【プロ野球2015回顧】谷繁現役引退、監督専任へ!強竜復活へのシナリオ!
中日ドラゴンズの攻守の要として長く活躍し、現役では最年長野手であり、兼任監督でもあった谷繁元信が今季限りで引退し、来季は監督専任となります。
今シーズン終了後の中日の動きを見ると、来季以降の巻き返しへの布石が次々に打たれています。
(本文中、敬称は略しました)
- 5,778views
- B!
相次ぐ大物ベテラン選手の引退・退団
中日では谷繁の他にも、今季在籍していた球界最年長投手である山本昌、史上3人目の両リーグ1000本安打を記録した和田一浩、史上2人目の両リーグでの最優秀選手(MVP)を獲得した小笠原道大が現役を引退しました。球団に残ったのは二軍監督に就任した小笠原一人です。
また、川上憲伸も退団し、5人いた40歳以上の選手で来季以降も中日で現役を続行するのは岩瀬仁紀ただ一人となりました。
先にご紹介した記事のように、中日は落合博満監督が指揮を執った8年間、Aクラス(3位以上)を維持しましたが、今季の5位によって3年連続のBクラス(4位以下)に沈みました。
多くのベテラン選手の引退と退団は、単なる若返りだけではなく、再び常勝軍団に生まれ変わるためにチーム刷新を狙ったものです。
10月7日、プロ野球史上最年長となる50歳での登板を果たした山本昌。
この試合が最後の登板となった。
6月11日、通算2000本安打を達成し、谷繁監督から祝福される和田一浩
意味深な森ヘッドコーチの発言と落合GMの存在
そのことを裏付けるように、シーズン終了後、ヘッドコーチの森繁和が記者のインタビューに対して、今年のオフは驚くようなことが起きる、という発言をしています。
谷繁を除く、山本、和田、小笠原、川上4選手の今季推定年棒の合計は3億2千5百万円、この他に引退した朝倉健太や退団したルナの年棒を加えると5億5千万円。単純に言えば、これだけの補強資金があることになります。
現在、FA宣言した選手の獲得の動きは見せていないので、大型トレードやメジャー・リーガーの助っ人などを獲得する可能性があります。
落合GMは中日に監督招聘された際に、3年以内に優勝できるチームを作ってほしい、と言われ、実際には就任1年目にリーグ優勝を成し遂げています。
GMに就任するにあたって、同様の要請を受けていたならば、来季2016年シーズンこそ、その3年目となるシーズンです。
落合GM、森ヘッドコーチ、そして専任となった谷繁監督の真価が問われます。
谷繁選手兼任監督をヘッドコーチとして支えた森繁和
GMとして3年目のシーズンを迎える落合博満
谷繁のココがすごい!
谷繁は7月29日にプロ入り通算3018試合出場を果たし、野村克也が保持していた記録を塗り替えました。
通算出場記録トップ10は次の通りです。
氏名 (最終在籍球団) 出場試合数
谷繁 元信 (中日) 3021
野村 克也 (西武) 3017
王 貞治 (巨人) 2831
張本 勲 (ロッテ) 2752
衣笠祥雄 (広島) 2677
大島康徳 (日本ハム)2638
立浪和義 (中日) 2586
金本知憲 (阪神) 2578
門田博光 (ダイエー)2571
土井正博 (西武) 2449
※ダイエーは現福岡ソフトバンクホークス
1位の谷繁と2位の野村は、野球選手の中で運動量が多く、ケガをする可能性もあり、精神的にも厳しい捕手というポジションだっただけに、非常に価値のある記録です。
特に谷繁の場合は、指名代打制のないセ・リーグ一筋での記録ですから、より一層価値の高いものということができます。
谷繁が保持している記録の中で珍しいものとして、2011年の東京ヤクルトスワローズとのクライマックス・シリーズ・ファイナルステージ5試合と、ソフトバンクとの日本シリーズ7試合に1本のヒットを打つこともできなかったポストシーズン無安打記録というものがあります。
合計12試合にヒットが出ないという極度の不振状態ならば、出場させないというのが普通の監督の発想ですが、当時の落合監督と森ヘッドは試合終盤の途中交代こそあったものの、谷繁を先発メンバーからはずす考えは毛頭なかった、と述べています。
それほどまで、谷繁が監督をはじめとする首脳陣や選手の信頼を集めていた証です。
この年限りで退団した落合監督が、記者会見で特に谷繁の名前を挙げて、「よい指導者になれる」と称賛しました。
指導者・谷繁にとって勝負の年となる16年シーズンです。
プロ野球史上最多となる3018試合出場を果たし、記念のプレートを掲げる谷繁
この記事のキーワード
この記事のライター
フリーライター。歴史・文学からビジネス、スポーツ等、幅広い分野において執筆を行う。