休日はミステリーとともに。二度読み必至の特選ミステリー4選
ついつい二度読みしてしまう、緻密なストーリー構成が魅力的なミステリー小説を紹介します。
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緻密なストーリー
ミステリーは結末や犯人がわかってしまうと、なかなか再読する気になれないものです。その意味で言うと、使い捨てのエンターテインメントなのかもしれません。
しかし、もう一度読まないと腑に落ちない、どこに書かれていたのかわからない、というものがあります。こうした作品には、作者が用意周到に伏線を張ったり、言葉の使い回しに気を配ったり、作品自体にトリックが仕掛けられたりしているものです。
そんなミステリー4作品をご紹介します。
『幻の女』ウィリアム・アイリッシュ ~妻が殺された日の証人がどこにもいない~
恋人ができて離婚協議中のヘンダーソンは、妻と口論した夜、酒場で派手な帽子の女性と知り合いショーを楽しんで帰宅すると、妻が殺害されていました。帽子の女がアリバイを証明できると主張しますが、女を覚えている人はなく、消息もわかりません。
恋人と、親友の危機を知り南アメリカから舞い戻った友人が懸命に捜索をしますが、見つかった数少ない証人たちは次々に不審な死を遂げていきます。
ラストシーンで、情けないヘンダーソンに向けた刑事のセリフが痛快です。
『弁護側の証人』小泉喜美子 ~名作復刊 先延ばしすると読めなくなるかも?~
1987年以降絶版になっていましたが、2009年に復刊されました。
舞台も発売も昭和30年代なので、耳慣れない風俗や言葉があってわかりにくいかもしれませんが、読み進めていくと終盤に驚く展開が待っています。
作家の道尾秀介氏が解説で、湖に浮かぶ逆さ富士を本物の富士山と間違えていた、と表現しています。読み終えると道尾氏の表現がいかに適切なものかがわかります。
再び絶版になってしまうかもしれませんので、興味を持たれた方はお早めに。
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『イニシエーション・ラブ』乾くるみ ~最後の2行ですべてが変わる~
テレビ番組でタレントが紹介してベストセラーになった小説です。単行本刊行、文庫化、そして今回と3度も話題になった作者の出世作です。
殺人などの凶悪事件も起こらないので、ミステリーと呼んでいいのか迷いますが、2012年に発売された『東西ミステリーベスト100』に堂々ランクインしているので、やはりミステリーなのでしょう。
最後の2行のために、それまでのストーリーがあると言っていい作品です。
未読の方の楽しみを奪ってしまいかねないので、まっさらの状態で読み始めていただきたい小説です。
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『午前零時のサンドリヨン』相沢沙呼 ~1行たりとも疎かに読むべからず~
草食系男子を思わせる須川が、姉に強引に連れて行かれたレストラン・バーでマジック・ショーを演じる同級生の酉乃初に一目ぼれするところからストーリーは展開します。
酉乃はマジックさながらに、切れのよい推理で校内で起きた謎を解き明かしていきます。
4話からなる連作小説ですが、各話が密接に関連していて、最終話で酉乃が推理を披露するシーンでは、前のページを読み返さずにはいられません。何気ない描写、登場人物の些細なつぶやきにまで伏線が張られています。
タイトルの「サンドリヨン」はフランス語でシンデレラを意味し、作品の重要なキーワードにもなっています。
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読み返したくなるミステリー
読み返さずにはいられないというのは、使い捨てのエンターテインメントであるミステリーでも極上の作品であると言えます。
二度読み不要なら、それはじっくりと読まれたということです。
どちらにせよ、充分にエンターテインメントとしての役割は果たしていると言えます。
ちなみに、乾くるみ氏、相沢沙呼氏は共に男性です。作者はこんなところにもトリックを仕掛けています。
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