妖怪に絡めた人間の哀しさを描く京極夏彦の作品4選
京極夏彦は小説家よりも妖怪に関する肩書きの方が多い、一風変わった小説家です。彼の本には、本が厚い・難しそう・ホラー小説というイメージがありますが、実際読み始めてみればそれを覆す京極ワールドにはまること間違いないでしょう。
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妖怪関係の肩書き
小説家よりも妖怪関係の肩書きが多い京極夏彦が書くのは、やはり妖怪や怪談を元にしたミステリーが基本ですが、本が厚い・難しそうと敬遠する方も少なくありません。とても特徴ある登場人物やあっと驚くような新解釈と豊富な知識が、読者を京極ワールドへ引きずりこみます。
必読のデビュー作 姑獲鳥の夏
不動の人気を誇っている京極堂シリーズの第一作目は、雑司ヶ谷の病院起こった奇妙な事件を古本屋と「憑き物落し」を生業とする京極堂が解きほぐしていきます。
解きほぐされた謎のなかに浮かび上がる、妖怪「姑獲鳥」は悲しくも美しい姿で描かれます。
ページ数は多いですが、読み始めると止まらなくなるほどです。
現代版四谷怪談? 嗤う伊右衛門
泉鏡花賞を受賞した、新解釈の「四谷怪談」です。
怪談の中でも有名なお岩の話を全く違う目線で捉えた、悲恋小説だと言ってもいいのではないでしょうか。
おぞましいほどの姿となってようやく成就する、伊右衛門とお岩二人の愛に涙が止まらなくなります。
京極道シリーズ番外編 百器徒然袋 雨
京極道シリーズに登場する破天荒な探偵を主人公にした、番外編です。
この主人公「僕」は探偵の突飛な騒動に巻き込まれていきますが名前がない分入り込みやすく、またテンポも速いのでサクサク読めます。
匣にとらわれる恍惚感 魍魎の匣
京極堂シリーズ2作目となる「魍魎の匣」。
列車に轢かれ重傷となった娘の誘拐事件とバラバラ事件が物語の発端です。
匣に取りつかれた若き小説家、匣をあがめる宗教団体、そして大きな匣のような研究施設。
「匣」に取りつかれた人々の憑き物が落ちた時、真相があきらかとなります。
読後に残る「匣」の余韻は、忘れられません。
怪しくも美しい世界
京極夏彦の描く異形の姿は、時に恐ろしく、時に優しいものです。
そして、タイトルにこめられた妖怪の姿が見えたとき、きっと衝撃を感じます。
怪しくも美しい、京極夏彦の世界を息を呑んでご覧ください。
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