バランスト・スコアカード(BSC)の本当の使い方・活用方法
大学時代経営学を専攻していた方やビジネス本をよく読む方はバランストスコアカードという概念を勉強したことがあるかもしれません。
でもなんとなく概念だけ理解して終わってませんか?
今回はビジネスツールとして役立つバランスト・スコアカードについてご説明します。
計画策定を行う際などに、会社で検討してみてください。
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バランスト・スコアカードってなに?
バランスト・スコアカード(以下BSC)はロバート・S・キャプランが1992年にハーバードビジネスレビューにおいて論文を発表した業績モニタリングツールです。
BSCは以下の4つの視点から構成されており、従来の財務視点を中心としたモニタリングに対し、非財務の視点を併せて評価する点が斬新でした。
また、当初は"モニタリング"を主目的としたツールと考えられてきましたが、近年は戦略展開モニタリングツールと理解されています。
4つの視点 ①財務の視点
BSCの最上位にある概念が財務の視点です。
簡単に説明すると、売上高や利益額など企業が目標とする数字目標です。
これは従来のモニタリングシステムにおいても備えていたものです。
4つの視点 ②顧客の視点
2つは顧客の視点です。
①の財務目標を達成するために、顧客の目線からの企業評価を目標とすることを目的としています。
たとえば、顧客満足度点数や顧客内シェアなどがこれに該当します。
4つの視点 ③業務プロセスの視点
3つ目は業務プロセスの視点です。
①、②を高めるためにどういった業務プロセスを高めるかといった観点から目標設定することになります。
たとえば、納期遵守率、顧客訪問回数、新製品開発件数といったものがここに該当します。
4つの視点 ④学習と成長の視点
最後は学習と成長の視点です。
これは主に企業として、およびその従業員をどのように成長させるか、という観点から目標設定することです。
たとえば、IT化率や管理職英語習得率といったものがここに当てはまります。
4つの視点が連動するように戦略をマッピングする
BSCというと「上記の4つの視点でモニタリングするんだ、へー」で終わる方が非常に多いです。でもそうじゃないんです。
先ほども説明しましたが、BSCは単なるモニタリングツールではなく、戦略展開・モニタリングツールです。したがって、BSCは戦略展開をするために用いるのです。
注)戦略を策定するツールではないです。一般的には戦略策定を3C分析やSWOTから行い、BSCはそれを展開するツールです。
ステップ① 戦略の財務目標を財務の視点に設定
戦略策定の結果、設定された戦略目標(達成すべき目標)を財務の視点にプロットすることから始まります。
以下では海外売上高比率30%→50%を例に考えてみましょう
ステップ② 顧客→業務プロセス→学習と成長の順で戦略を落とす
財務の視点及び会社戦略を踏まえながら、顧客の視点を検討し戦略目標をプロットします。
(例)
海外売上高50%を達成するために、海外代理店満足度向上やアジアエリアのシェア拡大を戦略目標とする
その後、同じような流れで業務プロセス、学習と成長の順番で戦略目標を設定します。
(例)
業務 海外代理店訪問件数、代理店数、ロースペックモデルの上市
学習 海外代理店とのEDIシステムの導入、海外R&Dセンター設立
それぞれの戦略目標に対しKPI及び目標値を設定
BSC上に戦略目標がプロットされたら、それをモニタリングするための指標としてKPI(主要業績評価指標)及び目標値を設定しましょう。
もちろんですが、売上高の拡大が最終目標にあるならばそれに関連するKPI及び目標値が、顧客以下の視点において設定されることとなります。
KPIは組織実態にフィットしており、数値が入手しやすいものにしたほうがいいです。複雑すぎると情報収集コストがかなりかかるので。
アクションプランを作る
最後にそれらの戦略目標と目標値を達成するためのアクションプランを設定しましょう。
細かいアクションプランはなくても大日程計画のようなものは作ったほうがいいでしょう。
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この記事のライター
日本一即戦力な公認会計士、を目指しています。大手監査法人⇒米国留学⇒経営コンサル公認会計士&TOEIC900超に加え、最近は経営能力など、知の経験値稼ぎに絶賛邁進中。様々知識を身につけるべく、読書とグルメめぐり(一流レストランからB級まで幅広く)が大好物