。京都観光の合間にちょっと趣を変えて、独創的な私設美術館に足をはこんでみてはいかがでしょうか。