ＳＦショートショートの金字塔作家である星新一のおすすめ作品４選

あらゆる危険から守ってくれる「安全のカード」をはじめとした魅力的なストーリー

表題になっている安全のカード。どんな危険からも身を守ってくれるというカードをセールスマンから購入した青年は、その魅力に取り付かれて様々なことに利用し、楽しんでいく話です。勧善懲悪のような退屈な話ではなく、世俗的で読む人が納得する使い方をする青年の姿は、世の中の人間を巧みに、風刺的に表現しています。気軽に読んでいて、時折ハッとさせられる魅力的なストーリーがたくさん詰まっています。

完璧に訓練された銀行強盗チームが織り成す、意外なストーリー

銀行強盗のリーダーが主人公という異色の設定が光る「非常ベル」。訓練を重ね計画は順調に進みリーダーは大声で笑います。しかし、そこは刑務所でした。
物語の展開やオチのつけ方は非常に魅力的な星ストーリーですが、その中でもおせっかいな神々は、現代的でシュールだという意見の多い作品です。
（『おせっかいな神々』は表題で、中のストーリーに同タイトルは存在しません）

妄想取り出し、必要な人に販売する『妄想銀行』

現代の悩みである神的なトラブルを装置一つで解決できる、そんな素晴らしい発明をしたエフ博士の一日を描いた妄想銀行をはじめとした、シュールな世界観が広がった名作です。
登場人物はいずれも人間味や感情的に行動し、人がたどり着くべきオチへと進む。読んでいてままならない世の中を感じさせる一方、つい自分ならこうすると妄想を広げてくれる、そんな名著だと言えるでしょう。

何でもできるロボットが、何でもするわけではない『きまぐれロボット』

何でもできる紹介されたロボットを大金で買うエヌ氏が、ロボット共に別荘で過ごすお話です。しかし、何でもできるロボットだが、エヌ氏の目的とは違った方向に話が進んでいく様子は読むのが待ち遠しくなるほどの魅力を備えています。星新一の作品の中でも、人気評価が絶えない名作でもあります。

世俗的な世界観に広がる、知的な面白さ

星新一の作品は、いずれも世俗的で接しやすいストーリーです。ですが、そこから得ることのできる面白さや趣は、世俗的な感情より一歩前に出た、高度なセンスを与えてくれます。いつの時代に読んでも愛され続けるであろう名作だと言えるでしょう。