【ポップな北欧デザイン】スティグ・リンドベリで作る北欧スタイル
ミッドセンチュリーにおける北欧雑貨といえばスティグ・リンドベリのデザインは外せません。2016年は生誕100周年ということもあり、各地で個展が行われ、再び注目度が急上昇しています。今回はそんなスティグ・リンドベリについて解説したいと思います。
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スティグ・リンドベリって誰?
彼の作品、画像にあるグスタフスベリ社から販売された白地に緑の葉っぱが並んだデザインのベルサシリーズを知っている人も多いと思います。しかし、それをデザインしたスティグ・リンドベリという人についてまで知っているという人はさほど多くはないのではないでしょうか。それではスティグ・リンドベリとは一体どんな人なのでしょうか。
彼のバイオグラフィーをチェック
スティグ・リンドベリ(Stig Lindberg)はスウェーデン出身の陶芸家・イラストレーターです。彼はスウェーデン最高峰の芸術大学「コンストファックト王立工科大学」を卒業後、スウェーデンの陶磁器メーカであるグスタフスベリ社で、1937年からウィルヘルム・コーゲと共に陶器制作を行います。その後グスタフスベリ社のアートディレクターとして活躍します。
1941年に発表された彼の作品群は、第2次世界大戦後のミッドセンチュリーデザインと呼応し、スカンジナビアモダニズムとしてスウェーデンのみならず世界中で高い人気を獲得します。そして、1953年に発表された美しいフォルムの花瓶Pungoなどの作品により、スカンジナビアデザインの基礎を作り上げ、多くのデザイナーに影響を与える存在となりました。
1957年にグスタフスベリ社を去り、その後は陶器のみならずイラストレーターとしても活躍します。1957年発刊の『ちゃっかりケラールの誕生日』の挿絵を担当するなど、マルチな才能を発揮します。また、彼のイラストはテキスタイルのデザインとしても用いられています。彼のテキスタイルを用いたクッションは華やかで、一つあるだけで部屋の印象を明るくポップに変えてくれます。
グスタフスベリ社ってどんな会社?
出典:pixabay.com
彼がアートディレクターを務めたグスタフスベリ社は、スウェーデンの陶磁器メーカーです。現在は食器部門は別会社に買収されており、衛生陶器メーカーとして操業を続けています。グスタフスベリ社が隆盛を極めた1940〜60年代当時は、特に高級なメーカーというわけではなく、スウェーデンでは日常的に使用されていたというから驚きです。
そんなグスタフスベリ社の陶器の特徴は、シンプルで使いやすく機能的でありながら、絵付けなどはポップなデザイン性を持つ点です。こういったグスタフベリ社の特徴を作り上げたのが、アートディレクターを務めたスティグ・リンドベリ、その人だったのです。
スティグ・リンドベリの代表的な作品5選
スティグ・リンドベリは多くの作品を残しており、全てを紹介するのは紙幅の都合上難しいので、彼の作品の中でも特に有名なものを厳選して紹介します。
BERSA(ベルサ)
スティグ・リンドベリといえばベルサというほどに、彼を代表するシリーズです。白地に緑の葉っぱという一見ポップなデザインですが、このデザインのコアは何と言っても葉の中に描かれる黒い葉脈。明るい色使いとは対照的に描かれたこの黒い葉脈によって、生命の力強さをシンプルに描いたデザインは素晴らしく、今日でもその魅力は衰えていません。
SPISA RIBB(スピサ・リブ )
1900年代におけるベストデザインのひとつに数えられるシリーズです。彼の作品群の中ではかなりシンプルなデザインですが、ストライプと余白の具合やパイピングの太さなど緻密に計算されており、美しいデザインです。
ADAM(アダム)
水玉が並んでいるポップなデザイン。単に水玉が並んでいるだけかと思いきや、遠近法を用いて描かれており、下に行くほど小さくなります。この緻密な計算によって、水玉が全面に描かれたデザインながらうるさくなりません。ちなみにこの水玉、聖書のアダムとイブの話がモチーフということなので、あの禁断のりんごを描かれているのです。
FISKFAT(フィッシュプレート)
日本でも非常に人気がある魚型のプレートです。魚のちょっととぼけた表情とはうらはらに鱗がしっかりと描かれ、ベルサと同様に生命の力強さをポップさの中に描いた作品です。
フラワーベース
シリーズにかかわらず、スティグ・リンドベリの作るフラワーベースは造形的に独特で存在感があります。しかし花を飾ってみると、その独特な存在感は影を潜め、花の美しさを最大限に引き出すから不思議です。
色褪せることないマスターピース
スティグ・リンドベリの作品はヴィンテージ市場でも圧倒的な人気を誇るものばかりです。それはやはりただポップなだけではない、そこに描かれている生命力が、人の心を掴んで離さないからではないでしょうか。そんなスティグ・リンドベリの作品を日々の生活に取り入れられたら、きっと毎日が豊かに彩られていくはずです。
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