【海外映画】1度は見て欲しい。人生を変える珠玉の傑作ロードムービー映画おすすめ10選
人生を放浪する映画の登場人物たち。彼らと一緒に壮大な旅に出かけてみませんか。誰の心にも足跡を残してくれるような、そんな最高のロードムービー映画を紹介します。どれも感動必至の名作ばかり。とてもオススメなので是非見てください。
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アイキャッチ画像出典:img.cinematoday.jp
ダージリン急行(The Darjeeling Limited)
出典:www.dlife.jp
父の死をきっかけに絶縁状態だった3兄弟がインドに集まり、ダージリン急行での旅を通して兄弟の絆を取り戻す物語。
毎回独特な世界観を構成する鬼才、ウェス・アンダーソン監督の作品です。映画の見所は、それぞれに問題を抱えた相容れない兄弟が、衝突を繰り返しながらも精神的につながっていく過程です。またその過程を監督ならではの世界観で映し出しており、いつの間にか作品に引き込まれています。この世界観を生むのは個性的な登場人物やインドという舞台だけにはありません。音楽や色彩などのビジュアルにも監督のこだわりが出ています。特にこの映画のためだけに作成された世界に一つだけのマーク・ジェイコブスのスーツケースには注目です。随所に見られるシュールでコメディタッチな描写もとってもキュート。
こうしたいくつもの要素が混ざり合って生まれるとても不思議な映画。見終わった後に感想を聞かれても言葉にするのは難しい。それでも心に強く残る。そんな作品です。
トランスアメリカ(Transamerica)
女性になるための手術を控えていたブリ―のもとに、突然1人の少年、トビーが現れます。彼はブリーがまだ男だったころに生まれた実の息子でした。しかし男としての自分と別れを告げたいブリ―は彼を義父に預ける為、2人でアメリカ大陸を横断する旅に出かけます。
タブー視されているトランスセクシュアル(性同一性障害)をテーマにした作品です。愛とはどこから生まれ、どういった形を求めるのか。性別といった私たちの常識は必ずしも愛の足かせにはならないのかもしれません。彼らは旅での出会いを通してアメリカ大陸だけでなく、自身が抱える性や親子の壁といった様々な障壁を超えていきます。主人公ブリ―を演じるのは有名”女優”のフェリティシ・ハフマン。異色のヒロインの葛藤を、絶妙に表現する彼女の演技には注目です。
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(Knockin' on heaven's door)
病院の厨房で酒を交す2人の男。ひょんなことから1人は海を見たことがないという話を始めます。
「天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ。海がどんなにきれいかってね。海を見たことがないやつは指くわえてるしかないな。おまえ、話には加われないぜ」
そして彼らは、もう病院のベッドには戻りません。何も恐れない彼らは旅先で犯罪を繰り返しギャング、はては警察にまで追いかけられます。結末の決められた、男2人の逃避行。この刹那的な衝動から生まれた力強さは、ただカッコ良い。この映画を形容するとしたらそれだけです。しかし本当のカッコ良さに触れたとき、人は感動します。
ストレイト・ストーリー(The Straight Story)
主人公アルヴィンは73歳のおじいさん。10年来仲違いをしていた兄が心臓発作で倒れたという知らせを聞いた彼は、遠く離れた兄のもとへ向かいます。時速8キロのオンボロトラクターで。
「マルホランドドライブ」、「インランド・エンパイア」といった”クレイジー”な映像美で有名なデヴィッド・リンチ監督の作品。今作では良い意味でそのイメージが裏切られています。物語は静かに淡々と進み、特に劇的な展開など起こらないのですから。しかし、だからこそ主人公の言葉にじっくりと向き合うことができるのです。アルヴィンのセリフの一言一言に彼の人生が凝縮されています。そんな彼が最後にはただ、叫ぶのです。長年会っていない大切な人に出会えた時、その思いを表現する言葉なんて存在しないのかもしれません。
アルヴィンを演じたリチャード・ファーンズワースは、この映画の公開後、間もなく亡くなります。こうしたストーリーもこの映画をとても価値あるものに高めています。
サイドウェイ(Sideways)
作家志望だが実らない学校教師で”バツイチ”のマイルスと、元アイドルで現在は細々とラジオMCで食いつなぐ売れない役者のジャックが、ジャックの結婚祝いを兼ねてカリフォルニアのワイナリーを巡る旅に出発するという物語。
いつまでも前の奥様を忘れることが出来ずすぐお酒に逃げるマイルスと、過去の栄光を笠に着て本能のまま遊ぶことを止められないジャック。2人とも過去を忘れられないダメな大人です。けれど人生とはいつまでたっても魅力的なものです。まるでピークを過ぎた味わいもとても捨てがたい、極上のワインのように。無理せず、今の自分を受け入れて、日々の絶望とたまにある小さな希望を楽しみに生きるのも良いかもしれません。ワイングラスがあればなおのこと。
イントゥ・ザ・ワイルド(Into the Wild)
大学を優秀な成績で卒業したクリスは学歴や車といったすべてを捨て、自由を手に入れるための旅に出ます。様々な人との出会いを経て彼が向かった先はアラスカの荒野。そこで、捨てられたバスを拠点に生活を始めます。
アメリカで話題を集めた、実話をもとにした映画です。少年は何を思い、このような行動に出たのでしょうか。映画の見所でもある美しく壮大なアラスカの風景は、私たちが暮らす文明社会へ疑問を投げかけています。幸福とはなんなのか。この疑問に立ち向かったクリスが出した答えに、あなたは何を感じますか。
モーターサイクル・ダイアリーズ(The Motorcycle Diaries)
後のラテン・アメリカの革命家チェ・ゲバラ若かりし頃の日記をもとにした作品です。当時医学生であったエルネスト(後のゲバラ)と友人アルベルトが企画した南米横断。使用したものはたった1台の中古バイク。若さだけが詰め込まれた荷物を片手に、彼らは宛てのない旅に出かけます。
南米諸国でエルネストが触れた現実は、彼が後にゲバラになるうえでの重要な経験です。旅を通して世界への矛盾や疑問、そして使命感が彼の顔に刻まれていくのがわかります。また、革命家チェ・ゲバラの人間的な部分、純粋さが丁寧に描写されており、それを観るだけでも充分楽しめる作品です。
リトル・ミス・サンシャイン(Little Miss Sunshine)
小太りの眼鏡っ子、オリーヴの夢は美少女コンテストで優勝することです。 地方予選でたまたま繰り上げ当選した彼女は、 家族とともに決勝大会の会場を目指します。
それぞれにコンプレックスを抱えた家族の珍道中。旅先で起こる様々な事件を通して、バラバラだった家族が徐々に1つになっています。その中心にいるのはオリーヴ。あらゆる意味で小さい彼女が皆の太陽になっているのです。最後のシーンでは笑顔で泣くことができます。タイトルの通り観る人の心を温めてくれる映画です。
きっと ここが帰る場所(This Must Be the Place)
とある事件をきっかけに表舞台から姿を消した元ロックスター、シャイアン。そんな引きこもりの彼が、父の死をきっかけにアメリカ横断の旅に出ます。亡き父の願いをかなえるために。
見た目や行動に現れるシャイアンの幼さは、この旅を通して成熟します。その過程ももちろん面白いのですが、なによりも音楽が素晴らしい。作中でシャイアンの友人役として登場する元トーキングヘッズ、デビッド・バーンの歌う「This Must Be The Place」は、それを聞くためだけにこの映画を見る価値があると言っても良いのではないでしょうか。
ライフ(LIFE!)
出典:eiga.com
唯一の趣味は、虚しい現実から逃避して空想の世界を繰り広げること。そんなウォルターは雑誌「LIFE」誌の写真管理部で働く独身中年男。ある日LIFE誌の休刊を告げられ自身の立場も危うくなる中、ウォルターはLIFE誌最終号の表紙を飾る予定だった写真がないことに気づきます。彼はカメラマンを探すために壮大な旅への一歩を踏み出します。
現実から逃げたいと思ったことは誰にでもあるのではないでしょうか。誰もが感情移入できてしまう後ろ向きな主人公だからこそ、彼が振り絞る勇気と行動に元気づけられます。特にラストシーンでの主人公の発言と、それに対するLIFE誌の無言の返事には思わず鳥肌が立ちました。人は誰かから認められた時、自分の中で誰にも崩せない財産が生まれるのです。2006年公開のドイツ映画「善き人のためのソナタ」と通じるラストシーンですので、こちらもおすすめです。
旅する彼らに自分を重ねて
ロード・ムービーには主人公が旅での出会いを通して自分と向き合い、自分なりの生き方を模索する過程が描かれます。出会いを通して自分の中にある道標を見つける、この過程がとても顕になっているゆえに私たちも彼らを通して旅ができるのです。実際に旅ができなくても良い。映画を通して旅に出かけることができるのですから。
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この記事のライター
新しい物好きなうざかわ系アラサー男子。男子校で男に囲まれてきた反動から、大学以降は女性にモテることのみを考えてます。でも基本シャイなんでうまくアプローチできません。外資系メーカー→MBA→国内インフラ企業と経験。英語も話せる真面目な人間。