村上春樹の全長編小説紹介と名言集【ビジネスマンにもおすすめ】

村上春樹の全長編小説13作品の簡単な紹介と、それぞれの作品に登場する名言を筆者の好みに基づいて紹介していきます。人生のさまざまなシーンで力になってくれるであろう言葉ばかり。普段文学・小説は読まないというビジネスマンでもたまには読んでみることをおすすめします。

aoinopapa上杉遼@美食家
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世界を代表する作家、村上春樹

出典:imgcc.naver.jp

日本が世界に誇る作家、村上春樹。もはや説明の必要もないでしょう。長い間ノーベル文学賞の最有力候補でもある村上春樹。1979年の『風の歌を聴け』でのデビュー以来、多くの作品を出してきましたが、2016年5月現在で、長編小説と呼ばれるものは13作品あります。今回は、村上春樹の全13作品の簡単な紹介と、それぞれの作品に出てくる珠玉の名言をご紹介します。
人生のさまざまなシーンで、力になってくれる言葉ばかりでしょう。

『風の歌を聴け』

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村上春樹1作目の長編小説が、1979年に出版された『風の歌を聴け』です。群像新人文学賞を受賞し、1981年には映画化もされました。いわゆる「鼠三部作」の1作目で、1978年に29歳になった「僕」が21歳の時の1970年8月8日から8月26日までの18日間の物語を記す、という形をとっています。鼠三部作は、この後の『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』へと続きます
ちなみに、この時の主人公の「僕」と同じく村上春樹自身も1978年に29歳になっており、ジャズ喫茶を経営する傍らに応募した作品がこの『風の歌を聴け』です。

完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。

世の中に完璧というものは存在しません。もちろん完璧を目指すのはいいことですが、たまには肩の力を抜いてみましょう。

強い人間なんてどこにも居やしない。強い振りのできる人間が居るだけさ。

あなたのまわりにいる「強い人」も、「強い振り」をしているだけかもしれません。本当は誰よりも弱い人かもしれません。

みんな同じさ。何かを持ってるやつはいつか失くすんじゃないかとビクついてるし、何も持ってないやつは永遠に何も持てないんじゃないかと心配してる。

どれだけ満たされていっても、不安は尽きないものです。それが分かっているだけで、心はだいぶ軽くなります。

『1973年のピンボール』

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『風の歌を聴け』の1年後、1980年に出版されたのが『1973年のピンボール』です。鼠三部作の2作目で、『風の歌を聴け』の約3年後の1973年9月から11月までが描かれています。「僕」の物語と「鼠」の物語がパラレルに進行していきます。

あたしは四十五年かけてひとつのことしかわからなかったよ。こういうことさ。人はどんなことからでも努力さえすれば何かを学べるってね。どんなに月並みで平凡なことからでも必ず何かを学べる。どんな髭剃りにも哲学はあるってね、どこかで読んだよ。実際、そうしなければ誰も生き残ってなんかいけないのさ

どれだけ意味のないと思った仕事であったとしても、そこには必ず意味があることでしょう。

遠くから見れば、 大抵のものは綺麗に見える。

嫌だと思ったことがあったら、少し距離を置いて見てみましょう。思ったより綺麗に見えるかもしれません。

「それでも人は変りつづける。変ることにどんな意味があるのか俺にはずっとわからなかった」「そしてこう思った。どんな進歩もどんな変化も結局は崩壊の過程にすぎないんじゃないかってね。違うかい?」

ビジネスの世界では変化に対応することは必須ですが、たまには違う見方をしてみるのもいいのかもしれません。

ねえ、誰かが言ったよ。ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲めってね

たまには立ち止まってゆっくりすることも必要です。

「ピンボールは上手いの?」「以前はね。僕が誇りを持てる唯一の分野だった」「私には何もないわ」「失くさずにすむ」

何もないということは、失うものも何もないということ。怖いものはありません。

恐らく誇りなしに人は生きてはいけないだろう。でもそれだけでは暗すぎる。あまりにも暗すぎる。

生きていく上で誇りは必要です。でも、他にも大切なものも見つけなければいけません。

『羊をめぐる冒険』

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1982年に出版された3作目の長編小説が『羊をめぐる冒険』です。第4回野間文芸新人賞を受賞しました。
「鼠三部作」の3作目で、「僕」が29歳になった1978年7月からの物語です。前2作の『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』と比べ、400ページ超という長さで物語性にも富んでいると言われ、これまでに200万部以上発行されたベストセラーです。村上春樹が専業作家として初めて書いた長編小説でもあります。

人間には欲望とプライドの中間点のようなものが必ずある。全ての物体に重心があるようにね。

欲望もプライドも大切です。自分の中の「重心」のポイントを見つけましょう。

一般論をいくら並べても人はどこにも行けない。

一般論ばかりを偉そうに並べていないか振り返らないといけませんね。

俺は俺の弱さが好きなんだよ。苦しさやつらさも好きだ。夏の光や風の匂いや蝉の声や、そんなものが好きなんだ。どうしようもなく好きなんだ。

自分の弱さも他人の弱さも受け入れられたら、強くなれる気がします。

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』

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村上春樹4作目の長編小説が、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』です。1985年に出版され、第21回谷崎潤一郎賞を受賞しました。こちらも150万部以上発行されているベストセラー。「ハードボイルド・ワンダーランド」の章と「世界の終り」の章が交互に進行していきます。「ハードボイルド・ワンダーランド」の章は、暗号を取り扱う「計算士」である「私」が、自分自身に仕掛けられた「装置」の謎を探し求める物語で、「世界の終り」の章は、一角獣が生息し「壁」に囲まれた街に入ることとなった「僕」が、街の持つ謎と街が生まれた理由を探し求める物語です。
村上春樹自身は、この小説を「自伝的な小説」と位置付けていますが、読解力のない筆者には正直その真意が分かりません。物語も難解なように感じられますが、心に響く言葉は多く現れます。

トラブルの大部分は曖昧なものの言い方に起因している

曖昧に伝えることで事態がさらに悪化するのはよくあることです。気をつけましょう。

期待をするから失望が生じるのだ

期待をすることは大事ですが、過度に期待しすぎるのは良くありません。

仕事をきちんとやるのがいちばんだ。仕事をきちんとできない人間がつまらんことを考えるんだ

仕事の悩みは仕事でしか解決しません。

人間は誰でも何かひとつくらいは一流になれる素質があるの。それをうまく引き出すことができないだけの話。引き出し方のわからない人間が寄ってたかってそれをつぶしてしまうから、多くの人は一流になれないのよ。

自分には何もないと思っていても、必ず何か光るものがあるんだと信じさせてくれます。

「みんなうまくいくって信じていれば、世の中に怖いものなんて何もないわよ」 「年をとると、信じることが少なくなってくるんだ」

年を取っても、何かを信じるということを大切にしたいですね。

悪いことはかさなるかもしれないけど、いつかは終ることなのよ。永遠に続くことじゃないわ。

止まない雨はありません。明けない夜もありません。

懲りるのは良いことだ。人は懲りると用心深くなる。用心深くなると怪我をしなくなる。良い樵というのは体にひとつだけ傷を持っているもんさ。それ以上でもなく、それ以下でもない。

ひとつだけ大きな傷を持っている。大きな失敗は必要ですし、同じ過ちを二度と繰り返さないということもそれ以上に大切ですね。

君が何かを信じるとする。それはあるいは裏切られるかもしれない。裏切られればそのあとには失望がやってくる。それは心の動きそのものなんだ。

信じていれば、裏切られて、失望することだってあります。でもそれも受け止めて、信じ続けることで得られる何かがきっとあるはずです。

『ノルウェイの森』

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『ノルウェイの森』は村上春樹5作目の長編小説で、1987年に出版されました。おそらく村上春樹の作品の中でも最も有名であり、国内発行部数は1,000万部を超え、世界中で読まれています。ちなみに上巻は、片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』に抜かれるまで、日本での小説単行本の発行部数歴代1位でした。2010年には映画化もされました。
主人公であるワタナベ(「僕」)と「直子」を中心に、村上春樹得意の「喪失と再生」を描いた物語です。

自分に同情するな。自分に同情するのは下劣な人間のやることだ。

どんなに自分がダメな時でも、自分に同情だけはしてはいけません。

深刻になることは必ずしも、真実に近づくこと…ではない。

なんでも深刻になれば良いというわけではありません。

つまりさ、可能性がまわりに充ちているときに、それをやりすごして通りすぎるというのは大変にむずかしいことなんだ。

可能性を信じてチャレンジし続けていきたいものですね。

死は生の対極としてではなく、その一部として存在する。

そんな風に考えられたら、死も受け止めやすいのかもしれません。

他人と同じものを読んでいれば他人と同じ考え方しかできなくなる。

人と違うことをしましょう。

死んだ人はずっと死んだままだけど、 私たちはこれからも生きていかなきゃならないんだもの。

生きていれば悲しいこともたくさんあります。それでも前を向いて生きていきたいですね。

みんな自分を表現しようとして、でも正確に表現できなくてそれでイライラするんだ。

自分を表現したくてもできない時でも、そんなもんだと思いましょう。それが普通なんです。

『ダンス・ダンス・ダンス』

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1988年に出版された6作目の長編小説が『ダンス・ダンス・ダンス』です。「鼠三部作」の3作目『羊をめぐる冒険』の続編であり、完結編でもあります。三部作同様、「僕」が主人公です。上下巻合わせて700ページ近く、三部作と比べ文量も多く、その分物語性も増しています。

耳を澄ませば求めているものの声が聞こえる。目をこらせば求められているものの姿が見える

うまくいかないときは、何かしようとせず、じっくりと耳を傾け、目を凝らしてみましょう。道が拓けるかもしれません。

本当にいいものはとても少ない。何でもそうだよ。本でも、映画でも、コンサートでも、本当にいいものは少ない。

ホンモノに出会い、ホンモノに触れ続けていたいものです。

僕の言っていることは、大抵の人間にはまず理解されないだろうと思う。

自分の言っていることが理解されないときは、この台詞を思い出し、少し楽になりましょう。

『国境の南、太陽の西』

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1992年に出版された7作目の長編小説が『国境の南、太陽の西』です。
村上春樹は、1991年2月にアメリカに渡り、1年かけて3部からなる8作目の長編小説『ねじまき鳥クロニクル』を書き上げます。書き上げた作品を奥さんが読み、「多くの要素が盛り込まれすぎている」と指摘し、分離された部分がこの『国境の南、太陽の西』の元になっています。
バブル絶頂期の東京が舞台。会社を辞めバーを開業する始(ハジメ、「僕」)の物語です。

人間というのはある場合には、その人間が存在しているというだけで誰かを傷つけてしまうことになるのだ。

自分の存在だけで、誰かを傷つけてしまっているということがあります。でも、そんなのしょうがないですよね。そんなもんだと思って気にするのはやめましょう。

誰かの人生というのは結局のところその誰かの人生なんだ。君がその誰かにかわって責任を取るわけにはいかないんだよ。ここは砂漠みたいなところだし、俺たちはみんなそれに馴れていくしかないんだ。

人の人生は人のもの。自分の人生は自分のもの。他人の人生を不必要に気にしたり、他人の人生に振り回されたりする必要はありません。

あなたはまたいつか私を傷つけるかもしれない。そのときに私がどうなるか、それは私にもわからない。あるいは今度は私があなたを傷つけることになるかもしれない。何かを約束することなんか誰にもできないのよ、きっと。私にもできないし、あなたにもできない。でもとにかく、私はあなたのことが好きよ。それだけのことなの

人を好きになるって素晴らしいですね。

『ねじまき鳥クロニクル』

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村上春樹8作目の長編小説が『ねじまき鳥クロニクル』です。3つのパートから成り、第1部・第2部は1994年に、第3部は1995年に出版されました。第47回読売文学賞を受賞作品で、発行部数も200万部を超え、村上春樹作品の中でもベストセラーのひとつです。
法律事務所を辞め、家事を好み、カラマーゾフの兄弟の名前をすべて言えるという村上春樹の作品の主人公らしい「僕」の物語です。

流れに逆らうことなく、上に行くべきは上に行き、下に行くべきは下に行く。上に行くべきときには、いちばん高い塔をみつけてそのてっぺんに登ればよろしい。下に行くべきとには、いちばん深い井戸をみつけてその底に下りればよろしい。流れがないときには、じっとしておればよろしい。流れにさからえばすべては涸れる。すべてが涸れればこの世は闇だ。

世の中には流れがあります。その流れを見極め、流れに乗ることが大切です。

流れというのが出てくるのを待つのは辛いもんだ。しかし待たねばならんときには、待たねばならん。そのあいだは死んだつもりでおればいいんだ

流れがないときもあります。そんなときは、じっと待つことも大切です。

今は待つしかありません。しかしおそらく近々に、いろんな物事が明らかになっていくでしょう。今は待つしかありません。お辛いとは思いますが、ものごとにはしかるべき時期というのがあります。潮の満干と同じことです。誰にもそれを変えることはできません。待つべきときにはただ待つしかないのです

流れがないときは、ただただ待ちましょう。待っていれば「しかるべき時」が来ます。

明日になって何が起こるかは、誰にもわからないのだ。明後日のことなんて、もっとわからない。いや、そんなことを言いだせば今日の午後に何が起こるかだって見当もつかないのだ。

明日のことなんて、誰にも分からないものです。

何か大事なことを決めようと思ったときはね、まず最初はどうでもいいようなところから始めた方がいい。誰が見てもわかる、誰が考えてもわかる本当に馬鹿みたいなところから始めるんだ。そしてその馬鹿みたいなところにたっぷりと時間をかけるんだ

どんなところからでもいい、とにかく始めてみることが大切です。

時間をかけることを恐れてはいけないよ。たっぷりと何かに時間をかけることは、ある意味ではいちばん洗練されたかたちでの復讐なんだ

ショートカットしようとせずに、じっくりと時間をかけることも大切です。

僕は逃げられないし、逃げるべきではないのだ。それが僕の得た結論だった。たとえどこに行ったところで、それは必ず僕を追いかけてくるだろう。どこまでも。

目の前の嫌なことから逃げてはいけません。

良いニュースというのは、多くの場合小さな声で語られるのです。どうかそのことを覚えていてください

耳を澄まして、目を凝らせば、良いニュースが転がっているかもしれません。

『スプートニクの恋人』

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1999年に出版された9作目の長編小説が『スプートニクの恋人』です。村上春樹曰く、彼の「文体の総決算として、あるいは総合的実験の場」となっている小説です。
小学校教師である「ぼく」とすみれ、すみれの17歳年上のミュウの物語です。

どんなことでもそうだけれど、結局いちばん役に立つのは、自分の体を動かし、自分のお金を払って覚えたことね。本から得たできあいの知識じゃなくて

本を読むことも大切ですが、自分の足を使って、身銭を切らないと分からないこともたくさんあります。

長いあいだ一人でものを考えていると、結局のところ一人ぶんの考え方しかできなくなるんだということが、ぼくにもわかってきた。ひとりぼっちであるというのは、ときとして、ものすごくさびしいことなんだって思うようになった。

自分の頭で考えることは大切ですが、ときには人の考えも取り入れることが必要です。

大事なのは、他人の頭で考えられた大きなことより、自分の頭で考えた小さなことだ。

それでも、自分の頭で考えることが一番大切です。

『海辺のカフカ』

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村上春樹10作目の長編小説が『海辺のカフカ』。『ノルウェイの森』と並ぶ村上春樹の代表作と言えるでしょう。2005年に翻訳された英訳版ではニューヨーク・タイムズ紙で年間の「ベストブック10冊」に選ばれ、世界幻想文学大賞にも選出されました。蜷川幸雄によって2度舞台化もされています。
フランツ・カフカの影響を受けつつ、ギリシア悲劇と『源氏物語』などの日本の古典文学が随所に出てきます。
15歳の少年「僕」(田村カフカ)と、もう一人の不思議な主人公「ナカタさん」(ナカタサトル)の物語で、2人の主人公によってパラレルに物語が進んでいくほか、これまでの村上作品に類似した部分が随所に見られます。

君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年にならなくちゃいけないんだ。なにがあろうとさ。そうする以外に君がこの世界を生きのびていく道はないんだからね。そしてそのためには、ほんとうにタフであるというのがどういうことなのか、君は自分で理解しなくちゃならない。

タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格がない。

「目を閉じちゃいけない」 「それも決まりなんだ。目を閉じちゃいけない。目を閉じても、ものごとはちっとも良くならない。目を閉じて何かが消えるわけじゃないんだ。それどころか、次に目を開けたときにはものごとはもっと悪くなっている。私たちはそういう世界に住んでいるんだよ、ナカタさん。しっかりと目を開けるんだ。目を閉じるのは弱虫のやることだ。現実から目をそらすのは卑怯もののやることだ。君が目を閉じ、耳をふさいでいるあいだにも時は刻まれているんだ。コツコツと」

現実から目を背けず、しっかり目を開けましょう。

田村カフカくん、僕らの人生にはもう後戻りができないというポイントがある。それからケースとしてはずっと少ないけれど、もうこれから先には進めないというポイントがある。そういうポイントが来たら、良いことであれ悪いことであれ、僕らはただ黙ってそれを受け入れるしかない。僕らはそんなふうに生きているんだ

人生には後戻りできないポイントがあります。そして、それ以上先には進めないというポイントも。

世界は日々変化しているんだよ、ナカタさん。毎日時間が来ると夜が明ける。でもそこにあるのは昨日と同じ世界ではない。そこにいるのは昨日のナカタさんではない。わかるかい?

昨日の自分と今日の自分は違う。今日の自分と明日の自分も違う。

世の中のほとんどの人は自由なんて求めてはいないんだ。求めていると思いこんでいるだけだ。すべては幻想だ。もしほんとうに自由を与えられたりしたら、たいていの人間は困り果ててしまうよ。覚えておくといい。人々はじっさいには不自由が好きなんだ。

最近は自由を求める人が多いような気がしますか、本当に自由になったら困ってしまうかもしれません。

起こってしまったことというのは、粉々に割れてしまったお皿と同じだ。どんなに手を尽くしても、それはもとどおりにはならない。

起こってしまったことをいつまでもくよくよ考えていても仕方がありません。そこから何をすべきかを考えましょう。

「私があなたに求めていることはたったひとつ」 「あなたには私のことを覚えていてほしいの。あなたさえ私のことを覚えていてくれれば、ほかのすべての人に忘れられたってかまわない」

そんな人が一人だけでもいればいいのかもしれません。

大事な機会や可能性や、取りかえしのつかない感情。それが生きることのひとつの意味だ。でも僕らの頭の中には、たぶん頭の中だと思うんだけど、そういうものを記憶としてとどめておくための小さな部屋がある。きっとこの図書館の書架みたいな部屋だろう。そして僕らは自分の心の正確なありかを知るために、その部屋のための検索カードをつくりつづけなくてはならない。掃除をしたり、空気を入れ替えたり、花の水をかえたりすることも必要だ。

何気ない日常生活が、人生に大きな意味を与えることもあるかもしれません。

『アフターダーク』

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2004年に出版された11作目の長編小説が『アフターダーク』です。
「肉体を離れ、実体をあとに残し、質量を持たない観念的な視点」である「私たち」が語り手となって物語が進んでいくのが特徴的です。

僕にはそれほどの才能はない。音楽をやるのはすごく楽しいけどさ、それで飯は食えないよ。何かをうまくやることと、何かを本当にクリエイトすることのあいだには、大きな違いがあるんだ。

才能ってありますよね。そこにはどうすることもできない差があります。受け入れるしかありません。

法律を勉強するのは、音楽をやるほど楽しくないかもしれないけど、しょうがない、それが人生だ。それが大人になるということだ。

大人になるということは、やりたかったことではないことでやっていくことかもしれません。

世の中にはね、一人でしかできんこともあるし、二人でしかできんこともあるんよ。それをうまいこと組み合わせていくのが大事なんや

一人でもできることと、一人じゃできないことをきちんと認識しましょう。

『1Q84』

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『1Q84』は、村上春樹の13作目の長編小説です。BOOK1、BOOK2、BOOK3から成り、BOOK1,2は2009年に、BOOK3は2010年に出版されました。BOOK1とBOOK2は、2009年の「2009年年間ベストセラー」総合1位を記録し、同年第63回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)も受賞しました。
ジョージ・オーウェルの近未来小説『1984』を土台にした「近過去小説」と言え、ヤナーチェックのシンフォニエッタが繰り返し登場するのも特徴的です。
2人の主人公、「青豆」と「天吾」の物語です。

見かけにだまされないように。現実というのは常にひとつきりです。

うまい話には裏があったりします。騙されないように気をつけましょう。

精神の鋭利さが心地よい環境から生まれることはない。

コンフォートゾーンから抜け出しましょう。きっと新しい世界が開けてきます。

何かに見えないというのは決して悪いことじゃない。つまりまだ枠にはまっていないということだ。

枠にとらわれずに生きていきたいですね。

一人でもいいから、心から誰かを愛することができれば、人生には救いがある。たとえその人と一緒になることができなくても。

人を愛するって素晴らしいですね。

時間と自由、それが人間にとってお金で買えるもっとも大事なものです。

お金が入ったら欲しいものを買うのではなく、時間と自由について考えてみましょう。

誰かを愛することのできないものに、自分を正しく愛することなんかできません。

自分を好きになる前に、誰かを好きになろう。

説明しなくては分からないということは、説明してもわからないということだ。

何事も、説明しなくてもわかるようにしなければなりません。

緊張が途切れなく続くと、本人にもわからないうちに、神経が伸びきったゴムのようになる。いったん伸びきってしまうと、元に戻すのが難しくなる。

一度ぷつっと切れると元にはなかなか戻らないもの。心も身体も十分に気をつけましょう。

希望があるところには必ず試練があるものだから

試練を越えた先にだけ待っているものがあります。

ものを考えない人間に限って他人の話を聞かない。

その通りです。

大事なものを手に入れるには、それなりの代価を人は支払わなくちゃならない。それが世界のルールだよ。

大切なものを手に入れるには、それだけ何かを犠牲にしなければならないのかもしれません。

いったん期待が生じると、心はそれをきっかけに独自の動きをとり始める。そしてその期待が裏切られたとき人は失望するし、失望は無力感を呼ぶ。心の隙が生まれ、警戒が手薄になる。

期待すれば裏切られることもあります。それでも期待したいですね。

適度な野心は人を成長させる。

欲望は人間の本質なのでしょうか。

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

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2016年5月現在、村上春樹の長編小説の最新作(13作目)が、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』です。2013年に出版され、昨年2015年12月にようやく文庫化もされたばかり。
発売1ヶ月前にタイトルと発売日が発表されてから11日でAmazonでは予約が1万部を突破、発売日時点で発行部数は50万部、発売後7日で100万部を突破しました。
150人以上の列を作った本屋があったり、タイトルにもあり、作中にも登場する「巡礼の年」の輸入盤CDは売り切れ店が続出するほどという「村上春樹現象」が起きたのも記憶に新しいですね。
主人公「多崎つくる」と、「アカ」「アオ」「シロ」「クロ」といった「色」を持つ同級生らが登場する物語です。

「大事なのは勝とうといういしそのものなんだ」と彼はよく言ったものだ。 「実際の人生で、おれたちはずっと勝ち続けることなんてできない。勝つこともあれば、負けることもある」

結果がどうであれ、勝とうという意思が大切です。

限定された目的は人生を簡潔にする

何か目的があるほど、人生はシンプルになります。その目的が限定されればされるほど、よりシンプルになっていくのでしょう。

失礼なことを言うようですが、限定して興味を持てる対象がこの人生でひとつでも見つかれば、それはもう立派な達成じゃないですか

ひとつでも夢中になれるものがあれば、それだけで幸せな人生なのかもしれません。

かわいそうだけど、芸術の世界ではそういうことはしばしば起こる。才能というのは容器と同じだ。どんなにがんばって努力しても、そのサイズはなかなか変わらない。そして一定の量を超えた水はそこに入らない

如何ともしがたい才能というものがあるというのが世の中の現実です。それを受け入れるしかありません。

誰だって重い荷物は好きじゃないさ。でも気がついたときは重い荷物だらけだ。それが人生だ。

生きていれば、荷物はどんどん増えていってしまうものです。たまには荷物を整理して、軽くするのも必要かもしれません。

悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。

人の心は傷と傷で繋がっていく。

生きている限り個性は誰にでもある。それが表から見えやすい人と、見えにくい人があるだけよ

誰にだって個性はあります。自分の個性を見つけましょう。

もう一度、村上春樹を

今の30代から40代の現役バリバリのビジネスパーソンは、ちょうど学生時代に村上春樹が流行り、読んだことのある方も多いのではないでしょうか。こういった小説は学生時代や若い頃に卒業したよ、と思わずに、あらためて読んでみれば新たな発見や、あるいは仕事へ活きてくるような何かが見つかるかもしれません。
もう一度、村上春樹を読んでみてはいかがでしょうか。

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上杉遼@美食家

慶應義塾大学→大手金融機関→会社経営。美味しいお店の予約を取ることに一日の大半を使う自称美食家。グルメに強いこだわりを持っていますが、周りからはグルメぶっている味の分からない男といじられることも。

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