【プロ野球2015回顧】トリプルスリー競演!山田哲人&柳田悠岐のココがすごい!
2015年度のプロ野球は福岡ソフトバンクホークスの日本シリーズ連覇で幕を閉じました。
今季中に達成された偉大な記録を過去の名選手とともに振り返ってみましょう。
(本文中、敬称は略しました。球団は記録達成時の在籍球団です)
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3冠王より達成が難しい(?)トリプルスリー
トリプルスリーとは、打撃走塁部門で打率3割以上、本塁打30本以上、盗塁30以上を記録する、まさに打って走れる選手の代名詞となる記録です。
首位打者・本塁打王・打点王の打撃3部門を独占する3冠王は、2リーグ制以降6人が10回達成しているのに対し、トリプルスリーは8人しか誕生していません。
その9人目と10人目が今シーズン、セ・パ両リーグから同時に生まれたのです。
セは東京ヤクルトスワローズの山田哲人、パは福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐。
奇しくもこの2人が在籍するヤクルトとソフトバンクがリーグ優勝を達成、日本シリーズにも進出し、対決することになりました。
出典:mainichi.jp
東京ヤクルトスワローズの山田哲人
福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐
記録づくめだった今季の山田
昨季、最多安打のタイトルに輝いた山田は、今季打率.329、38本塁打、34盗塁を記録し、本塁打王と盗塁王、さらに.416で最高出塁率の3タイトルを獲得しました。本塁打王と盗塁王の同時獲得は史上初です。
山田の打率は同じヤクルトの川端慎吾に続く2位、打点もチームメイトの畠山和洋の105打点に次ぐ100打点の2位でした。
来季は史上7人目、11度目となる3冠王はもちろん、盗塁王を含めた前人未到の4冠王まで期待できます。
今季の山田は、8月22日の中日戦で史上19人目(通算20度目)となる4打数連続本塁打の日本記録を達成しました。
実はこの記録、20世紀には前身の国鉄・産経を含めてヤクルトの選手は誰も達成していないのですが、21世紀以降は2003年の古田敦也、13年のバレンティン、今季の山田とヤクルトの選手しか達成していない珍しい現象となっています。
山田は日本シリーズ第3戦でも史上初の1試合3本塁打、2人目となる3打席連続本塁打を放ちました。
最強のON砲と謳われた読売ジャイアンツの王貞治の4打数連続本塁打、長嶋茂雄の日本シリーズ3打席連続本塁打に、山田は今季だけで並んでしまったのです。
さらに山田はセでは2人目となる3カ月連続の月間最優秀選手(MVP)を7月から9月に受賞。これも1人目はヤクルト時代のラミレスだったというのですから、今季の山田は球団史に大きな足跡を残すことになりました。
日本シリーズ第3戦の5回、3打席連続本塁打を放った山田哲人
メジャーリーグ・スカウトが最も注目していたのが柳田だった!
一方、ソフトバンクの柳田は打率.363、34本塁打、32盗塁を記録し、首位打者と.469で最高出塁率の2タイトルを獲得しました。トリプルスリー達成者で首位打者になったのは柳田が史上初めてです。
本塁打は埼玉西武ライオンズの中村剛也の37本に続く3位、打点も中村の124打点に続く99打点の3位、盗塁は北海道日本ハムファイターズの中島卓也の34盗塁に次ぐ2位ですから、柳田もまた3冠王、盗塁王を含めた4冠王の期待が持てます。
柳田は広島県出身で高校は古豪・広島商でしたが、甲子園出場はなく、大学は広島経済大。2010年ドラフト2位でソフトバンクに入団しました。
この年のドラフトは、早大トリオの斎藤佑樹(日本ハム)、大石達也(西武)、福井優也(広島)に注目が集まっていましたが、米メジャーリーグのスカウトの多くが最も高く評価していたのが柳田だったと言われています。
さすが、メジャーのスカウトというしかありません。
6月4日、交流戦の横浜DeNAベイスターズ戦の延長11回にバックスクリーン直撃の決勝ホームランを放った柳田悠岐
柳田のホームランの直撃を受けた横浜スタジアムのバックスクリーン
前人未到の4冠王と2度目のトリプルスリー達成へ!
実は同じ年にトリプルスリーを達成した選手が2人出たのは初めてではなく、セ・パ両リーグが誕生した1950年に松竹ロビンスの岩本義行、毎日オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)の別当薫以来、65年振り2度目のことです。
この時も松竹と毎日が初代リーグ・チャンピオンとなり、日本シリーズで戦っています。まさに歴史は繰り返す、の言葉通りです。
3人目が西鉄ライオンズの記事でご紹介した中西太、史上最年少20歳での達成でした。
以降、簑田浩二(阪急)、秋山幸二(西武)、野村謙二郎、金本知憲(ともに広島)、松井稼頭央(西武)と続きますが、誰一人として2度目の達成はなりませんでした。
今年、山田は23歳、柳田は27歳。来期以降、2度目のトリプルスリー達成と4冠王の夢が広がります。
9月6日、30盗塁を決めた山田哲人
9月15日、30盗塁を達成した柳田悠岐
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フリーライター。歴史・文学からビジネス、スポーツ等、幅広い分野において執筆を行う。