演奏会用序曲の有名な定番の名曲おすすめ15選
今回はオーケストラの演奏会でよく演奏される演奏会序曲についてご紹介いたします。序曲は、現在ではクラシックコンサートの最初で演奏される独立した曲のことを多くの場合さしますが、もともとはオペラなどの歌劇で最初に演奏される曲のことを指しました。華々しい序曲の世界をご堪能ください。
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アイキャッチ画像出典:www.cinra.net
序曲とは?
序曲とはクラシック音楽のオーケストラによる演奏会でよく演奏される曲目のことです。オーケストラの演奏会の定番のプログラムは、『序曲』→『協奏曲』→『交響曲』という組み方がされます。今回は演奏会で最初に演奏されることの多い序曲についてご紹介をしていきます。
演奏会の開始に欠かせないのが序曲
出典:natsuoke.com
オーケストラの定番の演奏会で最初に演奏される機会の多い序曲ではありますが、元々はオペラや劇付随音楽、古典組曲などの最初に演奏される音楽でした。しかしながら決して前座の音楽というわけではなく、演奏会の開始を飾る華々しさを持つのが特徴です。
現在演奏される機会が多いのは『演奏会用序曲』
序曲は、ストーリー性を持った劇全体の開始を始める役割であったり、まだざわめいている聴衆を惹きつけるような役割を持っていましたが、次第にこの序曲だけが独立して演奏会で演奏されるようになりました。現在では序曲といえば演奏会用序曲を指すことが多く、今回のこの記事でもそのような演奏会用序曲をご紹介していきます。
序曲の有名曲
ベートーヴェン:エグモント序曲
エグモント序曲はベートーヴェンによって作られた劇付随音楽『エグモント』の序曲です。『エグモント』はゲーテの戯曲『エグモント』のために作られた音楽です。この戯曲はエグモント伯ラモラールの英雄的行為を題材に作られています。エグモント伯は16世紀の貴族で、王に疑いをかけられ死刑となった不遇の人物であり、圧政に対して叛旗を翻した英雄でした。ベートーヴェンはこのエピソードにインスピレーションを受けてこの音楽を作曲したようです。作曲当初もかなりの称賛を受けた曲として知られています。
ベートーヴェン:コリオラン序曲
コリオラン序曲はベートーヴェンの作曲した演奏会用序曲です。もともと戯曲のために作ったわけでなありません。しかし、古代ローマの英雄コリオラヌスを題材にした戯曲『コリオラン』にインスピレーションを受けて作曲されています。ベートーヴェンは同時期に交響曲第4番、第5番、第6番の三つの交響曲に加えて、ピアノ協奏曲第4番、ヴァイオリン協奏曲などかなり多くの曲を書いており、かなりの作曲意欲の中この曲を作ったようです。
ワーグナー:タンホイザー序曲
タンホイザー序曲は、歌劇『タンホイザー』で最初に演奏される序曲です。歌劇『タンホイザー』は、中世ドイツ騎士の主人公タンホイザーをめぐる物語になっています。タンホイザーは貴族の娘エリザベートと恋人同士でしたが、その後、愛欲の女神であるヴィーナスと堕落した生活を送るようになってしまいます。しかしその生活の中ば、罪の意識に苛まれて故郷に戻ることを決意し帰郷します。エリザベートと再会し、元の生活に戻ろうとしますが、あることをきっかけに再び故郷から追放されてしまうこととなります。エリザベートは死をもってタンホイザーの許しを教皇に請い、タンホイザーは許しを得ますが、エリザベートの亡骸を見てタンホイザー自身も息をひきとるのでした。
ヨハン・シュトラウス2世:こうもり序曲
今までご紹介してきた序曲の形式はオペラや過激でしたが、この『こうもり』はオペレッタと呼ばれるジャンルに属します。オペレッタは「小さいオペラ」という意味で軽妙な筋と歌を持つ喜劇的な作品が多いのが特徴です。『こうもり』はオペレッタの中でも最高峰とされる作品で、「オペレッタの王様」とも呼ばれています。
ウィーン国立歌劇場では、毎年年末年始に公演が組まれていて、大晦日にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニュー・イヤー・コンサートで演奏されるのが恒例行事となっています。ちょうど日本でいえば、N響が第九を演奏するようなものでしょうか。
ブラームス:大学祝典序曲
大学祝典序曲は、ブラームスの二つある演奏会用序曲のうちの一つで、悲壮感のある『悲劇的序曲』とは対照的な明るく陽気な曲となっています。学生歌を引用して作られているのが特徴で、自作主題と効果的に繋がれています。また、この音楽にはブラームスのブラックユーモアが多分に含まれています。ブラームス自身はこの曲を、「学生歌」をガサツに繋いだメドレーと評しており、「学生の酔いどれ歌のひどくガサツなメドレー」を『大学祝典序曲』と名付けるという皮肉性を含ませています。しかしながら、この作品自体は構成が洗練された完成度の高い作品であり、現在も演奏機会の多い演奏会用序曲の傑作とも言えるものになっています。
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
ロッシーニはオペラ作曲家として有名です。この曲はロッシーニの代表的な歌劇作品である『セビリアの理髪師』の序曲。ロッシーニはこの傑作を弱冠20歳代で完成させました。作曲家というと貧乏で不遇な暮らしをしていた、というイメージが強い方も多いかと思いますが、ロッシーニは対極。裕福な暮らしをして、美食家としても有名でした。さて、そんなロッシーニですが、その音楽の特徴は、明るさ。まさにクラシック音楽のコンサートの幕開けにふさわしい曲と言えるのではないでしょうか。
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
『フィガロの結婚』はフィガロ三部作のひとつで、前作『セビリアの理髪師』の好評を受けての続編。第三部には『罪ある母』が続きます。オペラ『フィガロの結婚』にはいたるところに笑いとその伏線が仕掛けられています。そのため何度見ても楽しい喜劇の傑作として知られています。主人公のフィガロとその婚約者スザンヌ、そしてその二人の主人である伯爵の結婚をめぐるストーリーとなっています。
モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
モーツァルト作曲の『魔笛』序曲は、先ほどご紹介した「フィガロの結婚」と双璧をなす最も有名な序曲の一つです。この序曲の特徴としては、トロンボーンが三本登場すること。もちろん時代がたてば、このような形式は珍しくはありませんが、この時代の作品としては、このトロンボーン三本はものすごく珍しいことでした。トロンボーンは低音の金管楽器ですので、オーケストラ全体に重厚さを与えます。そのため、そのほかの序曲と比べると「明るさ」よりは「勇壮さ」が味わえるの作品となっています。
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
戯曲『ヴィルヘルム・テル』を元に、ロッシーニがオペラ『ギヨーム・テル』作曲し、そのオペラの序曲がこの有名な「ウィリアム・テル」序曲です。
ベートーヴェン:序曲「レオノーレ第3番」
レオノーレ序曲第3番は、歌劇『レオノーレ』を改定していく上で作曲された序曲です。歌劇『レオノーレ』は第二版として一度改作されていますが、その改作の際に序曲も合わせて改作されたのがこのレオノーレ序曲第3番です。展開部のトランペットと再現部のフルートソロが印象的です。ソリスティックなパッセージが人気を得ていますね。
メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」序曲
「真夏の夜の夢」序曲が完成された時、メンデルスゾーンがわずか17才でした。その若さながらこの序曲は驚くべきほど高い完成度を誇っており、オーケストラの序曲レパートリーとしても重要な地位を占めています。「真夏の夜の夢」序曲は、もともとピアノ連弾用に作曲されたものでしたが、これをオーケストラ用に編曲したようです。この『真夏の夜の夢』は劇付随音楽ですが、シェイクスピアの戯曲『真夏の夜の夢』が元になっています。
ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」
ドヴォルザークの序曲『謝肉祭』は、ドヴォルザークの作品の中でも特に人気を得ている楽曲です。『自然と生命と愛』と呼ばれるドヴォルザークが作曲した演奏会用序曲の三部作のうちの2番目の曲で、本来ならばこの三部作は一続きで演奏することを意図して作曲されていますが、現在では、この『謝肉祭』のみで演奏されることが多くなっています。最初から最後まで賑やかな曲で、リズムは活気にあふれ、メロディは表情豊かですね。
ロッシーニ:歌劇「泥棒かささぎ」序曲
序曲「どろぼうかささぎ」は歌劇『どろぼうかささぎ』の最初の9分を飾る序曲です。『どろぼうかささぎ』は「オペラ・セミセリア」と呼ばれるジャンルに属しています。華やかな行進曲のように始まり、その終わりに小太鼓の連打があります。太鼓の響きには軍隊や処刑の意味が込められているそうです。その後三拍子に移行してまたもや華やかなパッセージが繰り返されていきます。
ワーグナー:「さまよえるオランダ人」序曲
『彷徨えるオランダ人』はリヒャルト・ワーグナーが作曲したオペラです。喜望峰近海でオランダ人の幽霊船が目撃されるという伝説を元にした『フォン・シュナーベレヴォプスキー氏の回想記』というハインリヒ・ハイネが書いた小説に着想を得て作られました。この「さまよえるオランダ人」序曲はそのオペラの最初に演奏される序曲です。愛を受けなければ永遠に海をさまようことになる呪いをかけられたオランダ人の船長と、彼を救いたいと願う乙女ゼンタとの愛を描いたオペラです。
バーンスタイン:キャンディード序曲
キャンディード序曲は、レナード・バーンスタイン作曲の舞台歌劇『キャンディード』の最初を飾る序曲です。今回ご紹介する作品の中ではもっとも新しい楽曲でしょう。1956年の舞台初演に合わせて演奏されたのが初演であり、オーケストラによるレパートリーとして大きな人気を持つ楽曲です。
演奏会の幕開けを飾る序曲
いかがでしたでしょうか。今回は演奏会用序曲をご紹介して行きました。序曲はオペラなど歌劇のストーリー性含まれていて、音楽を聴くという楽しみを得られるだけでなく、ストーリをも楽しむことができます。様々なクラシック音楽を聞いてお気に入りの序曲を見つけてくださいね。
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この記事のライター
クラシック音楽と文学と少々のお酒をこよなく愛する20代。現在は筋トレにハマりはじめている。慶應義塾大学在学中。