映像通が選ぶおすすめ短編映画・ショートムービー12選
短編映画・ショートムービーは、一般的に上映時間が30分以内のものをさします。
今回は有名な作品から映像製作界隈で話題になった作品など実写、アニメ関係なくオールマイティに紹介していきます。全て15分以内でYouTubeで鑑賞可能な作品を選びましたので是非ご覧ください。お気に入りの作品と出会えるかも?
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アイキャッチ画像出典:natalie.mu
ショートフィルムとは
短編映画(ショートフィルム)は、一般的に上映時間が30分以内のものをさします。最近では低予算でも製作が可能なため、一般人が製作を行ったり映画監督デビューを目指す者が習作として動画公開に踏み切る場合も多いため、ショートフィルムから有名になっていくケースも多いです。またショートフィルムは監督の名刺代わりと言われる事もあり、映画製作者はショートフィルムコンテストなどで監督の発掘を行ったりする場合があります。
今回は有名な作品から映像製作界隈で話題になった作品など実写、アニメ関係なくオールマイティに紹介していきます。ほぼ全て15分以内、YouTubeで鑑賞可能な作品を選びましたので「時間が無く映画は見れないけど短時間で面白い作品を楽しみたい!」という方にはオススメです。どれも個性的な作品が多いので、是非全部チェックしてみてください。
ズドラーストヴィチェ!
作者が実際に体験した出来事をアニメーションにより再構成した作品です。ある夏の日、横浜の海辺で出会ったロシア語を教えるおじさんに連れられ一緒に街へ出かけてみると、見慣れたはずの街が普段と違う風景として見えてきて・・・?切り紙、クレイなど複数の手法を組み合わせて制作し、実際にロケを行ない屋外で演技をした音声を用いている作品です。
ユーモア溢れたこの作品。一度見たら忘れられない絵のタッチで、実話を元に作られた話尚且つ「伊勢佐木モール」や「象の鼻パーク」といった場所の名前が出てくるのにどこか現実離れした感じに捉える事ができるのは奇抜な絵で描かれているからでしょうか。面白い音楽に幸さんのアフレコが融合していてより不思議な世界観が表現されているので面白いです。登場しているおじさんはSNSの話題が好きなのに、携帯を契約していなくてFreeWi-Fiで世界中のニュースを読んでいるといったツッコミどころの多い作品です。元気な気持ちになりたい方は是非オススメです。
<詳細>
作者・代表 幸 洋子
音楽 窪田 薫
サウンドデザイン 滝野 ますみ
録音 伊東 俊平
再生時間 5分36分
S-The Birth of Psycho
とある街でその事件は起こります。犠牲者はタコにはじまり、日ごとに数を増していきます。ある時、被害者の血液で描かれたダイイング・メッセージが残されていたが警察は早く事件を終えろうとして、違う犯罪者を捕らえることになります。しかし、その時マグロ刑事の友達、潜入捜査官のエビが真犯人に殺されることになり、マグロはエビが最後に伝えた情報を持って真犯人との最後の戦いをするため真犯人の家に行くと・・・?
カートゥーンネットワークなどで実際に放送されていそうなハリウッド風のタッチで描かれたショートムービー。作者は「すしざんまい」を見てこの作品のヒントを得たようです。魚の町で連続殺人事件が起きる設定ですがここまでコミカルなサスペンスは見た事がありません。マグロ刑事の部下が現場検証している際に自撮りをしていたり、殺人現場に刺身が落ちていたりと注意して見ると芸が非常に細かくて見返すと毎回新しい発見がある作品です。音楽も映像にマッチしていて学生が作成したとは思えないようなクオリティです。犯人は一体誰なのか?是非作品を実際に観て確かめてみてください。
<詳細>
作者・代表 金禹賢
音楽 重野悠
再生時間 9分35秒
東京コスモ
東京で一人暮らし、仕事に追われ孤独に暮らす女性。空想と現実のあいだで彼女は勇気を振り絞ります。明日も頑張ろうと思えた、そんな一夜の話です。
まるでピクサー映画かのような自主制作アニメだと思えない程のクオリティの作品。主人公の表情や、髪質、キッチンのシーンでは洗剤や調味料のパッケージ、机の上の請求書に至るまでリアルで働いている女子の家をそっくりそのまま切り取ったかのようなレベルの作りです。またアニメなのに効果音のみで主人公のセリフはないので想像を掻き立てる事ができるため世界観を壊される事も無く、海外の方も楽しめるアニメに仕上がっています。
<詳細>
監督・CG 宮内貴広
ストーリー原案・絵コンテ 岡田拓也
プロモーション 北村翔平
再生時間 4分40秒
2045
舞台は2045年。人類は技術的特異点を迎え、地上の全ての物が高性能なナノロボットで構成されるようになります。しかしある日、何者かがナノロボットを乗っ取ったことで、世界は崩壊への道をたどることになります。
この作品は中学生が作ったもの。スカイツリーが爆破されたり、レインボーブリッジが破壊されるシーンはリアルすぎて驚きです。作中のテクスチャやモデリングを含めて1から作りあげたというから技術の高さに驚愕します。なんと小学3年生から映像を独学で作り始めたのがはじまりらしいので将来どんな大物になるのか楽しみです。38912 DIGITALさんには今後目が離せません。是非一度この映像の凄さを自分の目で確かめてみてください。
<詳細>
監督 38912 DIGITAL
英語翻訳 platypus
再生時間 5分10秒
息ができない
水をモチーフに現実と心象風景とを織り混ぜながら、主人公の身の置き所のない不安な心情と心の変化を、砂を用いて描き出したアニメーション作品。水泳の授業の最中にふざけた勢いで友だちを溺れさせてしまった少年は、級友からの視線や自責の念に苛まれるうちに、徐々に増えていく水に溺れ、やがて足のつかない水中にひとり取り残されます。
全て砂で作られており、とんでもない労力と時間がかかっている作品です。誰でも一度は「しまったやってしまった」という気持ちの移り変わりを上手く表現しています。水のしたたりや水の流れの表現などは、砂しか出せない繊細な雰囲気がぴったり合うのでさすがとしか言いようがありません。友達を溺れさせてしまって全員に見られる感覚そしてその事で距離を置かれ感じる孤独感のピリピリした状況が視聴者にひしひしと伝わります。主人公が迎える結末とは・・・?是非自分の目で確かめてみてください。
<詳細>
アニメーション 木畠彩矢香
音楽 金田望
音響効果 ONPa
MA イマジカ
ミキサー 望月資泰
再生時間 6分09秒
oldman youngman
生まれた時、死ぬ時、人は誰かの世話になる。それらの責任は、否応なく身近な肉親にのしかかります。人の生は図太く地面に根をはり、人は死へあっけなく散りゆき地面を暗く覆っていく・・・。そんな生と死のテーマを、ある祖父と孫の関係を描いた物語で表現しています。虚像を利用したアニメーション表現の中で、血肉の宿った温もりのある作品にするため、「もの感」の強い切り紙のコマ撮りを技法として用いた作品です。
すごく繊細で、淡い色遣いの切り絵型のアニメーション。切り絵なのにギターを弾く動作や、葉が落ちるシーンは3DCGの作品のように非常に細かくコマ撮り撮影だとは思えない作品です。生と死がテーマの作品ですが暗くなく心が暖かくなり、また考えさせられる作品です。見終わった後もじんわりと記憶に残る作品なので人の大切さを再実感したい人にオススメの作品です。
<詳細>
作者 加賀遼也
再生時間 11分5秒
Desk Top Music
鉛筆をはじく響きには趣があり、サイダーの泡がはじける一粒一粒の音にもストーリーがあります。
デスク上を小さなスタジオに見立て部屋にある物のみで構成されたミニマルミュージックビデオです。
音と映像を楽しむ新感覚のショートムービーです。日常にあるものを重ねて作られた音楽。ガラスの音であったり、携帯のアラーム音、通話時に聞こえてくる人の人の言葉などをセンス良く重ねるとこんなに心地よい音楽になるのかという驚きを覚える作品です。画面後方にあるオレンジ色っぽいテーブルランプがいい味を出しています。静かな気持ちになりたい時に見ると非常に落ち着きます。
<詳細>
作者 佐藤雅史
再生時間 3分26秒
その家の名前
そこはかつて祖父母が、両親が、僕が住んでいた場所。遠い記憶と感情を忘れてしまっても、確かにそこに存在し、これからもあり続けます。
家がだんだん古くなって朽ち果てていく一生を題材とした作品。非常にシンプルな作品で大きなオチがあるわけでもないのですが、当たり前の日常が時間のながれによって風化され朽ちていく。今回は作者の祖父母と両親が暮らしていた家を題材に描かれていますが、この風化問題は家だけじゃなくても当てはまることだと思います。その人の存在や記憶、名前さえも忘れてしまうそこにある悲しさ虚しさを上手く表現してある作品です。是非一度自分の目で確認してみてください。
<詳細>
監督 坂上 直
音楽 小林有毅
サウンドデザイン 野田麻奈美
プロデューサー 伊藤有壱
再生時間 4分32秒
blind
「現実に目を閉ざすものは、未来に盲目である」
舞台は、度重なる原発事故により日常生活でもガスマスクを着用することになった近未来の東京。ガスマスクはもはや生活必需品。テレビ、電車ないには「放射線物質拡散予報」が映し出される世界。一人で、電車に乗る少女。主人公はその少女が気になり追いかけていきます。その少女の首には・・・?
東京で撮影された短編作品。東日本大震災の約半年後の2011年に製作されました。作品中に登場する新聞の日付欄をよく見ると2016年の東京を舞台にしている事がわかります。全体的に暗い色合いで撮影していて、見るものを不安にさせるタッチです。他の出演者は暗い色の服をきているのに、主人公が追いかける少女だけは真っ赤な綺麗な色の服をきているというのが余計不気味な雰囲気を醸し出しており「さすが!」と思えるような演出です。将来このような世界は来て欲しくないですが、目をそらさずしっかり見て欲しい作品の一つです。
<詳細>
監督 ショウダユキヒロ
再生時間 5分16分
お引き落とし
くり返しポストに届くお引き落としの通知。心当たりはない。口座からは何も...とあらすじには書いてありますが、文字では表現できない不思議な作品なので、一度観て確認してみてください。
なんとも言えない、特徴的な画の作り方。主人公の女の子の靴が左右反対なのも、髪の毛がボサボサなのも、唇の血色の無さも、視点の合わさなさも全て計算されていて主人公の鬱気味な感じが伝わってきます。ギターのノイズも映像に合っていて不安感を掻き立てるのですごく効果的な使い方だなと思います。「全部忘れたら前に進めるって本気で思ってた?」というセリフが印象的です。さて一体主人公のなにが引き落とされたのでしょうか?主人公は最後振り向いてなんと呟いたのでしょうか?
<詳細>
監督 菊地貴公
助手 佐々木里菜
出演 土井原菜央
佐久田 瑠美
絵画 菅野麻衣子
音楽 小野 健宏 折原ナナナ(ザ・パイロットバーンド)
MA 吉田正広
再生時間 9分16秒
RIGHT PLACE
平々凡々に生きてきた男の不器用な生き方を描いた短編映画。深夜のコンビニエンスストアで働くこの男は、不器用でありながらどこか几帳面な面があります。何事も整理整頓されていないと気が済まない性格で、整えることに病的なまでの執着をみせます。そんな男の生活とは?
几帳面すぎる男性の話。「RIGHT PLACE」という最初のロゴまでもこだわっていてロゴの動きもカクカクと動き、ロゴ1つの演出にもしっかりこだわっているんだなと感じる事ができます。主人公の首の回し方、首の捻り方までもが几帳面でそして不気味で不思議な映画です。女子高生の靴下を直すシーンでは、こんな所で几帳面な性格でて仕事クビになっちゃうの!?と思わずツッコミを入れたくなってしまいます。そんな主人公は今後どうなっていくのか・・・?
<詳細>
監督 関根光才
再生時間 5分17秒
Ripple
祖母と孫2人は、スーパーで値段とにらめっこしながら買い物をしていました。今日は祖父の誕生日。お目当てのケーキを見つけてレジへ持っていきますが、お金が足りず返品することに。それを見た1人の男性が、3人が返品したケーキを買って3人の元へ向かいます。なぜその男性はそのような事をしたのか、男性の過去にはどのような事実があったのか。「思いやりの連鎖」を題材にした話です。
心温まる作品です。人にやってもらって嬉しかった事は、自分もいつか同じ事をやる事が一番の恩返しだということでしょう。約6分という短い動画ですが作者の思いが凝縮されており、世界には優しい人はたくさんいるんだなと希望をもらえるような作品です。心温まる作品が見たい方、人の優しさに触れたい方は是非ご覧ください。
<詳細>
再生時間 5分46秒
奥深いショートフィルムの世界。是非お気に入りの作品を見つけてください。
気になるショートフィルムはあったでしょうか?
自分でショートフィルムを探す際は、芸術大学や美術大学の公式YouTubeなどをチェックしてみると在学生が卒業制作で作った面白い作品を観ることができるのでオススメです。まだまだ日本では認知度が高いとは言えないショートフィルムですが、これからどんどん地位が確立されていくと思うので目が離せません!
また、俳優の別所哲也さんが主催するアジア最大級の国際短編映画祭が2017年6月1日(木)〜25日(日)に開催されます。そこでは、世界100以上の国と地域から集まった約9,000本の作品の中から、選りすぐりの約250作品を一挙上映されます。米国アカデミー賞公認の年に一回の祭典なのでショートフィルムに興味がある方は是非覗きに行ってみてはいかがでしょうか?
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2017(Short Shorts Film Festival & Asia)米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭。代表は俳優の別所哲也。2017開催決定 開催期間は、6月1日(木)~6月25日(日)
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この記事のライター
ファッションとテクノロジーの勉強をしてる19歳。たまに映像作ったり、写真撮ったり。ファッションと犬とゾンビと廃墟が好きです。