お気に入りの芸術家の世界にとっぷり浸かれる、パリのおすすめ個人美術館10選
ここでは、一人の画家の作品にスポットを当てたパリのおすすめ個人美術館をご紹介しましょう。こじんまりとした空間で、モローやロダン、ピカソ、ドラクロワなどお好きな画家の作品世界を心ゆくまで堪能しませんか。
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個人美術館とは
個人美術館は、「一人のコレクターが収集したアート作品が展示されている美術館」または「一人のアーティストに特化した美術館」のことを指します。今回は後者の意味の、一人の画家の作品に限って作品を展示しているパリの美術館を紹介します。
かつて画家のアトリエや邸宅だった場所が美術館になっていることも多いので、画家の面影を偲ぶことができるのも個人美術館の魅力ですね。芸術の都パリで花開いた、彼らの才能の一端に触れに行きませんか。
美しい空間でモローの神秘の世界に浸る「ギュスターヴ・モロー美術館」
神話や聖書を題材に、人間の心の奥底に眠る激しい感情や欲望を美しく表現した「象徴主義」を代表する画家、ギュスターヴ・モロー。こちらは実際にモローが暮らしアトリエとして使用していたアパルトマンで、彼の遺言通り、死後は美術館として公開されるようになりました。オペラやサンラザールからさほど遠くない場所にあります。
1300以上もの油絵や水彩の作品、5000にも上るデッサンを収蔵しており、画家の足跡を辿ることができます。作品以外にも美しい家具やインテリア、優美ならせん階段、モローゆかりの品など見どころもたっぷりです。
ギュスターヴ・モロー美術館(Musée Gustave Moreau)
住所 14 Rue de la Rochefoucauld 75009 Paris
電話 +33(0)1 48 74 38 50
オープン時間 月曜・水曜・木曜:10時~12時45分、14時~17時15分
金曜・土曜・日曜:10時~17時15分
閉館日 火曜日
アクセス メトロ12号線「トリニテ(Trinité)」「サン・ジョルジュ(Saint Georges)」
メトロ12・2号線「ピガル(Pigalle)」
料金 6ユーロ
日本語のページもあります。
豪華な館内や庭園に映える彫刻作品群「ロダン美術館」
18世紀に建てられたこの「ビロン館」には、かつてロダンのアトリエがありました。3年間の改装を終え2015年に再オープンしたロダン美術館は、在りし日の姿を取り戻しました。ナポレオンの墓がある軍事博物館やボンマルシェに近いエリアです。
館内にはロダンの作品が年代を追って展示されており、彼の彫刻家人生を辿ることができます。ロダンのコレクションの一つだったゴッホ作の「タンギー爺さん」も必見です。四季折々の花が咲く広大な庭園では「考える人」「カレーの市民」「地獄の門」など、お馴染みのロダン作品に出会えます。
ちなみに、パリ郊外にあるムードンには彼の自宅があり、現在は美術館として公開されています。
ロダン美術館(Musée Rodin)
住所 79 Rue de Varenne 75007 Paris
電話 +33(0)1 44 18 61 10
オープン時間 10時~17時45分
閉館日 月曜日
アクセス メトロ13号線「ヴァレンヌ(Varenne)」
メトロ13・8号線「アンヴァリッド (Invalides)」
料金 10ユーロ
英語のページもあります。
エネルギッシュな巨匠の足跡を辿る「ピカソ美術館」
こちらは17世紀の壮麗な建築「サレ館」を利用した、20世紀アート界の革命児、パブロ・ピカソの美術館です。5年間の改装を経て、2014年に再オープンしました。オシャレなブティックやカフェの多いマレ地区にほど近いエリアにあります。
多作な画家として知られるピカソですが、こちらの収蔵作品も5000点を超えています。ピカソは絵画や版画のみならず、彫刻作品も数多く残しています。ピカソがいかにバイタリティあふれるアーティストだったのか、身をもって実感できるスポットです。
南フランスのアンディーブにもピカソ美術館があるので、ピカソファンはぜひあわせて足を運んでみてください。
ピカソ美術館(Musée Picasso)
住所 5 Rue de Thorigny 75003 Paris
電話 +33(0)1 85 56 00 36.
オープン時間 火曜~金曜:10時半~18時
土曜・日曜・祝日:9時半~18時
閉館日 月曜日、12月25日、1月1日、5月1日
アクセス メトロ1号線「サン・ポール(Saint-Paul)」
メトロ8号線 「サン・セバスチャン・フロワサール(Saint-Sébastien-Froissart)」
「シュマン・ヴェール(Chemin Vert)」
料金 12,50ユーロ
モンマルトルで不思議な世界に迷い込む「エスパス・ダリ」
シュールレアリズムを代表するアーティストの一人であるサルバトール・ダリ。ピカソやユトリロなどかつて若きアーティスト達が集ったモンマルトルの丘の上にあります。こちらの常設展では、主に彫刻作品や版画作品を展示しています。足の長い「宇宙像」や歪んだ形の時計など、まるで夢の中のような不思議で幻想的な作品群は、一度見たらきっと忘れられません。そんな独特な世界観を持つダリの作品を売り込んだという彼の妻・ガラのプロデュース力にも驚かされます。ダリの多彩な才能を垣間見ることのできるスポットです。
エスパス・ダリ(Espace Dali)
住所 11 rue Poulbot 75018 Paris
電話 +33 (0)1 42 64 40 10
オープン時間 10時~18時
閉館日 なし
アクセス メトロ2号線「アンヴェール(Anvers)
メトロ12号線「アベス(Abbesses)」「ラマルク・コーランクール( Lamarck-Caulaincourt)」
料金 11,50ユーロ
Espace Dalí in Montmartre, the only permanent exhibition in France entirely dedicated to Salvador Dalí, the Master of Surrealism.
英語のページもあります。
映画のようにドラマチック。「ドラクロワ美術館」
誰しも一度は目にしたことがある名作「民衆を導く自由の女神」の作者ウージェーヌ・ドラクロワは、19世紀に起こったロマン主義を代表する画家の一人です。古き良きパリの面影が残るサンジェルマンデプレ界隈にあるこの美術館は、ドラクロワが晩年を過ごした自宅兼アトリエでした。彼のドラマチックで迫力ある絵画作品の他、実際にドラクロアが使っていたパレットや直筆の手紙など、当時の彼の様子が伝わるゆかりの品も見どころです。
ドラクロワ美術館(Musée Delacroix)
住所 6 Rue de Furstenberg 75006 Paris
電話 +33(0)1 44 41 86 50
オープン時間 9時半~17時半
閉館日 火曜日
アクセス メトロ4号線「サン・ジェルマン・デ・プレ(Saint-Germain-des-Prés)」
メトロ10号線「マビヨン(Mabillon)」
料金 7ユーロ
英語のページもあります。
素朴で力強い作品を堪能「ブルーデル美術館」
モンパルナス駅そばにあるこの美術館は、「アトリエ美術館」という名の通り、かつてのブルーデルのアトリエでした。この界隈にはブルーデルのみならず、多くの芸術家がアトリエを構えていました。ウージェーヌ・カリエールもその一人で、彼のアトリエの一角もこのブルーデル美術館に保存されています。古代ギリシアを思わせる素朴かつダイナミックなブルーデルの作品は、本国フランスに留まらず世界中で愛されています。モダンでお洒落な空間の中、ブルーデルの力強い作品世界に浸りましょう。
ブルーデル美術館(Musée Bourdelle)
住所 18 rue Antoine Bourdelle 75015 Paris
電話 +33(0)1 49 54 73 73
オープン時間 10時~18時
閉館日 月曜日、祝日(例外あり)
アクセス メトロ12号線「フォルギエール(Falguière)」
料金 常設展:無料
企画展:10ユーロ
英語のページもあります。
シンプルにデフォルメされているのにこの躍動感「ザッキン美術館」
この美術館は元々ザッキンが妻と長年暮らした自宅兼アトリエで、リュクサンブール公園のすぐそばです。ザッキンはエコール・ド・パリの芸術家の一人と目され、幾何学的なフォルムでモチーフを表現するキュビズムの彫刻家として知られています。館内には400点もの彫刻作品と300枚以上のデッサンが所蔵されています。緑あふれる庭にもザッキンの作品群が所々に置かれ、見る者の目を楽しませてくれます。
ザッキン美術館(Musée Zadkine)
住所 100 bis rue d'Assas 75006 Paris
電話 +33(0)1 55 42 77 20
オープン時間 10時~18時
閉館日 月曜日・祝日(例外あり)
アクセス メトロ12号線「ノートルダム・デ・シャン(Notre-Dame des Champs)
メトロ4号線「ヴァヴァン(Vavin)」
料金 常設展:無料
英語のページもあります。
壮大かつ繊細で美しい作品に出会える「マイヨール美術館」
オルセー美術館やボンマルシェ百貨店にほど近い、セーヴル・バビロンエリアにある美術館。マイヨールはこちらにアトリエを構えていたわけではないのですが、長年彼のモデルを務めていたマイヨールのミューズ的な存在だったディナ・ヴィエルニという女性がこの美術館を創設しました。壮大なテーマを感じさせる作品や女性美を表現した作品など、一度目にすればきっとマイヨールの作品世界に引き込まれることでしょう。
マイヨール美術館(Musée Maillol)
住所 59-61 rue de Grenelle 75007 Paris
電話 +33(0)1 42 22 59 58
オープン時間 10時半~18時半
アクセス メトロ12号線「ルー・ドゥ・バック(Rue du Bac)」
料金 13ユーロ
英語のページもあります。
19世紀末、アカデミーの画家だって負けてない「ジャン=ジャック・エンネル美術館」
印象主義が花開いた19世紀末に、アカデミーの画家として活躍したエンネル。人物や風景を描いた作品は、思わず見とれてしまうほどの美しさです。こちらは元々デュビュフという画家のアトリエで、エンネルの死後彼の甥の妻がエンネルの作品を展示するために購入しました。第三共和政期の雰囲気が感じられる館内には、彼の作品以外にもエンネルゆかりの品が数多く展示されています。
ジャン=ジャック・エンネル美術館(Musée national Jean-Jacques Henner)
住所 43 Avenue de Villiers 75017 Paris
電話 +33(0)1 47 63 42 73
オープン時間 11時~18時
閉館日 火曜日・祝日
アクセス メトロ3号線「マルゼルブ(Malesherbes)」、「ワグラム(Wagram)」
メトロ2号線「モンソー(Monceau)」
料金 6ユーロ
モネ好き、印象派好きの聖地「マルモッタン・モネ美術館」
閑静な高級住宅地のあるパリ16区に位置するこちらの瀟洒な館は個人美術館ではないのですが、「印象 日の出」や「睡蓮」の連作など、モネの重要なコレクションが揃っているファンにはたまらないスポットです。モネ以外にもモリゾ、ピサロ、ルノワールなどの印象派の画家たちの作品も充実しているほか、実業家のマルモッタンが収集したナポレオン帝政期の美術品なども所蔵しています。
マルモッタン・モネ美術館(Musée Marmottan Monet)
住所 2 rue Louis-Boilly 75016 Paris
電話 +33 (0)1 44 96 50 33
オープン時間 10時~18時
閉館日 月曜日
アクセス メトロ9号線「Muette(ミュエット)」
料金 11ユーロ
英語のページもあります。
個人美術館で、お気に入りの芸術家の世界に浸ろう
いかがでしたか。個人美術館は一人の芸術家の人生や作品世界をぐっと掘り下げて紹介しているので、その芸術家に親しみを抱くことができるのが魅力ですね。あまり興味のなかったアーティストも、個人美術館に足を運んでみたら前よりも好きになれるかもしれません。パリ旅行の際、友達の家を訪ねるように気軽にぶらっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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この記事のライター
フランス在住です。読書・アート・料理・食べ歩きが趣味。現地の情報や、自分の気になったものをお伝えします。