冲方丁の二面性のある歴史的作品4選
小説のみならず様々なメディアで活躍する作家冲方丁。彼の作品の特徴は大きく2つに分けることができます。一つ目は歴史を重厚に描いた物語、二つ目にはSFやアニメ作品の脚本の経験から創りだされる作品です。どちらの作品も丁寧かつエンターテイメントに描かれており、読んだことがない人でも楽しむことができるでしょう。
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脚本も担当している作家
作家・冲方丁をご存知でしょうか。多くの方は本屋大賞のニュースなどで見聞きしたことがあるかもしれませんが、彼の経歴は歴史作家としての物だけにとどまらずSFやアニメの脚本を担当するマルチなメディアで活躍する作家です。
天地明察
『天地明察』は第七回本屋大賞に選ばれた作品で映画化もされました。この作品は主人公である囲碁棋士で天文暦学者の渋川春海の生涯が描かれています。彼は江戸時代の暦の改暦という大問題に取り組んでおり、学問の道を極めようと奮闘する姿は知のフロンティアを切り開く人には大いに共感することでしょう。
光圀伝
『光圀伝』はタイトルの通り水戸黄門の生涯の物語です。しかし所謂テレビでの温厚な老世紀だけではなく、少年期や青年期の光圀の姿を全く新しい視点で描く重厚な歴史大河小説として書かれました。分厚い本ではありますが、その若かりし姿の迸る情熱と破天荒さや向上心には胸が熱くなるでしょう。
マルドゥック・スクランブル
冲方丁の作家性を語る上で外せないもう一つの側面がキャラクターの上手さです。『マルドゥック・スクランブル』は彼のSF作品の中でもそれが特に顕著に現れている作品です。サイバーパンクの世界に生きる少女が復讐の為に手を組んだのは様々な兵器に変身できる一匹のネズミだった、と描かれるストーリーは映画的な見せ場はもちろんのこと、二人が抱える闇や救いなどの内面描写が繊細でとても共感できるものになっています。
オイレンシュピーゲル
よりアニメ的なキャラ造形もまた秀逸である『オイレンシュピーゲル』はシュピーゲルシリーズとして刊行されているライトノベルですが、こちらもサイバーパンクを基調としながらも、メインとして描かれているのは機械化された戦闘少女の姿であり、そこには彼女らのキュートさと同等に戦場のグロテスクさが描かれた作品となっています。
一度読めば夢中になる
いかがでしたでしょうか。ご紹介したように、冲方丁という作家は幅広いジャンルを常に取り入れる、今最も注目すべき文芸界の人物の一人であると言えます。彼の作品を読んだことがない人でも、彼の歴史的な作品を読むことで、その奥深さに惹かれ、興味を持つことができるでしょう。
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