【秋の特選読書】夢を叶えるために役立つ大人のための小説5冊
秋が深まると夜が長くなり家でまったりする時間が増えます。そんな時に広げたいのが本。その中でも今回は夢を追い続けた主人公たちを特集したいと思います。あなたの夢を思い出してみませんか?
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夢ってなんだったっけ?ちょっと思い出してみませんか?
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子供の頃には必ずあった夢。大人になるにつれだんだん忘れてしまうのが現実です。しかし、がむしゃらに働いていてふと立ち止まった時、あるいは頑張っていたプロジェクトが評価されなかった時、なぜ自分はこんなに頑張っているのだろうと振り返ると思います。そんな時に思い出したいのが自分の夢です。大きな夢でもいい、ささやかな夢でもいい、人はそれを叶えるために生きているはず。毎日のルーティーンワークに埋没した時は、入社当初の気持ちを思い出して何がしたかったのか見つめるのにいい機会です。不可能にも思える夢を追い続けた主人公を描いた本を紹介します。
どんな困難があっても自分の歩む道を信じ続けた「アルケミスト」
ブラジルの作家パウロ・コエーリョが1988年に発表して以来世界的にベストセラーになったこの本。主人公のサンティアゴ少年は旅がしたいがために神学生から羊飼いになりました。そしてある日ピラミッドに宝ものがあるという夢を信じて自分の羊たちを売り、言葉もわからないアフリカに渡るのです。夢と希望いっぱいで渡った先では信じられない出来事に次々巻き込まれます。何度も運命に翻弄されますが、その度に自分の夢を思い出し追求していく様に心打たれます。彼はピラミッドまでたどり着いて夢に見た通り宝物を見つけることができるのでしょうか?ぜひ本を読んでサンティアゴ少年と旅をしてみてください。
人が自分のことをどういうかなんて気にしない「月と6ペンス」
夢を叶える時に一番大きな壁はなんでしょう?それは人の目ではないでしょうか。そんなことを物ともせずに自分の求めるものを追い続けた主人公を描いたのがサマセット・モームの「月と6ペンス」です。フランスからタヒチに渡った画家ポール・ゴーギャンをモデルにしたと言われるこの作品。読んでみると分かりますが、ゴーギャンよりさらに自堕落で過酷な主人公です。
主人公のストリックランドはイギリスで成功している証券マン。妻も子供もいてごく普通の生活を送っていました。その彼がある日失踪。妻の依頼で語り手がパリに探しに行くとボロボロのアパートで画家を目指しているストリックランドを見つけます。妻子なんてどうでもいいと語り手に金までせびりだすストリックランド。しかし彼の描く絵には言葉にできない力強さがありました。その後ストリックランドはタヒチに渡り命をかけた絵を描くのですが・・・
誰かに認められるためではなく自分の欲求を吐き出すように描くストリックランドの姿は圧巻です。
自分の中の善も悪も全部ひっくるめて見つめる「デミアン」
子供の頃、初めて親に秘密を持った時、人は罪悪感を感じます。しかし大人になった今当時を振り返るとそれこそが大人への一歩だったことに気付きます。ヘルマン・ヘッセの「デミアン」は少年が大人になる様を描いた小説です。主人公のエミール・シンクレールは良識的な家庭で育った少年ですが、ある日街の悪童に睨まれて弱みを握られてしまいます。彼に言われるままお金を渡し続けるシンクレール。ここから親に言えない彼の罪の意識が芽生えます。そんな時に転校してきたのがデミアンという少年です。彼は悪童の脅しを止めただけでなく、罪の意識や善悪を超えた価値観をシンクレールに教えていきます。自分は何のために生まれてきたのか、そんな問いに答えてくれる一冊です。
若き少女が奉行に挑んだ一言 森鴎外「最後の一句」
明治時代の日本文学を代表する森鴎外。彼の小編小説に「最後の一句」というものがあります。舞台は江戸中期の大阪。死刑が決まった父親の無実を信じた長女のいちは、自分たち子供の命と引き換えに父親の釈放を求めます。いちは16歳の町娘。そんな彼女が奉行所に嘆願書を持って出かけますが、門前払いを食らってしまいます。それでも負けず、町奉行に自分の信じたことを述べるのですが、判決が下るその時に彼女が放った一言が役人たちをうならせます。夢を追うというより信念を貫く、といったほうが適切ですが、権力にも負けない強さが印象的です。
夢を叶えるための現代のマニュアル「夢を叶えるゾウ」
ある日帰ったらインドでお土産に買ったガネーシャが本物になっていた!そんな奇想天外にスタートするこの本ですが、人生を変えたいと思いながらうだつの上がらないサラリーマンを導いていく様はさすが神様と感心してしまいます。誰もがこのままではいけない、変わりたいと思いながらも日々の生活に埋没してしまいがちなもの。でも本当は毎日の小さな積み重ねと勇気で人生を変えていくことは可能なのです。一見いい加減なガネーシャのピリリと効いたアドバイスを読んでみてください。
夢を追いかけるからこそ頑張れる
夢を追いかけ信念を貫いてきた主人公たちを紹介してきました。大人になると夢を追うなんて子供っぽいと思ってしまいがち。でもその夢があるからこそ、私たちは毎日の生活を営んでいくことができるのです。小説の主人公と一緒になって是非自分の夢を追いかけてみてください。
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この記事のライター
イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアからグルメ、ワイン、そしてイタリア男のカッコイイ生き様をお届けします。大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。