不便を楽しむ男のハーレーダビットソン ナックルヘッドエンジンとは?
ハーレーダビットソンは搭載されるエンジンによって種類分けされます。車種によって個性が別れるのはもちろんですが、バイクにとって搭載されるエンジンの影響は大きく、性格を決定する要因の一つです。それぞれの違いを理解することで、ハーレーダビットソンをより身近に感じられるかと思います。
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ハーレーダビットソンは年式によってエンジンが違う
たとえば国産メーカーでは、1モデルあたり1エンジンというのが当たり前になっていますが、ハーレーダビットソンでは、年代によって搭載されるエンジンが違います。一部スポーツモデルなどを含めれば、その限りではありませんが、ハーレーダビットソンの主なスタンダードモデルではそうなので、搭載エンジンである程度の年式がわかるのです。
それぞれエンジンによって個性が違うので、ここで紹介する内容を参考に、ハーレーダビットソン選びをしてください。
ハーレーダビットソンのエンジン:ナックルヘッドとは?
1936年に登場したエンジン。エンジンヘッドが拳のような形をしていることから、ナックルヘッドと呼ばれています。ヴィンテージハーレーの話題でよく目にするワードかと思いますが、現在も人気のあるエンジンです。
確かにオイル漏れなど気になってしまいますが、エンジン本体が故障するようなことはなく、現代においても、当時のハーレーダビットソンの技術力の高さを思い知らされます。設計が古いため、絶対的なパワーはありませんが、鼓動感を感じながら加速することで、ハーレーダビットソンらしい「ダッダッダッダ」という排気音を楽しむことができます。
ナックルヘッドの魅力はキックスタートにあり
あえて古いハーレーダビットソンに乗ることにはそれなりの理由があります。例えばナックルヘッドという美しさを覚えるエンジン形状はもちろんですが、見た目には映らない魅力の一つ「キックスタートオンリー」であること。
近年のバイクはどれもセルスターターが付いており、どんな状況でも楽々エンジン始動ができますが、ナックルヘッドではキックスタートのみです。それもそのはず、1930年代の設計ですから・・・。
キックスタートオンリーのなにが魅力なのか?
キックスタートのみ、しかも排気量が大きいため、全体重を乗せて必死にキックしないとエンジンの始動はできません。気候に応じてキャブレターの調整も必要ですし、空キックという、エンジンを始動させるための前準備も必要です。
また、エンジンの始動は、整備状態が大きく影響し、調子が悪いと始動できない場合も。もし調子がよくても、しばらくキックし続けなければいけないことも。とにかく現代においては不便でしかありません。急用ができてもすぐにエンジンをかけられないことも十分ありますから。
不便を楽しむ男の遊び
このように、あえてナックルヘッドを選ぶということは、ゆとりのある、懐の深い男のバイク選びであるといえます。性能も現代のバイクに比べればもちろん劣りますし、故障のリスクも常にあり、古いゆえにメンテナンスも大変です。
そんなナックルヘッドは年式、人気、希少価値も相まって、手に入りにくい状況となっています。一度手に入れた者はなかなか手放さないということも、忘れてはいけません。近年のバイクはどんどん便利になっていきます。代を追うごとに、不具合、弱点も克服されていますが、バイクの原点ともいえるナックルヘッド。乗りこなすだけでもステータスとなる、ハードボイルドなバイクを手に入れてみませんか?
このナックルヘッドはただ乗るだけの知識では残念ながら動きません。エンジンやキャブレターの基礎を知り、応用する必要があります。このあたりもハードルを高めている一因でしょう。しかし、逆に言えば、ナックルヘッドを扱いこなせれば、ライダーとしてワンランク上であることも証明できますよ。
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この記事のライター
自動車、バイク、アパレル関係のお仕事に携わっておりました。その経験を生かしライター活動をさせていただいております。